平成21年度 第4回市原市議会定例会
市議会レポート【代表質問】桑田なお子
1. 市長の政治姿勢について
(1)都市交流拠点のまちづくりについて
五井の西口イトーヨーカドーの閉店が平成22年5月と示されました。
11月9日には市長と商工会議所の会頭はイトーヨーカドーに対し、閉店の撤回を求め要望書を提出しましたが、厳しい経済状況でよい返事はもらえそうにありません。又、東口開発の開業もままならない状況です。
先日(11月20日)の「都市交流拠点の整備に関する調査特別委員会」を傍聴しました。イトーヨーカドーからは、売り上げがピーク時の122億円から、昨年は41億円に落ち込み5年間で10億円を超える赤字を計上するようになったとのこと。衣類や住居に関する雑貨は売れば売るほど赤字になり、食品部門だけが儲けになるとの話でした。又東口開発の事業提案(プロポーザル)にあった専門店のショッピングモールも、複合映画館もできないとの説明でした。
さらに、「新規投資に回す資金がない」として単独での開発を断念し「一緒に事業に取り組めそうな数社と話を進めている」とのことでした。
企業は儲けがなければ撤退するのは当然です。
まちづくりは、そこに住んでいる人間が中心になって取り組む課題であり、人任せにしてはならない事を強く感じました。
そこで、3点、お聞かせください。
① 1点目、これからの、五井駅西口と東口の一体としての都市交流拠点のまちづくりをどのように考えておられるのか、先日の代表質問でもありましたが、改めて市長の見解をお聞かせください。
(答弁)都市交流拠点の基本的目標である「交流と賑わいのあるまちづくりの実現」これに向けて引き続き市民の皆様や関係機関などと連携を密にしながら、五井駅東口・西口での一体的なまちづくりに取り組んでまいりたいと思います。
② 2点目、 五井駅東口のヨーカドー出店の見通しは立っておりません。
今の状況は、地権者にとっても、大変厳しいものであろうと予想されます。何とかしてほしい、という声は組合側からも上がるのではないかと思われます。
市原市がお金を出すのは、総合公園の63億円のみと今まで説明を受けてきました。その方針に変わりがないのかどうかお聞かせください。
(注:計画上では63億円、予算書では58億円)
(答弁)
この区画整理事業区域内に置きましては、総合公園整備費63億円を超える市の支出は、現在のところ想定しておりません。
③ 3点目、ヨーカドーは食品部門だけは黒字であり、その出店を望んでいるように見えますが、食品部門だけの出店を市は受け入れるのでしょうか。又、プロポーザルでヨーカドーは1位でしたが、提案内容が実現できなくなった今、パートナー企業として失格とはならないのでしょうか。
お聞かせください。
(答弁)食品部門の出店は、東口の具体的、現実的な計画ではなく、ひとつの可能性としての説明と理解しています。又、イトーヨーカドーからプロポーザル提案どおりの内容は履行できないが、イトーヨーカドー自ら新たなパートナーを求め、できるだけ提案主旨に沿った形での店舗計画を実現していきたいとの説明がありました。
既に90億円を投資して、12.3haもの土地を購入し出店基盤を整えております。
このように、最大限の努力をしているパートナー企業としてのイトーヨーカドーの尽力に期待し、連携して、出店の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。
④ 1点目の回答で、これからも五井駅西口と東口の一体としてのまちづくりを続けられるとのことですが、住んでいる者が中心になって行なわなくてはならないことだと私も思います。
五井のラオックスの閉店に続いてのヨーカドーの閉店は、周辺の商店に影響が及ぶのを避けられません。先日、B級グルメの富士宮やきそばの現地を視察してきました。そしてB級グルメの火付け人の渡辺英彦さんのお話を伺ってきました。
B級とは、レコードのA面とB面のようなもの、手ごろで美味しいご当地の普段着のグルメという意味合いです。認知されてはじめてブランドになる。そこには人とお金が集まってくる。
メディア(報道機関)が取材をしたくなるような内容、ストーリーが大切だと話されました。
例えば、「ヤキソバスツアー」で「麺財符」をもってヤキソバ加盟店である「麺税店」で食事をとる。
免罪符は宗教改革のきっかけになった事柄、ここでは観光改革になったという、シャレを利かした物語をこじつけてあります。
メディアを使ってお金を使わず広告しようというわけです。市原でも、「ハバナイスディ」というネーミングで「市原はばのり研究所」を立ち上げるというおもしろい企画をまちづくりに活かそうと考えている若者がおります。11月24日には「いちはらうまいもの会」が発会しました。
来年は千葉国体です。市原にも市外からの多くの方々が訪れることになります。おもてなしの心でお迎えし、再び訪れたくなる市原市をつくっていくチャンスと考えます。
行政として、どんな役割を果たしていくのか、お聞かせください。
(答弁)
市観光協会、商工会議所、市物産協議会、「うまいもの会」などの商業者などと連携し情報発信に努めていきます。
⑤ 2点目の質問に対し、その方針に変わりがないことを確認しました。
その方針を貫いてください。又、まち開きも予定通りに来年の春に行なうのかもお聞かせください。
(答弁)
来年4月にはまちづくりとしての供用開始を予定しています。
⑥ 3点目の質問に対し市は口出しをしない、プロポーザルの内容に沿って努力しているから今となっては変えることはできないとの回答ですが、それでよいのでしょうか。
ここまで開発が出来たのは、市が農業振興地区をはずすのに協力し、開発に必要な調整池を修景池として引き受けた結果だと思いますが、4者の話し合いはどうなっているのか、お聞かせ下さい。
(答弁)
イトーヨーカドーの新規店の事業計画などが明らかになった段階で、適宜4者合同での会議を開催し意見を調整していきたいと考えています。
⑦ ヨーカドーは既に90億円で土地は買っていますが、出店も事実上凍結となっています。
この地区がバラバラにならず、一体となったまちづくりがなされていくよう、これからも市は関与を続けていただきたいと思います。
(2)行政サービスの制度の周知について
① 役所は申請主義です。受益者が申し出ないと福祉のサービスも受けられません。市原市では広報「いちはら」で市民に情報を提供しています。
しかしながら、高齢者や障がいを持っておられる方は、その情報を読むこともままならず、なかなか理解できない場合が多くあります。民生委員もいますが、周知できているとはいえないのではないでしょうか。その福祉サービスに関わる業者や市の職員は積極的に受けられるサービスについて対象者に知らせていく必要があります。
決算委員会の時も指摘しましたが、せっかくの制度があったとしても、周知されなければ、無いのと同じになってしまいます。例えば、成年後見制度利用支援事業も26件そのうち市長がかかわったものが7件となっています。又、徘徊高齢者位置探索システム利用者が9人、そして介護認定を受けながらも介護保険サービスを利用しないご家族に対して年間10万円の家族介護慰労金の支給がなされていますが、平成20年度の利用者は1名という数字になっています。
もっとも対象となる方は市民税非課税世帯で介護度が4または5という重度の方に限られていることが原因だと思いますが、それにしてもこれらの情報が広く市民に知られていません。それは高齢者だけでなく、障害者の福祉にも言えることです。
そこで伺いますが、今後、周知の方法で改善の余地があると思いますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
福祉サービスについては、広報紙やホームページの掲載のほか、全世帯へ配布している暮らし便利帳等により、周知を図っているところです。今後、より多くの方々に情報を提供し、ご理解いだけるよう周知に努めていきます。
② 又、今回、前自民党政権の置き土産とも言うべき国の6月補正予算関連の数々の事業があります。正式名称は「地域活性化・経済危機対策臨時交付金活用事業」です。
この中の一つに「ひとり暮らし高齢者住宅火災警報器給付」事業があります。
この事業は、地域活性化事業として警報器を取り付けるシルバー人材センターで働かれる方へお金がいく事業です。
警報器を取り付ける対象者は、平成21年度市民税が非課税の高齢者のひとり暮らしで、約7,000人を見込んでいます。
火災警報器の設置は、平成20年6月から義務付けられていますが、罰則規定はありません。
そのことも影響してか、なかなか設置が進んでいません。そのこともあっての今回の事業だと認識していますが、この事業の対象者のなかには、既に設置された方もおられます。しかし、その方々には恩恵は一切なく「不公平だ」という声も上がっています。
今回の補助事業の前から65歳以上で、前年度所得税が非課税のひとり暮らしの人には無料で付けるという制度もあったのですが、知られていませんでした。「広報いちはら」や「高齢者のあらまし」に書いてあると行政サイドは言うのですが、何人かの民生委員さんに尋ねましたが、知らないという方がほとんどでした。周知の方法に課題があると考えます。又、制度を知らずに設置された人に対しても、後追いであっても何らかの補助がなされるべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
今回、国の経済対策を活用しまして、火災警報器の設置を緊急的措置として実施することにしました。対象者は、特に低所得の一人暮らし高齢者で、未だ寝室に火災警報器を設置していない方としていますので、既に設置している方への補助については難しいものと考えています。
③ 不公平と思われる役所の行為は、行政への信頼感を損ないます。市民が納得できる説明が必要です。これからの事業運営にはいろいろなことを想定して対処してください。
今回のような取り付け工事などは、それを扱うお店の方へ情報を流し対応するような工夫が必要です。常に市民の目線を忘れないようにしてください。
(答弁)
周知の方法は、利用できる場合、出来ない場合もありますが、内容について広く周知できるよう工夫して、ひとりでも多くの方に利用していただけるようにしたいと考えています。
2. 平成22年度予算について
① 鳩山政権は行政のムダを洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」を行ないました。民間人も含めた仕分け人が、限られた時間の中でスピーディーに点検し、その模様はインターネットで中継されマスコミでも一面トップで連日報道されました。
この間、毎日のように約500人が傍聴に訪れ、インターネット中継のアクセスも常に1万から2万件と国民の関心を集めました。この「事業仕分け」は2006年の行政改革推進法に書かれてあり、千葉県でも堂本前知事当時に行なわれました。
一般公開もされ、今回の国の仕分け同様、容赦なく敏速な仕分けでした。公開されていたのですが、決算委員会と日程が重なっていたこともあり、残念ながら傍聴者はあまり多くありませんでした。
市原市でも、「事務事業の総点検」が行われていますが一般市民には知られておりません。この事業仕分けに対して賛否両論ありますが、少なくとも国民にとっては、公益法人や関連団体、財団などへの天下りの実態や、費用対効果が疑わしい事実の実態が焙り出されました。
また、複数の省庁にほとんど同一内容の事業があることなどのムダなどが次々明らかにされ、今さらながらに肥大化した国の事業の実態に驚きをもってインターネットに見入ったのではないでしょうか。とりわけ、遠かった政治が身近に感じられるようになったのは、最大の効果だったと思います。政権交代がなければ実現しなかった光景です。
お隣の千葉市でも既に「事業仕分け」は公開で行なわれました。傍聴した市民からは、大変好評だったと聞いています。
市原市でも予算編成過程の公開を効果的に行なうと予算編成方針で述べられています。
身近な市の事業だからこそ、市民に公開し、行うべきではないかと思います。市原市でも、公開式「事業仕分け」を行なうおつもりがあるのかどうか、聞かせていただきたいのですが、昨日の代表質問の回答で、「今すぐ事業仕分けをする予定はない、実施方法を検討する」とありましたが、これに何か付け加えることがありましたら、お聞かせください。
(答弁)
市原市に適した外部の評価、外部評価を取り入れまして事務事業の見直しを検討していきますのでご理解をいただきたいと思います。
(意見)
平成22年度予算編成では、①子育て・教育環境の充実につながる事業 ②人と人・家庭と地域の絆の向上につながる事業 ③地域経済の活性化につながる事業を重点課題とされています。「市原市をどのような市にするのか」の考えのもとで、国からの補助金がきても来なくても続ける事業はあると思います。
② 財政状況が厳しくても、市民福祉の向上は行政の使命です。平成22年度は「輝☆望いちはら」の総仕上げに向け、更なる「選択と集中」に心がけ、成果重視の予算編成をされたと説明を受けました。又、将来の負担が大きくならない程度に、歳入不足を補うために、市債発行を考えているとも聞きました。
歳入不足はどの程度、又その不足を補うために、どの程度基金を取り崩し、市債の発行をどの程度におさえる予定なのか、お聞かせください。
(答弁)
平成22年度予算編成にあたって45億円を超える財源不足が生じるものと見込んでいます。基金の取り崩し、市債発行の具体的な規模については、これら短期的な視点のほかに、将来の健全な財政運営を充分に踏まえ、総合的に判断していく必要があると考えています。
③ 歳入確保として、平成21年10月から市原市債権回収対策本部を中心に滞納額の縮減に努めておられると聞いています。これまでも、電話催促や戸別訪問しての徴収をされていたわけですが、その実績をどのように評価されているのかお聞かせください。今回の「市原市債権回収対策本部」は滞納処分など、法的に厳しく対処されると聞いています。
税だけではなく、国民健康保険料や水道、下水道使用料も含まれ、対象債権は29個に及んでいます。年に4回程度の対策本部会議を開き、その後は関係課担当者で構成された作業部会を随時開き、債権回収を行なうと聞いています。
第1回の対策本部会議を10月30日に行なったと聞いています。その手ごたえと今後の抱負を聞かせてください。
(答弁)
会議では、本部員である各部長に対し、債権回収対策や債権管理の取り組みに関する基本的な方針を示すとともに、様々な意見をもらいました。今後は、歳入確保という命題に対し、全庁的な共通認識のもと、滞納額の縮減や収納率の向上などの取り組みに全力を注ぎ、市民の信頼にこたえられる健全な行財政運営に取り組みたいと考えています。
3. 子育て支援について
(1)学童保育について
① 子どもに「安全で安心できる生活の場」を保障するのが学童保育です。市原市の次世代育成支援行動計画の目標値17箇所を大きく上回る34箇所(29小学校)が平成21年度までに整備されたことは評価するものです。しかしながら市内には44校あるわけですので、これからの充実を望むものです。学童保育は家庭に代わる毎日の生活の場であるならば、子どもたちが安全に心身ともに健やかに育つことができる生活が保障されなくてはなりません。
そのための、事業目的・対象児童・適正規模・職員配置基準・施設基準・開設時間・事業内容・安全対策等についての設置・運営基準が定められる必要がありますが、市原市の職員配置基準、施設基準・安全対策についての現状をお聞かせください。
(答弁)
国及び県のガイドラインに準拠して、委託契約及び仕様書に基準を設けています。施設基準については、旧用務員宿舎など一部基準を満たしていない施設もありますが、そのうち若葉小学校児童クラブについては、本年4月、教室に移設を行なっており、残る施設についても順次移設する方向で関係部局と協議調整を進めています。
安全対策については、「けがの対応」や「不審者情報の対応」など、指導員研修を実施しており、安全確保に努めています。
② 委託先に基準を設けているとのことですが、実際の現場が使用に基づいて実施されているかを確認しておられますか。
(答弁)
定期的に各受託団体と協議する場がありますので、そのなかで、色々、情報交換しながら求めるものを実施して頂けるよう、お願いしているところです。
③ 学童保育を利用している保護者からは、指導員の経験・資格のない若い保育士への不安、また採用に当たっての保育士の質、経験年数、資格の有無に関してはっきりしたガイドラインが示されていないことに関して不安が聞かれました。
経験のない初めての人でも働けるように、研修が必要と考えます。
学童保育の預かり側の責任の明確化、保育の質の向上に向けての指針が必要と考えます。
多くの指導員は不安定な雇用で、毎日勤務しない交代勤務やローテーション勤務の場合、打ち合わせや準備の時間も、又研修など学ぶ機会も保障されていません。それにもかかわらず、重い責任を担っています。そのため退職者が後を絶たず、欠員が生じ募集してもなり手がそれにも見つかりにくい状況です。このような劣悪な実態の背景には社会的に学童保育そのものの理解が弱いことや指導員の仕事・役割に対する理解が貧しいという問題があります。この課題を解決するため環境整備が必要と考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
指導員の資格の関係については、ガイドラインになるべく沿うよう、準拠した対応に努めているところであり、研修については、私どもの方から各受託団体に情報を流して、参加を推奨するとともに、委託費の中においても、その金額を措置しています。実際に参加したかどうかということの把握については、情報を流して参加の取りまとめを実施していますので、そういう面での把握は、なされているものと理解しています。
④ 学童保育事業を受託したNPO法人が人件費を水増しして虚偽の決算を申告したとして、市原市は10月23日に委託料の過払い分約1,011万円の返還請求を行ないました。
しかしこれは、2005年度の委託料の清算です。2005年度は市の学童保育事業のスタートにあたり、市が前払いした委託料より実際の費用が少なかった場合には、市に差額を返還する規定を設けていました。2009年度は清算条項を加えながらきっちり行なっていくとの説明でしたが、その前の年度に対してはそのままとのことですが、住民監査請求に至るまでに、市長への手紙や担当部署に保護者などからの申し入れがあったと聞いています。それに対して調査を行なったのでしょうか。どのような対応をされたのかお聞かせください。
指導員の勤務状況については、指導員勤務状況の報告をとり、きちんと実態を把握していきたい。又、実際に現場に出向いて、確認するということも、心がけていきたいと考えています。質問については、昨年9月保護者OBなどで組織する団体から質問状が出されています。内容は市に出された支出内訳書と県に出された決算書が異なっているのではないか、或いは、指導員の配置状況について、基準を満たしていないのではないかという質問でした。
これを受けて、昨年10月と11月に受託団体から聞き取り調査をして回答しました。しかし、その回答後にも情報公開請求等がなされましたので、今年2月と3月に立ち入り調査を実施しました。
市長への手紙があったときに、現場に出向いての調査はなさらなかったのですか。
(答弁)
現場に出向いての調査と言うことは、詳細を把握しておりませんが、当該団体からの聞き取りは実施したというようには認識しています。
⑤ 「委託先に任せてあるから」との回答だったと聞いています。委託先業務全体をしっかり市が把握しておかなければならないのに任せっぱなしだったのではないでしょうか。これからは中身を充実させていくことが求められています。事業の透明性とチェック体制が必要ですが、今後どのように図られていくのかお聞かせください。
(答弁)
平成21年度から委託契約を見直し、決算書の提出を求め、更にそれに対しての実地検査を実施していくことで、精度を高めるということを、実施していきます。
⑥ 平成22年度は信用失墜の場合契約解除という事で、このNPO法人には委託しない方針ですが、名前を変えて応募する可能性もあります。名前を変えるだけで信用の失墜が回復されるとは考えられません。どのようにチェックされるのか見解をお聞かせください。
(答弁)
今回契約を更新しないこととしたNPO法人及びその法人の代表者が代表を務める団体については、応募資格から除外をしてまいります。
(意見)
学童職員、保護者がかなり今回の委託に対して動揺しています。
現在、子どもが好きで仕事に専念している学童保育指導員は委託先に関係なく雇用確保できるようにしてください。子どもや保護者にとって安心できることです。
(2)認定こども園について
保護者が働いている・いないにかかわらず利用可能で集団活動、異年齢交流に大切な子ども集団を保ち健やかな育ちを支援するのが、認定こども園です。
この度、政権交代が行なわれ、国では文部科学省と厚生労働省の連携の元で、幼保一元化を一気に進めていくのではないかと予想されます。認定幼稚園では、幼稚園型、保育園型、幼稚園・保育所の連携型があります。市原市は認定こども園という幼保一元化に向けて方針を取りまとめていくという昨日の回答でしたが、具体的に決まっていることがありましたら、お聞かせください。この秋、尾道市の認定こども園(幼保連携型)を視察しました。そこでの課題はすべての職員の研修時間の確保と教諭(3~5歳児クラス担任)と保育士(0~2歳児クラス担任)との連携だと伺いました。どのように対応されるのか、見解をお聞かせください。
(答弁)
認定こども園といっても色々な形態がありますので、どのような形態がよいのか、カリキュラムや運営方法等、課題を整理しながら方針を取りまとめていきたいと考えています。次に、職員の研修時間の確保や幼稚園教諭と保育士の連携の問題も認定こども園の設置の可否等とともに、十分な検討をしていきたいと考えています。
4. 環境政策について
(1)残土処分場について
① 木更津市では、健康で安全な生活環境を守る視点に立って、残土埋め立て事業の許可に関して関係住民の意思を尊重する残土条例(案)を制定し、12月4日にホームページで公開し、パブリックコメントを求めています。
市原市9月議会でも県条例を上回る市条例(適用除外)が必要ではないかと、又これまでに何回も質問しましたが、そのたびに市域にまたがっているので県の対応が必要であり、又、市の職員の立入り権があり、県と市と一緒に取り組み行動を共にするので新たな条例策定は考えていないとの回答でした。
今回、木更津市で残土条例が制定されると君津市、(この市はすでに6年前、被害を受けた自治会が市独自条例の制定を請願し、君津市議会で採択されています)そして、富津市、袖ヶ浦市の4市が遠からずそれぞれの残土条例を制定するのは間違いないと思います。
そのような状況にあって穴場になってしまう市原市に多くの残土が持ち込まれるのではないかと危惧するものです。県の残土条例が施行された平成10年1月1日から、平成21年10月までに許可された残土処分場は105件であり、処分場面積は335ha、(ゴルフ場の約3個分)持ち込まれた土量は約2千4百36万立方メートル(24、356、726立方mで東京ドーム約20個分)です。
面積、量、共に県下で最大です。このような現状から考えても今後、独自条例が必要と考えますが、この期に及んでも、検討はしないのでしょうか。見解をお聞かせください。
(答弁)
県・市それぞれの役割の下で残土埋め立てが適切に行なわれますよう連携して指導する、現行体制により取り組んでいきたいと考えています。
② 今の回答は検討しないと言うことですか。
(答弁)
検討しないということではなく、木更津市の動向もありますし色々な動きについては、注視しながら今の現行体制が良いと思っていますが、どこか改善がないかということは不断の努力で進めていきたいと、そういうことでございます。
③ 海保地区の残土事業6箇所のうち、まともに終了したところはありません。業者が行方不明や計画的と思われる倒産、放置されたままのところ、防災と言う名目で拡大していった所など問題は数多くあり、住民が残土事業に対し懐疑的になるのは当然です。一旦、業者が特定事業の許可を得たならば、「軽微な変更」で簡単に発生元を変えられます。某残土処分事業では228件という「軽微な変更」が行なわれました。
書類提出までは誰が見ても不備のない計画ですが、その後は次から次へと計画内容と異なるものになっていきます。海保町会で起きた境界立会いの委任状(「委任します」との)文書偽造(既に死亡している人のサイン、本人なりすましのサイン)も明らかになりました。
文書偽造が発覚するな否や、業者は名前を変え責任逃れをしています。そのような業者には許可するべきではありません。
違反したら、即刻事業を停止させるぐらいの強い態度が必要です。
地権者は業者の甘い言葉(ゴルフの練習場を作り、あなたを雇います。ドッグランを作り、あなたを雇います。駐車場を作ります。大手ゼネコンの取り付け道路になります)に騙され同意書にサインをしてしまっています。
計画の変更があり、最初の約束と異なる場合、地権者の同意書も撤回できるようなしくみも必要です。と同時に業者は地権者から土地の使用同意だけでなく、責務についても同意書を取るなどの方法も必要と考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
事業計画に変更が生じた場合には、軽微な変更を除いてはあらためて変更許可が必要になります。その場合にも、あらためて変更部分の同意が必要となります。次に、土地所有者の責務として事業内容の説明を受けてその内容に同意した土地所有者については、その義務が生じること、事業者と同様の措置命令を受ける立場になるということが条例で規定されております。
④ 軽微な変更の場合には、同意書を取りなおすということでしょうか。
(答弁)
軽微な変更については、許可はいらないということです。しかし、変更者は知事あるいは市長に届け出る、それから、同意をした地権者に対しては、通知をするという、そういう義務があります。
(意見)
現在、残土処分場の許可条件に住民同意は含まれておらず、説明会を開くことを指導指針で示しています。
是非とも、市原市でも上乗せ独自条例を作って、悪徳業者に市原市では事業をさせないよう厳しく対応していただきたいと思います。
5. 薬物乱用防止について
① 平成21年11月14日付け朝日新聞「大阪府立高校2年生、3年生が大麻取締法違反で逮捕」
自宅に乾燥大麻を所持。学校のトイレで大麻の吸引用パイプを押収。
覚せい剤取締法違反罪で有罪となった酒井法子被告が印象に残っています。
11月21日付け千葉日報には「成田国際空港で今年1月~10月に摘発された覚せい剤の密輸事件は59件で1978年の開校以来、最多の年間摘発件数で押収量も約72キロと前年同時期の3.2倍との報道があったばかりです。
今や大学生を中心に大麻の乱用、不正栽培、売買が大学構内を問わず、その汚染が日本全国の大学生のみならず高校生まで拡大しています。ここ数年前から覚せい剤と幻覚剤を合わせた合成麻薬MDMAの乱用(平成19年は120万錠押収)が目立ち、又「大麻はタバコより害がない」と間違った情報を鵜呑みにしている若者もいますが、大麻は脳の中枢神経を侵し感覚の変化、人格喪失を引き起こす薬物です。暴力団の資金源として密売などのイメージがありますが、今やインターネットで簡単に手に入り、不正売買取引に簡単に引き擦り込まれる状況です。
薬物乱用問題に関する正しい知識を伝えるために早期の予防教育が必要と考えます。
中学校でも教育委員会、青少年指導センターが薬物乱用防止教室を年に1回開いていると聞いていますが、次世代育成支援行動計画の事業進捗状況の報告では薬物の有害性のうち、体への影響を知っている中学生が43.5%、高校生が44.6%となっています。これでは、薬物乱用防止教室を開いていても、効果は薄いと言わざるを得ません。限りなく100%に近づける必要があります。現在、薬物乱用が喫煙・飲酒と同列に扱われていますが、分けて考える内容だと思いますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
薬物乱用に至るケースとしては、喫煙から飲酒へ、そして大麻・覚せい剤等の所持、使用といった一連の流れが多いと言われております。このため、喫煙、飲酒、薬物乱用防止を一体として捉えてまいりましたが、最近では薬物による事件が大きな社会問題のひとつとなっております。このようなことから、今後、薬物乱用については、喫煙・飲酒と区分し、市原健康福祉センターを始めとする、関係機関と連携を図りながら防止対策を講じることが必要であると考えております。
② 民間のボランティア団体で、薬物乱用防止教育認定講師を養成しています。現在、全国的にそのような団体と連携し各学校で薬物乱用防止教室が開かれていますが、市原市の場合受け入れる用意があるのか、お聞かせください。
(答弁)
市原市では、千葉県警の内房地区少年センターと連携して、小学5・6年生と中学1年生を対象に「薬物乱用防止教室」を実施し、強い依存性を持つ薬物の怖さについて、理解を深めさせています。
民間のボランティア団体の主催する「薬物乱用防止教室」の導入については、今後研究してまいるとともに、薬物乱用防止教育の充実に努めてまいります。
(意見)
脳の成長が止まる20歳を過ぎると、タバコや酒の害は成長期ほどダメージはないといいますが、それでも身体には良くありません。しかし逮捕されることはありませんが、薬物は中枢神経を侵し、薬物を持っているだけで犯罪になってしまいます。違いをはっきりと教えるには、並列で語ることは誤解を招きかねません。区別して教えていただきたいと思います。
6. 市原市の文化財について
① この秋に鎌倉街道を見る・歩く・検証する企画に参加する機会がありました。鎌倉街道は東湾から上陸して国府を経由した道と考えられ、上総の鎌倉街道の中でも一番知られているルートである袖ヶ浦市下新田から市原市立野に伝わる鎌倉街道をバスと徒歩で見てきました。「いざ鎌倉」の道は尾根道の直線上に築かれていました。
歩いてみると市原市の標識や案内と袖ヶ浦市内の標識・案内の違いがはっきりと出ていました。
市原の御所覧塚の鉄柱にはよく見ると「文化財産を大切にしましょう」と書かれてありますが、鉄錆のため何が書いてあるのか判らない状況でした。後日、ふるさと文化課にそのことを伝えますと、すでにそのことは把握しておられました。市内には多くの文化財などがありながら、大切にされていないという印象を受けました。
お隣の袖ヶ浦市には郷土博物館があり、隣接して万葉の植物園も整備されています。市原市の文化財や歴史的な郷土民具など大切になされるべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
市原市には、重要文化財「鳳来寺観音堂」など、国・県・市の指定文化財が合計で72件あります。
指定文化財については、文化財保護法や県、市の条例により、所有者などに管理責任を課す一方で、日常管理についての謝礼金の交付、修理、復旧費用に対する補助金の交付により保存に努めております。また、指定文化財にはなっていませんが、鎌倉街道、民族資料、あるいは古文書など歴史を物語る貴重な文化遺産も数多くあり、現在、所有者や地域の方々の努力によって保存されているところです。教育委員会として、貴重な文化遺産を、しっかりと保存し、後世に継承することが大切な務めと考えています。財政状況が厳しい中ですが、今後とも力を注いでいきたいと思います。
② 定期的に看板や案内板などをチェックする必要がありますが、定期的におこなっているのかお聞かせください。
(答弁)
御所覧塚の標識について、今、写真をお見せいただきまして、把握は担当課が行っているとのことでありました。標識等については、毎年度、補修箇所を限定した中で着実に実施しているところであります。21年度も5基の改修を予定しています。
③ 御所覧塚のチェックは、いつされたのですか。
(答弁)
詳細は、今、私、手元に資料がありませんので申し上げられませんが、把握している中から計画的に進めているということで、ご理解を賜りたいと思います。
④ 担当の職員は何年かすると代わっていく。ぜひとも、何年かに一回チェックすると言うのを決めて、やっていただきたいと思います。せっかくの宝が台無しです。
何年ごとにチェックされているのかお聞かせください。
(答弁)
御所覧塚については、今年の7月に把握したということです。
⑤ 御所覧塚は平成6年の文字が書かれており、今は平成21年なので15年経っています。15年も経てば鉄も錆びてくるし、メンテナンスが必要となってくると思います。
最近、二子塚古墳はきれいに草刈がされ、市民の学びの場になっていますが、すぐ隣にある明神小学校の子どもたちが、近くにありながら、そのような貴重な古墳があるのを知らないとも聞いています。ぜひとも、生涯学習部、そして学校とも連携して子どもたちに市原市には、こういう宝があるのだということを伝えていただきたいと思います。なにか感想があればお聞かせください。
(市長答弁)
本日、都市交流核から今までずっとご質問いただきました。厳しい思いをもって拝聴しておりました。ただ今も、文化財について御提言もございました。
今、市原市内には、市民の方々が「地域を守ろう、良くしよう」と、御存知だと思いますが、そういう意味で汗を流して、いろいろな工夫もしていただいております。
この広域な市原市のすべてを行政だけで、なかなか賄いきれないと思います。ですから、桑田議員におかれましても、ぜひとも、地域でお気づきの点は、電話で何度もしていただいていると思いますが、さらに、情報を送り届けていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
さまざまな施策があります。予算のかかるもの、かからないものありますけれども、かからないものにつきましては、行政マンが必死で、本当に必死で取り組んで、汗を流しております。そのうえで、さらに厳しい御指摘をいただいたりしておりますと、私も、大変、行政マンに対して申し訳ないなという気持ちもあります。
ただ、行政はサービス産業ですから、甘んじて受け止めさせていただいているわけですけれども、皆で、良いまちづくりを、人づくりを進めていくのが、私たちの究極の願いであり、目的だと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
(意見)
昨日、NPOの団体に入って活動している方に会う機会がありました。
「定年後、地域の中で誰かのために、又何かのお役にたちたい。自分のもてる時間と体力を使いたい」とのお話を伺いました。
今、市内ではそのような方々が増えています。
市民も行政もそして私たち議員も「さらに住みやすい市原市にしていきたい」との共通の思いを持っています。目指すところは同じです。しかしながら、議員は市民の代表として行政の働きをチェックする立場にあります。
これからも、そのような視点で言わせていただきますので、よろしくお願いします。