令和6年 第4回市原市議会定例会議 代表質問 質疑応答 小沢みか
- 代表質問 小沢みか
- 12月5日(木)
1 協働のまちづくりの推進について
(1)地域運営組織に係る新たな制度の導入について
(2)地域における人材や組織の育成について
(3)行政が主体的に関わるための組織体制の構築について
2 八幡宿駅周辺における拠点まちづくりビジョンの実施について
(1)西口周辺における公共施設跡地活用の方向性について
(2)整備基本計画の策定・推進について
3市原市こども計画骨子案について
4市政運営のおける組織改革について
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1.協働のまちづくりの推進について
町会自治会の疲弊・コミュニティの危機
近年、町会・自治会の加入率低下や担い手不足が深刻化し、地域コミュニティの維持が困難な状況にあります。実際、地方創生ミーティングや団地再生サミットなど様々な対話の場で住民や関係者からこの問題が提起されており、その声は年々大きくなっている気がいたします。
さらには防災、美化・清掃、 高齢者の健康づくりや見守り、子育て支援や居場所づくりなど、地域活動を行う多くの団体も同様の状況にあります。
実際、地縁組織を初めとする市民活動団体は法人格を持たない任意団体が大半を占め、組織力に課題を抱えています。総務省の調査でも、役員・スタッフの高齢化、次のリーダー人材不足、活動資金不足などが大きな問題として挙げられています。
これまでの本市の市民活動支援は、地域共創プロジェクトといった事業はあるものの、主に既存の組織へのサポートにとどまっていた感があります。地域社会を取り巻く状況の変化も踏まえて、地域の自発的な取り組みを待つことなく、もう一歩踏み込んだ手法を導入すべき時期に来ているのではないでしょうか。
(1)地域運営組織に係る新たな制度の導入について
今年9月施行の改正地方自治法により「指定地域共同団体活動制度」が創設されました。
地域住民の生活サービスの提供に資する活動を行う団体を市町村長が指定し、その要件は条例で定めます。市町村は指定団体への支援や調整等に加えて、行政財産の貸付や随意契約による事務の委託も可能となります。
従来の地域活動は、個人の義務感や熱意に頼るところが大きかったと思いますが、この制度の導入により組織的基盤が強化され、多様な地域団体の連携や協働が進み、活動の持続可能性や発展性の向上が期待されます。そこで、この新たな支援制度を導入することについて、当局のご見解をお聞かせ願います。
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(市民生活部長)
地方自治法の改正により、地域の多様な主体との連携及び協働を促進する環境を整備するための制度として「指定地域共同活動団体制度」が創設されました。
本市におきましても、人手不足や多様な知識が要求される課題に対応するためには、町会・自治会、市民活動団体、NPOや企業などが単独で課題解決の担い手として対応することは難しい状況にあると認識しております。
住民同士の助け合い、支え合いを通じて地域運営を持続可能なものとするため、特定のコミュニティ組織などの単独による活動だけでなく、多様な主体がその強みを活かして連携・協働する枠組みが求められております。
これらのことから、地域に根ざした活動を行う地縁団体である町会・自治会と専門性や広い連携を有する市民活動団体等が問題意識を共有することで、その能力を発揮できる環境を整えていくことが必要であると考えております。議員ご案内のとおり、当該制度の導入につきましては、地域の多様な主体の活動促進を図り、地域が抱える課題解決に繋がる有効な制度でありますことから、地域の実情に応じて条例で定めることとなっている共同活動の内容や団体指定の要件など、先進事例等の状況を踏まえ、本市に即した制度となるよう、早期導入に向け調査・研究に努めてまいります。
「早期導入に向け」というご答弁で安心しました。
同制度は、地域課題の解決に繋がる大きな可能性を秘めていると思います。それだけに幾多のハードルが想定されますが、もはや手をこまねいている状況ではありません。ぜひ前向きなご検討をお願いいたします。
また同時に、地域活動のデジタル化や、町会・自治会における広報物の配布・回覧、各種委員の推薦・選出などの行政協力業務の棚卸しといった、活動の効率化や負担軽減に資する取り組みも、当然ながら積極的に進めていただくよう合わせて要望いたします。
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(2)地域における人材や組織の育成について
これは従来から言い尽くされている視点ですが、特に指定地域共同団体活動制度を導入するにあたっては必須となることから、具体的な提案をさせていただきます。
今年9月の団地再生サミットの共同宣言でも言及されていたプロボノ制度のように、職業経験を活かした社会貢献活動の推進は、非常に有意義な取り組みといえます。
本市は、臨海部企業のOBをはじめ、専門性の高いスキルを持つ人材が豊富です。この本市ならではの強みを活かすべく、地域課題の解決に特化したいわゆる人材バンク制度の構築を進めては如何でしょうか。
イメージとしては、長年培ってきた経験や知識を地域社会のために活かしたいという意欲を持つ人材と、それを必要とする地域活動団体をマッチングするシステムで、従来の趣味や特技を活かすというような生涯学習の意味合いとは異なるものです。
具体的には、会計業務やIT支援、コンサルティング、イベント企画、PR活動などが考えられます。こういった人材バンクの仕組みを構築する事について、当局のご見解を伺います。
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(市民生活部長)
地域が主体となり地域特性を生かしたまちづくりを効果的・効率的に進めていくためには、まちづくりに関連する様々な分野に対し、多種多様な専門的知見を有する技能者を登用することは、有用であると捉えております。
議員ご案内のとおり、企業を退職された方などが、コンサルティングやICTなどの専門的知識や経験を活かして、地域のまちづくりの中で更に力を発揮していただくことは、効果的であります。
本市では、現在「いちはらまちづくりサポート制度」により、団体登録の仕組みを設けており、市民活動団体ウェブサイト「まちサポいちはら」において登録団体の活動内容を紹介しております。
これにより、他団体の活動を知ることで、団体間同士が互いに交流や協力をする機会を創出しているところでございます。
「まちサポいちはら」が有する団体登録機能に加え、個人登録を可能とすることで、「人材バンク管理システム」として運用を図ることも考えられます。
複雑多様化する地域課題に対応し、町会・自治会、市民活動団体が、より高度な運営能力を身に付け、活発に活動できるよう制度設計していくことが重要となります。専門家を派遣してもらいたい市民活動団体の要望や地域に貢献するために自らの能力を発揮したいという想いをマッチングできるよう、制度の整備を進めてまいります。
「まちサポいちはら」の活用といった具体的な運用の提示があり、一歩進めていただけるということで、評価したいと思います。このような仕組みは、地域に継続的なスキルが蓄積され、そこからさらなる人材や組織が育つという好循環を促すことに繋がります。ぜひ前向きなご検討をお願いいたします。
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(3)行政が主体的に関わるための組織体制の構築について
地域の人材や組織の育成のためには、何よりもまず職員自らが地域に入り込むことが不可欠。その具体的な手段として、8年前から繰り返し提案してきた地域担当職員制度の導入をあらためて求めます。
同制度は、各地域に配属された職員が、住民と共に地域課題の解決やまちづくりに取り組む仕組みです。地域課題やニーズの把握、行政との橋渡し、地域活動のサポートなど、多岐にわたる役割が期待されます。
常日ごろ市民から「タテ割行政」に対する不満が寄せられていますが、同制度によりその弊害も軽減されるのではないでしょうか。
また、職員の地域に対する理解が深まり、対話や問題解決スキルを向上させる貴重な機会ともなります。行政実務や政策に通じた職員OBを登用することも考えられます。職員の育成や組織全体の活性化という観点からも、同制度は大きな意義を持つと言えます。
更に申せば、支所に地域担当職員を配置することによって、各種行政手続きの窓口にとどまらない住民に身近なサービス拠点が生まれるのではないでしょうか。
8年前には事例も少なかったのですが、今年5月末現在、全国で565市区町村が同制度を導入しており、千葉県内も約3割の自治体で実施されています。本市もこうした組織体制の導入に向けて具体的に検討を進めていただきたいのですが、当局のご見解をお聞かせ願います。
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(市民生活部長)
住民との対話や交流を通じて、地域のニーズや課題を把握し、共に解決策を考え、住民の意向を行政施策に反映させるため、地域担当職員を配置することは有用であると考えられます。
現在、各支所におきましては、町会・自治会や地域にお住まいの方々からのご相談に応じ、寄せられたご意見やご要望を関係部局にお繋ぎするなど、地域特性を踏まえた提案や調整を行う、地域住民の渉外に関する業務を担っているところでございます。
地域行事の開催にあたっては、各種団体と連携し、企画立案から運営に関わり、法的手続きなどを助言するなど、円滑な実施の下支えをしております。
また、災害時においては、現地連絡本部として、被災状況等の情報収集や町会・自治会、自主防災組織等との連携調整などを担う地域の防災拠点としての機能を果たしております。
これらの機能を更に、十分発揮するためには、住民の意見や要望を正確に把握し、適切に対応することが出来るコミュニケーション能力の高い職員の配置や地域の課題を掘り起こし、住民と協力して解決策を見出すことが出来る組織体制を整えることが必要であると考えております。今後は、支所がよりいっそう地域活性化に資する総合的な機能を有するサービス拠点として、さらなる充実を図るため、その機能に応じた組織体制の整備について、関係部局と協議しながら、検討を進めてまいります。
「現在支所でも行っている」というようなお話がありましたが、今の状況はとても「地域担当職員制度を導入している」と胸を張って言えるレベルではありません。
勿論簡単なことではないと承知していますが、いまデメリットばかりを並べ立てていたら全てが一歩も前に進みません。行政自らが変わる覚悟なくして、どうやって地域の疲弊を食い止め協働のまちづくりを進めるというのでしょうか。
市長は市民との対話と連携を重視し、DXの推進によって職員が人にしかできない仕事に注力できる環境を創出すると述べておられます。同制度は、まさにその方針を具現化するものです。
今回、協働のまちづくりを推進する手段として新たな仕組みを3点提案させていただきましたが、すべて連動している話で、この中のどれ一つ欠けても全て成り立たちません。ぜひ本気で進めていただくよう要望いたします。
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2.八幡宿駅周辺における拠点まちづくりビジョンの実践について
(1)西口周辺における公共施設跡地活用の方向性について
現在市は、公共施設再配置のモデルケースとして、西口周辺にある公共施設を機能集約した複合施設の整備を進めています。今回はその跡地のうち支所・公民館・認定こども園の敷地約8,200㎡の利活用の方向性について伺います。
当局から示された方向性では、跡地は売却、募集方法はプロポーザル、建物は事業者が解体、活用用途は商業機能を主軸とし居住機能なども付加が可能、とまとめられています。
しかし、この方向性に対し私はいくつかの問題点を指摘したいと思います。
不十分なニーズ把握・土地のポテンシャルの軽視
当局はこの決定にあたり、無作為抽出による約400名の市原地区住民アンケートや企業などへの意向調査の結果を参考にしています。
その一方で、町会や地域活動団体等の意見は全く反映されていません。無作為抽出だけでは「まちづくり」という視点まで踏み込んだ意見を引き出すことはできません。
また当該区域は都市機能誘導区域内にあり、駅からのアクセスは徒歩圏内。しかも飯香岡八幡宮に隣接し、幹線通り沿いという一等地です。民間側が売却を望むのは当然であって、それを売却の主な根拠とするのはいささか短絡的ではないでしょうか。
PRE戦略との矛盾
市は「市原市公共資産活用基本方針」において「公的不動産の適切で効率的な管理・運用を推進し、新たな価値の創出を目指す」と定めています(いわゆるPRE戦略)。しかし今回の動きは、初めから財産の処分のみに重きを置いているとしか思えません。そこで当局では、PRE戦略の観点から当該跡地のポテンシャルをどのように評価し、またどのような考え方から土地ごと売却の方向性を出すに至ったのか、ご説明願います。
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(財政部長)
本市の跡地活用につきましては、資産活用に関する基本的な考え方を示した「市原市公共資産活用基本方針」により、市場における資産価値としての「市場性」と公共的に活用するなど、市が保有すべき必要性としての「公共性」を考慮し、活用の方向性を整理しております。
そこで、支所・公民館等の跡地につきましては、JR八幡宿駅の近くに立地し、また、現在、整備している複合施設の向かい側に位置していることから、八幡宿駅西口周辺の更なる価値向上と地域活性化につながる、非常に市場性の高い土地と評価しているところであります。
一方、当該土地につきましては、白金通りを挟んだ向かい側に支所を始めとする行政機能を集約した複合施設が立地するため、公共性は低いものと考えており、市場性が高く、公共性が低いケースに該当し、売却等に適していると整理いたしました。活用用途につきましては、地域の皆様の意向にお応えするため、市民アンケート調査等により、最も多く期待され、複数の民間事業者から実現可能性が確認できた商業機能を基本として、民間活力の導入による「新たな価値の創出」に向けた方向性をお示ししたところでございます。
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いま「市場性が高く、公共性は低い」とのお話がありましたが、なぜ公共性が低いと言えるのでしょうか?
公共資産活用基本方針(p11)には、『売却可能資産』とは「将来的にも本市利用の見込みがない」「売却しても特に支障がない」と定義しています。
当該跡地がこれに該当すると判断した根拠を示してください。
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(財政部長)本件土地につきましては、先ほど答弁いたしましたが、白金通りを挟んだ向かい側に支所をはじめとする行政機能を集約した複合施設が立地することから、公共性は低いものと考え、また、市場性が高い、市場性が高く、公共性が低いケースに該当し、売却等に適していると整理したところでございます。以上です。
拠点まちづくりビジョンには「飯香岡八幡宮や駅西口広場を活かして滞留空間を創出する」としているが、都市部とそのような検討を行ったうえでの判断なのでしょうか?
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市民との対話で、活用の可能性を模索せよ
当該跡地は、拠点別整備基本計画、立地適正化計画の都市機能誘導区域、都市再生整備計画と、3重の対象エリアに位置しています。それほど重要な立地であるにも関わらず、整備基本計画の策定前の段階で、しかも地域の合意形成を図らないまま進めることについては、どうしても納得できません。
もっと言えば、飯香岡八幡宮や複合施設に来訪する人々の行動を想定し、回遊動線を十分検討し、西口駅前や旧道沿いといった各ゾーンも含めた、エリア内全体の土地活用の基本的な考え方を予め示してからの話ではないでしょうか。
4年前、市が地元住民・事業主・地権者等を集め「八幡宿駅周辺のまちづくりに関する勉強会」を開催しました。そこで「飯香岡八幡宮の活用・シンボル化」等まちの将来図がまとめられたが、それも考慮されている様子が全くありません。
市長のご見解をお聞かせ願う。
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(市長)
将来世代に安心・安全な公共資産を確実に引き継ぐことは、本市の未来に責任を持つ市長として、私の重要な責務であります。
私は、公共資産マネジメント推進計画を策定し、社会経済情勢の変化を踏まえ、施設総量を縮減しながら、市民生活や地域活動の充実を図る「縮充」の考えのもと、公共施設の延床面積を40年間で25%縮減するという目標を掲げ、多様な主体との「対話と連携」により、確固たる決意を持って全力で取り組んでおります。
そこで、施設の質・量・コストの最適化に向けた公共施設再配置のモデルケースとして、八幡宿駅西口複合施設の整備を公民連携で進めているところであります。
整備にあたっては、地域の皆様をはじめ、高校生などの若者や子育て世代から様々な思いや、これまで育まれた八幡地域の伝統ある歴史と文化をしっかりと受けとめ、賑わいや交流が生み出される新たな拠点を目指しております。
また、複合施設の供用開始に伴い、役割を終える、現在の市原支所や八幡公民館等の土地についても、周辺のエリア価値の向上につなげていかなければならないと、強く考えております。
先般、お示しした公共施設跡地活用の方向性については、今後、次なるステップとして、複合施設で実施する地域に根差した学びや交流の様々なソフト事業展開とあわせ、跡地の活用がより一層まちの活性化につながるよう、地域の皆様の声をしっかりと聞き、相互理解と課題共有の下、活用方針を取りまとめてまいります。私は、地域の皆様との対話を進め、魅力あふれる八幡宿駅周辺の拠点まちづくりに取り組んでまいります。
近年は本市も、障害があっても一人で通えるという理由から駅近に立地する就労支援施設が増えていると感じています。
立地適正化計画では、八幡宿駅周辺のまちづくりの方向性として、高齢者等が歩いて安心して生活できる医療・福祉機能をはじめ、千葉・東京方面に通勤する子育て世代、通学する若者が生活し交流できる、子育て・教育・文化機能の誘導も示されています。
売却は最終最後の手段です。八幡宿駅西口の公共施設再配置事業は、跡地活用まで含めての「モデルケース」ではないでしょうか。ぜひ地域との対話を丁寧に行い、まちづくり全体のイメージを共有したうえで、跡地活用のあり方を検討されるよう要望いたします。
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(2)整備基本計画の策定・推進について
当初は令和4年度中の策定を目指していましたが、順天堂大学の誘致が大きな要因となり、遅れが生じています。しかも全てにおいて住民への説明がほとんどなされていない現状に懸念を抱いていることから、何点か質問いたします。
土地利用などの方向性について
大学の新設は、確かに地域活性化の大きな起爆剤となる可能性を秘めています。しかし学生が駅と大学を往復するだけとなっては全く意味がありません。若者達が交流し、働き、生活する魅力あふれる街にするためには、住宅や商業施設、そして地域住民との交流が促されるような面的整備が不可欠です。
拠点まちづくりビジョンでは、駅東口から若宮方面へ続く道路をシンボルロードとし、憩いと交流の場を創出するべく「周辺の農振地区の解除」といった方策が示されています。
従って、ビジョンに掲げる土地利用の方向性やインフラ整備などの整備基本計画の骨格部分については、大学設置の可否に関わらず早急に取り組みを進めていかなければならないのではないでしょうか。当局は現時点でどのような考えを持っているのかお聞かせ願います。
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(都市部長)
本市では、活力と魅力あふれる持続的なまちづくりを推進するため、JR3駅周辺で実施したまちづくり勉強会での地域住民や、市内事業者などの皆さまからいただいた様々な意見をもとに、各駅周辺のまちづくりの方向性を公民連携で取り組むことから、「市原市拠点まちづくりビジョン」を令和3年3月に策定いたしました。
令和4年度には、既に関係者等との調整が進んでいたことから拠点別整備基本計画(五井編)を先行して策定し、ビジョンの実現に向けて、公民連携による拠点まちづくりに取り組んでいるところです。
八幡宿編につきましては、まちづくりビジョンの策定から3年が経過しておりますが、順天堂大学をはじめ、関係者等との調整に期間を要していることなどの理由により、計画策定に至っておりません。
一方で、八幡宿駅東口や若宮団地における住民主体の協議会によるまちづくりの検討や、駅西口の公共施設再配置の取組、更には公民連携による様々なまちづくりの取組が進められております。
このため、計画策定に向け、コンサルタントの支援を受けながら、庁内関係部局等との協議・調整を行っているところであり、今後、地域住民や関係者等と、改めてビジョンに掲げたまちづくり勉強会での取組のアイデアを共有しながら、丁寧に対話を重ね、令和7年度中の計画策定に向け取組を推進してまいります。
どうも行政は「拠点まちづくりビジョン」を忘れてしまっているような気がしてなりません。
そもそもビジョンは大学誘致を前提とはしておらず、当然ながら整備基本計画は大学整備計画ではありません。特に土地利用に係る農業政策の方向性については、地権者のみならず市全体の論議が必要ですから、当局には一日も早く具体的な行動に移すよう求めます。
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地域との対話と住民との組織作りを進めよ
また地元では、4年前のまちづくりに関する勉強会以降、住民や関係者との対話の場は全く設けられていません。いま、表の動きが全て止まっていることから、住民の「どうせ自分が生きている間は何も変わらないよ」といった諦めの声も耳にします。大学の意向だけではなく、住民の意向を大事にしていただきたい。
そこで伺います。
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(都市部長)
計画策定に向けた地域住民等との対話につきましては、駅周辺でまちづくりを検討している、八幡宿駅東口や若宮団地のまちづくり協議会の方々や、今年度、駅西口で開催された八幡にぎわい横丁など、イベントの中心となったまちづくりプレイヤーの方々との対話から始めていきたいと考えております。
対話によって出されたまちの強みや弱み、まちづくりの方向性等について、意見整理を行った上で、どなたでも参加可能なワークショップ形式の地域座談会を来年春ごろから複数回開催し、まちづくりへの意見を計画に反映させていきたいと考えております。
また、公民連携によるまちづくりの組織づくりにつきましては、「市原市拠点まちづくりビジョン」において、将来にわたって持続可能なまちづくりに取り組むために、行政のパートナーとなる民間主体の組織体制が重要であると整理し、その実現のプロセスとして、「都市再生推進法人制度」の活用等を位置付けております。このことから、市といたしましては、駅周辺で活躍するプレイヤーや団体等と対話を重ね、まちづくりを共に担う都市再生推進法人等の組織体制の立ち上げに向けた支援を行い、設立後には、この組織と市が連携を図りながら、活力と魅力にあふれるまちづくりをより一層推進してまいります。
ぜひまちづくりプレーヤーの皆さんの想いにしっかり応えていただきたいと思います。
また、公民連携による組織については、ビジョンに掲げているように学識経験者や専門性の高い民間によるサポートについても検討をお願いします。
最後に、整備基本計画の策定にあたっては、先ほど質問した西口エリアも当然ながら対象となるから、駅を超えて人々が対流するような一体性を持たせた計画とするよう、ここで念押しさせていただきます。
具体的には、東西各々どのような手段で滞留空間を創出するか、そして両エリアを結ぶ歩行者空間をどう再構築するか、さらに飯香岡八幡宮を意識した景観の形成など、ビジョンで示されている住民や関係者の意見が着実に整備計画に落としこまれるよう、引き続き注視していきたいと思います。
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3.市原市こども計画骨子案について
市原市こども計画のポイント
こども基本法の制定やこども大綱の閣議決定を受け、本市においても新たに「こども計画の策定が進められています。同計画は、子ども・若者の未来を左右する重要なものとなるため、より深い論議が求められます。
これまでの本市の子ども・若者に係る諸計画と異なる主なポイントとして、
*子ども・若者、子育て当事者の意見をこれまで以上に丁寧に聴取したこと
*「こどもの権利の尊重」を基本的な視点にしたこと
*対象年齢の定義について、30代の青年期も含むとしたこと
以上であると受け止めています。
先般、計画の骨子案について、附属機関である「いちはらっこの子育ち支援会議」を傍聴しました。その中で出された意見も踏まえ、気になった点について質問いたします。
困難な状況にある子ども・若者の声を反映しているか
まず計画策定にあたって、児童生徒によるワークショップの開催など当事者の意見聴取に意を用いられたことについては評価いたします。
ただ、困難な状況にある子どもたちの声が十分に拾えているのかどうかが気になります。
貧困、虐待、不登校、障害児、ヤングケアラー、外国人、非行、ケアリーバーなど、声を上げにくい状況にある子どもたちに関する具体的な調査方法や、その結果が計画にどのように反映されているのかについて、具体的な説明を求めます。
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(子ども未来部長)
はじめに、声を上げにくい状況にある子どもたちに関する調査方法につきましては、低学年の児童や不登校児童生徒のほか、保護司会や特別支援学級の担任に市職員が直接、ヒアリングを行うとともに、困難な課題を抱える子どもたちを支援する活動団体の方々には事前アンケートを行った上で、ヒアリングを実施いたしました。
伺ったお話は多岐にわたり、支援活動団体の皆さんからは、分野間の連携や切れ目のない支援、居場所づくりが支援を行う上での課題として寄せられるとともに、子どもたちへのヒアリングでは、家庭の貧困の状態が垣間見えるものや、大人との関わりの中で自分の気持ちを抑制せざるを得なかった事案なども見受けられ、こどもの権利が尊重されるまちづくりの必要性を改めて認識いたしました。
次に、計画への反映につきましては、いただいたご意見や思いを踏まえ、基本理念を形作るとともに、施策を推進する上で核となる基本的な視点として「こどもの権利の尊重」、「ウェルビーイングの向上」、「切れ目のない支援」を掲げました。
また、ご意見から課題を整理した上で、いままさに困難な状況にある子ども・若者への支援、そして、将来困難な状況に陥らないようにするための支援として、安心して過ごせる環境づくり、家庭環境に関わらず成長するための支援などを施策として掲げております。これらの施策を基本的な視点のもと、一体的に進めることで、子ども・若者の将来にわたる健やかな成長の実現を目指してまいります。
困難な状況にある子どもたちの声は特に意識して拾うことが大事です。また、調査すること、分析すること、計画に反映することはまた別の作業です。ぜひその一連の流れも明確にしていただきたいと思います。
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貧困対策への取組みが弱まっている
本市は、子ども・若者の貧困対策をSDGsのリーディングプロジェクトに位置づけ、推進計画を策定して重点的に取り組んできました。
しかしその実績報告書によると、小学5年と中学2年の家庭への調査(n1,423)で、困窮層世帯(等価世帯収入が約160万円より低い家庭)が約10%、特に母子世帯の困窮層は56%と、依然として深刻な状況にあることは明らかです。
しかしこども計画骨子案には貧困対策に関する明確な位置づけがなく、リーディングプロジェクトとしてこれまで取り組んできた姿勢が後退しているように感じます。
そこで、子ども・若者の貧困対策推進計画の取組みの効果(アウトプットではない)や課題についてご見解を伺います。またこども計画への位置づけの考え方や具体的な施策についてもお聞かせ願います。
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(子ども未来部長)
はじめに、子ども・若者の貧困対策推進計画につきましては、既存の事業に加え、ひとり親家庭の就業支援拡充などの新たな取組を着実に実施してきたところです。
その効果を指標の実績から評価いたしますと、「ひとり親家庭に対する就労支援における就業率」などの指標で一定の効果を確認できる一方、基準値を下回るものもあり、解決に時間を要する貧困問題については、短期的な改善を積み重ね、中長期的な視点で取組む必要があると捉えております。
また、課題として、不登校児童生徒への支援など、更なる対応が求められているものもあるため、こども計画ではこれを踏まえ、施策に反映させております。次に、こども計画における貧困対策の位置づけについては、貧困対策推進計画とこども計画の基本理念は軌を一にするものであること、また、計画の一本化にあたり、将来を見据えて子ども・若者の生きる力を育むという貧困対策推進計画の考え方を受け継ぎ、こども計画の施策全般へ反映させたことから、貧困対策推進計画はこども計画の中にしっかりと位置付けできているものと考えております。
具体的な施策といたしましては、これまで貧困対策推進計画で取り組んできたものを、子ども・若者を主語に再構築し、家庭環境に関わらず成長するための支援、心身の健康づくり、安心して過ごせる環境づくり等を施策として掲げております。 今後も、継続性やエンパワーメントなど、貧困対策で重要となる視点を持ちながら、子ども・若者の支援に取り組んでまいります。
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教育の機会均等の取組み強化を
貧困対策の中で特に注目している視点の一つが「教育の機会均等」です。
市原市の生活保護家庭の生徒の大学等への進学率は、母数が少ないため年によってバラツキが大きいが、20~40%台。全国の全世帯における進学率は令和5年度で約80%ですから、依然として格差が存在しています。
「貧困対策推進計画 実績報告書」によれば、困窮層世帯のうち、就学援助制度を利用したことがない割合が39%にも上っています。支援からこぼれ落ちている児童生徒がまだまだ大勢いるということに他なりません。
就学援助で国が示す援助対象品目のうち、市原市が採用していない品目は、オンライン学習通品費・クラブ活動費・体育実技用具費・生徒会費・PTA会費などまだたくさんあります。
まずは困窮家庭の児童生徒に支援を確実に届けたり、対象品目の拡充も検討したりする必要があるのではないでしょうか。
独自に給付型奨学金制度を開始した自治体もあります。本市が生活困窮舎自立支援法に基づく子どもの学習支援を拡充されたことは大変評価していますが、こども計画でさらに教育の機会均等の取組みを強化されるよう要望いたします。
子どもの権利の尊重はどのように具現化されるのか
次に、「子どもの権利の尊重」について伺います。
骨子案では最も基本的な視点として掲げられていますが、施策体系を見るとなぜか後方に位置づけられ、具体的な施策としては、条例の制定の他は意見聴取や啓発事業にとどまっています。例えば、虐待防止、ヤングケアラー支援、インクルージョンに資する環境整備など、子ども・若者の権利擁護に直結する施策は様々考えられますが、新たな計画では具体的にどのように強化されるのか、ご説明願います。
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(子ども未来部長)
はじめに、基本的な視点については、本計画の施策全体を通じて配慮すべき根幹の考え方であり、子ども・若者に対する全ての施策、ひいては計画全体がこどもの権利の尊重に資するものとなっております。
一例を申し上げますと、施策の「子どもと親の安全と心身の健康支援」は、こどもの「生きる権利」、「守られる権利」を尊重したものであり、このように計画に掲げる全ての施策が基本的な視点に基づくものとなっております。
次に、子ども・若者の権利擁護に向け強化する取組につきましては、(仮称)子ども・若者条例の制定や多様な主体との連携強化を図るとともに、いま困難な状況にある子ども・若者に直結する取組の一つとして、ヤングケアラーへの支援に注力をしてまいります。
ヤングケアラーについては、これまでケアラーの存在を把握した部署が中心となり、必要となる支援に取組んできましたが、今年度からこども家庭センターが中核となり、定期的な実態調査と情報の一元化、個別ケース会議の開催など、支援体制の強化に着手したところであり、今後、こども計画を推進する中で取組を進め、こどもの権利を守ってまいります。 なお、「こどもの権利を尊重」する基本的な視点が、施策体系から感じられないというご指摘に関しましては、読み手側に伝わるに足る十分な表現ができていないものと真摯に受け止め、計画をご覧になる方に読み取っていただけるよう、表現や記載方法を工夫してまいります。
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切れ目のない支援について
次に、同様に基本的な視点として掲げられている「切れ目のない支援」について伺います。
これについては、施策体系が基本的に「妊娠期・乳幼児期」「学童期・思春期」「青年期」といった年代別に区切られているため、その時点で切れ目が生じる構造になってしまっていることが残念です。
例えば、障害のある子どもが、療育から特別支援教育、そして高等教育・就労へと移行する際の切れ目が、一番の課題なのです。
計画は行政と市民との約束事を具体的に示すものですから、先ほどの「こどもの権利の尊重」と同様、「切れ目のない支援」という視点が施策体系にも表れていなければならないと思います。そこで、年代ごとや部局間といった様々な切れ目に対して、こども計画では具体的にどのような施策によって繋げていくのか、当局のご見解をお聞かせ願います。
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(子ども未来部長)
子ども・若者、子育て当事者への支援は、年齢や周辺環境など、個々の状況に合わせながら、連続性を持って支援することが大切なため、こども計画では計画全体にかかる基本的な視点として「切れ目のない支援」を掲げております。
切れ目のない支援とは、ライフステージの変わるタイミングでも継続的に支援が行われること、さらには、支援が局所単発的になされるのではなく、支援者同士が連携をし、面的な支援を行うことであり、年代や支援者の間で「はざま」を生じさせることのないよう取り組むことが必要であると考えております。
このことから、基本目標Ⅲの施策として「連携の強化」を掲げ、重層的な支援を行うための多様な主体との連携と庁内の組織間連携を強化することとしており、具体には、分野間・組織間における情報の共有化、ネットワークの強化などに取り組んでまいります。
今後、計画を推進する上で、支援が年代で分断することのないよう、それぞれの支援に「のりしろ」を持たせて取り組むとともに、支援者間の連携等に効果が期待される有効な取組については積極的に取り入れるなど、「はざま」のない継続的な支援に繋げてまいります。 また、本計画の素案の調整にあたっては、子ども・若者、子育て当事者に安心感を持っていただけるよう、切れ目のない支援をどのように進めていくのかなど、読み手に伝わる丁寧な説明、表現に意を尽くしてまいります。
骨子案から読み取れない視点については、ぜひ計画に明確に位置づけていただきたいと思います。
市原市こども計画は子ども・若者の未来を照らす計画であると同時に、個別計画でありながら新たな総合計画よりも一足早く策定されるため、非常に重要な意味を持つと思います。5年間で全ての課題を解決できるものではない事も承知しています。だからこそ、的を絞った効果的な戦略を市民に示していただくよう要望いたします。
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4.市政運営における組織改革について
ここでは特に、公共資産マネジメント部門と地方創生部に関し、憂慮している事項について申し上げます。
公共資産マネジメント部門について
まず、公共資産マネジメント部門についてです。
公共資産マネジメント推進課が企画部に新設されたのが平成29年度。市民の貴重な資産の再編という大きな使命を背負い、市議会の期待も大きかったと認識しています。
しかし現在は財政部で公共施設の保全と包括管理が主な業務となり、マネジメントではなく縮減が優先されているような状態にあります。先ほど取り上げた八幡宿駅西口の公共施設跡地における利活用方針は、まさにこの典型的な例と言えるでしょう。
いま、市内全体の公共資産を俯瞰し、適切な配置や新たな価値の創出といった本来の公共資産マネジメントの役割を、一体誰が担うのでしょうか。
地方創生部について
また、地方創生部については以前も指摘しましたが、その目的や構成に多くの疑問を抱いています。
*まず「地方創生」の対象となる「地方」について、首都圏から見た地方なのか、市の南部なのか北部なのか、定義が不明確なまま施策が推進されていること。
*そして教育委員会から文化振興を引き剥がしたことによって、本市の教育と文化の一体的な取り組みが難しくなっている恐れがあること。
*さらに、コンパクトプラスネットワークとの整合性の観点から、拠点整備と公共交通政策の一体的な推進が望まれますが、両部門が別の部に配置されてしまっていること。
「地方創生」という言葉自体も、法整備から10年が経過しその意味合いが薄れてきています。取り組みの成果を実感している市民も少ないのではないでしょうか。
市長の方針を問う
市長は、社会状況の変化に迅速に対応するため、毎年組織改革に取り組んでこられました。新たな総合計画の策定をにらんだ組織機構の改編も検討されていることと思います。その際はいま申し上げたように、公共資産の適切な配置や新たな価値の創出を担う専門性の高い組織の設置や、教育文化・コンパクトプラスネットワーク各々を一体的に捉えた施策の推進に資するような、将来を見据えた組織へ改編されるよう要望いたします。市長のご見解をお聞かせ願います。
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(市長)
私は、市民の皆様の満足を創造し、合理性を追求する「行政経営」という視点を持ち、社会経済情勢の変化に対応するためには、今どのような取組が求められ、どのような組織が必要なのかをしっかりと見極めながら、市政運営に取り組んでまいりました。
組織機構につきましては、総合計画に掲げる都市像の実現のため、様々な改革を断行してきたところであります。
また、作った組織が縦割りとなり、硬直化しないよう、計画・予算・改革を一体化させたトータルシステムを構築し、全庁横断的な視点と組織を超えた連携による総合行政も、併せて推進してまいりました。
その一方で、本格的な人口減少社会を迎える中、地域の実情に合った交通手段の確保や、今後の観光施策の在り方、学校施設を中心とした公共施設の老朽化とその利活用のほか、市民ニーズの多様化に伴う行政事務の複雑化など、様々な課題にスピード感をもって対応していく必要があります。今後も、効果的で効率的な行政経営を更に推し進め、「みんなが輝く未来をみんなで創る」を実現するために、新たな総合計画の策定を進める中にあっても、戦略を進める上で必要な組織機構改革につきましては、躊躇なく決断し、強い覚悟を持って取り組んでまいります。
目まぐるしく変転し複雑で予測困難な「ブーカの時代」には、柔軟かつ迅速な対応が必要。新たな総合計画を待つのではなく、来年度から取り組んでいただきたいと思います。市長には、今後も市民の期待に応え、市原市の未来を切り開くための戦略的なビジョンを示していただくよう願います。