令和2年 第2回市原市議会定例会 議案質疑 小沢みか

議案質疑 小沢みか

議案第42号 専決処分の承認を求めることについて(令和2年度市原市一般会計補正予算(専決第2号)について)

本議案は、新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算で、令和2年5月18日に専決処分されたものです。

※「Ⅳ新たな生活様式の推進」について。

本補正予算の目的としては、次の4項目が示されています。

  • 感染拡大防止対策
  • 地域経済対策
  • 子ども達の学習支援
  • 新たな生活様式の推進

このうち、4番目の「新たな生活様式の推進」について伺います。

私はこれを知って、当局では緊急事態宣言発動中のさなか、既に今後の社会変化への対応についてグランドデザインを描いていたのかと、少々驚きました。

確かに現在社会的に関心が高い概念ではありますが、「新たな生活様式」と聞いて頭に描くものは、実際は一人一人みな違うのではないでしょうか。

その中で、本市の目指す「新たな生活様式」「新たな公共サービスのあり方」「新たな地域社会」とは一体何なのか。未だオープンな議論はなく、何のコンセンサスも得ていません。

こちらとしては、まるで行先を告げられずに特急列車に乗せられているような感覚です。

※専決処分の項目のうち「新たな生活様式の推進」について、市原市として何を目指しているのでしょうか

そこでまずは、当局が目指すコロナ禍を経たイノベーションの基本的な方針についてお示し下さい。

(財政部長)

補正予算における「新たな生活様式の推進」、これの目指すものでございますが、

新型コロナウイルス感染症の拡大予防に向け、去る5月4日、国の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議により、「3つの密」の徹底した回避、人との接触の抑制など新しい生活様式を速やかに実践することが提言されました。

これは、国民・市民の一人一人に、日常生活や働き方などの変容を求めるものであり、市が提供する公共サービスにつきましても、その変容に合わせ、改善し、見直していくことが求められます。

そこで、市が提供する様々なサービスにつきまして、各種手続きを現在の窓口での申請からオンラインでの申請も可能とするなど、新たな生活様式に適合するよう改善し、再構築することを目指すものであります。

補正予算(専決第2号)につきましては、これらにつながる事業について「新たな生活様式の推進」として整理し、取りまとめたものでございます。

※「アフターコロナ公民連携ビジネスプラン事業」専決処分の妥当性について

次に、新たな生活様式に向けた具体的な事業についてお聞きします。

「アフターコロナ公民連携ビジネスプラン事業」について。

この事業は、大きな社会変化に対応する新しい公共サービスのアイディアを事業者や個人から募集するというもので、予算額の1000万円は、選ばれた団体・個人への謝礼です。

この事業の中身云々ではなく、この事業を専決処分としたことの妥当性について確認します。

言うまでもありませんが、地方自治法179条に掲げられた事由に該当しない専決処分は、違法ということになります。違法な専決処分に基づく予算支出は、同じく違法という評価になります。

今回の案件は、この事由のうちの「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認められる場合」に該当するかどうかという問題かと思います。

予算は、議会の本来的な権限である議決権の中で、特に重要なものです。

※アフターコロナ公民連携ビジネスプラン事業費を専決処分する理由

この事業のどの点において、議会を招集する時間的余裕もないほど緊急を要する理由があったのでしょうか。

(財政部長)

本事業は、感染症に伴う「新しい生活様式」や生産・消費活動等の変化を踏まえ、市で提供する公共サービスの再構築や、市民サービスの変化を捉えた新たな公共サービスを創設することについて、先進的な技術と知見を持つ民間事業者や若者の大胆な発想により市にご提案いただき、これを取り入れていこうとするものでございます。

専決処分に予算化いたしました理由は大きく2点ございます。

まず1点目ですが、アフターコロナ社会に合ったより良い行政サービスを少しでも早く提供し、市民福祉の向上につなげること、これが可能となる点がございます。

年度内の実施に向けましては、遅くとも関係予算を9月補正で計上する必要があり、提案の募集要綱の整理、公募、選定、予算調整などの手続きに要する時間を考え合わせますと、まずスタートとなる募集の予算を速やかに決定することが必要でございました。

2点目は、「日本の縮図」である本市が、他の自治体の先陣を切ってスピード感を持ってこの募集を行うことは、「いちはらイノベーション宣言」を掲げ、公民連携で地域課題を解決していこうとする本市にとって、極めて有益であると考えた点でございます。

これらのことから、本事業の予算化につきまして、感染症防止など他の事業と同様、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がない」もの、こう捉えまして、専決処分とさせていただいたものでございます。

それが通れば、何でも専決できてしまうのではないでしょうか?

なぜ本定例会での審議ではダメだったのですか。

仮に本定例会で補正予算の議案として上程されたとすれば、専決処分とのタイムラグは約1ヶ月半です。

6月の定例会での補正予算では間に合わなかったのでしょうか

そのタイムラグが、市民の生活にどの程度影響するのでしょうか。

その影響は、議会での議論を省略してまで回避すべきものなのか、という点を明確にしてご答弁願います。

※専決事業の優先順位について

もう1点、最後に優先順位について伺います。

最前線で頑張っておられる医療機関への支援、仕事を失ってしまった方への生活支援、休業などで売り上げが激減した事業者への補償。1000万円でどんなことができたでしょうか。

※医療機関などへの支援より優先して専決処分した理由について

それらへの支援よりも、この事業を優先して専決処分しなければならなかった理由をお聞かせ願います。

(財政部長)

6月の補正では間に合わないのかという点でございますけれども、提案内容によりましては、改善実施のため予算化が必要となります。

この6月補正予算と仮にした場合には、募集の開始が7月となり、その後、審査あるいは予算のための調整ということで、9月補正での予算化が非常に困難となります。そういった点から専決処分とさせていただいたものでございます。

また、例えば医療機関ですとか、医療従事者等への支援に優先してこの事業が予算化必要であるのか、という点でございますが、その点についても非常に極めて重要な点ではございますが、しかしながら、今回も災害とも言えるコロナにつきまして、このような打撃、市民に対してのサービスの遅延なり、ご不便をかけている認識がございますので、行政といたしましては、これを出来るだけ早く提供することというのが、同様に重要なことと考えてございます。