令和2年度第3回市原市議会定例会 議案質疑 森山かおる
令和2年度第3回市原市議会定例会
森山かおる 議案質疑
議案第73号 令和2年度市原市一般会計補正予算(第4号)について
本議案は国の新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して実施する各種事業のほか、緊急な対応が必要となる予算を計上するものです。
このうち新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金充当事業について、伺います。
1)まず「市庁舎おやこでスペース整備事業費」について
子育て世代を支援するために、議会厚生棟の旧食堂に来庁者や職員用等のキッズスペースを整備、その横に職員が子供のそばで仕事ができる執務スペースを整備するためのフロア改修工事、備品購入に2,700万円の予算。
説明資料では事業スキームなど分からないことが多くあるため、何点かまとめて確認させていただきます。
利用する職員数はどれくらいいると見込んでいるのでしょうか。またキッズスペースがオープンした際には保育士を配置すると聞いていますが、いつから何名配置するのか。その財源と金額についても併せて伺います。
(総務部長 答弁)
議案第73号 令和2年度市原市一般会計補正予算(第4号)のうち、初めに、市庁舎おやこでスペース整備事業費について、お答えいたします。
本事業は、若手職員で構成するプロジェクトチームからの提案により、子育て世代の視点に立った行政サービスの向上を図るため、旧食堂を活用し、託児スペース等を整備するものでございます。
この整備により、子どもと一緒に来庁しても、諸手続き等のできる環境が確保されるとともに、子育て世代の女性職員の活躍を後押しする新たな取組として、ワーキングスペースを併設し、仕事と育児の両立を支援するものでございます。
これにより、身近で子育てをしたいという職員の思いと、早く職場に復帰したいという思いを同時に満たすことで、女性職員のキャリア形成を支援し、女性幹部職員の育成に繋げてまいります。
職員の利用ニーズにつきましては、現在、育児休暇を取得している職員、保育教諭や保育士等を除きまして、こちらを対象としたニーズ調査では、「託児スペースや事業所内保育所に魅力を感じている職員」として71%、20名の方がおりました。
このことから、一定のニーズがあるものと捉えております。
また、保育士の配置につきましては、本事業の開始に合わせ、会計年度任用職員等の活用を視野に検討しており、人数についてはニーズ等を踏まえ、精査してまいります。
子ども・子育て支援事業計画には待機児童を解消するために、教育・保育の量の見込みと確保方策の詳細が示されていますが、ここに示されていない職員用の簡便な保育スペースを作ることで、事前に準備を進める民間事業所に影響を及ぼすことにならないか、計画との整合性について伺います。
(総務部長 答弁)
本事業実施に伴う民間保育所への影響につきましては、待機児童の解消に現状至っていないことから、影響は少ないものと考えております。
女性の活躍を推進するための事業でもありますが、働き方として中途半端にならないか、気になります。
子どもを保育所に預けて働く職員とキッズスペースに預けて働く職員の仕事の内容や給与の差はあるのですか。また、キッズスペースに預ける場合、利用料金についてはどうなるのですか。
(総務部長 答弁)
このワーキングスペースを利用する職員の仕事内容につきましては、バックオフィス的業務を想定しており、給料につきましては、部分休業等も踏まえ、勤務時間に応じたものとなります。
また、預ける場合の利用料金につきましては、施設利用の形態に合わせ、受益者負担とし、他の同様施設を参考に設定をしてまいります。
現在、旧食堂は職員や任期付き職員等の昼食場所となっています。窓口業務から離れてゆっくり食事を摂る、他部署の職員と部局をまたいだ話もできる場として活用されていますが、改修による代替え場所は検討されているのでしょうか。
(総務部長 答弁)
食堂で昼食をとっている方の代替場所につきましては、2階の旧喫茶室等を代替場所として現在検討しているところでございます。
⑤庁舎等整備基本計画との関係で、今、キッズスペースを設置すると二重投資になりかねないと思いますが、どのようにお考えですか。
(総務部長 答弁)
庁舎等整備基本計画との関係で、二重投資になりかねないとの御指摘ですが、新型コロナウイルス感染防止の観点から、今すぐに実施すべき施策として、市民も職員も安心して利用できる庁舎利用を目指し、現段階で出来る最小限の整備にとどめ、空きスペースの有効活用を図ってまいりたいと考えております。
次に、委託事業について
臨時交付金充当事業は21事業、そのうち12が委託事業。専門性の高いデジタル化などのシステム構築の委託は理解できますが、正直言ってこれだけ外部委託が多いことに驚きました。
市では計画策定において、高度で専門的な知識を有する事業者から技術的な支援が必要とされる部分、各種調査・集計により業務の効率化が図れる部分について委託されています。その際、職員の意識・能力向上の観点から、委託範囲・内容について留意することを基本方針としています。これは事業においても、同じことがいえるのではないでしょうか。
そこで委託事業の中から一例を挙げ、子育てサービスデザイン事業費について伺います。
子育て世帯を対象としたニーズと課題の把握やワークショップ等を通じ、新たな子育てサービスの構築に向けた実証・検証を実施するための委託料5千万円です。
メール等によるコミュニケーションシステムの構築は別として、課題把握・分析から施策案の検討までもが委託となっています。子育て世代からの信頼回復に向けた事業でもあるのに、なぜ職員自らが課題把握や分析を行わず、これら全てを委託されているのでしょうか。
(総務部長 答弁)
次に、子育てサービスデザイン事業について、お答えいたします。
事業の委託にあたりましては、課題の把握からサービスの構築まで様々な段階で市の職員が一貫して参画し、高度で専門的な知識を持った事業者のノウハウを活用しながら、市としてデジタル技術を利用した新たな子育てサービスを創出していきたいと考えております。
例えば高齢者の地域包括支援センターのように、ネウボラセンターも地域にサテライトを設置するなど、既存事業のブラッシュアップを行うことで子育て世代への信頼を得るという方向性も考えられたと思いますが、それよりも新たにコミュニケーションツールの導入が必要と判断された理由についてお伺いします。
(総務部長)
コミュニケーションツールにつきましては、妊娠中や子育て中の方に対し、子どもの成長に応じた予防接種や相談窓口の案内を行うなど場面場面に合わせたプッシュ型のメールを送信し、利用者の相談に応じるなど双方向コミュニケーションの実現を想定しており、子育てに対する不安や孤独感を払拭することを目的として取り組むものでございます。
2)交付金活用の方針について
6月議会の答弁では市が目指す「新たな生活様式の推進」として、様々なサービスの各種手続きを窓口申請からオンラインも可能にするなど、サービス提供のあり方を改善、再構築していくとの事でした。
本議案ではこれらを推進するために、行政サービス再構築事業費、デジタルワークスタイル事業費、遠隔相談窓口構築事業費、民間に対してもテレワーク導入のための支援事業費が設けられています。その一方で、未だに収束しないコロナ禍において、幼い子どもを連れての来庁を想定しキッズスペースを整備する事にちぐはぐさを感じます。
マイクロツーリズムを意識した事業についても、いちはら魅力再発券事業では対象者を市民・千葉県民に絞っていますが、いちはら宝探し事業はその限りではありません。また、市原市の認知度を上げるために首都圏に向けたプロモーションを展開する事業もあります。
市の方向性に統一性がないように思えますが、そもそも臨時交付金の活用にあたって、市ではどのような方針のもとに事業を決定されたのか、お伺いします。
(財政部長)
交付金の活用方針について、お答えいたします。
本交付金の目的は、国の制度要綱によりまして、新型コロナウイルス感染症拡大防止あるいは住民生活支援、事業継続等、また「新しい生活様式」を踏まえた地域経済の活性化等へ対応するなどにより、地方創生を図ることとされてございます。
本市では国の要綱を受けまして、本年6月26日付けで、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用の取組方針を定め、全庁一丸となってこれまで予算編成に取り組んでまいりました。
この取組方針では、交付金を最大限活用した中で、本市の実情を踏まえた上で事業構築することとし、その留意点として、「事業継続・雇用維持」では当面の生活維持への支援を、また「新しい生活様式」におきましては、新たな生活スタイルの確立、新たな付加価値を生み出す消費・投資の促進、行政サービスのアップデート、定住・交流人口の増加、そしてSDGsへの貢献等を掲げたところでございます。
さらにこの他といたしまして、市民ニーズあるいは市議会からの要望等を考慮することとして定めたところでございます。
3)来年度以降の財政見通しについて
総合計画に基づいて進める事業であれば、交付金を使うことによって市の一般財源からの支出軽減になります。しかし、タダより怖いものはないという言葉がありますが、交付金をあてにして事業を増やせば、新たに職員の手がとられることや、先の市庁舎おやこでスペース整備事業費でも触れたように保育士の雇用費用などが発生し、結果的に市の支出が増えるということも考えられます。
そこで、来年度以降も継続する事業については、各事業の概算費用も伺った上で審査する必要があります。
継続する事業はどれくらいあるのか、各々の概算費用を示してください。
また、継続する事業については、総合計画への位置づけをどのように行うのか。以上2点について伺います。
(財政部長)
後年度負担について、お答えをさせていただきます。
この度の補正予算に計上いたしました交付金活用の21事業につきましては、ウィズコロナ、アフターコロナの時代にございまして、いずれも本市の都市像実現に向け、非常に優先度が高く、仮に交付金がない場合にあっても、市の単独費で実施する必要がある事業と、このように考えてございます。
この21事業のうち7事業について、次年度以降も継続する必要があり、その後年度負担・ランニングコストでございますが、次年度の実施方法が明らかな6事業分については、現時点での概算では年間7千万円程度を見込んでございます。
残る1事業につきましては、今後、事業の詳細を検討する中でランニングコストについても精査をしてまいります。
(企画部長)
総合計画の位置付けについて、お答えいたします。
計画・予算・改革が一体となったトータルシステムでは、実行計画策定作業と予算編成作業を同時に行っております。
新たに事業を構築する際には、今後3年間の事業内容やスケジュール等を精査し、政策的な視点、財政的な視点で検証した上で、実行計画事業として採択するとともに、予算化しております。
このことは、当初予算編成及び補正予算においても同様であります。
今回の地方創生臨時交付金を活用した事業で次年度以降も継続する事業につきましても、補正予算の編成と合わせて、実行計画事業案として位置付けたところであります。
今後、実行計画(令和3年度版)の策定にあたりましては、既に実行計画に位置付けている事業と、新たに構築する事業を合わせて精査し、社会経済情勢や市民ニーズを反映した3年間の実行計画として取りまとめ、柔軟かつスピード感を持った事業展開を図ってまいります。