令和2年度市原市議会第三回定例会 代表質問 小沢みか

代表質問 小沢みか

本市は昨年度来、三度に及ぶ風水害、新型コロナウイルスと災禍に次々と見舞われました。

かつてない混乱を経て、私は今まさに市の自助力が問われていると感じています。

「国や県の指示待ちでは自分たちのまちは守ることができない」「国が作った制度があって行政があるのではなく、住民一人ひとりや地域の暮らしから出発したところに行政がある」

改めてそんな想いを抱きなが質問しました。

1.市民本位の行政経営のための職員の育成とその能力を最大限に発揮できる環境整備について

(1)行政サービスの変革に伴う人事マネジメントについて

政府は「行政からの生産性革命」として、少子高齢化に立ち向かうためICT等を活用した業務の効率化を掲げています。加えてコロナ後は対面とリモートの最適な組み合わせ、時間や場所に囚われない新しい働き方、地域からの発信、迅速に危機対応できるしなやかさをIT新戦略の基本としています。

*業務効率化の行方は

そこでまず、IT技術を活用した業務の効率化について2点伺います。

「行財政改革アクションプラン2 2019」の実施状況報告によれば、AIやRPAの活用により職員1.5人分を代替することができました、とある。正直、効果は限定的という印象ですが、当局はどうお考えでしょうか。

また「情報化推進計画2020」でも「既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し再構築する」としていますが、具体的に業務の在り方や行政サービスがどのように変化していくのか、説明をお願いします。

(総務部長  答弁)

本市では、情報化を推進し、市民により良い行政サービスを提供するため、デジタル変革による仕事の生産性向上や職員の働き方改革に取り組んでまいりました。

その実績でございますが、手書きの書類や帳票を読み取り、AI技術を活用しデータ化するAI-OCRや、あらかじめ登録した手順に従い、コンピュータが人の作業を代行するRPAの導入を、効果が高いと思われる約80の業務について調査を行い、特に有効と思われる19の業務について順次導入を進めました。

その結果、導入した業務では、職員がこれらの作業に要していた事務量のうち約3,000時間の削減ができたことから、一定程度の効果があったものと考えております。

次に、今後の情報化の進め方につきましては、本年3月に策定いたしました「市原市情報化推進計画2020」に基づき、市民サービスの向上を推進するデジタルコミュニケーション事業、仕事の生産性を高め、働き方改革を促進するデジタルワークスタイル事業を展開しているところでございます。

一例を挙げますと、AIによる保育所の入所者選考や、音声認識による会議録の自動作成など、これまで多くの労力を費やしていた定型業務のシステム化を進めております。

こうした定型業務に今後もAIなど新たなテクノロジーの活用を進め、職員を人にしかできない相談業務や政策的業務に注力させることで、市民生活のさらなる利便性の向上と、行政事務の効率化を図ってまいります。

IT技術が本当に業務を効率化する魔法の杖なのか、若干心配です。新しい技術だけに、かえって業務が増えて職員の負担が増すことの無いよう、また市民が不利益を被ることが無いようくれぐれも気にとめてくださるようにお願いいたします。

*地域担当職員制度の整備を

業務改革によって市民との対話や相談業務に注力できるようになるというご答弁でしたが、その具体的な手段として、これまでも要望してきた地域担当職員制度が正に当てはまるのではないでしょうか。

同制度は、各地域に配属された職員が地域の資源や課題を把握し、本庁と住民のパイプ役や部門間の調整役を担いながら、課題の解決や地域づくりをサポートするという仕組みです。

現在多くの自治体で導入されていて、例えば担当職員の任命は手上げ方式だったり、資格制度を導入した登録制だったり、若手職員がベテラン職員とペアで担当するなど、実に様々です。

もちろん職員のスキルアップにもつながることは言うまでもありません。

本市は現在支所長がその役割を担っているため不必要というご見解でしたが、あくまでも支所長個人の裁量に頼っているに過ぎません。

制度として明確に位置づける必要があると思いますが、ご見解をお聞かせください。

(総務部長 答弁)

本市では、市民との対話と連携を市政の根幹に据え、市長自らが市民と直接膝を交え、地域の課題解決に向けた意見交換を行う未来創生ミーティングの実施や、まちづくりの担い手として地域で活躍する多様な主体とのつながりを強化、推し進める組織として地域連携推進課を設置し、地域に密着した取組を推進しているところでございます。

また、各部門においても、様々な地域活動を促進させ、地域の課題解決に努め、地域の活力向上を図るため、地域と顔の見える関係を構築し、各種事業に取り組んでいるところでございます。

一方、IT技術の進展により各種手続きなどが、わざわざ市役所に来庁せずとも可能となると想定される業務手続きのオンライン化は、市民の利便性を向上させ、業務の効率化を図るものですが、このことが市民と行政の乖離をつくることになってはなりません。

そのため、技術革新により新たに生じた業務や人でなければできない仕事に職員が注力できる環境を創出するとともに、地域担当職員制度など、地域と行政をつなぐ役割を強化するための他市の取組も参考にしながら、市民との対話と連携をもっと前に進め、「ひとの活躍が新たな誇りを創るまち」の実現につなげてまいります。

単なる御用聞きになるのでは、などの負のイメージを考えすぎているのではないでしょうか。今後は「市民に本庁舎に来てもらう」という集中型の行政運営から、地域に軸足を置いた行政運営への変革が必要です。ぜひご検討願います。

(2)能力開発と人事異動の連動について

*専門性をどのように育成するか

「行財政改革アクションプラン2」では、人材育成として能力開発や専門職の育成の推進が掲げられています。

事務職員が各々の適性を活かして専門性を追求したり、資格専門職がそのスキルをさらに高めたりするためには、研修の中身が重要となります。

現状では座学が中心と伺っていますが、先ほどの質問でも申し上げたように、現場に出向く、住民や民間と直に対話する、そんな研修の機会がもっと必要だと思います。

例えば、市内のとある社会福祉施設は、毎年国家公務員の実地研修に利用されていると聞きます。施設職員や入所者と寝食を共にする経験が、国の政策立案に欠かせないということです。市職員であればなおさらではないでしょうか。ぜひ取り組んでいただきたいのですが、如何でしょうか。

(総務部長 答弁)

本市では、社会情勢の変化や複雑多様化する市民ニーズを的確に捉え、市民サービスの更なる向上を図るため、職員の人財育成基本方針を定め、職員の目指すべき姿を明確にするとともに、その実現に向け、職員研修を体系的に整理し、実施しているところでございます。

その取組は大きく分けて2つあり、1点目は職場内研修となっております。

各職場は職員の能力を開発する実践の場であり、上司や先輩職員による適切な支援や助言を行うOJTを通じて、職員が専門知識や技術を取得できるよう取り組んでいるところです。

2点目は職場外研修でございます。

各業務に関する専門研修の受講と他の自治体職員との交流によるネットワークづくりを目的とし、千葉県自治研修センター等の外部研修機関のほか、中央省庁への職員派遣を行うことで、専門性の向上と知識の取得に努めております。

現場での直接研修につきましては、実態把握やその経験が、実務能力の向上につながると考えられますので、対象となる部署や派遣先などを含め、その効果を検証してまいります。

今後も、様々な取組を実施することで、職員一人ひとりが専門知識や技能を習得できるよう、能力開発を図ってまいります。

*複線型人事制度の導入の見送りはなぜなでしょうか 

現在の人事制度では、いくら専門性を高めても異動によって振出しに戻ってしまいます。

専門性の向上が異動や昇進とリンクしていないために、職員がやりがいや目標を持てず、結果市民サービスの向上が妨げられるのではないかと危惧しています。

「行財政改革アクションプラン1」では、複線型人事制度の導入を検討するとされていたので私たちも期待をしていましたが、結局見送られてしまいました。

その理由は「再任用や任期付き職員の採用を図る必要があるため」とのことですが、専門性とは別問題で説明にもなっていないし、行政の都合よりも市民にとってどうなのかという視点が欠如しています 。

若いうちから経験を積み、制度を熟知したいわゆる生え抜きの職員の存在が、どれほど市民の高い満足度につながるか考えて、ぜひ複線型人事制度の導入を再検討願います。ご見解をお聞かせください。

(総務部長)

社会経済情勢の著しい変化に伴い、職務の高度化が一層求められる中、行政の様々な分野において豊富な経験と高い専門性を有する職員の育成がますます重要となっております。

本市では、特に、高度な専門性を有する福祉衛生部門や税務部門をはじめ、技術革新が著しいICT部門や技術系部門などにおいて、専門的領域で課題解決能力を備えた職員が育つよう、計画的なキャリア形成やジョブローテーションに取り組んでおります。

また、特定分野で高い経験値と専門的な知見を有し、長期に活躍する職員のモチベーションを高めるため、当該専門領域での管理・監督職、あるいは副参事、主幹等のスタッフ職に登用し、十分な職責が果たせるよう昇進を行っております。

このように、本市では、職員の専門性向上と管理職への登用に向けた取組を進めており、組織の専門性を更に向上させていくことで、市民本位の行政経営を人事制度の面からもサポートしているところでございます。

今後も、適正な人事制度の構築に向け、複線型人事制度を含む、他団体の有用な事例についても考察し、職員の内発的動機付けを高め、市民サービスの向上に努めてまいります。

デリケートな仕組み故に導入は大変だと思うが、あくまでも市民ファーストの立場を忘れず進めて頂くよう要望します。

(3)女性職員の活躍の推進について

*進まない女性活躍とその対策は

女性活躍推進法が制定されて5年が経過しましたが、市原市の女性職員の活躍の推進は、まだ道半ばです。

代表的指標として、消防局を除く管理的地位(課長相当職以上)に占める女性職員の割合を見ると、2020年度は目標10.0%に対し8.2%。

これまでメンター制度の導入や育児・介護に関する支援などに取り組まれ、昨年度から指標が上向いては来たようですが、更に踏み込んで、採用から登用に至るあらゆる段階において原因を究明し、それに基づいた戦略を立てる必要があるのではないでしょうか。

例えば、継続勤務年数の昨年度のデータでは、男性職員が平均31年に対し、女性23年と8年の開きがあります。家事・育児・介護を担っても意欲的に働き続けることができるよう、負荷の大きな仕事や長時間労働が前提となっている働き方の見直しや、テレワークなど柔軟な働き方の推進もポイントになるでしょう。

*女性職員が少ない職種・部門への積極的な配属を

ここで特に1点だけ、配属の問題を取り上げ質問いたします。

女性の係長相当職以上の事務職(幹部職員)の配属が、明らかに特定の部(市民生活部や生涯学習部)に偏っています。逆に、企画・総務・財政・都市戦略といった市の政策決定に大きく関わる部署で、女性幹部職員の割合が著しく低いのはなぜでしょうか。

出産・育児などのライフイベントを迎える前に幅広い職務経験を積むことができるよう、配属や異動の配慮が行われていないのではないのでしょうか。

この状況について、お考えや今後の対策をお聞かせ願います。

(総務部長)

係長や課長補佐など、監督職は、最小単位の組織の責任者として、あるいは組織内の調整役として、チームをまとめ部下の能力を最大限に引き出し、職務を執行する、マネジメント能力が求められる職であります。

また、課長以上の管理職については、これまでの公務員生活で培った能力や経験を、組織の中で余すところなく発揮し、組織の統括者、政策立案・執行の実質的な責任者として位置づけられるものでございます。

これら求められる役割を踏まえて、管理・監督職への登用における部門配置にあっては、個々の職員の強みを考慮するとともに、過去におけるキャリアを参考とし、培った知識と経験値が活かせるよう合理的な配置を行っております。

現在、管理・監督職に就いている女性職員の層については、それまでのジョブローテーションにおいて、経験を多く積み習得した業務遂行上のスキルを、遺憾なく発揮できる部門への配置を中心に行ったものでございます。

このような中、最近では女性職員の採用数が増加しており、管理部門をはじめ、様々な部門への女性職員の配置が行われています。

このとから、今後は幅広い分野において、女性職員の管理・監督職としての活躍がより一層進展するものと考えております。

ひょっとしたら「女性に適した業務ではない」という先入観もあるかもしれません。そうであれば、まずその意識の壁を取り外すことが必要と思います。

*北九州市のように市長のリーダーシップを

北九州市は、市長の強いリーダーシップで「女性活躍推進本部」を立ち上げ、女性職員の意見を聞きながら計画的・集中的に取り組み、9年間で女性管理職比率を6.2%から14.8%に上昇させました。

ぜひ小出市長から、市原市も女性職員の活躍の推進に本腰を入れて取り組む、このひな壇に女性職員が何名も座る光景が当たり前という組織にしていく、そんな力強いメッセージ・決意の表明を頂きたいと思います。

(小出市長)

変化の激しい時代の先を的確に見据え、本市が目指す女性や若者に選ばれるまちづくりの施策を「もっと前へ」推し進めていくためには、女性職員の発想と活躍が欠かせません

そして、女性職員がその持てる力を存分に発揮し、活き活きと高いモチベーションを保って活躍し続けるためには、その働き方や人事制度もこれまでの延長線上ではなく、女性職員が「働きがい」と「働きやすさ」を実感できる市役所へと大きく変革をしていかなければなりません。

その強い思いのもと、私は、女性職員の活躍と管理職へのキャリアアップを力強く後押しするため、育成面、サポート面、人事面の三位一体の取組を推し進めております。

まず育成面では、全国市長会の長期派遣研修において、近年、女性職員を中心に派遣を行うとともに、外部機関が実施するリーダー養成研修においても、女性職員を積極的に派遣し、管理職として必要な政策形成能力やマネジメント能力の向上を積極的に後押しをしております。

サポート面では、自治体においては先駆的な取組である「メンター制度」を通じて、女性職員のキャリアアップや育児休暇からの復帰を支援するとともに、充実化を進めてきた介護や育児に係る各種支援制度についても、活用しやすい職場風土がより一層浸透するよう、様々な機会を通じて職員に啓発を行っております。

また、コロナ禍において試行的取組となった「テレワーク」や「時差出勤制度」を手法とした柔軟な働き方の体制整備についても、今後、その有用性などを十分に見極めつつ、本格導入に係る検討を進めてまいります

加えて、若手職員で構成するプロジェクトチームからの提案により、旧食堂をリノベーションして実施しようとする「市庁舎おやこでスペース整備事業」は、託児スペースとワーキングスペースが隣接し、子どもと一緒に来庁された市民が、子どもを預けながら、その場から行政サービスが受けられる仕組みであり、市民の利便性向上を図るねらいがあると同時に、若手職員が仕事と子育てを両立させることを支援する事業であります。

職員の身近で子育てしたいという思いと、早く職場に戻りたいという両方のニーズを同時に満たすことで、子育て世代の職員のキャリア形成を支えてまいります。

最後に人事面ですが、令和2年度においては、 課長級である主幹職に4人の女性職員を登用するなどの取組により、本市の女性職員の課長級以上の登用率は、令和元年度において5.0%であったところ、令和2年度は7.5%となり、着実に上昇をしております。

また、本年度第1回の職員採用試験結果を見ますと、上級事務職の場合、合格者における女性の割合は約55%となっており、順調な伸びを見せております

その背景として、本市が展開する女性や若者をターゲットとした施策が、女性公務員志願者の心に届いたものと捉えており、私は、これらの施策成果を着実に積み上げていくことが、本市での活躍を志す女性の増加につながると考えております

私は、女性が活躍する組織は、より高いパフォーマンスを発揮できると強く確信をしております。

今後も、女性職員が「働きがい」と「働きやすさ」を実感し、個性と能力を十分に発揮しながら、更なるキャリアアップを図れるよう、女性職員の活躍に向けた取組に、より一層力を注いでまいります。

決して女性職員の活躍がまちを変えるのではなく、女性職員が活躍できるような風土が根付いた行政組織がまちを変えていくのだと思います。

2.安心・安全なまちづくりについて

(1)公共施設や社会福祉施設等の立地面から想定される災害リスクの回避について

*リスクの高い社会福祉施設への対策は

7月に九州地方を中心に襲った集中豪雨では、熊本県球磨村の高齢者施設で14名の入居者が犠牲となられました。

社会福祉施設は、地価の安さなどから川沿いや山間部など災害の危険性が高い場所に立地する場合も少なくありません。直接被災を免れたとしても、周囲の川の氾濫や道路の寸断等により陸の孤島となる場合も多いでと思われます。市原市も同様の事態にならないか懸念されます。

そこで質問します。

現在、市内の社会福祉施設のうち、市の防災マップで示されている土砂災害や浸水の想定区域にある施設は、入所系施設だけでも17カ所と伺っていますが、各々に対し、市としてどのような対策を行っているのでしょうか。

(総務部長)

浸水想定区域や土砂災害警戒区域等の中にあり、なおかつ、地域防災計画でその所在を位置づけた社会福祉施設などの要配慮者利用施設の管理者等は、法改正により避難確保計画の作成及び避難訓練の実施が義務付けられました。

これを受け、市では、平成30年10月の地域防災計画の修正で、社会福祉施設などの要配慮者利用施設による避難確保計画の作成や避難訓練の実施を促進するよう定めたところでございます。

この取組みの支援として、本市では、対象となる全ての要配慮者利用施設に対し、毎年度計画作成の確認調査を行い、計画未作成の施設については、国土交通省による「避難確保計画作成の手引き」を活用しての、速やかな計画作成を働きかけております。

また、平成30年度の土砂災害避難訓練では、要配慮者利用施設との情報伝達訓練を行ったところであります。

引き続き、福祉施設などの要配慮者利用施設の防災力向上に向けた取り組みを進めてまいります。

学校・医療施設(いわゆる要配慮者利用施設)も同様です。

避難確保計画作成の支援やシミュレーションに基づいた情報伝達訓練等、早急に対応して頂きたいと思います。

*立地適正化計画どう見直すのか

近年、自然災害の頻発化・激甚化が加速していることから、堤防等のハード対策や発災後への備えなどの対症療法的な危機管理のあり方が、転換点を迎えています。

政府は「災害危険エリアからの戦略的な撤退」という考え方を打ち出し、今年6月には都市再生特別措置法が改正されました。

具体的には、立地適正化計画の居住誘導区域について、災害ハザードをより意識して見直すこと、ハザードエリアを含む場合は防災指針を策定すること、とされています。

現在、市原市立地適正化計画の居住誘導区域は、防災マップで示す浸水想定区域等のいわゆる災害イエローゾーンが、面積にして区域全体の約18%に及び、人口や世帯はデータがないため推測ですが、それ以上に集積していると思われます。

そこでこれらの状況を踏まえ、今後立地適正化計画の見直しに際し想定される本市の課題や、見直しの考え方についてお聞かせください。

(都市戦略部長)

立地適正化計画における居住誘導区域は、将来的な人口集積が想定され、交通利便性も高い地域や既に市街地が形成され社会基盤が整っている 区域を中心に設定するものとされております。

そのため、本市では市街化区域の内、当該条件に合致する区域を居住誘導区域としているところですが、土砂災害特別警戒区域や浸水想定区域の内、特に災害の危険性の高い区域については居住誘導区域から除いているところです。

ご質問の立地適正化計画上の災害に関する課題といたしましては、議員ご指摘のとおり、居住誘導区域の面積の内、17.46%が浸水想定区域のイエローゾーンとなっております。

災害リスクの懸念があるエリアではございますが、山林の多い我が国の都市の成り立ちとして、水辺に市街地が形成されることが多いことから、令和元年12月時点で立地適正化計画を策定している275の都市の内、88%に及ぶ242都市が居住誘導区域内に浸水想定区域のイエローゾーンを含んでおり、本市においても、JR3駅を中心とした最も社会基盤が整備され、利便性の高い地域が含まれていることが課題と考えられます。

このような中、令和2年6月に都市再生特別措置法が改正され、立地適正化計画に災害リスクを踏まえた防災指針を加えることが定められました。

本市では、国の流れをいち早く捉え、避難所や災害リスクなどハード・ソフト両面の対策を盛り込む立地適正化計画の強化に取り組むこととしたところであります。

今後、国・県から提示されるガイドライン等を参考にしながら、地域防災計画の見直しと連動した防災指針の作成に取り組むとともに、地域の皆様と行政とで、土地の状況や災害に関する情報を共有し、防災に対する理解を相互に深めることで、都市形成と防災を両立する持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

本市のまちの成り立ちや現状を踏まえると、難しい問題です。

沼津市では、誘導施設に耐浪性を条件づけることで避難先となり得る施設の立地を促しています。先進的な取り組みを参考にしながら、危機管理部局との連携や住民との災害リスクの共有に意を注いで取り組んでいただきたいと思います。

*八幡宿駅西口複合施設の災害対策 納得いく説明を

次に、公共施設について。既存の建物は仕方ないとしても、再配置を行う際には特に慎重に検討する必要があります。

そこで、現在計画が進んでいる八幡宿駅西口エリアの複合施設について伺います。

これまでも申し上げてきたが、当該施設の計画地は、内水氾濫・津波・高潮いずれもハザードマップで浸水が想定されています。

再配置基本計画によれば「階高に対する配慮や避難場所及び備蓄庫、重要設備を上階に配置する等検討する」とありますが、検討が後手に回っている印象があります。冠水の恐れがある施設が現地連絡本部や避難所として機能するのか、住民として不安と疑問は拭えません。

計画を進める前に、リスクアセスメントを手寧に行い、シミュレーション等を住民に公開した上で対策を示していただきたいが、ご見解をお聞かせください。

(都市戦略部長)

複合施設の建設予定地としている八幡運動公園は、市民ワークショップにおける提案を基に、 十分な敷地面積を確保できるほか、JR八幡宿駅に近接するなど、広域的な交通アクセスに非常に優れていることなどから、選定したところであります。

一方、当該地の災害リスクといたしましては、千年に一度あるいはそれよりも発生頻度の低い、非常に稀な確率で発生する津波や高潮などの際には、浸水することが想定されております。

このことから、複合施設の整備に当たっては、平常時の利便性と、非常時の災害リスクを考慮し、万一の場合も市民が迷いなく安全に避難しやすい施設であることが重要であると認識しております。

市といたしましても、今後とも、地域の方々との対話と連携のもと、複合施設整備の具体的な検討を進めてまいりますが、その際、想定される浸水被害など、地域の防災情報を共有し、ご意見をしっかりと伺いながら、市民の安心・安全が確保できる施設づくりを目指してまいります。

法の趣旨からいえば、イエローゾーンへの新規立地は本来避けるべきで、それでも進めるのであれば、その政策的判断の理由や災害対策について説明責任を果たしていただきたいと考えています。

(2)災害に強く環境負荷が小さい再生可能エネルギーの導入について

当局では、地域防災計画の修正の柱に「電力・電気通信の確保の強化」を掲げ、同計画の修正に先んじて、電源車の配備やEV車等の確保等を迅速に行ったところなので、一連の対応を評価し心から感謝申し上げます。

ところで市原市には、第1庁舎をはじめコミュニティセンター・学校など計13カ所の公共施設に再生可能エネルギーによる発電設備がありますが、停電時に自立して電力を賄えるシステムは1カ所もありません。

平時も、例えば第1庁舎の太陽光発電設備は必要総電力の1%ほどしか賄えません。

これら事実をお聞きして、単なるパフォーマンスだったのかとショックを受けました。「SDGsシンボルのまち」を目指す自治体が、こんなお飾り程度では恥ずかしい限りです。

これからの時代の電力インフラは、平時の温室効果ガス排出抑制と災害時のエネルギー確保を同時に実現するシステムに向かっており、政府もそれを後押ししています。

例えば千葉市は、民間と契約して市内の小中学校など避難所182カ所にそのシステムを導入しました。

本市も、防災力強化の観点からも、再生可能エネルギーの導入・活用の推進について本腰を入れ、総合計画の柱に据える必要があると思いますが、ご見解をお聞かせ願います。

(企画部)

これまで、地方自治体のエネルギー施策は、市民の経済活動や生活基盤を支える重要なライフラインでありながら、国の政策や民間事業者の取組に委ねられてきました。

しかしながら、東日本大震災以降、エネルギー施策は、地方自治体にとって重要な政策課題として位置付けられるようになりました。

特に再生可能エネルギーの活用は、温室効果ガスの排出抑制といった環境面のほか、自然災害による大規模停電から地域を守る防災対策といった社会面、公共施設や企業、家庭への普及による地域経済の活性化といった経済面など、環境・社会・経済の三側面に効果を発揮する取組でもあります。

このことは、SDGsの考え方とも一致し、「SDGsのシンボルとなるまち」を目指す本市としましては、再生可能エネルギーの活用を積極的に進める必要があるものと考えております。

このようなことから、市で策定を進めております「(仮称)市原市SDGs戦略」の中で、再生可能エネルギーを含めたエネルギー施策の位置付けについて、現在、検討しているところであります。

戦略策定後は、再生可能エネルギーの活用にあたり、事業者や各種団体、市民などあらゆるステークホルダーと積極的に対話を進め、地球温暖化対策、防災対策、公共施設の長寿命化やコスト縮減対策など市の各種施策と連携を図り、複合的な効果を発揮できるよう、取組を進めてまいります。

今や太陽光発電は、超軽量化・より環境負荷の低いリサイクル技術・「屋根貸し」で初期負担なしの事業モデルなど、あらゆる進化を遂げています。

要は本気度の問題です。

(3)在宅等避難者への支援について

*在宅等避難は大丈夫か

昨日も西松議員からご質問がありましたが、新型コロナウイルス感染症を契機に、「3密」回避をはじめ避難のあり方が見直され、改めてテントや車両等も含めた在宅等避難者への支援が問われていると思います。

「『避難』イコール避難所に行くこと」と誤解している市民も多いだろうし、特に高齢者や障害者など要配慮者は集団生活の負担が大きく、周りに迷惑をかけたくない等の理由で、孤立を恐れつつも在宅等避難を選択する方も多いようです。

地域防災計画には「所在確認・名簿作成を行い、避難所を拠点として物資を供給する」とありますが、それらの仕組みは実際に機能するのか、現状と今後の対策をお聞かせ願います。

(総務部長)

市では、『市原市地域防災計画』に基づき、在宅や車中泊、テント生活など避難所以外の場所で、避難生活を送る在宅等避難者に対しても、避難所滞在者に準ずる避難生活の支援に努めるものとしております。

この場合の、食料等の支給や保健衛生指導等の各種支援措置につきましては、在宅避難をされている要支援者についても、議員お尋ねの通り、避難所を拠点として実施することとしております。

しかしながら、要支援者の中には配布拠点場所までの物資の受け取りに困難を来すことも考えられます。

そこで、現地連絡本部である支所との連携のもと、町会・自主防災組織等の支援をいただき、避難状況等の把握に努めるとともに、物資の支給などについても、漏れのない対応を図ってまいります。

特に要配慮者が取り残されないよう、仕組みの再確認や周知啓発が必要になります。

 

 

(4)新型コロナウイルス感染症の影響から地域医療を守る取り組みについて

この程、市内に地域外来・検査センター(PCRセンター)が設置され、稼働から約1ヶ月経ちました。奔走された市原市医師会や受託機関の皆さまには深く感謝をいたします。

ところで現在、比較的安全な唾液を用いたPCR検査を行う診療所を地区医師会が取りまとめ、県と集合契約という形で保険適用が認められることとなり、市原市医師会も取り組まれています。

市民にとっては喜ばしい話ですが、コロナに最前線で対峙することになる診療所側の想いは様々で、困惑している医師も多いとと聞いています。

例えば「検査は実施したいが、そもそも動線やスタッフが確保できない」「検査を実施していることがわかれば、感染症以外の患者が受診をためらうのではないか」「症状からはインフルエンザと区別できないので、飛沫で暴露しやすいインフルエンザの検査は行いたくない」等々。

また、診療所への感染防護具の流通は病院に比べ未だに滞っていて、日々ネットで探している医師や歯科医師も多いと聞いています。

地域の医療機関の負担は減るどころか今後も増える一方です。

市として、早急にこうした現場の声を聞き取りやアンケート等で把握し、課題を抽出して対策を講じる必要があるのではないでしょうか。ご見解をお聞かせ願いします。

(保健福祉部長)

国は、8月28日の新型コロナウイルス感染症対策本部において、今後の取組として、季節性インフルエンザ流行期に備え、発熱患者が帰国者・接触者外来を介すことなく、かかりつけ医等に相談・受診・検査できる体制の整備等を決定したと承知しております。

また、千葉県においては、現在、かかりつけ医等でPCR検査・抗原検査を実施できるよう体制構築を図っていると伺っております・・・・・