令和2年 第4回市原市議会定例会 代表質問:森山かおる

代表質問:森山かおる

  1. 令和3年度予算編成方針と長期財政収支見込みについて
    1)政策経費について
    2)財政フレームについて
    3)公共施設整備基金について
  2. ヤングケアラー問題からみる地域共生社会について
  3. 障がい児者が地域で安心して暮らしていくための支援について

質問と答弁

1.R3年度予算編成方針と長期財政収支見通しについて
1)政策経費について
令和3年度に向けた実行計画策定及び予算編成の基本方針が10月に示されました。実行計画で予定していたR3年度事業を完全に実施する場合、財政対策を講じなければ53億円もの財源不足が見込まれ、計画事業の8割以上が実施できないとあり、かつてない極めて厳しい状況を余儀なくされております。
そこで一般会計に係る予算編成においては、標準経費と政策経費に分けて各部局が要求することとなっています。標準経費は枠配分の中で創意工夫を求め、政策経費は部局ごとに示す一般財源ベースでの要求上限内での要求を原則とし、重点的取りくみ事項に該当する事業については予め事業を指定した上で部局ごとに決定されるとのことです。
しかし、そのプロセスは私達市民には知らされておりません。
ことに今年度はコンパクトシティ形成に係る新規事業が3つも立ち上がり、総額135,670千にも上りますが、事業スケジュール3年間の成果目標は示されておらず、効果が曖昧な印象が拭えません。
市民自治の流れの中では、限られた財源を真に市民に有益な施策に振り向けているかどうか、説明する責任が行政には求められます。今後3年間は厳しい財政事情ゆえに、尚更重要になります。
そこで、予算編成の過程において、特に政策経費については事業効果が分かるように示していただきたいのですが、ご見解を伺います。

(財政部長)
 予算編成は、主として、実行計画に計上された事業を、実行に移すための予算化の作業となります。
本市では、この編成をより効果的・効率的に行うため、ただいま議員からご紹介いただきましたとおり、部局ごとに、予算要求の上限額を、一般財源をベースとして設定しているところでございます。
令和3年度予算編成に先立って行いました収支見通しでは、実行計画に計上されている事業の全てを計画どおり予算化することは困難という結果となりました。
そこで編成にあたりましては、予算化する事業の一層の選択と集中が必要となり、実行計画・予算編成方針に、本市の課題等を踏まえ、重点的取組み事項を設定し、これに該当する実行計画事業を優先するため、当該事業への要求上限額の傾斜配分を行ったものでございます。
最終的に予算案として計上する事業は、編成過程の中で、事業目的や効果、国の地方財政対策などの状況も踏まえ財源等を精査した上で決定し、これを議会に提案しご審議をいただいているところでございます。
予算化する事業につきましては、議会はもちろん、広く市民の皆様にも分かりやすくお示しし、説明することが、財政民主主義の観点からも極めて重要と考えております。
そこで、予算案として作成し公表しております「実行計画及び当初予算の概要」につきましても、事業の目的や効果はもちろん、事業内容の説明にも一層工夫を凝らし、分かりやすく伝わるよう、引き続き努めてまいります。

 ローリングの手法は社会情勢をふまえ、緊急課題に対応できるメリットはありますが、その代わりにどんな事業が圧縮されてしまうのか、心配が尽きません。
そのことは、後に触れさせていただきます。

2)財政フレームについて
市が毎年10月に公表している10年間の長期財政収支見通しは、作成時点での税制度、地方財政制度、市の財政運営を基に試算されています。R3年度では歳入と歳出の収支差はマイナス33億4,400百万円。総合計画最終年度のR8年の収支差はマイナス430百万円。今後10年間でおよそ278億円の収支不足が見込まれるとの事。
言うまでもなく公共資産マネジメントによる施設再配置や大規模建設事業の費用については含まれていないため、更に収支差は広がることも推測されます。
しかし私達市民が知りたいのは、厳しい財政状況による収支不足の額ではなく、それを踏まえて総合計画を推進するための財政フレームですが、市の実行計画に記載しているのは歳入の部のみとなっています。
これでは収支差をどうコントロールしようとしているのか分かりません。
H29年3月議会では、実行計画の財政フレームのあり方や見直しについて十分検討していくとの事でしたが、未だに変化がないことから、もう一歩踏み込んで伺います。
他市では長期財政収支見通しを踏まえて中期的な財政計画を策定しています。そこで、市でも検討していただきたいのですが、ご見解を伺います。

(財政部長)
 本市の長期財政収支見通しは、一定の条件の下、10年間の収入と支出の見通しを試算したものでございまして、今後大幅な収支不足が生じること、財政状況の厳しさを数値的に明らかにしたものでございます。
併せて、この見通しを踏まえ、収支均衡に向けた歳入・歳出両面での取組や、守るべき財政規律などについて、財政運営の基本的な方針として定め、市内部だけではなく、市民・議会ともこれを共有し、これをご理解いただく一助とすることも目的としてございます。
 議員ご指摘のとおり、現状では単に見通しでありまして、収支均衡を図った、いわゆる「財政計画」とはなっておりません。
この要因の一つには、公共施設長寿命化などに向けた個別施設計画による財政需要が不透明であること、これを計画に盛り込むことが困難であることなどがございます。
 しかしながら、単に見通しにとどまらず、収支均衡に向けた、歳入歳出両面での具体的な対策を盛り込み、財政計画として定めることは、持続可能で規律ある財政運営を推進していく上でも、また市民への財政運営の説明責任を果たす上でも効果は大きいものと考えております。
そこで、今後策定される個別施設計画や改定を予定いたします公共資産マネジメント推進計画など各種計画を踏まえ、計画・予算・改革が一体となったトータルシステムの中で、財政計画としてお示しできるよう、検討を進めてまいります。

来年度からは3年先を見越した実行計画にするとのことですので、それを裏付ける財政計画が必要です。是非、よろしくお願いします。

3)公共施設整備基金について
公共施設整備基金は、公共施設の整備、改修及び維持修理に必要な資金を積み立てるためH元年に設置された。公共資産マネジメントを進めるにあたっては、基金の重要性は増します。
現在の基金残高は約40億円(弱)、R3年度では施設の老朽化対策等に積極的に活用を図り、年度末時点で30億円程度の残高を確保するとのことです。厳しい局面を乗り切るための財源対策として活用されることに異論はありません。
ただ、気になるのは今後の基金の考え方です。例えば、財政調整基金は標準財政規模の10%以上である50億円以上の残高確保を目安にしていますが、公共施設整備基金にはそのような目安はありません。
今年度末には各施設の個別施設計画が出揃い、その後、財源的な調整をされることと思います。それを踏まえて、今後の適切な積み立て目標額の設定について、いつまでにどのようにお決めになるのか、お聞かせ願います。

財政部長)
 現在、本市では、老朽化が進行する公共施設の長寿命化策を定めた「個別施設計画」を策定しております。
この計画を的確に推進していくためには、公共施設整備基金の活用が欠かせないものと考えております。
 このため、令和元年度におきまして一般財源であり活用する用途の制限のない財政調整基金から、公共施設整備等に特化した特定目的基金でございます公共施設整備基金に24億円を積み替えるなど、その残高確保を講じたところであります。
 個別施設計画の実施に向けた予算措置につきましては、毎年の予算編成の中で、国庫補助金や市債の活用も含め基金の活用額を決定していくこととなります。
公共施設整備基金の目標額でありますが、個別施設計画の状況や今後の公共資産マネジメント推進計画の見直し、さらに長期財政収支見通しなどを考え合わせまして、基金の計画的で有効な活用も念頭に検討を進めてまいります。

いつまでに決めるのかといった所は、具体的にお答えいただけなかったことが残念です。これまでも基金の積み立てに関して質問してきましたが、その度に「個別施設計画が出揃ってから」というお答えでした。ですので、来年度末には決めていただくようお願いします。

2.ヤングケアラー問題からみる地域共生社会について
ヤングケアラーとは、通学や仕事をしながら家族の介護や情緒面のサポート、料理や洗濯掃除などの家事、金銭管理などを担っている18才未満の子どものことです。年齢に対して過度な負担を負い、心身の不調、学習への支障、不登校になるなど将来を左右する大きな影響を受けていると報告されています。
実は十数年前のことになりますが、他市に住んでいた頃に障害がある息子に寄り添い支えてくれた中学校の男子生徒がヤングケアラーでした。障害がある妹のオムツ交換や入浴などのケア、病弱な母親に代わって家族の食事を作るなど、4人きょうだいの長男としてこの役割を担わなければならないという意識を強く持っていたことを覚えています。けれども学業は振るわず、家庭の事情もあって中学校卒業後は希望する道には進めませんでした。
このようなことから、ヤングケアラーをテーマに取り上げ何点かお聞きするつもりでしたが、昨日の橋本議員の質問と重なる部分については割愛させていただきます。
ただ、私からもお願いしたいのは、教育現場やケアマネージャーなど、子どもや家族と接する方々に概念を周知して実態把握をしていただきたいということ。
昨年厚労省の研究事業で行った調査では、ヤングケアラーの具体的なイメージを提示して再調査したところ、該当件数は約 4.7 倍 に増加したことが報告されています。その点に意を用いて実態把握に努めていただくようお願いします。

そこで、1点だけお伺いします。
国がヤングケアラーの実態調査に乗り出し、今月には小・中・高校の児童生徒に調査票を配って年度末までに取りまとめる予定ですが、先月末に公表された埼玉県が実施した全高校2年生への調査結果では、回答者の約25人に1人がヤングケアラーでした。そのうちケアを始めた時期が小学1~3年生からが12.1%、小学4~6年生からが20.1%、中学生からが34.9%、高校生からが19.5%。
これらのデータを回答率も含めて市原市の年齢別人口統計に当てはめてみたところ、6~8才で26人、9~11才75人、12~14才162人、15~17才246人、合計509人のヤングケアラーがいると推測できます。
今後、教職員や生活福祉ケースワーカー、ケアマネージャーなどが対象者を把握していくことになろうかと思いますが、その先につなげられる支援体制はどうでしょうか。
2年前に市民ネットワークは「ひきこもりへの支援」というテーマで、複合化する課題に対応できる包括的な支援体制について質問しました。ヤングケアラーもまさにその一つです。
ケアを担う理由は、親に病気や障害・精神疾患がある、親が家事をしない、ひとり親家庭、親が仕事で介護する時間がない、福祉サービスにつながっていないなど課題は多岐に渡ることから、これまで縦割りだった子ども・高齢者・障がい者・生活困窮の制度を超えて、教育・医療・保健・福祉に横串をさし、世帯全体の課題に対応できる包括的な支援体制が求められます。
当時のご答弁では「国が示す2020年代初頭の全面展開を見据え、本市における包括的支援体制の段階的な構築について検討してまいります」
市長からも「福祉分野に留まらない庁内横断的な連携を進め、包括的な支援体制の構築を着実に図ってまいります」と力強い言葉をいただきました。
しかしながら、仮称)市原市地域共生社会推進プラン骨子では、福祉総合相談体制を構築する、社会参加のできる環境を整える、制度や分野を超えた連携で福祉によるまちづくりを進める、といった方向性しか示されておりません。
実施時期はいつになるのか。それまでのロードマップをどのようにお考えなのか、お聞かせ願います。

(保健福祉部長)
 ヤングケアラーと呼ばれる子ども達は、日常的に家族の介護等を行っており、勉強やクラブ活動、友達と遊ぶ時間が持てず、その結果、学業や友人関係の構築などに影響を及ぼすことが懸念されております。また、子ども自身、本人が置かれている状況に気付いていないほか、不安や不満があるものの言い出せずにいる子どもも多くいると言われております。
 このような子ども達に支援を届けるには、周りの大人が子どもの状況に気付き、早期に相談につなげ、世帯全体が抱える課題を整理したうえで、様々な機関が連携して支援する包括的支援体制が必要であります。
 包括的支援体制の整備につきましては、高齢、障がい、子どもなど、福祉各分野の相談支援機関の代表者が参画する「相談機関連絡会」や、庁内相談担当部署で構成する「相談支援部会」において、連携に向けた協議を重ねております。
今後、これらの協議等を踏まえ、来年1月に取りまとめる「(仮称)市原市地域共生社会推進プラン」の素案において、取組のロードマップをお示ししてまいります。

相談支援に繋がるケースはまだ良いのですが、自分から声をあげられない子ども達には地域の人たちに気付いてもらえるような地域づくりが必要です。また地域との関係性が疎遠であれば地域や社会との繋がりを作る支援も必要となります。つまり、誰一人取り残さず支援するためには「相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」がパッケージとして機能しなければならないという事です。
こうして困っている市民を救う施策にこそ、スピード感をもって取り組んでいただきたいと思います。
少子高齢化が進む中、社会全体で受け止める体制がなければ、新たなヤングケアラーが次々に生まれてしまいます。
今年6月の社会福祉法改正により、国は市町村に対し積極的に財政支援を行っています。昨年度には県内でも7市(松戸・木更津・八千代・鴨川・浦安・芝山町・千葉市)が包括的支援体制構築事業を実施しております。
是非、早急な取り組みをお願いします。

3.障がい児者が地域で安心して暮らしていくためへの支援について
1)災害に備えた支援について
昨年の台風15号では長期化する大規模な停電が起こりました。人工呼吸器や吸引器など電源が必要な医療的ケア児者にとって、停電は命に繋がる深刻な問題であることから、1年前の議会でこれら医療機器使用者に対して家庭用蓄電池や発電機などを日常生活用具の給付対象に加えるよう求めました。
私は最大2週間もの停電を経験した市原市ゆえに早急な実施を期待していましたが、未だに動きは見られず歯がゆく思っております。今年は幸いにも大型台風の影響がなく救われていますが、新型コロナやインフルエンザなどの感染症が流行する中では、感染した場合に重篤化するリスクが高い医療的ケア児者は、おいそれと避難所に行くこともできません。
そこで、改めてお聞きします。
災害時に加え感染症対策の面からも、早急に導入していただきたいのですが、お考えを伺います。

(保健福祉部長)
 災害に備えた日常生活用具について、お答えいたします。
 日常生活用具給付事業は、国が定める要件等に基づき、障がいのある方々の日常生活がより円滑に行われるよう、一般に普及していない日常生活に必要で、障害に関する専門的な用具を給付することを目的とする事業で、品目を定め、所得に応じて購入費等の費用を助成しており、ご要望の家庭用蓄電池等につきましては、現状では、助成の対象とはしておりません。
 一方で、本年度から県内の他の自治体において、日常生活用具給付事業とは別の「人工呼吸器用非常用発電機購入費補助事業」を独自に始めた事例もありますことから、まずは、市内におけるニーズや電力会社による貸し出しサービスの現状等を確認し、緊急性などを踏まえ、事務事業のビルド&スクラップに取り組む中で、引き続き検討させていただきたいと思います。

日常生活用具の給付対象にならないというようなお答えでしたが、台風の被害が多い西日本では多くの自治体が導入しています。県内でも今年から千葉市・八街市が導入しました。野田市は人工呼吸器使用者のみを対象としています。
茨城県牛久市は半日の停電でしたが、千葉県の被害状況から導入を決めています。それなのに市原市が対象と認めないのか、腑に落ちませんでした。
感染症が流行する時期に、呼吸器疾患がある人が避難所に行くのは命と引き換えにしろというようなものです。
私が冒頭の質問で政策経費について取り上げたのは、生命の危機に関する事業になぜ予算が振り向けられないのかということです。
せめて人工呼吸器使用者への対応を要望します。

*事前避難について
障がい者を抱える家族には親の高齢化という問題があります。障がい程度が重度であれば、日々の介護で腰を痛めるなど、体力に限界を感じながら生活を送っている方もおられます。
このような家族が大雨や台風など予め予測できる災害時に、事前の避難を考える時、親だけならどこの避難所にでも行くことができますが、子どもを連れての避難は、例えば身体障がい者の場合はオムツや食事形態に合わせた食料、体を休めるための毛布、薬など相当な荷物を運ばなければなりません。
その他、慣れない環境で発作を起こさないか、大声を上げてしまい周囲に迷惑をかけてしまうのではないかと、避難所に行くことに多くの家族が躊躇しています。実際に昨年の災害時でもそうでした。
このような状況に対し、市はどのような対応策をお考えか、お聞かせ下さい。

(保健福祉部長)
 障害がある子どもを連れての避難について、お答えいたします。
 現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、自宅などの場所が安全な時は、自宅に留まる在宅避難も避難行動の一つとなりますが、災害リスクが高いなど、自宅が危険である場合には、指定避難所へ避難していただく必要があります。 
 障がい者、高齢者などを対象とした、避難所についての市の基本的な考え方につきましては、まずは、公民館、学校等の指定避難場所において、福祉避難スペースをご利用いただき、障がい者、ご家族の状態などを考慮し、そこでの生活が困難な場合に、福祉避難所を開設し、移動していただく仕組みとなっております。
 しかしながら、障がいの特性によっては、指定避難所への避難が困難な方もおりますことから、福祉避難所のモデルケースとして、市原特別支援学校の在校生が指定避難所を介さず、福祉避難所となる同校に、直接避難を可能とする取組を開始したところであります。
引き続き、障がい者やご家族が安心して避難していただける環境の整備に、関係部と連携して取り組んでまいります。

事前に避難できる対応策についてお聞きしたかったのですが・・。
例えば日頃から利用している施設に、事前に障がい者を預けることができれば、家族は精神的にも肉体的にも負担が軽減されます。しかし短期入所は平常時でもほぼ満杯状態。特に身体障がいに対応できる施設は市内で2か所13床しかなく、それも固定の利用者がいるため、ほとんど利用できない状況です。こうしたことも視野に入れて、元々満杯の短期入所の枠を広げていくといった工夫を考えていただくよう、お願いします。

2)地域生活支援拠点等事業について
この事業は、障がい者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据えて、緊急時に対応できる相談や短期入所の受け入れ、施設や親元から離れてグループホーム、一人暮らし等へ生活の場を移行していくための支援体制を整備するもので、今年度からスタートしております。
その中心を担うのが基幹相談支援センターで、ここに民間事業所の力を活用して、特定相談支援事業所、短期入所事業所、グループホーム・日中活動系サービス事業所などに事業登録をしてもらい、地域全体で支援しようというもの。いわば先程質問した、包括的支援体制の障がい者版といったところでしょうか。
この体制整備によって、まずは相談から緊急時の受け入れを円滑に進めるとの事ですが、事業所からは「登録はしたものの全体像が見えにくい。緊急時の受け入れに対応できても、その先の入所場所を探すには空き情報は入ってこず、これまでと変わらず一件一件交渉にあたっている。」との声を聞いております。
そこで、登録事業所を増やしていくこと、また各々の機能をスムーズに繋いでいくために事業所同士が空き情報などを共有できる横軸の連携が必要だと考えますが、今後どのように進めていくのか、お伺いします。

(保健福祉部長)
 地域生活支援拠点等事業について、お答えいたします。
 地域生活支援拠点等は、障がい者の地域での暮らしの安心感を担保し、親元からの自立や、病院や施設から地域への移行を進めることを目的としております。
具体的には、障がい者やその家族の緊急時の相談支援や緊急時の受入れ、地域移行のための体験の機会や場などの機能を整備するものであります。
 本市では、既存の民間施設等の社会資源を活用した整備とし、本年度から事業所登録を進めておりますが、2月に予定していた説明会を、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から延期したこともあり、民間事業者に十分な周知が出来ていない状況があり、登録事業所数は、7か所となっております。
 今後、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を徹底しながら、今年度中に説明会を実施し、事業所登録をお願いしてまいります。
 また、緊急時に迅速、確実な受入れ等に繋げるため、事業者の皆様で構成する会議体等を活用するなど、連携体制の構築に取り組んでまいります。

この事業を円滑に進めるためには、事業所との協力体制が肝になると思っています。説明会で事業所の声をしっかり聞いて進めていただくようお願いします。

*入所の受け皿確保
相談や緊急受入れに伴い、その先の支援としてグループホーム等の居住場所の整備が必要であることは言うまでもありません。これは今年7月に開催された障がい者施策推進協議会でも委員から指摘されております。
先日議会で説明された障がい者福祉共生プランの改訂骨子によると、R元年度の入所待機者数は64名。これら待機者の解消に加え、新たなニーズに対応するために、どのように居住場所の受け皿を増やしていくのか、ご見解を伺います。

(保健福祉部長)
 入所希望者の受け皿について、お答えいたします。
 本市では、障がい者が地域生活に移行できるよう、また、親亡き後の生活の場の確保が進むよう、グループホームの入居者への家賃助成の他、事業者への運営費補助や重度障がい者向けグループホームの施設整備補助など、様々な事業を実施しております。
 このような中、施設入所を希望する方の待機を解消する方法の一つとして、現在、施設に入所している障がい者のうち、地域生活を希望する方に、グループホーム等へ移っていただく方法がありますが、地域の受け皿としてのグループホーム等の施設数は、十分でない状況にあります。
 施設に入所する重度の障がい者が、安心して地域生活へ移行するためには、日中から夜間にかけて継続した支援が可能であり、かつ緊急時の受入を担う短期入所事業所を併設した、日中サービス支援型グループホームの開設が必要となります。
 市といたしましては、引き続き、障害者グループホーム整備事業補助金等の利用促進を含め、関係法人等に働きかけ、受け皿となるグループホーム等の確保に取り組んでまいります。

*コロナ禍での課題
現在、コロナ禍において、新たな問題も出てきています。緊急時の受け入れが終了した後、その先に受け入れてくれる施設探しに難航しているという状況を聞いております。現に市内でも感染症対策の観点から、新規入所者の受け入れをストップしているため、更に受け皿が少なくなっています。
そこで、施設が安心して受け入れられるよう、相談や緊急受入れの時点でPCR検査を受けるための補助制度を設けることも考えられると思いますが、市のご見解を伺います。

(保健福祉部長)
 これまで、障がい者施設、高齢者施設等に係るPCR検査につきましては、入所者や従事者等で発熱等の症状がある方に、必ず検査を実施することや、検査の結果、陽性が判明した場合には、原則として当該施設の入所者及び従事者全員に対して検査を実施するよう、国から県を通じて施設等に要請されております。
 一方で、ご提案のありました入所時のPCR検査につきましては、障がい者施設のほか、高齢者施設も同様に対象と考える必要があり、保健所を持たない本市が独自に補助することとなりますと、相当の財源を要することとなります。
 したがいまして、今後の市内感染状況等を踏まえ、医療体制の整備と同様に、保健所を所管し、広域的に検査体制の整備を担っている県へ要望することを検討してまいります。