平成23年度 第3回市原市議会定例会 9月13日(火)

【代表質問】 小沢 みか

1. 市長の政治方針について

(1)改定市原市総合計画について

質問
2005年に策定された改訂市原市総合計画は、計画完了の2015年まであと5年、すでに折り返し地点を過ぎた。
改定市原市総合計画では、成果(アウトカム)重視の市政運営を目指し、市民と行政が共通して目に見える目標を挑戦値として掲げ、2015年の市原市のイメージが描きだされている。
しかし、これらのイメージ画がはたして2015年にどのくらい市原市に描かれているか、現在、疑問符を付けざるを得ない部分があるのではないか。
そこで市長は現在、計画の達成度をどう評価しているのか。また、今後の課題とその原因は。

(答弁)企画部 企画調整課

H22年3月の市原市総合計画審議会の外部評価の結果では、挑戦指標の約7割が到達レベルだが、3割は達していないあるいは下降傾向であった。厳しい財政状況の中、一定の成果は上がっていると考えている。
その原因は、リーマンショック以降の世界経済状況の急激な悪化や、市税収入の大幅な減少、社会保障関連経費の増大などから、一部の事業が遅延したことなどによるものと考えられる。
いずれにしても、少子高齢化が進む中で、より知恵を出して市民と協働して頑張っていきたい。

質問
市政運営にあたり、成果(アウトカム)を重視して項目ごとに指標を掲げることは非常に理にかなった方法とは思うが、そのシステムが機能するためには、トップがそのビジョンと優先順位をはっきりと示すことが絶対条件であると思われる。
今後特に重点的に取り組みたいと考えている項目は。

(答弁)

第三次実施計画「勇輝いちはら」に位置づけた事業を着実に推進していきたい。
また、東日本大震災を教訓とした危機管理の強化として、学校など公共施設の耐震化の推進や木造住宅の耐震改修への支援、地域に応じた防災体制の再構築など、市民の安心・安全を守るために早急に取り組むべき課題がある。
これらを政策の柱として全力で取り組む。

要望
私たち市民ネットワークは、やはり「市民誰もが安心して暮らすことができる生活基盤づくり」が、何にも増して大切であると思っている。このことは、すべての市民が共通して持っている普遍的な問題である。
市民は消費者である前に生活者である。まずは市民の暮らしの土台作りをぶれることなく進めるよう、改めて要望する。

(2)市原医療圏における医療体制について

質問
前回の定例議会において、現在市原医療圏の救急医療体制は二次救急医療を担う医療機関が悲鳴を上げており、今や崩壊寸前であるということを、喫緊の課題として取り上げた。

一方市長は、3期目の市政運営の緊急対策として「東日本大震災を教訓とした危機管理の強化」を挙げ、そのなかの救急体制について、本市への救命救急センターの設置をこれまでにも増して県に強く働きかけると述べた。
そのことに関しては、今年度改訂された「千葉県保健医療計画」にも「救命救急センターの設置に向けた検討を行う」と示され、また旧県スポレク健康スクエア用地が行政財産から普通財産となり、利活用検討会も設置されたこもあって、にわかに現実味を帯びてきているのではないかと思われる。

しかしながら、高度な医療機関が市内の一か所に存在したからといって、それによって市民の日常の健康と医療に対する安心が守られるわけではない。
緊急対策に掲げられるべきはむしろ二次救急体制の安定的確保にむけての取り組みであると思われるが、市長のお考えは。

(答弁)保健福祉部 保健福祉課

提言の通りだと思う。だからこそ、医療を受ける側もサービスする側も思いを持ってやっていかなければならない。
臨海部の工業地帯が培っている設備から織りなす製造品出荷額は、5兆7千億もある。従って、市原市は県にも国にも大変貢献している地域である。そこに危険物がいっぱいあるのだから、当然救命救急センターはぜひ設置してもらうよう県議の皆さまにも働きかけている。この思いは断じて変わることはなく、これからも整備をしていきたい。先日も知事にお会いしてその話をしている。

また、市民の日常の健康と医療に関する安心を守るためには二次救急医療を安定的に供給できる体制が確保されていることが前提であることは十分承知している。委託料の増額や、軽症患者の利用に伴う医療機関の負担増に対しての啓発用リーフレットを配布することで、救急医療の適正利用をお願いしてきた。
また、7月からは急な病気やけがへの問い合わせに24時間対応する「いちはら健康・医療相談ダイヤル24」を始めた。

しかし、現状では医療スタッフの不足など課題も多いことから、今後も持続可能な二次救急医療体制の構築とともに、救命救急センターの設置について医師会や関係機関の意見を伺いながら検討していきたい。

要望
やはり、市民が本当に求めているのは高度医療の前に地域医療の充実である。
今後はさらに、市を挙げての啓発キャンペーンなどもっと市民の目に見える形で積極的にアピールし、市原市が一体となってこの課題に取り組むように取り組んで頂きたい。

また、市原市で近年特に大きな問題とされているのが、精神疾患である。
市原市の救急医療現場でも患者は急増しており、薬の大量服用や意思疎通が難しい場合が多い等で、現場では対応に苦慮している。精神疾患に対する医療体制の整備も急がれる。
さらに、市原市では、昼間は診療所にいる医師が夕方にはアクアラインで県外の自宅に帰ってしまうというような現実も見受けられるそうだ。
医療に対する市民意識が高いまち、そして魅力のあるまちづくりが在宅医の確保にもつながり、救急医療を含む地域医療体制の充実にもつながるのではないかと考える。
市長はじめ当局の積極的な取り組みにぜひ期待したい。

2.障がい者福祉施策について

(1) 市原市障害者基本計画について

現在進められている第2 次障害者基本計画(H19~H23)及び第二期障害福祉計画(H21~H23)が、今年度をもって完了する。

質問
障害者福祉制度は、支援費制度から障害者自立支援法へとこの数年間で非常にめまぐるしく変化している。
このような状況の中で、障害者自立支援法の基本的な考え方である「市区町村を事業の母体とする」という方針のもと、この第2次基本計画をどのように検証しているのか?

(答弁)保健福祉部 障がい者支援課

現在、障がい当事者や専門機関等で構成する、市原市障がい者自立支援協議会の計画進行管理部会を中心に、庁
内検討部会、作業部会を交え意見交換を行いながら、真に必要な事業等を明らかにする検証作業を実施している。

この作業の中で、計画の初年度と現状のサービス量を比較したところ、在宅生活支援サービスやグループホーム
サービスなどは増加したが、精神障がい者の日中活動の場が少ないなどの課題が見えてきた。
今後は現計画の158事業を精査し、「計画期間に達した事業」、「継続する事業」、「見直し拡充が必要な事業」などに分類・整理し、新たな課題やニーズへの対応を取りまとめ、第3次基本計画へ反映させていきたい。

要望
基本計画策定の要となる自立支援協議会の委員・25名中、当事者関係の方は6名。できればもう少しその割合を増やしていただきたかったが、今後も当事者の声はぜひとも最大限に反映させていただきたい。

再来年には新法「障害者総合福祉法」の施行が予定されており、地域の実情に合わせた独自の支援体制がより一層求められてくると思われる。今後、策定の結果を大いに期待しながら注視していきたい。

(2) 相談支援体制について

質問
H21年度、自立支援協議会の相談支援部会において、相談支援マップ(おしえてマップ)が作成され、22年度に配布された。
マップには、障がいの種類や相談内容に応じて、県・市・民間合わせて42か所の機関が掲載されている。メニューが豊富なのは確かに喜ばしいが、少々煩雑で結局どこに行けばよいのか戸惑ってしまう。
そのなかで、障がい者支援課の相談窓口の果たす役割はどのようなものか?
また、障害者基本計画に掲げられている、「社会福祉士、精神保健福祉士など専門職員を配置し、障害の種別や年齢にかかわらず適切な対応ができる『総合相談窓口』の設置」または「相談体系や機能の整理」は重要な課題と思われるが、今後どのように取り組まれるのか。

(答弁)

障がい者支援課は、手帳の取得や各種サービスの相談・手続きを始め、障がい特性に合った専門的な相談機関への案内など、総合調整的な役割を担っている。
今後の相談体制の取り組みについては、内容が多岐にわたるため、現在自立支援協議会の相談支援部会を中心に課題やニーズの把握に努めている。
今後も本市の実情や自立支援法の改正の主旨などを踏まえ、相談機能の充実や総合相談窓口となる「相談支援センター」の設置の在り方について引き続き検討していく。

質問
例えば、精神障害者に対し、当事者が相談相手となるピアカウンセラーや、発達障害児の親に対し、同じ立場の親が相談相手となるペアレントメンターの活用については、厚生労働省も養成や支援の事業を施策として実施するよう求めていますが、市の現状はどのようになっているのでしょうか。お聞かせください。

(答弁)

本市ではどの相談支援機関にも設置されていないが、国では「発達障がい者支援体制整備事業」として、都道府県に設置している発達障がい者支援センターに「ペアレントメンターの養成」や「コーディネーターの配置」を新たに導入した。
市としては、今後の国・県の養成状況などの動向を注視しながら、関係機関や相談事業所などとその活用方法について検討していく。

要望
ピアカウンセラーやペアレントメンターは、相談者と同じ目線で気軽に愚痴を聞いてくれる人・気持ちを支えてくれる人で、時として専門家の助言よりも効果的である。
相談体制により厚みを増すために、ぜひ積極的に取り入れて、例えば、発達支援センターや、民間の事業所などにも配置できるよう、検討していただきたい。

相談支援に関しては、これまでの当局や地域の関係機関などの取り組みによりかなり達成されてきたが、今後は相談体系の整理と支援者の質のアップにも力を入れて取り組んでいただきたい。

(3) チャレンジ雇用について

障害者支援課において、市民ネットが兼ねてから要望してきたチャレンジ雇用事業がいよいよ始まると伺っている。
チャレンジ雇用とは、自治体に雇用が進んでいない、知的障害者・精神障害者などを非常勤職員として雇用する制度。1年以内を単位とし、1~3年の業務経験を踏まえ、一般企業への就職へつなげるものである。
障害者雇用は、福祉施設などへの福祉的就労に関しては現在までにかなり整備されてきた。しかし、一般就労についての取り組みはまだまだこれからで、基本計画の柱の一つでもある「雇用・就業の促進」のなかでも特に大きな課題となっている。

質問
その中にあって、当局自らが一般就労への橋渡しに携わることは大変評価できる。
本事業は今後どのように取り組まれるのか。

(答弁)
今年度は知的障がい者2名と就労支援員1名の雇用を予定している。
現在、雇用者の選考方法や仕事の内容などについて検討している。

要望
今後は、障害者支援課にとどまらず、庁内全職員が共通認識を持つように障がいの啓発に努め、「共に働く」という取り組みを少しずつでも庁内全体に拡大・定着させていただきたい。

3.地域防災と避難体制について

(1) 災害時要援護者支援について

災害時要援護者、つまり、高齢者、障害者、難病患者、乳幼児や妊婦、外国人といった、災害時に1人での避難が難しい方々への災害時支援について伺う。

質問
①避難支援プラン全体計画について
6月の定例議会の他会派のご質問に対し、当局から、災害時要援護者の避難支援プランの全体計画を今年度12月ぐらいまでに策定できるよう準備を進めている というご答弁があった。
避難支援プラン全体計画とは、要援護者についての情報の収集や共有の仕方、また、避難誘導や避難場所といった、支援体制の在り方などを定めたものだが、現在までの全体計画の策定の進捗状況は。
また、該当する要援護者のリスト作成はどのように行われるのか。

(答弁)総務部 防災課

まず、この計画を進めるうえでは、要援護者が自らの個人情報を地域へ提供しても構わないという同意が必要である。
9月下旬までの予定で、関係する協力団体に説明している。
この中で意見を集め、関係部との調整・検討を図り、12月までに取りまとめていく。

リストの作成方法だが、個人情報の保護を考慮し、2つの方法を考えている。
1点は、個人情報保護審査会で了承を得、民生委員へ個人情報を提供できる高齢者等の場合は民生委員が個別訪問をして支援が必要か確認し、かつ地域へ開示することに同意を得た場合にリストに登録する。
2点は、民生委員などへ個人情報の提供ができない場合は、窓口や各種通知等の発行時に支援の必要性を確認し、かつその結果を地域へ開示することに対し同意を得た場合にリストに登録する。

要望
高齢者なら高齢者、障害者、あるいは外国人といったそれぞれの特性に適した方式で、きめ細かく慎重に作成していただきたい。
また、それぞれの地域で、どこにどんな困難を抱えた方が住んでいらっしゃるのか、ということを把握することは、災害時ばかりではなく、地域での日常の見守りという共助の観点からも非常に有効。
リストは個人情報ではあるが、平常時にも最大限活用できるようなシステムづくりをぜひお願いしたい。

②福祉避難所について

質問
災害時要援護者は、一般の避難所の生活になじみにくく孤立しがちで、当事者やその家族の疲労やストレス・持病の悪化は深刻な問題である。
福祉避難所とは、要援護者のために特別の配慮がなされた避難所のことで、市町村が指定するよう国からガイドラインも示されているが、市としての取り組み状況は。

(答弁)

地域防災計画では、指定避難所である小中学校の施設エリアの中で一部の空間を要援護者のための避難スペースとして使用し対応することとしている。
福祉避難所については、今後は指定要件等を検討しながら「防災対策会議」の中で、要援護者の避難生活における安全性や施設整備の在り方などについても検討していく。

質問
一次的な避難所ではなく、ある程度長期の避難生活でも周りに気兼ねなく過ごせて、介護支援や医療支援もしやすいような二次的な福祉避難所の整備にも取り組んで頂きたい。
6月の定例議会では、市民ネットの岡村議員の質問に対し、現在福祉施設との協定に向けて協議を進めているという答弁があった。
そこで提案だが、特別支援学校も福祉避難所として位置づけて頂きたい。

(答弁)

今後研究を進めていく中で検討していく。

要望
障害児やその家族にとって、通いなれた特別支援学校が福祉避難所になれば、非常に安心である。ぜひ、お願いしたい。
また、特別支援学校に関しては、県の管轄であるためか防災関連に限らず他の様々な市内情報からもつい取り残されがちになっている。
しかし、通学している児童生徒はほとんどが市原市民。情報漏れ等のないよう連携を密にして頂きたい。

(2) 保育所・学校・学童保育などで過ごす子どもの避難について

質問
3月11日の地震発生時はちょうど午後三時前で、多くの子供たちが在園・在校中であった。
当時の子どもたちの避難誘導状況と、保護者への引き渡し状況、また、今後の課題は。

(答弁)子育て支援部 保育課

※ 保育所と放課後児童クラブについて
日常の防災訓練に基づき、地震発生直後は室内の安全な場所に避難し、揺れが収まったのち園庭または校庭に避難させ、安全確認後、室内に戻った。
一部では室内が安全との判断から屋外に避難せず室内にとどまった。
引き渡し状況は、おおむね通常の開所時間内に保護者へ引き渡すことができた。
しかし、交通機関の混乱等により、一部の保護者については最終時間で保育所が午前0時30分、放課後児童クラブが午後9時となった。
課題については、震災発生直後、電話回線の不通により連絡がつかなかったことや、保護者が迎えに来られない場合の保護者以外の方への引き渡し方法が挙げられる。

(答弁)学校教育部 指導課

※ 学校について
自校で作成している避難計画に則り避難誘導が行われ、無事避難できた。
引き渡しに関しては、学校の実情に応じて「職員による引率」、「学校待機」などの処置がとられ、すべての子供を当日中に家庭に帰すことができた。
課題は「想定以上に通信機能が使用できなかった」「引き渡しの実施基準が明確でなかった」ことが挙げられる。
これらの教訓を生かすべく、「大地震発生時の対応マニュアル」を作成し、「避難訓練の複数回の実施」、「引き渡し基準の策定」など学校安全計画の見直しを指示している。

要望
小中学校は、防災計画において指定避難場所に位置づけられており、親が帰宅困難となって児童生徒が宿泊する場合も想定して、備蓄の促進にも取り組んで頂けるよう要望する。

学童保育の子ども達については、地震発生時、学校によっては一緒に体育館などへ避難するよう配慮してくれたところもあったようだが、逆に全く気にも留められず、学童の狭い部屋の中で不安な思いをして過ごしたところもあり、対応にはたいへん差があったようである。
下校したとはいえ同じ校舎内で過ごしているのであるから、非常時には互いに連携し合えるよう、もっと血の通った配慮をお願いしたい。

4.子どもの給食(学校・保育所)と放射能汚染について

時間の関係でかつあいしました。

5.残土条例を含む残土問題について

質問
前回の定例議会で、現行の条例から、周辺住民の承諾を得るという事業者側にとってより厳しい内容を上乗せした条例に改正するよう求めた。
それに対し、「現行条例を厳粛に運用していき、『自然環境マップ作成事業』の結果を待って自然の回復に取り組む」とのご答弁だったが、いったん削り取られた緑と環境サイクルは、いかに現在ある条例を駆使してもそう簡単に回復するとは思えない。

そして今現在、東国吉地区にも事業許可申請がなされており、市民ネットにも相談が寄せられているが、周辺住民の必死の反対運動の前に条例の壁が立ちはだかり、すでに土俵際に来ている。
さらにこの3月から数え、市原市内で処分場計画の許可あるいは変更許可が下りている例は、すでに4件に上っている。

失った自然の回復よりも、まずは今現在ある豊かな自然とそこに暮らす人々の生活を待ったなしで守っていただきたいが、お考えを問う。

(答弁)

本市では、平成22、23年度で実施している「自然環境マップ作成事業」で、「現在ある豊かな自然」を把握した上で、「自然回復とは何か」や必要に応じた関連条例の検討を行い、市民の皆様の生活環境を守ってまいりたいと考えている。
自然の回復については、様々な事象を検討する必要があるので、ある程度時間を要する
と考えている。

質問
昨年10月、木更津市において、「周辺住民の8割の同意を必要とする内容を盛り込むという県条例に上乗せした条例が施行された。
さらに、今年9月は勝浦市、10月には富津市でも同様に条例が改正され、君津市や袖ケ浦市も今年度中の施行を目指してる。

近隣自治体の取り組みの一方で、市原市だけが同様の条例の改正を行う予定がない。
千葉県内において、現在県許可の稼働中の残土処分場は54件、そのうちの17件・約3割強が市原市に存在している。
近隣自治体の条例改正に伴って、規制のゆるい条例しか持たない市原市が、今後ますます事業者のターゲットになるのではないかと、たいへん危惧している。

現行条例では、住民の直接の行動や反対運動により、許可を妨げることができない。
せめて、事業許可のハードルを高くするためにも周辺住民の同意を得るという要件を市の条例に加えることは、やはり必要なのではないか。

(答弁)

私的財産権を侵害する恐れがあることから取り入れることは難しいと考えている。
千葉県条例も周辺住民の同意は要件とされていない。今後も千葉県と同様のスタンスで残土の規制を図っていきたい。

質問
周辺住民の同意を得なければならないとすることが事業者の私権の侵害に当たるならば、すでにそのような条例改正を行っている木更津市については、どうお考えか。

(答弁)

条例を制定するに際しては、特に権利の制限にかかる部分で、慎重に検討を重ねなければならない。
市としては、私的財産権を侵害する恐れがあるため、あくまで千葉県と同様のスタンスを維持し、相互協力関係が構築されている現状制度により残土の適切な規制を図っていく。
なお、検討に際しては「自然回復」の視点から新たな制度や残土規制の概念も検討したいと考えている。

質問
新たな制度、新たな残土規制の概念とは、いったいどのようなものか。

(答弁)

現段階においては、「自然環境マップ作成事業」の終了を待たなければはっきりしたものが見えないが、「自然の回復」という新たな概念を取り入れたものを検討したい。
現在は、まだ具体的なものはないが、たとえば不法投棄防止対策で行っている住民監視制度、また、「自然の回復」という概念に沿った「埋立後の土地利用計画の推進」など、市民の皆様にご理解いただけるような制度の方向を示していきたい。

要望
新条例が、住民監視制度や埋め立て後の利用推進制度など、新しい概念をもりこんだものになるというご答弁を頂いた。

事業者の「事業を行う自由」は確かに尊重すべきであるが、一方で、そこに暮らす人々の「生存権・安心して健康に暮らす権利」もまた同様に守られなくてはならない。
既存の残土処分場に放射能汚染土壌が闇のルートで持ち込まれるのではないか、という不安の声が、市民の間から上がっている。

自然環境マップの作成完了は今年度末ごろと伺ったが、市原方式の残土条例が、周辺住民を置き去りにせず、かつ他の自治体の条例よりも実効性に優れたものになるのかどうか、ここ一、二年が正念場だと思われる。
着実に取り組んで頂きたい。