平成31年/令和元年 第1回市原市議会定例会
代表質問 小沢みか
1.施政方針について
(1)総合計画の検証と今後の方向性について
*人口動態 展望値推計からの下振れ続く
人口動態について、変革方針2018などにも示されているように、人口ビジョンの展望値推計からの下振れが続いています。2016年時点の差は377人、2017年は720人、2018年は1199人。基準年の2015年からその差はワニの口のごとく開く一方。
方や、県全体では転入超過の傾向が続いています(2018年は29000人増)。京葉8市に木更津・袖ヶ浦を加えた計10市で2015年(H27)から3年間の人口推移を比較すると、減少している自治体は市原市だけでした。
*社会増減 自治体比較と外国人
社会増減については、当局の人口動向の分析では、昨年プラス19名となったことで「持ち直しの傾向が見られる」と楽観的な表現になっていますが、ここ数年間は、プラス74名の翌年にはマイナス486名などと全く安定せず、予断を許さない状況に変わりはありません。
さらにその中身を見ると、例えば昨年。日本人は312人マイナスの一方で外国人は331名プラス。差し引きプラス19名は、外国人の転入超過でカバーされたものだという事がわかります。
そこで2つの観点について当局のご見解を伺います。
周辺自治体との近年の人口動向比較や関係性において、市原市の現状や立ち位置をどう分析しているのか。
また近年、毎年約200~300名もの外国人の転入超過が続き、日本人の転出超過をカバーしているという社会動態について、どのように捉えているのでしょうか。
答弁 (企画部長)
本市の人口に係る社会的動態や自然的動態につきましては、住民基本台帳に基づく移動状況を毎月確認し、その傾向を定期的に分析しているところでございます。
また、近隣自治体の人口動向につきましては、毎年1月末に総務省より公表されます住民基本台帳人口移動報告により、その傾向を捉えているところであります。
このような統計データによる情報では、一定の傾向に基づく考察は可能ですが、転入・転出の要因などの詳細を分析するところまでは難しいところであります。
このことから、来年度は基本計画の見直しや次期まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定を踏まえ、千葉大学や君津市との共同により、市内の字ごとの詳細な状況分析や、近隣他市との比較検証などを行い、その分析データに基づき、若者のUターンなどに視点を置いた効果的な施策立案につなげる考えであります。
また、最新の国勢調査の結果等も踏まえながら、人口推計の点検も改めて行ってまいります。
議員ご指摘のございました外国人の転入・転出の状況につきましては、住民基本台帳のデータによりますと昨年は331人の転入超過となっており、五井地区や姉崎地区で大きく伸びている状況にあります。
しかしながら、その詳細な状況までは、現在、把握できておりませんので、基本計画の見直しの中で、その要因等を探ってまいります。
*市長に聞く 総合計画の検証結果との矛盾について
それでは市長に伺います。
ただ今の分析を踏まえて、今後新たにどのような方向性を打ち出していかれるのか。
また、総合計画の成果検証によれば「達成度合いについてはおおむね順調」とされていますが、そうであれば、人口ビジョンの展望値推計を下回っている現状と矛盾している状況を、私たちはどう解釈すればよいのか。ご見解をお聞かせ願います。
答弁 (市長)
人口は、まちの活力の源であり、本市が将来にわたって持続可能なまちづくりを進めるため、私は総合計画に人口27万人の維持を掲げ、市原市まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げる施策をはじめ、人口の転出抑制・転入促進、出生率の向上など政策間連携のもと、全力を傾けて取り組んでおります。
このような中、直近の人口動向は、出生・死亡の状況、いわゆる自然的要因による減少は依然として大きいものの、転入・転出による社会的要因から見た人口動向は、減少から微増に転じており、全体での減少幅は鈍化傾向にあります。
しかしながら、目標人口27万人の維持に向けては、一層の取組が必要との強い思いから、「変革方針2018」において、人口減少対策の強化と市民の愛着と誇りの創生に向けた政策間連携に積極的に取り組むこととしたところであります。具体的には、人口減少対策として、若い女性や子育て世代などをメインターゲットに据え、本市を選択し暮らしていただく上でのインセンティブとなるような補助制度を創設いたします。
併せて、シティプロモーションの強化を図り、移住定住施策の総合的展開を推し進めることで、一層の社会増となるよう取り組んでまいります。
また、自然減の抑制に向けては、出生率の向上のため、子育てネウボラの強化や民間保育所の誘致等、子育てしやすい環境づくりに取り組むとともに、フレイル予防や通いの場の拡充等の健康寿命の延伸に向けた取組を進めてまいります。加えて、本市と類似した特性を持つ君津市と、専門的知見を有する千葉大学との3者の共同により、人口動向調査や他自治体との比較調査などの研究を進め、若者世代の転出超過の抑制を強化するための施策立案につなげてまいります。
さらに、人口減少対策として、都市計画マスタープランに掲げる各拠点づくりを推進いたします。特に、人口の受け皿となるJR3駅周辺のまちづくりの方向性を、拠点形成構想として早期にとりまとめ、まちの魅力を創出し、移住・定住人口の増加を図ってまいります。
こうしたソフト・ハード両面の事業展開を着実に進め、人口減少の克服に向けて、全力で取り組んでまいります。
前の総合計画で目標人口30万に届かなかった。同じような事態にならないと信じたいが。
これは総合計画審議会での委員のご指摘でもありますが、そもそも目標設定に無理があったのではないのでしょうか、或いは方向性自体が間違っているのではないかといった、根本に立ち返った検証も必要と。私も同感です。
私がなぜ先ほどのような質問をしたかというと、27万人目指してもっと頑張れという事ではなく、市原市には、他に目指すべき目標があるのではないか、と言いたいのです。
これについては、また後程触れることとして・・・。
(2)行政経営におけるビルド・アンド・スクラップについて
*スクラップ&ビルドからビルド&スクラップに変わった理由は
私は市長の開会冒頭のご挨拶を聞いて、キーワードの一つが「挑戦(チャレンジ)」だと感じました。これまで経験のない人口構造の変化や人口減少の波がひたひたと押し寄せる中での積極果敢な行政経営の姿勢には、深く共感するところです。
ただ少し気になる点があります。「ビルド&スクラップ」という言葉について。今まで使っていた「スクラップ&ビルド」から表現を変えているが、背景にどのような意図があるのでしょうか。
答弁 (企画部長)
総合計画に掲げる都市像実現に向けては、行政の生産性を高め、より効率的で実効性の高い行政経営を進め、常に時代や市民のニーズに即した施策展開をタイムリーに行う必要があります。
しかしながら、限られた財源の中で、より効果の高い施策を進めるためには、常に改革・改善に取り組む中で、事業の選択・集中を推し進めることが欠かせません。
このことから、現在、市役所全体が同じ方向を向いて改革・改善に取り組み、目標達成に挑戦し続ける仕組みとして、計画・予算・改革の各システムを一体的に連動させるトータルシステムの構築に取り組んでいるところであります。
このトータルシステムにおいて、事業の選択と集中を進めるに当たりましては、目標実現に向け、今なすべき必要性の高い事業、つまり、ビルドをまずは考え、これに財源を優先配分し、その上で既存事業の廃止や見直し等の変革を行うことが、効率的で実効性の高い行政経営の推進と、財源の有効活用につながるものと捉えております。
こうした「ビルドという目的に向かってスクラップを行う」意味合いを市役所全体で共有し、より効果の高い事業へと選択・集中を行うため、「変革方針2018」において、この「ビルド&スクラップ」の考え方を明確に打ち出したところであります。
*撤退のプロセスを組み込む必要性
行財政改革などで既存事業の廃止・縮小から入ると現場の抵抗感が大きいし、物事がスピーディーに進まない。部長のおっしゃることも理解はできます。
だが「スクラップ」はこれまでの既成概念を壊すという変革のための意味合いがあります。
この発想は民間から広がっているようだが、果たして行政経営にもそのまま通用するのでしょうか。事実、来年度予算案は新規事業が続々登場する一方で、廃止は事務事業の市民点検をきっかけとする美術鑑賞ツアーと美術作品巡回展示事業のみ。アクセルばかりで正直不安感はぬぐえません。
政府の「まち・ひと・しごと創生 政策5原則」には「成果の検証結果によって取組内容の変更や中止の検討を行うプロセスを組み込むことで、改善が容易になる」と示されています。
この原則通り、例えば廃止基準を設けるなど、役目を終えた事業を上手にたたむ仕組みを用意する必要があるのではないか。ご見解をお聞かせ願います。
答弁 (企画部長)
本市の目指すトータルシステムは、毎年、全ての事業を対象に進捗状況等の検証を行い、そこから洗い出された課題等を踏まえ、事業の進め方の改善や事業の再構築、より効果的な事業の立案などの改革に取り組むこととしております。この取組に当たりましては、職員一人ひとりが常に変革する意識を持ち、課題解決に向けた対応策と、それに配分する資源を生み出すための改革・改善を自律的に行うことが、生産性の高い行政運営につながるものと捉えております。
このことから、行政経営の変革の方向性を定める「変革方針」に基づき、総合計画審議会、いちはら未来会議、市民点検などでいただいたご意見も踏まえながら、まずは各部局において改革・改善を進め、それに対応する財源の確保にも積極的に取り組んでいるところであります。
そのうえで、年3回の市長レビュー等を通じ、計画の着実な推進、財政規律の確保、行財政改革の推進などトータル的な面から、事業の選択と集中に取り組んでいるところであります。
議員ご指摘のとおり、現在は好調な企業業績にも支えられ、財源の効果的な活用が図れておりますが、今後は、景気の変動や税制改正など歳入面でも変化の可能性があります。
また、少子・高齢化に伴う扶助費の一層の増高や老朽化が進む公共施設の更新など、さらなる財源確保が必要と捉えており、痛みを伴う改革も必要となる状況も想定されます。
そのような中でも、常に必要な財源を生み出す工夫をし、目標に向け効果的で着実な施策展開ができるよう、トータルシステムの構築にしっかりと取り組んでまいります。
役目を終えた事業をこなすことで、職員が目的を見失っていないしょうか。疲弊していないでしょうか。
行政サービスも常に新陳代謝されてこそ真に市民の利益となる。善処されるよう重ねて要望します。
・持続可能な開発目標(SDGs Sustainable Development Goals)の推進について
*SDGsとは
SDGsはご存知のように2015年の国連サミットで採択されたもので、2030年までに持続可能な発展社会を達成するための国際目標です。貧困、健康、男女平等、産業、都市空間、気候変動など17の項目に、それぞれ169のターゲットと232の指標がぶら下がっています。
日本は首相を本部長とする推進本部を設置し、地方創生の中にSDGs導入を位置づけ、補助金制度も設けています。
*SDGsを自治体が活用するメリット
実はこの取り組みは行政より企業の方が先を行っています。投資家が環境・社会・ガバナンス(いわゆるESG)を重要視する傾向にあるためで、経団連はSDGsに対応するよう企業行動憲章を改定しました。
SDGsは、国・自治体・ステークホルダーを超えた共通言語と言われています。
地方行政においては、グローバルで客観的な視点で施策を点検できるツールとしても大変有効であるとされています。地域課題が一般化することで、広域連携や民間連携、世界への発信も容易になるというメリットもあります。臨海部企業と共に歩んできた市原市が取り組む意義やアピール度はより大きいものと考えます。
そこで市長に伺います。
答弁 (市長)
2015年9月に国連において、先進国と開発途上国が共に取り組むべき国際社会全体の普遍的な目標として、持続可能な開発のための「2030 アジェンダ」が採択され、そこに掲げる「持続可能な開発目標(エス・ディー・ジーズ)」として、貧困の撲滅や健康・福祉、質の高い教育の提供、住み続けられるまちづくり等、17 の目標が示されております。このSDGs(エス・ディー・ジーズ)が掲げる理念につきましては、将来にわたり活力ある持続可能なまちづくりを目指す、「市原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」や公共資産マネジメントの推進をはじめ、福祉、教育、環境など、総合計画に掲げる多くの施策において、すでに取り組んでいるものと捉えております。今後も、SDGs(エス・ディー・ジーズ)を意識した中で、関連する計画の見直しに理念等を反映できるよう、研究してまいります。
もちろん同じ方向性だと思います。どの自治体の首長に聞いても同じことを言うと思う。何が違うかというと、この理念が市の想いとしてメッセージ性を放っているかという事。
17のアイコンは重大なテーマから順に並べられていると思います。
その中には、もちろん人口の増減などありません。その基本理念は、人口を超えたところにあるもっと普遍的なもの「個人を尊重しつつグローバルな視点を持った品格のある社会」だと思う。初めの方の質問で私が表現したかったのは、このことです。
計画の見直しの際には、ぜひこの理念を共有していただきたい。
2.2019年度予算編成及び実行計画見直し方針について
(1)「国際大会等の時をとらえたレガシーの構築」について
*「本市ならではのレガシー」とは
これは来年度予算編成の重点ポイントのうちの一つです。
取り組み方針では、レガシーとして、市民力の強化、愛着や誇りの醸成、スポーツ振興・健康増進、ハード・ソフトのバリアフリー、魅力発信・ブランド力向上による交流人口の増加、多様な主体との連携、国際化と、実に7項目も掲げられています。
レガシーは、イベントを開けば自然発生的に生まれるものではないはず。これでは、私たち市民は何処に向かって気持ちを一つにすればよいのかわかりません。
これまで私を含め複数の議員が質問してきたが、ターゲットイヤーも来年に迫る今、改めて伺います。当局が述べる「本市ならではのレガシー」とは一体何か。何が私たちに還元されるのか、明確に示していただきたい。ご答弁願います。
答弁 (スポーツ国際交流部長)
市では、現在、ニュージーランドを相手国とするホストタウンとしての活動や、ラグビーワールドカップ公認チームキャンプ地に向けた準備など、取組を進めているところでございますが、現段階で、「市原ならではのレガシー」になりうると思われるものにつきまして、いくつか申し上げます。
まず、ホストタウンとしての取組を通じた国際交流、特に、青少年の交流促進であります。
ニュージーランド女子ソフトボール代表チームのトレーニングキャンプを、2017年度より、2年連続で受け入れるなかで、選手たちの学校訪問やソフトボール教室、また、障がい者との交流事業などを実施してまいりました。
また、今年1月にお招きしたウェリントンフェニックスサッカースクールの選手たちとも、学校訪問や練習試合などの行事を通じて、市内の子どもたちとの交流の輪が広がりました。
こうした取組は、ニュージーランド大使館関係者からも高く評価されており、現在、本市とニュージーランドの青少年の継続的な交流につながるような仕組みづくりについて、意見交換を進めているところでございます。
次に、ラグビーワールドカップの公認チームキャンプ地決定を契機に、本市のスポーツ施設の価値がラグビー関係者に認められ、スーパーラグビー・サンウルブズの練習拠点誘致につながったことであります。
市民のだれもが身近に世界トップレベルのプレーを体感でき、日本を代表して世界で戦う選手たちと日常的に触れ合えることは、市民のスポーツ振興や、誇りの醸成に大いに寄与するものであります。
さらに、サンウルブズと結んだ相互連携協力協定に基づき、本市のシティプロモーションにもご協力をいただいているほか、市内でのトレーニングに際し、宿泊、食事、移動などあらゆる面において積極的に地元業者を活用していただいており、経済的な波及効果もあるものと考えております。
また、昨年12月の市議会定例会で可決いただきました、スポーツ振興基金につきましては、その後、複数の企業から寄付の申し出をいただいており、本市ゆかりのアスリートへの支援や、ユニバーサルスポーツの振興などの事業に運用を図ることで、確かなレガシーへつながるものと考えております。
以上、一例を申し上げましたが、現在は、3年連続する国際スポーツ大会の初年度を終えようとしているところであり、レガシー構築の取組は、いまだ道半ばであると感じております。市といたしましては、引き続き、様々な分野における取組を継続し、市民の皆さまにも実感していただける、「市原ならでは」のレガシー創出に努めてまいります。
「レガシーとなり得る」というのではなく、レガシーとは生むものではないか。
*組織委員会と千葉市が掲げるレガシーに倣え
東京2020組織委員会は、ダイバーシティ&インクルージョンを大会成功の原動力とするとしています。「多様性」「一人ひとりのちがい」を包含し、活かすことができる社会です。
また、パラリンピックの会場になる千葉市は「パラリンピックには社会の認識を変える力がある。パラリンピックの開催は都市の成熟度が試される」として、レガシーを「共生社会が浸透し、多様性に対応した国際都市」と明確に掲げています。
市原市も、こういう時こそ千葉市と歩調を合わせれば良いのではないか。如何でしょうか。
答弁 (スポーツ国際交流部)
市では、国際スポーツ大会のレガシーのひとつとして、「心のバリアフリーの浸透」を掲げており、2020年の東京パラリンピックでは、隣接する千葉市で4競技が開催されますことから、パラスポーツの普及促進を通じて、共生社会の意識を浸透させる絶好の機会であると考えております。これまでも、本市ゆかりのパラアスリートやパラスポーツ関係団体の支援を得ながら、取組を進めておりますが、千葉市との連携の一例といたしましては、千葉市が所有する競技用車いすをお借りして、市内の中学校においてパラアスリートによる車いすバスケットボールの体験授業を行い、スポーツを通した心のバリアフリー教育に取り組みました。
また、来月には、本市でも盛んに行われるようになったボッチャを中心としたイベントであるパラスポーツフェスティバルを、昨年に引き続き開催いたします。そして、2019年度は、パラリンピック開催の前年にあたることから、パラアスリートによる学校訪問やパラスポーツの普及促進のイベントを、今年度以上に積極的に展開してまいりたいと考えております。市といたしましては、2019年、ラグビーイヤーとしての取組と併せまして、千葉市との連携も視野に、パラスポーツの普及促進にも一層力を入れ、共生社会の推進につなげてまいります。
車いすバスケやボッチャの取り組みは確かに素晴らしい。
だが個々の事業の話でなくて、もっと大きく政策的な連携の話をお聞きしたかった。
*ジェフ誘致や国体開催など、過去の歴史から何を引き継ぎ、どう生かしたか
「賢者は歴史から学ぶ」といいますが、市原市も過去にスポーツ競技や大会をテコとする施策を強力に展開してきた歴史があります。
ジェフユナイテッドの誘致はもちろん、2010年(H22)のゆめ半島千葉国体、全国障害者スポーツ大会・ゆめ半島千葉大会では、市原市は4競技の会場となりました。今回のように前年度から担当部署を設置し、実行委員会を発足させ、競技場の整備、特産品のPR、駅周辺の活性化事業、多くのボランティアによるおもてなしの取り組みが展開されたと認識しています。
では、それによってどんなレガシーが市民に残されたのか。逆にどんな課題が与えられたのか。それらは、今回の取り組みに具体的にどのようにつながっているのか。ご答弁願います。
答弁 (スポーツ国際交流部)
本市は、ジェフユナイテッドのホームタウンとして、Jリーグ元年から四半世紀以上の永きにわたり、クラブと共に歩んでまいりました。この間、ゼットエーオリプリスタジアムや市原スポレクパーク、地区運動広場など、芝生のスポーツ施設を数多く整備してきており、本市市民、特にサッカーをする子どもたちには、「芝生の上でサッカーをする」というスポーツ文化が根付いております。
この環境を最大限に活用し、2010年に開催された千葉国体では、本市はサッカーとラグビーの競技会場となり、予選から決勝まですべての試合会場を市内の施設で提供することができました。これらの施設は、国体開催後も全国規模の大会や各年代の代表合宿などで、幅広く活用されており、芝生の維持管理を含めたノウハウの蓄積が、このたびのラグビーワールドカップの公認チームキャンプ地やサンウルブズの練習拠点誘致に結び付いたものと考えております。
また、広く根付いたサッカーを通じた人的ネットワークは、本市の強みの一つであり、元ジェフユナイテッドの選手で、現在、ニュージーランドサッカー協会でコーチをしている宮澤浩氏とのご縁により、今年1月、先ほども申し上げました、ウェリントンフェニックスサッカースクールのキャンプ実現に結び付きました。このキャンプの際にも、市のサッカー協会、ジェフユナイテッド、ボンズ市原に練習試合の相手を務めていただくなど、サッカーのまちとして、独自のおもてなしをすることができました。
今後も、こうしたネットワークを大切にして、宮澤氏にもご協力をいただきながら、サッカー競技を有力候補の一つとして、東京オリンピックに向けたキャンプ誘致に取り組んでまいります。
なお、課題といたしましては、こうした成果がスポーツ関係者の間では共有されているものの、すべての市民の方々に浸透していないという点もあろうかと思われます。
市といたしましては、市民の皆さまに実感していただけるような、レガシーの創出について、引き続き、取り組んでまいります。
なぜ、ここで聞かなければその話が出てこないのか。それは少なくとも庁内で共有しているのか。まるで、過去の取り組みが何事もなかったかのように我々には見えますが。
*長野冬季大会 白馬村の事例 レガシーをどう生み出すかよりもどう残していくか。
ここで一つ、1998年(H11)長野冬季大会の事例を上げたいと思います。
観光産業中心の白馬村は「五輪で観光客が来るわけではない」と冷静に捉え、むしろ活発に動いたのは五輪後でした。
周辺自治体や県、観光協会、JRなどと提携してオーストラリアと商談を行い、新たなビジネスを成り立たせました。現在、同地域に外国人スキーヤーが殺到し盛り上がりを見せているのは、長野大会のレガシーを地道につなぐ戦略によるものなのです。
そこで伺います。国際大会はあくまでもレガシーが生まれるきっかけに過ぎません。
その後誰が主体となりどのような仕組みや体制で維持し発展させていくのか。その戦略についてお聞かせ願います。
答弁 (スポーツ国際交流部)
国際スポーツ大会を通じた取組は、大会後の本市の持続的な発展に結び付け、目指す都市像の実現につなげることが重要であります。このためには、庁内の各部局はもとより、市オリンピック・パラリンピック推進会議を構成する関係団体や、市体育協会などの各スポーツ団体、本市ゆかりのアスリート、ニュージーランド大使館など、様々な方々と思いを共有し、継続的に連携していくことが必要であると考えております。
先ほどもご答弁いたしましたが、国際スポーツ大会を通じたレガシーの構築については、未だ道半ばという面もございますので、今後、2020年に向けて、市として創出すべきレガシーの姿をさらに明確にしていく必要があるものと考えております。
また、この中で、様々な主体との協力関係のもと、レガシーを未来へ継承し、発展させていく取組についても検討してまいります。
ふわふわした夢を語っていても、レガシーは決して生まれません。行政に大会へのこだわりや想いがあるのであれば、何が市民に還元されるのか、市民にきちんと示していただきたいと思います。
(2)男女共同参画を推進するための予算編成や施策形成について
*H25年度決算とH31年度予算との比較
私はちょうど5年前にも同様のテーマで質問しました。男女共同参画の視点を、一般的によく言わるバリアフリーや地球温暖化防止の視点のように、各部門を横に貫く重要な理念・目標として、予算編成や施策形成を行っていただきたい、という趣旨の質問です。
そこで今回、市原市男女共同参画社会づくりプラン(2017年度~10年間)の現計画に掲げられている132事業のH31年度予算額と、前の計画に掲げていた140事業のH25年度決算額との比較を行いました。
事業の中には、市民活動・高齢者・障害者支援など、男女共同参画との関連性が極端に低いと思われる事業もかなり含まれていたのでそれらを除き、更に市単独事業に絞ると、H25年度決算の約2億600万円に対し、H31年度予算は約2億2千万円と1400万円増えていました。
しかし、対象事業の98%が子育て支援で、増額分も出産前後家事サポート事業など子育て関連が占め、残り2%の人権国際課はじめ他の部局の予算は、ほとんど削られていました。更に、一般会計に占める割合をはじくと、H25年度0.238%、H31年度0.232%と、かえってダウンという残念な結果でした。子育て支援策はわかりやすいし勿論大事ですが、例えば児童虐待もその根源には女性の生きづらさやDVといった問題があるという事を、どれだけ認識されているのでしょうか。
*予算に表れない取り組みは
とはいうものの、先ほどの分析は人件費等も考慮すべきだろうし、教育・労働・産業・防災・都市計画など、あらゆる領域での予算に表れない意識改革等の取り組みもまた重要である。そこで伺います。
まず、来年度予算の編成や実行計画の見直しにあたり、各部門での男女別ニーズの洗い出しや現状分析は行ったのか。また、次期実行計画の策定や基本計画の見直しにあたって、同取り組みを進める予定はあるのでしょうか。
答弁 (スポーツ国際交流部長)
先ほど議員からもご紹介ありましたように、いちはら男女共同参画社会づくりプランのなかで、庁内各部門が実施する132事業を掲載しており、これら各事業については、毎年度その進捗状況を確認しております。
平成29年度に執行した事業について、その達成状況を評価したところ、「積極的に推進を図り達成した」が84事業、「ほぼ達成した」が45事業となっており、計129事業、約98%が良好な結果となっております。
一方、達成できなかった事業としては、「女性人材リストの活用」や「女性の審議会等への登用促進」があり、現在、この改善策について、検討を進めております。
これらの事業実績につきましては、庁内の次長級職員で構成する「男女共同参画プラン推進会議」において、情報共有や対策に対する意見交換を行っているほか、学識経験者や各種団体の代表等からなる「市原市男女共同参画審議会」においても報告し、多様な御意見をいただいているところであります。
2019年度は、市基本計画の見直しと次期実行計画の策定年度となりますので、これら議論の場を活用し、男女共同参画を推進する施策の検討に反映をさせてまいりたいと考えております。
地域のロールモデルとなり得るような女性の潜在力の掘り起こしとネットワークの構築は、どこまで進んでいるのか。また、今後計画的な取り組みをどのように行うのでしょうか。
答弁 (スポーツ国際交流部長)
女性中心に活動していただいている団体の例といたしましては、「市原市男女共同参画社会を進める市民の会」があり、講演会等の啓発事業を行っていただいております。
また、毎年開催しております「人権・男女共同参画フォーラム」の実行委員には、多くの女性の方に参加をいただくなど、市では、可能な限り女性の力を活かした事業運営に取り組んでいるところでございます。
ご質問のネットワークの構築でございますが、市では、市内の各分野で活躍している女性を把握するため、「女性の人材リスト」を整備・運用しておりますが、情報の更新や活用が十分に図られていない状況にございますので、今後、この充実に努めるなど、多くの女性の力を活力あるまちづくりにつなげていくための仕組みづくりに取り組んでまいります。
「女性の人材リスト」、作って終わりではなく、ぜひ活用していただきたい。
女性のエンパワメントの掘り起こし無くして、市原市の変革を起こすことができるのか。
内閣府による「女性活躍加速のための重点方針2018」に「日本には未だに男社会が根強く残っています。女性が抱える困難が、解決すべき課題として社会で認識されていない」との表現がありますが、市原市もまさにここに問題の根っこがあると感じています。
以上駆け足でしたが、男女共同参画の視点を各部局共通の理念とされるよう再度要望して、私の質問とします。
今後さらに多くの女性議員・女性幹部職員が市原市に誕生することを心から願っています。