平成28年度 第4回 市原市議会定例会

個別質問 小沢みか

1.残土及び再生土等の埋め立て等に係る対策について
*これまでの経緯 自然環境マップ(H24年3月完成)から小出市長の答弁まで

私はこれまでこの事案にまつわる一般質問を4回行ってきました。

H23年6月、残土条例上乗せ改正について質問した当時、当局が一貫して主張されていたのは、次のようなものでした。「周辺住民の同意を盛り込むことは難しい。(その代わりに)自然環境マップを生かして、必要な条例改正を検討する。保護地区の指定、協定の締結などの方策を考えている」
これはこれで大変な作業と思われますが、少なくとも私はそのお答えを信じて、他自治体のお手本となるような市独自の条例案を近々に示していただけるものと、期待をしていました。

しかし、マップの完成から5年近くが経過した現在、果たして最初から本気で検討するおつもりがあったのかどうかも不明ですが、もうこの場で問うつもりもありません。
それというのも、「住民の生活圏、環境圏に配慮した独自条例の制定が必要」との公約を掲げられた小出市長が、H27年6月就任後初の本会議で、改めて「厳格な許可要件を盛り込んだ条例の制定について早急に検討する」と明言され、新たな道が開けたからです。
ところが現在、私たちが期待していた展開には至らず、多くの市民は納得をしていません。

そこで改めて何点か伺います。

*市残土条例の適用除外についての検討の中身(メリット・デメリット)について

まず、市長の方針を受けて、当局では上乗せ条例の制定について様々な角度から真摯に調査・検討されたことと思います。
ところがH28・6月本会議で、市独自条例のメリット・デメリットについて当局は周辺住民同意を要件として適用除外を受けている自治体に電話で問い合わせました。

メリットは①指導が一元化できる。
デメリットは①人員体制の充実がさらに必要 ②書類審査で真偽の確認に慎重さが必要 ③違反是正指導に苦慮する」

と答弁されました。

要するに、これまで以上に手厚い人員配置と高いスキルが求められるということ。
しかし、これは単に行政側の視点でしかありません。肝心の住民側の視点(おそらく聞き取りも充分行わなかったと思われる)、さらには事業者・地権者側の視点がなかった点、やはり分析としては不十分であったと言わざるを得ません。
そこで改めて、両者の視点も鑑み、公平・公正な分析に基づいた検討結果をお聞かせください。

答弁 (環境部部長)
先の6月議会では、「これまで独自条例のメリット・デメリットについて、当局が把握していること」とのご質問に、それまでに各自治体から電話等で聞き取った内容を回答させていただいたものでございます。
本市の残土等への対応については、市民がいだいている不安の払拭に向けて、最良の方法を検討し、対応するということでございます。
これまでの検討において、住民同意を設けている他の自治体では、住民が同意するかの判断に資する要件は定めておらず、また、自治体は介入せず、事業者と住民との直接協議によるものとしており、中には、本市でいう町会長、自治会長である区長に相当の負担がかかっているとの回答もございました。

また、国の中央環境審議会におきましては、産業廃棄物処理施設にかかる「住民同意」についてではございますが、「同意に際しての不透明な金銭授受を巡る問題も発生し、地域のコミュニティが破壊されるという問題があること、また、適法な施設であっても、設置が困難となるなど、ひいては、無許可業者の不適正処理ルートに向かうことになりかねないこと」などが指摘されているところであり、住民同意を要件とすることは、住民や、地域のコミュニティへの新たなストレス要因になるものと考えております。
また、県残土条例の適用除外を受けることは、本市においては、これまでの県の知見や、特に警察力のバックアップがなくなることであり、これは、行政の中の手続きや指導力への影響や、ひいては市民の生活環境を守る不法投棄防止に向けた体制の弱体化につながるものと考えております。

このようなことから、本市といたしましては、適正な処理の促進や、早期の違反発見と速やかな指導に向けて、県との連携による強固な体制をさらに築くことが、市民の不安を払拭することと判断しているところでございます。

まず、常任委員会の資料の数値だけで見ると、適用除外自治体では①確実に許可事業数は減っている(20%)。(ただし、その分実際は再生土に移行している可能性も)②少なくとも、住民同意の下でも、真面目な業者や適切な事業はきちんと許可されるのではないでしょうか。これよって即残土の行き場がなくなると言えるほどの数値ではないと思います。
また、確かに違反件数は増えたかもしれませんが、それだけヤリ得だった悪質業者があぶりだされたということではないでしょうか?それこそ廃棄物処理法や残土条例で厳格に取り締まればよいことではありませんか。

次に、県警との連携についてだが、彼らはあくまでも県廃棄物指導課の職員として、廃棄物処理法や残土条例に則って職務を遂行するだけで、警察権を行使できるわけではありません(例えば消防吏員が市長部局に異動すれば、消防の職務を行えないのと同様)。パトロールや立ち入り調査を行う権限は、県だろうが市だろうが変わりはないし、違反があれば県警が動くのも変わりはないのではないか。その点はいかがでしょうか。

答弁 (環境部部長)
今、議員の方からおっしゃっていただきましたように、県本課には、本市担当の専従職員3名、さらに、現職警察官7名、警察官OB5名配置され、24時間体制でのパトロールをしているところでございます。
この執行に当たりましては、警察官という身分を持ちながらの執行でございますので、警察権力はそのまま、いろいろな不法行為の場の中で執行されるものでございます。

ですから、一般の事務局の職員ということとは違う権力を持っているということでございますのでご安心ください。
あと、条例に関しての対応でございますけれども、今回、この適用除外という県の適用除外を受けた場合には、要件だけが追加されるのではなくて、適用除外ですから、県残土条例から適用が外れます。
ですから、この場合においては、今まで県の方が、残土等に関して、監視パトロールをしておりますけれども、これについては、まず、パトロール体制が外れます。

なおかつ、残土に関して違反が発生した場合、これは原則、自治体の対応となることになりまして、県のこれまでの指導は当たりません。
ただし、その違反性が立証された場合には、今度は、警察の方に市からまた別途、お願いするということになると思います。

また、かえって住民への負担が増すというお答えですが、住民はそのデメリットを十分承知していて「それよりも現状の方が何倍も苦しい」と判断したからこその陳情・訴えではないでしょうか。
また、最初に適用除外を受けた自治体は千葉市、船橋市、芝山町。H15年でありました。以来、今年10月の大多喜町まで増え続けています。当局が述べるようにそんなに問題があるならば、これほどまでに広がらないと思うのですが。

他の18にも及ぶ自治体が上乗せ条例を制定しているという事実に対して、どうお考えになっているのでしょうか。

答弁 (環境部部長)
自治体の、住民の生活環境の保全への思いは同じである中で、残土等への対応につきましては、本市のように県と連携して対応する自治体や、独自条例を設けている自治体でも、例えば、住民同意要件を設けているところもあれば、いないところもあるように、各自治体の判断によって対応しているものでございます。

このような中で、本市は、県廃棄物指導課が直接、残土埋立て等の行為に対しての監視、指導を行っている県内唯一の自治体でございます。
この指導体制につきましては、先程ご答弁したところでございます。
そのような体制の中で、24時間体制で県の方はパトロールに当たって、不法な行為の監視・指導に当たっているところでございます。
県では、残土等に対しまして、これまで必要な条例等の改正に取り組まれるとともに、体制についても強化を図ってきているところでございます。

本市におきましては、このような県との連携により、市内での違反行為は減少している成果があがっております。
このようなことから、本市では、県と連携した監視や指導を行う体制の強化によって、市民の不安の払拭に努めてまいる考えでございます。

公共の福祉について

市原市には、住民同意を設けている条例が二つあります。「市原市ペット霊園の設置の適正化に関する条例」第4条 第1項 設置予定地の境界から50メートル以内の居住世帯の同意を求めます。
もう一つ「市原市墓地等の経営の許可等に関する条例」にも、第9条第2項 墓地から50メートル以内居住世帯の同意が必要 との条文があります。住民同意が墓地経営には適用できて、なぜ残土処分には適用できないのでしょうか。

また、経済的自由権や財産権には、公共の福祉による制限があります。
憲法13条
国民の権利は、公共の福祉に反しない限りにおいて尊重される

憲法29条第2項
「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める」

さらに、土地基本法では基本理念として、「公共の福祉の優先」が掲げられています。
当局はこれまでも本会議で、「残土処分場は、廃棄物の混入、ダンプカー通行による交通安全の問題や粉じんの発生、現場の崩落や水質汚濁等の様々な社会問題を引き起こしています。また、土地利用についても自然・生態系を初めとした環境負荷が大きい場合も考えられる」と答弁されています。

これはまさに、公共の福祉が損なわれる状況ではないのか。
当局も、決してこのままでよいと捉えていないからこそ、H28年3月に近隣5市町とともに県に要望書を出しました。
①残土処分事業に対する対策の強化
②再生土等の埋め立て等への対応 の大きく2点についてです。

そこで各々について伺います。

*要望のうち、残土処分について
① 残土処分に関して、まず、これまでの県の動きから、当局では市の要望は受け入れられたと考えているのでしょうか。

答弁 (環境部部長)
県残土条例の運用の強化につきましては、要望書を提出した際に、県からも、「今後とも、県と市町村が連携して対応していくことが効果的である」との見解をいただいているところでございます。

要望後におきましては、市などからの連絡に、これまで以上に、迅速な対応が図られていると感じており、また、具体的には、県による独自の本市内のパトロール後に、市役所へ立ち寄り、情報交換を行うなど、本市の声を直接聞いていただける機会が多くなり、連携体制の強化という主旨は、受け入れられている、というふうに判断しております。

*要望のうち、再生土について

要望のもう一つ、② 再生土等の埋め立て等の対策について伺います。
当局は、県が5月に行政指導指針案を出したことをもって「県は速やかに対応した」とまずは評価されています。
一方で、指針案に対する意見書を提出していますが、そのうちの重要な部分が9月に施行された指針に全く反映されていません。つまり次の3点です。

①事業面積にかかわらず指導してほしい
②事業者による住民説明会を指針の中に加えてほしい
③指導指針ではなく、条例としてほしい

これらについて、なぜ県は却下したと考えているのか。また、市はこれに対し今後どう対応されるのか。

答弁 (環境部部長)
1点目の「事業面積」につきましては、全てのものを対象にすべきではないかとの、本市からの意見に対しまして、3,000平方メートル未満であっても必要に応じ、事業内容や周辺の状況等により法令や条例に照らし合わせて、面積に関わらず指導していくとのことでありました。

2点目の「住民説明会の開催を指針の中に入れること」につきましては、指導指針であることから、盛り込む内容については、慎重に検討したとのことであり、県からは、この運用にあたって、地元住民に対して、事業の説明を行うよう、事業者に指導していくとのことでありました。

3点目の「指導指針ではなく、条例化すべき」につきましては、県としては、再生土等へも、他法令等とあわせながら、この指導指針による監視・指導をしていく中で、これらの効果を検証しながら、さらなる対応が必要な場合には、さらに検討していくとのことでありました。

このようなことから、本市からの要望事項にも、真摯に対応していただいたものと、判断しているところでございます。

「県の指針を評価しており、今後とも不足する点については県と話し合いを続けていくとのことですが、いずれは、指導指針ではなく条例としてほしいという、市の要望をいずれは呑んでいただきたいという方向で話し合いを続けるということでしょうか。

答弁 (環境部部長)
市の思いとすれば、意見に出したとおり、条例化ということについては、こだわりあるところでございますけれども、県が実際に、この指針の中で他法令と併せながらやっていく効果について、それは、きちんと評価すべきことだと思っております。

その効果を、結果によりまして、その辺のことについても、どのように対応していくかについては、県の方と協議をしていきたいということでございます。

それはいつまでで見切りをつけようと考えているのか。
また、これらの要望によって、公共の福祉は守られると考えているのでしょうか。

答弁 (環境部部長)
いつまでに、ということでございますけれども、これにつきましては、どのような形の中で、事業に対して、対応が図られてくるかというものでございますので、必要な場合には短くなるし、そのものが効果がある、というふうに判断すれば、時間的なものは延びていく、というふうに考えております。
それについては、市のほうも、現場のほうに出向きながら、実際として、どのような対応が図られているか、ということにつきましては、確認をしていくというものでございます。

最後の住民福祉ということでございますけれども、これにつきましては、大変難しい問題だと思います。
先程、議員の方がおっしゃられました、財産権とかいう話につきましても、社会状況の中で変化してきていることも事実でございます。
そういうことについては、慎重に対応していきたい。
市としての思いにつきましては、あくまでも住民福祉、生活環境を守るということについて、どのような対応が図れるか、ということについての視点で、事務のほうを進めていきたい、というふうに考えております。

いくら監視指導を強化したところで、不適正処理が発覚した場合原状復帰は非常に困難で、壊れてしまった自然や生態系は容易に回復しないことは、当局も十分ご承知のことと思う。だからこそ地元の皆さんは、自分たちのあずかり知らないところで許可が下り、あれよあれよという間に事業が進められるのではなく、許可の時点で当事者として関与させてほしいと、当たり前のことを主張されているのです。

3市3町のうち、ついに大多喜町が見切りをつけ、10月に残土条例適用除外に踏み切った(近隣500m 8割の同意)。それでもなお、市原市は県と分担するとの姿勢を貫く。
何か問題があっても県の胸三寸で、足元の自治体が何も主体的に決められない。この状態が本当にベストなのでしょうか。

*再生土等も含めた市残土条例改正について 市長質疑

当局が現行条例の下であらゆる努力をされておられることは十分承知しています。しかし、条例が変わらない限り、今後も市内各地で住民の不安や苦しみは続くでしょう。
行政、事業者及び地権者、又は地域住民 三者それぞれの立場が交錯する中で、行政は何を一番優先しなければならないのか。私は公共の福祉だと思いますがいかがでしょうか。

H15年に県が適用除外条例化を認めた時点で、すでに県条例改正の可能性は消えています。
私は、埋め立て等の事業がこれ以上公共の福祉に反しないためには、市民の暮らしに最も近い自治体である市が、この際許可権者となる必要があると考えます。

従って、残土条例については適用除外を受け、上乗せ条例を独自に持つこと。更に、再生土等の埋め立て等についても、同様に適正に行われるよう条例を制定すること。この2点について、今一度早急に検討を行っていただくよう要望します
住民の方々は、自分たちの訴えにきちんと向き合ってほしい、課題解決のために市や地域が何をすべきかを、ともに考えてほしいと願っています。

そもそも、S63年、市原市は県条例に先立ち残土条例を制定した。古敷谷の住民運動をきっかけにH12年には廃棄物絶滅宣言を行い、全国で初めて「林道管理条例」も制定した。市原市の歴史は環境問題との闘いの歴史であり、今もまた大きな岐路に立たされています。
就任当時の市長のご答弁はこれまでとは明らかに異なっており、非常に重いご決断だったと思います。ぜひ現在の市長のお考えをお聞かせください。

私は、これまでも、残土等への対応については、市議会議員の時には議会を代表して、また、市長就任後には、近隣自治体と議論を重ね、千葉県知事宛に、残土については県と市町村との連携した監視体制のさらなる強化を、また、再生土については、県民の安心・安全な生活環境を守る方策を講じていただきたい旨の要望書を提出してきたところであります。

答弁 (市長)
千葉県においては、この要望書を重く受けとめていただき、自治体と連携した監視パトロール体制の強化、並びに県の現職警察官を配置した違反への対応の迅速化を図るとともに、再生土に対しても指導指針を策定するなどの、強化を図っていただきました。
本市としては、市民が抱く環境汚染や、構造上の安全性等への不安を取り除くことこそが、市民の思いに寄り添うものと考えております。
そこで、県との連携を図り、強固な体制をつくりあげ、市民の抱いている残土等に対する不安を払拭してまいります。
さらに建設発生土は、我が国の経済活動により、必ず発生するものでありますことから、発生から処分までを市域、県域をこえて、一元的に把握する仕組みなどが、必要だと考えております。
今後も、周辺自治体と協議を進め、国・県へ広域的な視点からの仕組みの構築について、働きかけをしてまいります。

確かに、建設資材リサイクルのビジネスモデルの確立に向けて国に強く要望していくことは、これら問題の根本的な解決につながると思われます。

4年後の東京オリパラも見据え、「世界に一番近い里山プロジェクト」が進められようとしていますが、市長のご判断によっては、今後の観光行政の行方にも大きな影響を与えるのではないでしょうか。市民が納得いくようなご決断を重ねて要望します。

2.市立幼稚園及び市立保育所再編成にあたっての障がい児等の受け入れ体制について
 時間の関係で質問できませんでした。