平成22年度 第3回市原市議会定例会 9月6日(月)

個別質問     桑田尚子

1. 市長の施政方針について

(1) 改訂総合計画について

「やすらぎと活力」を基本理念にし、「ともに輝く 元気なふるさと いちはら」の実現をめざして、各地で総合計画の見直しに関する市民会議を開いて作り上げた改訂総合計画(2005年~2015年)も山場を迎え、第2次施計画「輝*望いちはら」の総仕上げの年となりました。
6月議会では次期実施計画策定に当たっては、限られた財源の中で、多方面に効果のある事業を優先し、市全体の発展を目指しつつ、地域の実情に即した事業を展開したいとの答弁がなされました。
もっともな事と思いますが、少し具体的に施策の内容に踏み込んで伺います。

①「中間点における現状の評価」について

第2次実施計画3年間の予算化率は89.5%となっています。達成したものに学童保育、読書指導員の全校配置、地域包括支援センター6 箇所の設置などがあります。しかし、未達成を項目別にみますと、例えば、50%に満たないものに「観光」や「農林業の振興」があげられます。
さて、この計画を推進するため、基本計画で定めた101の挑戦指標に、新たに10指標を加え第2次実施計画「輝・望いちはら」で取り組んでこられました。事業として取り組みながらも、指標には達成していないものもあります。
これら中間点の指標「達成」をどう評価されておられるのでしょうか、お聞かせください。

(答弁)3ヵ年事業費の予算化率としては約90%であり、111 の指標について市原市総合計画審議会による外部評価は約7割が目標を上回り、残り3割は達成していない、あるいは下落傾向にある。
挑戦指標の達成率向上に努めていきたい。

② 新実施計画ついて

これまでの総括を行ったうえで、今後新たに加えるもの、継続するもの、廃止するものを決定していくことになると思われますが、経済状況も思わしくない今、事業の優先順位を付けることは、必須要件となっております。
市長がどうしてもこのことだけは、自らの任期中に行いたいと考えておられることは何かお聞かせください。

(答弁)
まちづくりの基盤となるインフラ整備、きめ細やかな福祉施策の充実などを引き続き推進する必要があります。それには経営基盤」を強化するため企業誘致を行い財源確保に努めていきたいその一つが、五井駅前東の都市交流核の整備です。

③ 市原市総合計画審議会の答申について

○ この審議会は市長の諮問機関です。平成22年3月議会で名称の改正が行われました。以前は「市原市建設審議会」と呼ばれていました。
平成20年1月16日に、第2次実施計画へ向けて意見が述べられていました。その中で、歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりまちなか居住や地域核の機能充実に関する施策について、今後の強化を期待したいとの内容や官民一体で地域の活性化に役立つ研究をする自治体シンクタンクを作る提案などが出されていましたが、第2次実施計画にこれらの意見がどのように活かされたのでしょうか、また、次の実施計画にどのように活かしていかれるのでしょうか、お聞かせください。

(答弁)一例を挙げますと、コンパクトなまちづくりやまちなか居住の推進、公共交通ネットワークの充実等について意見をもらい、その後の部門計画の策定に反映させています。今後も、市原市総合計画審議会での議論、ご意見を充分に反映し新計画の策定及びその推進に努めていきたい。

○ 自治体のシンクタンクについて、計画に反映されたのでしょうか。あるいは検討がなされたのでしょうか。

(答弁)
具体的なシンクタンク自体の存在はありません。
但し、計画作りには、これまで以上に外部の識者、専門家の意見をもらい計画作りを進めています。

○ 基準となる指標は、新実施計画においてどこに設定されるのでしょうか。

(答弁)
実現可能だということを前提に、高い水準を求めていきたいと考えています。

2. 情報公開と市民参加による行政運営について

(1) 情報公開制度について

先進的な行政運営がなされている自治体は、積極的な情報開示がなされ、市民も政治に積極的に参画しています。今や市原市でも、市民参加の意識は年々高く、人と人のつながりのある地域は自分たちの手で作ろうという機運が高まってきています。
行政との情報の共有は、市民参画の基本であり、市原市の平成21年度の情報公開請求の総数221件でした。内訳は、環境に関するもの20件、子育て福祉関係19件、都市計画・都市整備に関するもの151件となっています。これは前年度と比較しますと49件増え約30%の増となっています。情報公開制度がようやく市民に定着してきた結果であると喜んでいます。
しかし、まだまだ行政サイドからの積極的な情報公開は不足していると、感じています。市域の広い市原では、都市計画的な事項や、残土搬入等の特定事業等は、即まちづくりにも係わってきます。
「隠しているわけではない」といわれますが、さらに積極的な情報開示を求めます。開示の手法の見直しも含めて、見解をお聞かせください。

(答弁)
公開する情報は、職務上作成し、または取得した公文書であり、何人でも請求で開示をうけられる。しかし、個人情報のように、その性質上開示できないもののほか、市条例によらずとも他法令の規定により開示等をうけることができる場合はそちらで開示してもらっている。
市民が直接的に市政運営に参加するため必要と思われる情報についても、広報紙やホームページなどを活用して公開、提供、公表を行っていきます。

(2) 住民の意見を行政に反映させる公聴活動について

①ティータイムミーティングについて

市長とのティータイムミーティングが開かれています。市民の声を市長が直接聞く機会です。ティータイムミーティングの開催は過去7年で、多いときは年間7件、ここ3年間では3件となっています。それがどのように市政に反映されているのでしょうか。お聞かせください

(答弁)
実現された事例として、本年、直近の7月27日に行われたティータイムミーティングでは「任意の予防接種の情報をあらかじめ報せてほしい」との要望があり、この件については、来年度から実施に向け準備を開始しました。また、同日の鄭愛ンで「アネッサの児童館で授乳する際に、目隠しとしてカーテンやついたてを設置してほしい」という要望があり、これについても、設置の準備をしています。このティータイムミーティングは、市政へのご意見を直接伺い、また、思いを語ることのできる貴重な場でありますので、今後も継続していきたいと考えています。

②市長への手紙について

市長への手紙については、市民の反響が大きく、「市長への手紙を出したところ、こんなコメントがあった。こんな対応が図られた。直接電話があった」など、よく耳にします。市長への手紙は年間600件あまりと聞いています。その主な内容、又、対応等についてお聞かせください。
また、一部で返信が「遅い」という話を聞いていますが、早くする工夫はなされているのでしょうか。お聞かせください。

(答弁)
主な内容としては、福祉、道路、教育に関する意見等が多く、全体の約3割を占めています。
対応については、広報公聴課で受付をして、まず市長が内容を確認した上で、担当部署に送付しています。次に回答を早くする工夫は、まずは電話や現場に出向き、手紙の内容を確認し、概ね10日間で完結させています。
特に権利が絡むような内容については慎重な対応が必要なことから、回答までに多少時間をいただくこともあります。今後も早期の回答処理を進めていきます。

③パブリックコメントについて

新規の各種計画策定や条例制定にあたっては、パブリックコメントを求めるときがありますが、周知が徹底せず、また、パブリックコメントの募集期間が短く、なかなか市民が発言しづらいのが実感です。パブリックコメント募集前の説明会や周知期間の延長など検討していただけないのでしょうか。見解をお聞かせください。

(答弁)
パブリックコメントは、概ね3週間から1ヶ月の期間で実施しています。その周知方法は、ホームページやそれぞれの担当課や出先機関などにおいても、書面により意見を聴取できるようにしています。提言の計画目的に応じたきめ細やかな意見聴取については、さらに検討していきます。

(3)「広報いちはら」について

千葉県が発行している公報公聴活動に関する調査結果を見ますと、市原市をはじめ人口の多い市や町では広報専任の職員をおいて対応しています。
現在、広報「いちはら」は月に2回、新聞折り込みや公共施設、大手スーパーですが、新聞を購読していない人、出かける機会が少ない人には情報が届きにくい状況です。先日の市民意識調査報告書では、「広報いちはら」を毎回見ている人は46.3%、又「市の必要な情報を必要なだけ入手できている」と思っている人は29%でした。
この数字に対してして、これで充分と考えておられるのか、見解をお聞かせください。

(答弁)
市民意識調査では広報いちはらを「毎回見る」「時々見る」「必要があれば見る」を合わせますと、約9割の方が何らかの形で読まれているので、一定の役割を果たしていると思っています。
今後とも、広報いちはらの充実を図りながら、ホームページや携帯電話などのあらゆる媒体の活用と、一層のメディアとの連携を図り、今まで以上に分かりやすく、積極的な情報の提供に努めていきます。

3. 公民館の指定管理者制度の課題について

現在、市内の公民館では、来年23年度4月~指定管理者制度への移行をめざし、それぞれに運営委員会が立ち上げています。先行して1年早く指定管理者制度に移行した南総公民館では、今、いろいろな課題が見えてきているのではないかと思われます。
又、公民館の指定管理者制度移行にあたって、各公民館の運営委員会から、要望や意見が上がっていることと思います。今後それらの課題を検討することなしには、指定管理者制度への円滑な移行は難しいものと思われます。
6月議会での質問と一部重複するところもありますが、改めて何点か伺います。

(1) 指定管理者移行について

各公民館の運営委員会の様子を聞いてみますと、指定管理者制度移行について、その取り組みの熱心さにバラツキがあるようです。
前回もお話しましたように、一律に一斉に次年度から指定管理者制度に移行するのは困難と思われますが、8月末〆切の募集に何館応募しているのでしょうか。見解もお聞かせください。

(答弁)
現在、各地区の8つの運営委員会からは、全ての地区から指定申請書が提出され、部内に設置した「指定管理者候補者選考会議」で申請内容の審査を行っています。来年の4月1日には指定管理者による公民館運営に移行できると考えています。

(2) 職員待遇について

公民館の本来の役割である社会教育的な視点を考えれば、社会教育主事や社会教育指導員は正規雇用の職員であるべきと思います。また地域における図書館機能の充実も大切です。職員の身分を不安定な非常勤で対応するのは、公民館の質の低下につながりかねません。方針を改めてお聞かせください。

(答弁)
現在、館長は週5日勤務の嘱託職員、社会教育指導員は週4日勤務の嘱託職員が各1名ずつ配置されています。
今回の指定申請では、8館中の7館では、館長、副館長は週5日勤務の正規要員を各1名ずつ、社会教育指導員は週4日勤務の嘱託要員を2名配置する内容であり、他の1館は、嘱託と日々雇用を2名配置する内容になっています。また、指導、監督として、社会教育主事や司書による研修会の開催、巡回指導などを通じて、公民館運営の質的向上を図っていきます。

(3) 移行に伴う諸問題について

○ 指定管理者制度への移行に伴う諸事務の引継ぎ、また物品等の補充についても充分な周知期間がなくては、見切り発車になりかねません。対策はどうなっているのでしょうか。マニュアルはできたのでしょうか、見解をお聞かせください。

(答弁)
現在、具体的な手順を示した各館の「マニュアル」を、公民館職員が作成中です。指定管理者による事前研修は、指定管理者の負担で行うため、長期間の設定は困難でありますが、可能な限り要望に応じておこないたいと思います。

○ 指定管理者制度では「市民サービスの向上」と「経費節減」が謳われていますが、どうも「経費節減」が前面に出ているように感じます。長い目で見ると費用がかかっても専従の事務局と社会教育主事あるいは社会教育指導員を配置したほうが社会教育を担う公民館の目的を達成し、市原の文化の資質向上に結びつくのではないかと思いますが、再び見解をお聞かせください。

(答弁)
今回の発注では、館長、社会教育指導員に係わる雇用の充実を考えたものです。
「経費節減」だけではない、社会教育機関としての公民館の役割に充分配慮したものであると考えています。

○ 5 年後にはもう一度見直しを考えていますか。

(答弁)
基本的には、指定管理者制度を取りやめるということはないと考えています。

4. 都市交流拠点について(五井駅東口整備構想区域について)

「水と緑にあふれ 人・モノ・情報・文化が交流する 賑わいのある拠点づくり」として「まちづくりの目標」が掲げられたのはつい数年前のことでした。
5年前の議会で説明された五井駅の西口と東口を一体とした都市交流拠点整備区域は「波及効果」と「相乗効果」を発揮するとありましたが、西口は次々に店が閉店し元ヨーカドーがあった地域は人通りもめっきり少なくなりました。五井駅東口整備構想区域では「非日常」空間を提供するという考えがありましたが、今は、日常的な店舗展開となっています。
先日の8月5日、都市交流拠点整備に関する調査特別委員会で2事業者のカインズとイトーカドーから用地移管された(株)モール・エスシー開発から説明がありました。単独での出店は無理だとしていたヨーカドーが2012年度の開店を目指すとの話でした。関係者のご努力で、ともかく店舗展開の可能性が見えたことは「良し」としますが、今回は規模を縮小して黒字になる食品部門だけを出店すると聞いています。
このことが、五井駅東口のまちづくりに関してよい影響となるよう望みます。
ここの開発は、都市交流拠点とした「まちづくり」として出発しました。
当初の予定では「まちびらき」をヨーカドー、カインズのオープンと同時におこなうことになっていました。しかし、今年の4月のイベントは、「まちびらき」ではなく、市道認定した道路の「引渡し式」だと言われました。

①「まちびらき」について

「まちびらき」はいつになるのでしょうか。
この「まちびらき」についての見解をお聞かせください。

(答弁)
去る3月28日に開催された、プロムナードの開通式は人が安全に回遊できるようになったものです。現在は、多くの商業施設がオープンしていて「まちびらき」はある意味迎えていると認識しています。2年後にヨーカ堂が開店し、総合公園も整備され、市制施行50年も目前に迫っていますので、「まちびらき」のイベントのあり方について検討をしていきます。

② 4者協議について

○ 正式名称は、「整備構想区域の推進に関する4者合同会議」です。市、組合、カインズ、ヨーカドー(現在はモール・エスシー)の事業者間の話し合いはなされているのでしょうか、又、まちづくりのキーワードとなっていた「地区計画」「ガイドライン」「エリアマネジメント」はどうなっているのか、お聞かせください。

(答弁)
近く会議を開催していきたいと考えています。実際には、イトーヨーカ堂がプランを変更せざるをない状況から、ガイドラインの具体的な実現までは、当初の予定より時間を要すると思いますが、平成20年8月に決定した地区計画の運用などにより、将来に渡って持続ある発展を目指して取り組んでいるところです。

○ エリアマネジメントがとても重要だと、執行部は言い続けてきましたが、現在はどうなっているのでしょうか、お聞かせください。

(答弁)
区域内の組合を母体にマネジメント会社が発足しています。これらを中心に皆で育てていく、今後、ヨーカドーの計画を見せていただきながら、検討をすすめていきたい。

○ 土地区画整理組合の解散が平成25 年だったと思うが、その後エリアマネジメントをどのように考えておられるのでしょうか。

(答弁)
組合自体は、保留地等々の処分が終了して、清算が終われば、当然解散になります。ただし、そのエリアマネジメントということについては、組合を母体にして発足する会社がありますので、それと連携しながら進めていきたいと考えています。

5. 環境保全政策について

(1) ため池等の埋め立て」の基準作りについて

中台堰埋め立てについては、千葉県が申請書類を却下し、その後計画はストップしています。市内には、耕作放棄された田畑も多く、また公有地であるため池の幾つかは、今も埋め立ての申請が各地でなされているのではないかと思います。(また、犬成の方面では、大きなため池が既に埋め立てられていることも知りました)
6月議会で、基準作りを急いでほしいと要望しましたが、あれから3ヶ月が経ちました。その後、どのような話し合いがなされたのでしょうか。「いつまでに」という目標を立てなければ延び延びになってしまい、うやむやになり、また新たな同じような問題が突きつけられることになります。埋め立て基準作りの進捗状況をお聞かせください。

(答弁)
現在市では、年度内を目標に道路法改正にともなう法定外公共物管理条例の全般的な見直しをおこなっています。この見直しの中で、用語の定義の整理や審査基準の内容については関係する部署と協議を進めています。

(2) 養老川の妙香地先の水質汚染について

この汚染問題は、平成10年「環境ホルモン緊急全国一斉調査」が行われた時、養老川浅井橋附近で高濃度の4-ターシャルブチルフェノールが検出され、その原因を辿った結果妙香地先の廃棄物を埋めた跡地から漏れ出していることが原因だったことに始まります。
平成15年から、千葉県と市原市が環境再生基金を使いながら費用の二分の一ずつ出し合い、ガス吸引による廃棄物撤去の作業を行なっています。面積8600㎡、容積35,000?で、キレイにするには35億かかるのではないかとも言われています。
また、住民に対しては毎年「養老川の妙香地先の水質汚染について」の説明会を行ない、環境調査や観測井戸の調査結果を報告しています。毎年のように言われるのは「回収は順調で、検査結果は基準値内で問題はありません」と。住民の「いつまでかかるのですか?」の問いに対して毎年「それは分かりません」との回答。今年も第10回目の説明会が南総支所の会議室で行なわれましたが、住民は安心しているのか関心が薄れたのか、原因はよく分かりませんが、空席が目立ちました。

○ 市民ネットワークでは、3年前から定期的に(一ヶ月一回程度)、妙香橋ちかくの護岸から染み出る水を採取してきました。川面に立つと、いまでも化学臭がします。養老川に汚染水が流れているのは事実です。
現在の手法で行う汚染物質拡大防止策は、行き詰まっているのではないかと思われます。全量の説明なしに、どうしてすべて除去すれば35億円かかるというのにも納得できません。除去の方法を再検討することを県・市の話し合いの上で行えないのでしょうか、見解をお聞かせください。

(答弁)
汚染拡大防止対策については、学識経験者からなる専門委員会の意見を聞いたうえで、平成15年から汚染ガスの吸引及び汚染水の回収を進めていますが、7年を経過していることから、今後の汚染物質拡大防止策について、県と協議していきます。

○ 今年度の説明会が終わった後、何か話し合いはなされたのでしょうか。

(答弁)
担当レベルでの打ち合わせは行なっていますが、課というような、組織同士の打ち合わせは行なっていません。

○ 説明会に住民が数えるほどしか来ていませんでしたが、周知が徹底していなかったと思いますが、その点に対してどう考えていますか。

(答弁)
住民の出席が少なかったのは事実です。町会を通して周知を図ったのですが、今後もそのような機会を捉えて周知に努めていきます。

3) 公共施設、および野外公園、街路等における農薬等の化学物質使用の見直しについて

「化学物質過敏症」という言葉をご存知でしょうか。微量の薬物、化学物質の摂取により、健康被害が引き起こされるとする概念です。様々な症状がありますが、頭痛、気管支炎、動悸、不眠、発熱などがあります。
昨年、農薬等が無造作に散布されていないか、「有害化学物質から子どもの健康を守る千葉県ネットワーク」で千葉県内の主要都市の「農薬等の使用実態」を調査しました。
市原市の調査範囲は市庁舎やコミュニティセンターや公民館、保育園や小中学校、市営住宅、公園、臨海競技場などと幅広く調査が行われました。市原市は誠実に状況調査に協力した跡がうかがえました。
そこで指摘されていたのが、有機リン系殺虫剤を混合して散布している可能性が高い施設に市庁舎樹木や臨海衛生工場など、があげられています。
農水省の通知では「住宅地等における農薬使用について」は「特に有機リン系農薬同士の混用は、混用による相加的な作用を示唆する知見もあることから、これを厳しく控えること」とあり、即刻中止すべきと考えます。
薬剤散布は業者委託となっていますが、業者にその旨を伝えて改善を図る必要があると考えますが、見解をお聞かせください。

(答弁)
農林水産省及び環境省からの通知の中で、有機リン系農薬同士の混用は、行わないとの指示がありましたので、病害虫の防除については、農薬の混用を中止し、状況に応じた防除をおこなっています。今後も適正な使用に努めていきます。

(4) 無許可の残土埋め立てに対する対策について

○ 先日、市民ネットワークの事務所に「無許可で残土埋立事業を行っている現場があり、一部地権者や周辺住民が困っている」との手紙が届きました。内容は詳細で、信用の置けるものであると判断し、とりあえず現場視察を行なうことにしました。農業委員会、不法投棄対策課の職員に同行してもらい現場に行って驚きました。当初、水田から畑になった小高い農地を予想していましたが、それをはるかに超えた巨大な山になっていました。
「軽微な農地改良の届け」が出たのは平成22年4月20日、水田3筆約1600㎡に1m の盛り土をして畑にするとの当初の予定が、大幅に変更されています。農業委員会では「畑として利用できる形に戻すように」口頭で指導しているとのことですが、「改善計画書」の提出を促す必要があると思いますが、見解をお聞かせください。

(答弁)
現在、地権者等及び工事事業者に対して、早期に畑として利用できるように現場立会いの上で指導を行い工事施工中です。今後、指導に反する工事や工事進捗が図れない場合、文書勧告、県への報告などの手続きを進めていきたい。

○ 又、6月議会でも取り上げました音信山の残土処分場の、その後の経過もお聞かせください。

(答弁)
本年7月22日、事業者に対し聴聞を行い、事業者と現場の是正に向け、協議を進めているところです。

○ 聴聞後に改善が図られたのでしょうか。そして、この後はどうなるのでしょうか。

(答弁)
改善はされていません。
聴聞の内容として、昨年の5月以降12月くらいまで、持ち込んだ土砂を撤去してくださいという聴聞でしたが、事業者も、現地について農地の利用を図りたいという意思が確認できましたので、改善計画を出させて一定の手続きを経て、撤去していく方針です。

○ 現在、市内には許可されて特定事業を行っている事業は県許可が平成10年から117件、面積が375ha、市許可は昭和63年から現在まで197件で67ha となっています。事業がすべて完了すると、442ha になり、市域の約1.2%を占めています。
最近はどうも不法投棄等を行う業者に市原市が甘く見られているような気がしてなりません。断固たるルールをもち、厳しく早期対策を取らないことには、どんどん環境破壊の被害がひどくなるのではないかと心配です。改めてルールを作るつもりがあるのか(木更津市の条例のような)、また厳しい対応を今後行う予定があるのか、決意の程をお聞かせください。

(答弁)
現在のところ、木更津市のように、隣接地権者の同意を必要とするような、私的財産権の問題を生ずるルール化を図る、というような考えはありません。
また、厳しい対応を今後行なう予定があるのか、というご質問ですが、現行条例を厳粛に、また厳密に運用してまいります。

○ 音信山の問題は、平成14年から始まった問題で、平成19年には通告が出ているにも係わらず、今まできちっとした対応ができなかった。その点をどのように分析されているのでしょうか。

(答弁)
改善の計画というか、改善の道筋ですね、それを事業者に対して市が示しきれていなかったのが原因だと思っています。

6.教育行政について

(1) 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)と学力向上について

1960年から1964年に実施された中学2・3 年生対象の「全国中学校いっせい学力調査」には、教育に対する国家統制を通じて競争や能力差別を助長するものと批判があり、それ以来中止となっていました。
2004年当時の文部科学省の大臣(中山成彬)は「子どもの頃から競い合いお互いに切磋琢磨するといった意識を涵養する。一時はいろいろ言われたが、まさに大学全入の時代であるため、全国学力テストを実施する」と述べています。
ちょぅどこの年に行われた経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査で日本は「学力が落ちてきた」との結果がでました。
しかし、1 位となったフィンランドでは競争ではなく、達成度と柔軟性を大切にした授業を行い、学校や生徒をテストでランク付けはしていません。
時を同じくして「自ら学び、考える力をつけ、生きる力をはぐくむ」とした「ゆとり教育」の見直しが2005年に行われました。
しかし、OECDが行った学力調査で1 位になったフィンランドの教育内容を解説した書籍等で読みますと、その国では、いたずらに競争をあおり、紋切り型の学びで学力を伸ばしたわけではなく、子どもたちがしっかりと学んだことを身につけるまでそれぞれの習熟度に応じて手厚く学ばせる方法を用い、粘り強く柔軟に考えることを支援する、むしろゆったりとした学びを推進していることがわかります。それが結果的に長い目で見ると、学力世界一に結びついたと見るのが適当ではないかと思われます。けっして、一律の全国一斉の学力テストで学校をランク付けしたり、クラスごとに競わせているわけではありません。
2007年、約40年ぶりに復活し全国学力テストが行なわれました。今年は、政権が民主党に変わったこともあり、学力テストは学校全体の3割が抽出され行なわれました。そこで伺いますが、

学力テストの必要性について

教育委員会はどのようにお考えなのか、また、これまでの学力テストの分析結果はどのように活かされているのでしょうか、あわせて、学力テストを行う意義、目的を子ども達にどう説明されているのか、お聞かせください。

(答弁)
国政・教育行政を進める上で、唯一全国的な規模での、学力・学習状況調査というものは、それによって成果・課題が見え教育行政のこれからの充実に結びつくものと考えます。結果分析は、本市では、小中学校共に、思考する力や表現する力に課題が見られ、その課題に教育や教育施策の検証、改善を今、図っています。

次に保護者や子ども達には、文部科学省から示されたリーフレットを基に説明しています。

② 誰もがわかる授業をめざして

○ 市原市は小学校1.2年生、中学校1年生は35人学級となっていますが、全学年少人数学級にしてきめ細やかな対応が大事だと考えますが、見解をお聞かせください。

(答弁)
本市では、少人数学級推進事業できめ細やかな学習指導の充実を図っています。
全学年への実施についは、8月27日に文部科学省が「35・30人学級の実現に向けた教職員定数の改善計画(案)」を策定したところであり、今後の国や県の動向を注視し教育環境の整備に努めていきます。

○ 市の予算を3.4年生以上に振り分けて、35人学級を推進することはできないのでしょうか。

(答弁)
全ての学級で35人とするには、学級担任は県費負担教員しか受け持てないという課題があります。今現在、学校に加配されている教員は、教務主任や教科担当など1~2名であります。
全学年で35人学級を実施するとなると、市内67校で、40学級以上増えるのではと把握しています。難しい面もありますが、教育環境整備に努めて参りたいと考えています。
(ちなみに学力テスト1位の秋田県では、県単独予算で、教員の加配を重点的に行い、小中学校で30 人学級を実現しています。先日視察に行った市民ネットの県議の報告によりますと、「雪国で、塾もほとんどない秋田県ではわかる授業を徹底するために教育予算を厚くしている」とのことでした。)
もっとも、教員の加配は、市の教育委員会だけで行うことはできませんが、県に強く要望し、教育現場がゆとりを持って指導に働きかけていただきたいと思います。

(2) 外国人市民の子どもたちの支援について

(日本語を母語としない子ども達の支援について)
市原市の外国人登録者数5175人(平成22年3月末)、10年前の約1.5倍になっています。
市内でも日本語の指導が必要な子ども達は小中学校合わせて134人、中でも外国人市民の子どもたちが多い白金小学校には13カ国の外国人市民の子どもたち32人が学んでいます。この学校には専任2人の日本語指導の先生方、そして日本語指導員、ボランティアの方々で子どもたちを支援しています。市内6人の日本語指導員は、外国人市民の子ども達の日本語指導のため、年間一人の子どもに対して19時間の日本語指導に当たっています。その他、学校支援ボランティアさん方の協力で子どもたちの生活は支えられています。

①日本語指導と教科指導について

学力を身に付け、将来仕事に就き、日本の社会で生きていくには、この小学校や中学校の時期に日本語指導と共に教科指導が必要です。指導員をさらに増やす方法もありますが、現実的には毎日接している担任が、その両方を支援できると効果も上がります。しかし、担任一人で対応することが困難なのもまた事実です。それには先生方が余裕をもって子ども達に接することができるように、一クラスの人数を減らす、又は、教員の加配により、個別対応が図れるようにする、など工夫が必要ですが、見解をお聞かせください。

(答弁)
外国人子女の指導については、日本語指導と教科指導が車の両輪であると考えます。外国人子女の在籍を理由とした少人数学級編成は困難であると考えますが、少人数学級編成や外国人子女の指導のための教員加配による対応については、今後、国や県の動向を注視し日本語指導の充実に努めてまいります。

② 学齢期を過ぎた子ども達の支援について

外国人市民の子どもたちの中には、学齢期を過ぎてから日本に来たために学校で学ぶことができない子どもたちがいます。現在そのような子どもたちを受け入れているのは、市川市にある夜間中学校です。そこまで通うのは容易ではありません。
多少学齢を超えても、柔軟に受け入れるなどの対応があってもよいのではないかと考えますが、見解をお聞かせください。

(答弁)
多くの市町村教育委員会では、厳格な年齢主義を取っていますが、例外として病気療養による就学猶予者や言語の理解度により下学年に編入している場合もあります。
学齢期を過ぎた子どもたちの受け入れについては、課題を精査し、可能性について検討します。

③ 学習支援について

学校外における学習支援は毎週土曜日の午前中、国際交流協会のメンバーによって五井公民館で行なわれています。大人に対する日本語教室は市内6 箇所で行われ、その中の一つの八幡教室は夜間と昼間がありますが、他は昼間だけの教室です。子ども達の学習支援を拡充するためには、もっと行政と一体となって支援の輪を広げることが必要と考えますが、拡充についての見解をお聞かせください。

(答弁)
教育委員会も学校外における学習支援については、今後も関係部および市原市国際交流協会、そして教育委員会の三者の連携を図りながら、外国人市民の子どもたちへの、より良い学習支援のあり方に協議してまいります。