平成30年度 第2回市原市議会定例会

代表質問  森山 かおる 

1.発達支援センターのあり方について

(アクションプランはどこまで進んでいるのか)
発達支援センターでは発達が気になる子どもとその家族に対して、日常生活における基本的な動作、習慣、集団生活への適応等に関する総合的な支援を行っておられます。その内容は療育相談、ことばの教室、保育所等訪問、障害児相談支援事業、児童発達支援事業(療育ルーム)などがあります。

私は自身の経験から、発達支援の重要性を感じています。息子は5年間、大阪で療育を受けました。肢体不自由児であったため、原則母子通園、3歳児からは週5日の通園日のうち1日は母子分離。知的障害児は3歳児から週5日全て母子分離でした。母子通園の日でも分離の時間はあり、親同士の情報交換ができる大切な時間でもありました。園のバスで通い、給食も提供され、親は療育に集中できる体制でした。

保育を通して子どもとの関わり方を学んだだけでなく、ナースによる様々な学習会、栄養士による栄養指導や食形態の工夫のしかた、リハビリについては週に2~3回受けることができ姿勢の評価や車椅子の合わせ方なども学び、障がいがある子どもを育てていくための基本をここで培いました。

このような知識を得ることは2次障害の軽減になり、ひいては医療費の抑制にもつながるという効果もあります。
この20年以上も前の療育内容を、市原市の療育ルームに通っていた保護者の方に話すと「それは国内の話しですか?」と驚かれたことがあり、私は自治体の取り組みに大きな差を感じました。

そこで市の発達支援センターのあり方について質問させていただきます。

行財政改革アクションプランでは発達支援センターの管理運営方法を見直し、H30年度までに管理運営方針を取りまとめるとしています。この検討は28年からスタートしていますが、現在の進捗状況について伺います。

答弁(こども未来部長 )
発達支援センターのあり方についてお答えいたします。
発達支援センターは、発達に心配のある児童やその家族を支援するため、「療育相談」や「児童発達支援」等を行っております。

現在、支援体制や内容の充実を図るため、今後の管理運営方法について検討しており、その進捗状況といたしましては、平成29年度に行いました利用者へのアンケートのほか、「市原市障がい者支援協議会の子ども支援部会」や市内の「児童発達支援事業所」等との意見交換をもとに、現状の分析や課題等を整理しながら、その対応などの検討を進めているところでございます。

(検討期間は今年度中、どうまとめていくのか)
子ども支援部会、事業所(法人)からの意見聴取や現利用者のアンケートではどのような声があがったのか。それをどのように反映させて取りまとめていくのか、伺います。

答弁(こども未来部長 )
意見聴取やアンケートでの声とその反映についてお答えいたします。

障がい者支援協議会子ども支援部会との意見交換では、発達支援センターに今後必要なこととして、意見を求めましたところ、療育相談や保育所等への訪問支援などの地域支援の充実や、民間の児童発達支援事業所との連携強化など、支援の充実や強化を求める意見が出されました。

利用者へのアンケートでは、療育やことばの教室など、各サービスについての満足度を伺ったところ、約8割から9割が満足の状態である結果が出ました。

一方で、更なるサービスを求めるご意見もいただいたところです。
これらの意見を踏まえ、利用者や関係者のニーズに沿った必要な支援の実現に適した管理運営方法について、検討してまいりたいと考えております。

現利用者は今子どもがお世話になっているセンターに対して、なかなか率直な意見を言いにくい。
療育ルーム卒園児の親を対象に、障がい者団体が行ったアンケート調査の結果(回答数43)を紹介します。

同じ悩みを抱えるママ友に出会えて救われた・子どもとの接し方など学べた・リハビリが受けられた・障がい者の親になる覚悟ができたという療育の良さを感じつつも、先生の異動が早いため障がい児保育の経験が少なく知識不足だと感じた・母子分離でないため弟や妹がいると通園が難しく、親に頼めない時は通えなかった・子どもの世話で精一杯なのにお弁当を作って通わなければならず負担でした・利用日が少なかったので療育時間を長くしてほしかった・母子分離の時間がほしかった・自力で通うのが大変だったという回答が複数ありました。

また福祉制度の情報が得られず、保護者の学びの場や保護者間で情報交換ができる場を求める意見もありました。保護者は今通うことで精一杯。他で行われている療育を知らないため、本来のあるべき姿や何が欠けているのかが分からないこともあります。つまり冒頭で私の経験を述べたように他の自治体との差も考慮したうえで、これまで何が足りなかったのかを整理し、管理運営方針に反映させていただくようお願いします。

(民間委託をどのように取り入れるのか)
国の指針ではH32年度末までに児童発達支援センターを市町村に少なくとも1か所以上設置することを基本としています。これを受けて、市原市においてもH32年度末までに1か所以上の設置目標を掲げていることから、今回の発達支援センターの管理運営方法の見直しは児童発達支援センターへの移行も見据えて行うことになります。

児童福祉法に定められる児童発達支援センターには、障がい児やその家族に対する支援を身近な場所で行う児童発達支援と、地域の中核的な療育施設として地域の障がい児やその家族への相談、障がい児を預かる保育所などの施設に対し援助・助言を行う地域支援という二つの機能が求められます。

そこで現在の発達支援センターを児童発達支援センターに移行されるのであれば、地域の中核的な療育施設として地域支援の強化が求められることになり、アウトリーチを充実させるための人員配置が課題になるかと思います。行財政改革アクションプランでは、簡素で効率的な経営を改革の柱として民間委託等の推進を掲げていることから、例えば児童発達支援と地域支援を官と民に分けて担う、またどちらも民間に委ねる、その他様々なパターンがあると思いますが、それぞれのメリット・デメリットをどのように分析され市の役割と民間の活用について考えておられるのか、伺います。

答弁(こども未来部長 )
ただいま、議員からお話しいただきましたとおり、国からは、平成32年度末までに、各市町村に1か所以上児童発達支援センターを設置するよう求められているところでございます。
このことから、市の発達支援センターの管理運営方法の見直し検討は、児童発達支援センターへの移行の検討とも併せて行う必要が生じているところです。検討にあたりましては、こちらも先ほど議員ご指摘の通り、児童発達支援と地域支援を、どのような主体がどのように担うのかといった、パターンに応じたメリット・デメリットや、市の役割と民間活用の整理が必要なものと考えております。市の役割といたしましては、発達に心配のある児童が適切に支援を受けられるよう児童発達支援と、民間の児童発達支援事業所や保育所等と連携し、身近な地域で必要な支援が受けられる地域支援体制の確立など、関係機関をつなぐ中核的な支援体制を構築することが求められているものと考えております。

また、民間の役割といたしましては、民間ならではのノウハウを活かした児童発達支援により、児童やその家族への支援を図っていただくところにあり、この民間活力を生かしたサービス水準の向上や効率化が図れるよう活用していくことが重要なところと考えております。
見直しのための整理・検討を進めるにあたりましては、利用者の視点に立ち、支援体制の充実へとつながる効率的・効果的な施設運営となるよう、検討していくことが必要なものと考えております。

市の強みはPT、OT、ST、臨床心理士などの専門職が揃っていること。従って地域支援の中でも特に相談支援にその力を集中させることで、適切な支援に導いてほしいと思っています。

民間の活用については、どの部門をどのような形で任せるのかをこれから検討されることと思いますが、まず市原市がどのような発達支援を目指しているのかを明確にして取り組んでいただくようお願いします。

(支援が必要とされる子どものフォローと支援体制)

アクションプランにある簡素で効率的な経営の改革は、行財政のスリム化を図りながらもサービスは向上させていかなければ、単なるコストカットにしかなりません。そこで発達支援センターの見直しの際に最も期待したいのは、支援が必要な子どもを一人も取りこぼさない体制づくりです。

H29年度の3歳児検診において、支援機関の紹介や心理面で経過観察が必要とされた児童は11.8%に上りますが、発達支援センターで何らかの支援を受けられた児童は7.6%。

H27年度の状況からは改善されつつありますが、我が子の発達が気になりながらも、まだ幼いからこれは個人差だと自分に言い聞かせて療育に踏み込む決心がつかないとか、療育の必要性は理解していても仕事を休んで母子通園はできない、また定員が一杯で通えないという課題は未だに残されています。

特にグレーゾーン児については親の自覚がなく相談へのニーズが低いため、適切な支援を受けないまま就学を迎えトラブルになるケースも多いことから、2年前に小沢議員が「いちはら版ネウボラ」でのフォローが必要ではないかと質問した。 その時のご答弁は「切れ目のない発達支援という視点にも十分に配慮しながら制度設計に取り組んでいきたい」ということであった。

ネウボラセンターは昨年度からスタートしたところではありますが、今年度2名の保健師が増員されたことによって、支援が必要とされる子どものフォロー体制は充実してくるものと思っていますが、フォローすることで支援のニーズはこれまで以上に増えてくるはずです。

そこで発達支援センターの見直しにあたっては、早期発見から早期療育につなげるために、支援が必要とされる子どもを一人も取りこぼさないというぐらいの思いをもって支援体制(受け皿)を整備していただきたいと思いますが、ご見解をお聞かせください。

答弁(こども未来部長)
発達支援センターでの療育相談は、平成26年度は222件でしたが、平成29年度は269件と、約20%増加しております。このため、療育体制の充実を目指し、平成30年度は発達支援センターの言語聴覚士を増員するなど、体制強化を図ったところでございます。今後におきましても、必要な支援を行う体制の整備に努めてまいります。

早期発見・早期療育は、就学後の9年間につながっていきます。

従って支援体制の整備を進めていくうえでは、就学後のトラブルを少なくするためにどのような支援が必要なのかを見極める必要があります。是非、こども未来部と教育委員会が連携して取り組んでいただくようお願いします。

前議会では未来への投資として、楽しい経験を重ねることを通じて子どもの可能性を大きく広げるために、幾つかの公共施設の個人利用が無償となりました。

同じように発達支援や療育も、様々な経験を通して子どもの可能性を伸ばすものであり、未来への投資として力を注いでいただけるものと期待しています。

2.地域公共交通網形成計画について

交通マスタープランの評価

コンパクトシティ・プラス・ネットワークの実現に向けて、都市全体として機能の充実した生活利便性の高い都市構造を構築していくために、各拠点の機能を高めながら拠点間や周辺市街地・集落との交通ネットワークを強化するものとして、このほど地域公共交通網形成計画の素案が示されました。

この策定にあたっては、市民の移動実態調査を実施し、公共交通の利用状況や市民ニーズを把握するとともに、交通マスタープランにおける施策の検証結果を踏まえ、課題を整理しながら進めてこられたと伺っています。

地域公共交通網形成計画の実行性を高めるためには、交通マスタープランの検証をしっかり行うことは言うまでもないが、素案で示された施策検証の評価には疑問を感じます。

施策検証は2008年度を基準値とし、2019年度挑戦値を達成したもの(AA)が6つ、2015年度挑戦値を達成したもの(A)が3つ、挑戦値は達成できていないが基準値より向上または維持したもの(B)が8つ、基準値より下降したもの(C)が3つという結果。

20項目のうち目標を達成できたものは半分以下であるのに、「全体としては着実に計画が推進されている」と評価されていることには首をかしげざるを得ません。交通マスタープランの評価については、どのような基準によって総合的に判断されたのか、お聞かせください。

答弁(都市部長)
交通マスタープランの評価について、お答えいたします。

2010年に策定いたしました、「市原市交通マスタープラン」は、本市の将来あるべき交通の姿を明らかにするとともに、交通全般に関する諸課題に対して体系的に取り組むための基本計画として、交通施策全般を推進してまいりました。評価方法としましては、「バリアフリー基準に適合したバス車両の合計」など、計20の指標を設定し、2019年度の「挑戦値」に対する2016年度の実績の到達レベルを評価しております。

交通マスタープランにおける各施策につきましては、交通事業者をはじめ、様々な関係者とともに取り組んできたところであり、人口減少、少子高齢化が進行し、公共交通需要が伸びないなか、大変厳しい社会情勢下にあって、議員ご指摘のとおり、挑戦値を達成した指標は9項目ではありますが、「鉄道の運行本数や乗客数」「公共交通機関利便性の満足度」など、挑戦値には届いていないものの、当初の基準値を維持、あるいは上回っている指標が8項目あり、合計17項目となりますことから、指標の約8割については、施策の効果は表れたと考えております。また、計画期間中に、市原鶴舞バスターミナルの供用開始による交通結節機能の強化、小湊鐵道トロッコ列車の運行による観光振興、里見駅のポイント整備による、上総牛久駅以南の利便性の向上、さらには、全国的にも先進的な取り組みである地域主体によるデマンドタクシーの導入など、新たな施策を実現できたことも成果であると考えております。

これらの結果を、交通事業者や学識経験者、関係団体等で組織する、「市原市地域公共交通会議」で総合的にご審議いただき、全体として計画が推進されているものと判断したところでございます。

市原市はコンビナート企業と共に発展してきたまち。原油価格や為替相場など世界情勢と闘いながら経営改革をしている企業からすれば、こんな甘い評価は許されません。先日の議会では「計画は作って終わりではなく成果を上げることが重要」という市長の言葉がありました。本計画においては、全ての目標値を達成するという意気込みをもって推進していただきたい。

○高齢者に配慮した公共交通サービス圏について

本計画策定の目的の1つは、超高齢社会を見据えた公共交通ネットワークの再構築である。素案では高齢者の外出支援策も打ち出されているが、高齢者が利用できる公共交通サービス圏を考えなければならいと思う。

本計画では公共交通サービス圏を鉄道駅から1km、バス停から500mとされているが、交通を単なる移動手段ではなく生活手段として考えれば、高齢者が買い物帰りに荷物をもってバス停から500m歩くのがどれ程の負担になるかは容易に想像できます。

この距離は交通マスタープラン策定時と変わっていません。

その当時2010年の高齢化率は19.6%でしたが、6月現在の高齢化率は28.0%。本計画期間の最終年度2026年には高齢化は更に進み、30.7%と予測されており、3人に一人が高齢者という時代を迎えます。加えて運転免許の自主返納数も年々増加している状況から、高齢者に配慮した公共交通サービス圏に見直す必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁(都市部長)
公共交通サービス圏について、お答えいたします。
本市の公共交通サービス圏につきましては、交通マスタープランの策定に当たり定めたものであり、市民アンケートで調査した鉄道駅やバス停までの徒歩による許容距離を参考に、鉄道に関しては、JR・京成電鉄・小湊鐵道の各駅から1㎞圏、バスは、各停留所から500m圏を公共交通サービス圏として設定しております。なお、バス停につきましては、地理的特性を考慮し、道路の縦断勾配の平均値が5%を超える場合には250m圏とするなど、高齢者等の移動負担に配慮し設定しているところでございます。

公共交通網形成計画における公共交通サービス圏の設定にあたりましては、この基準をベースに、他自治体の状況を参考にするとともに、本市の交通政策全般にアドバイスを頂いている、大学の教授にご指導頂いて検討し、設定したところでございます。
しかしながら、高齢化率は今後も増加の見込みであることから、施策を展開するなかで、サービス圏が実情に合わなくなった場合には、地域公共交通会議に諮るなど、適宜、見直しを図ってまいります。

公共交通に頼らざるを得ないのは高齢者ですが、その視点が見えません。

サービス圏を縮小すれば交通空白地域は増えますが、それが市の現状です。それを踏まえて公共交通を考えるのが計画の出発点になると思います。交通マスタープラン策定にあたっては鉄道駅やバス停までの徒歩許容距離の調査をされましたが、8年が経過して高齢化が進む中、市民ニーズがどう変化したのか、なぜ調査されなかったのか。

今年3月に地域公共交通網形成計画を策定した木更津市のアンケート調査では、鉄道駅までは10分以下(800m)が31%、バス停までは5分以下(400m)が33%と回答しています。(1分=80mで算定)袖ケ浦市では公共交通サービス圏を鉄道駅から1キロ、バス停より300mとしています。

バスの利便性を向上させるために運行時間や運行本数の改善も必要ですが、その前に高齢者が利用できる圏域について考えていただきたい。

○地域主体の公共交通システム
次に交通空白地域について伺います。
市では交通空白地域の解消においては地域住民主体の運営を基本とし、地域の実情に合った交通システムの導入を検討している地域団体に対し、協議会の立ち上げ支援、調査研究の支援を行うとされています。私は以前、「あおばす」や「コスモス南総」の運営について役員の方から話を伺ったことがありますが、地域住民主体で運営していく為には並々ならぬ住民力が必要で、簡単に取り組めるものではないと感じました。

特に幾つもの町会がまたがる交通空白地域では、足並みをそろえて動き出すまでには時間がかかることもあり、新たな交通システムの導入をスムーズに進めるためには、協議会の立ち上げ支援の前段階において市の働きかけが必要だと考えます。
そこで、まちづくり協議会や町会の役員に呼びかけて地域ヒアリングの場をもち、地域の実情を聞ききながら事業の説明をしていただきたいと考えますが、ご見解を伺います。

答弁(都市部長)
交通空白地域対策について、お答えいたします。
本市における、交通空白地域対策の基本的な考え方といたしましては、将来に渡り、持続可能な公共交通システムの構築を目指しており、そのためには、地域の皆様が自ら運営に係り、利用していただくことで、地域の公共交通という意識を持っていただくことが重要であると考えております。

市では、現在、地域主体によるコミュニティバスやデマンドタクシーの導入、運行に取り組んでおり、導入にあたりましては、地域住民、交通事業者、行政の三者による活発な議論や、地域のニーズを的確に把握するための調査等が必要不可欠でありますことから、導入に取り組む地域の団体に対しまして、人的及び財政的な支援を行っているところであります。

その結果、昨年4月には、市内で3地区目となる市津デマンドタクシーの実証運行が開始され、10月に本格運行に至りました。
交通空白地域対策につきましては、現在、ホームページや広報誌等を活用し、情報の周知に取り組むとともに、協議会の立ち上げに繋がるよう、市が直接、地域に赴き、事例紹介や支援の仕組み等を説明させていただくなど、先ずは勉強会を開催しているところでございます。

今後、さらに、様々な機会を捉えて、積極的な働きかけを行うことで、地域住民の声を伺い、市民と共に取り組んでまいります。
これまでも財政的かつ人的な支援を行っておられますが、まず一緒に考えましょう、という市からの働きかけをお願いしたい。

○公共交通を維持していくための施策について
(インセンティブの付与)

市原市は市域が広く、市街化区域が点在し市街化調整区域も広いという特性から、公共交通の利用率よりも自動車利用率が圧倒的に上回っている。2008年に実施された交通実態調査によると、自動車利用率が62.1%、鉄道とバスを合わせた公共交通利用率は10.9%。

特にバスの利用率は0.9%という低さで、市では市民生活に必要なバス路線を維持するために、赤字額の一部を支援して不採算路線の維持に努めていただいていますが、それを知る市民が多くいないことは残念に思っています。その補助金額は2014年度の1,353万円をピークに年々減り2017年度は736万円。26系統から18系統に減っています。結局、補助金を出しても運行便数が少ないため不便だから利用しない、利用者が増えないから維持できず最終的には休止路線という道をたどることになり、このような負の連鎖をくい止めるためにはバスを利用したいと思えるインセンティブの付与が必要だと考えるが、どのような具体策をお考えか、伺います。

答弁(都市部長)
路線バスの維持について、お答えいたします。

本市の交通施策では、既存の公共交通の維持確保が重要と考えており、特に、路線バスにつきましては、通勤・通学、通院等、市民生活に欠くことのできない移動手段であることから、議員お話のように、市では、運行により生じた赤字額の一部を補助することで、路線の維持に努めているところでございます。

現在策定中の地域公共交通網形成計画において、この施策を継続するほか、「公共交通の利用促進に向けた交通環境づくり」を基本方針に、「運行サービスの改善」を施策事業として掲げ、具体的には、商業施設や交通事業者との連携により、買い物割引や運賃割引などのインセンティブを付与する制度の導入を検討し、路線バスのさらなる利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。

例えば高知県宿毛市ではICカードでバス乗降の管理を行っています。バス乗車時に事前に予約した病院の診察申し込みができるようにし、車内の端末機で予約番号が受け取れるので、病院での待ち時間が少なくなるメリットがあります。また乗車時に家族に乗車情報を通信して現在地を知らせることができるので、居場所の確認ができ、家族はバス停に迎えに行く時間が把握できるシステムになっています。これくらいのメリットがなければ自家用車からの転換は図れません。

市原市において、どのようなインセンティブがバスの利用促進につながるのか、検討期間を明確にして考えていただきたい。

(市民意識の醸成)

依存度が高い自家用車利用から公共交通への転換を図り公共交通を維持していくためには、インセンティブのみならず、市民の意識を変えることも重要です。施策では、公共交通を利用する市民意識の醸成を図るため、出前講座お出かけくんを活用した普及活動の展開、バス路線マップ、バス時刻表などの情報提供によるバス交通に関する不安感の解消、高齢者や児童・生徒へのバスの乗り方教室などの取り組みが示されています。
しかし、これだけで市民の意識が変わるでしょうか。

公共交通に頼らざるを得ない高齢者や子どもたちだけでなく、自動車を利用している人も巻き込んで、市民が自分たちで公共交通を支え守るという参画意識を促さなければ、公共交通は維持していけないと思っています。
そこで、例えば不採算路線における赤字額はいくらで、どれくらいの乗車人数があれば赤字が解消できるのかといった具体的な数値を示して、公共交通を支える市民意識の醸成を図っていただきたいと考えますが、ご見解をお聞かせください。

答弁(都市部長)
市民意識の醸成について、お答えいたします。

議員ご指摘のとおり、市民の皆様が公共交通を守るといった意識をお持ちになり、実際に利用していただかなければ、公共交通の維持はできません。現状で自家用車を運転できるとの理由から、公共交通を利用しないままでいますと、将来、その必要性が生じた時に、公共交通機関などの移動手段がなくなる可能性があります。
このことから、現在、本市では広報紙などを通じて、路線バスの利用促進を呼び掛けているほか、「バス路線マップ」を市内の公共施設等に配置することで、様々な広報活動を行っているところでございます。

今後は、これらの活動を継続する中で、交通の厳しい現状や重要性など、交通事業者と十分連携し、危機感を持って市民に伝わるよう工夫を凝らし、積極的な広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。
また、路線バスに乗りなれていない児童や生徒を対象に、バス利用の体験学習を実施するなど、新たな施策にも取り組みまして、自家用車から公共交通の利用へと自発的に転換することを促す「モビリティマネジメント」を推進し、公共交通を支える市民意識の醸成を図ってまいります。

ネガティブな情報ではありますが、市と共に考えアクションを起こせる市民を育てていくことになると思っています。

「コスモス南総」の運営役員の方が「今は必要がないという世帯もありますが、現在40才代の人が60才代になった時、公共交通が維持されていないと利用することはできない」とおっしゃられた。市民アンケート調査でも市民の多くは自家用車に依存していますが、半数近くは将来の移動に不安を抱えているとういう結果が示されています。

この様なことから、今自動車を利用している人が、将来を見据えて積極的に公共交通を利用することで維持していけることを、市民が理解できるような情報発信をお願いします。