令和5年 第2回市原市議会定例会議 個別質問 森山かおる 

令和5年第2回定例会
個別質問 森山かおる

障がい福祉について 

1)児童発達支援センターについて
①新たな児童発達支援センターの整備について 

先般開催された全員説明会で、民間による新たな児童発達支援センターの整備を進めると伺いました。

 その理由は

・現在の市の発達支援センターでは療育が必要な児童の利用希望に応じきれていないこと 

・通所支援サービスの受け皿が不足していること

・多様な発達状態に対応できる専門性の高い事業所が少ないこと

・人口規模による国の設置目標(人口10万人に対して1施設)に加え、市の広域性を考慮し増設が必要であること

・法改正により、児童発達支援センターを中心とした支援体制の拡充が求められていること

以上5点とされています。

 *設置場所について 

いただいた資料によると設置場所は市内北部地域とされており、説明会ではJR3駅周辺と伺っています。三和にある現発達支援センターは公共交通のアクセスが不便なことから、より便利な場所に設置したいというお考えは理解できますが、市の広域性を考慮するというのであれば、JR3駅に限らず、子育て世帯が多く住んでいるちはら台を加えない理由について伺います。

(こども未来部長)

新たな児童発達支援センターの整備について、お答えいたします。

現在、発達支援センターは、地域の中核的な支援施設として、発達に不安のある児童やその家庭への支援を行っておりますが、療育が必要な児童の利用希望に応じきれていないなど、市内における児童発達支援の現状を踏まえ、また、子どもの状態に応じた健やかな成長を一層支援するため、新たな児童発達支援センターの整備を進めております。

設置場所につきましては、利用者や子育て世代、保育所や障がい児通所支援事業所等の関係者からのアクセスの良さを求める声や、児童が多く住んでいる地域及び療育相談を利用している児童の居住地域を基に検討し、就学前児童の6割、療育相談児童の7割が居住している、中心都市拠点である五井と都市拠点である八幡、姉崎地域で、かつ鉄道やバスなどの公共交通機関による利便性が高い、JR3駅周辺と設定したものでございます。

*現状とこれまでの答弁との食い違い

私たちは、市の発達支援センターの療育の機能が不充分であることを議会で指摘してきました。そのため、新たな児童発達支援センターの整備に着手されることについては、その必要性を十分感じてはいるものの、これまでの市の認識との差にモヤモヤした気持ちを抱えています。

というのも、R3年12月の本会議において、子育てネウボラセンターで把握している発達に何らかの障がいを抱えた子どものうち、発達支援センターや民間の療育につながっているのは約25%しかいないという状況について、小沢議員が質問したところ、

「保育所、幼稚園等に通っているグレーゾーンの子どもの保護者が、もう少し様子を見てから相談したいという意識などが背景にあり療育に繋がっていない。

そこで早期の療育支援に繋げるために、これまで通り巡回訪問と民間事業者と連携した地域支援の充実に努める」と言う主旨の答弁でした。

これは今回示された、センターを含めた市内の療育の受け皿が不足しているという市の現状と食い違っていますが、ご説明を願います。

(こども未来部長)

児童発達支援の受け皿不足の認識と解消に向けた取組について、お答えいたします。

 近年、療育ニーズの高まりにより、発達支援センターにおいて、児童発達支援の利用希望に速やかにお応えできていない状況や、健診で発達に心配がある幼児数に対する児童発達支援の受け皿不足の状況がございます。

このため、令和2年度に発達支援センターを児童福祉法に基づく児童発達支援センターに移行した後、中核的な支援施設として、民間の障がい児通所支援事業所と連携を図り、児童発達支援の利用希望者を各事業所に円滑につなぐとともに、更なる支援内容の充実等について、意見交換を行ってまいりました。

令和3年度では、市民の皆様や議会の皆様からのご意見等を踏まえ、いちはら子ども未来館に療育相談機能を追加設置するなど、児童発達支援強化の検討を進め、さらに令和4年度からは、新たな児童発達支援センター整備の本格的な検討を開始し、発達支援センターの療育相談や療育ルームの受け入れ状況、受給者証の取得児童数に対する市内の児童発達支援の定員等をもとに、施設規模や機能分担を精査し、8月のサマーレビューにおいて庁内協議を行い、取組の方向性を整理いたしました。

その後、民間事業所の動向調査や遊休施設の活用検討、障がい児通所支援事業者など関係者への意見聴取等を継続するとともに、あわせて基本計画改訂の中で新たな児童発達支援センターを位置付けたところであります。

 このような経過を経た上で、子どもの成長は待ってくれない、との強い思いを持って、今般、国・県の補助制度を活用して施設整備を行う、民間事業者の公募実施に至ったものでございます。

答弁との食い違いについて触れられなかったのが残念です。

なぜ、私がこのような質問を敢えてしたかというと、全ては現状をきちんと把握し認識する所から始まるという、物事の根本を問いただしたかったからです。共有しようとする気持ちがなければ信頼関係は成り立ちません。このような不誠実な姿勢は私たちに対してだけでなく、保護者や民間事業所にも伝わり不信感を招くことにもなります。

課題をしっかり捉えて改善しようとする姿勢を示していただきたいと思います。



②現発達支援センターの充実について  

新たな児童発達支援センターの整備を機に、現発達支援センターのあり方を見直し、公としての役割を十分発揮していただきたいと思っています。

専門性のある職員を配置している発達支援センターには、その専門機能を生かし、地域の障がい児や発達が気になる子どもを預かる施設への援助・助言を行い、地域における中核的な支援施設として、他の事業所と密接な連携を図ることが求められています。

そこで充実させていただきたいのがアウトリーチ。 

今年度より巡回相談事業の日数が108日から140日に増えたといっても、ようやく幼児教育・保育施設の全てを巡回できるという状況で、充分だとは言えません。保育所等訪問支援事業については、市の療育ルームから他の保育・教育施設に移行した保護者のみへの周知だったため殆ど活用されておらず、今後事業所への周知が進めばニーズは伸びると推測できます。

 また、発達が気になる子どものうち7割以上が、何らかの療育に結びついていなかったという過去の状況からも、早期発見・早期療育をめざす市原市として、現発達支援センターにおいてはアウトリーチを強化し、発達支援事業所との連携を深めながら、市の中核的な支援施設という役割を果たしていただきたいと思いますが、見解を伺います。

(こども未来部長)

発達支援センターの充実について、お答えいたします。

発達支援センターは、地域の中核的な支援施設として、児童発達支援と地域支援を行っております。

このうち、地域支援につきましては、臨床心理士をはじめとした専門職が、保育施設等への巡回により、発達に不安のある子どもを速やかに療育へつなげられるよう取り組んでおり、保育施設等からのご意見を踏まえ、令和5年度は巡回日数を増やし、取組を強化したところでございます。

また、通所支援事業所に対しましても、専門職が巡回訪問を行い、利用児童への関わり方や援助方法について、具体的なアドバイスを行うとともに、研修会等を実施しておりますが、地域支援については、まだまだ十分ではないと、考えております。

そのため、令和6年度からは、子ども未来館に発達支援センターの療育相談機能を配置し、専門職による発達に関する相談対応や巡回訪問支援を行い、さらなるアウトリーチに向けた地域支援体制の充実を図ってまいります。

加えて今年度の新たな取組として、6月に、発達支援センター主催により、未就学児童を対象としている児童発達支援事業所との意見交換会を初めて開催し、市内18事業所のうち、14事業所にご参加いただき、地域支援に関する事業説明や情報共有を行うとともに、児童発達支援の現状として、福祉サービス受給者証の取得に長く時間を要しているなどの課題をはじめ、様々なご意見やご要望をいただいたところでございます。

それらをしっかりと受け止め、関係部署と協議・調整を図りながら、速やかに必要な療育につなげるなど、児童発達支援の充実に向け、引き続き取り組んでまいります。

今後も定期的な対話を重ね、現場の声を踏まえた対応を検討するなど、市内の事業所とのネットワークを強化し、発達に不安を抱える親子を公民一体となってサポートしてまいります。

私は市の発達支援センターは、市内の児童発達支援の総司令塔だと思っています。その役割を認識して、療育が必要な児童を徹底して支援していくという覚悟をもってほしいです。発達が気になる児童を療育に繋ぐための保護者へのアプローチですとか、児童一人ひとりの発達状況に合わせたアウトリーチの強化を望みます。

次に療育ルームについて話しを移します。

私は自身の経験から親子通園の良さを実感してきましたが、それは他の自治体でうけた療育であり、現発達支援センターの療育内容とは雲泥の差。

同センターでは子どもが泣きだして不安定な状況になると、親が子どもを散歩に連れ出し面倒をみることになり、保育士の存在意義が感じられないという声を度々耳にしています。また、兄弟を連れて行けないことに加え、通所時間の短さやセラピストの関わりが余りにも少なく、通所する意欲がわかないという声も伺っています。

本来であれば、療育ルームの充実を図っていただきたいところですが、

現在はダブルインカムで生活している家庭も多く、親子分離型の療育のニーズが高まっており、その対応を充実させていただきたいと思っています。

加えてインクルーシブといった視点からも、現在の療育ルームをコンパクトにして、その分地域での支援を充実させていくために、身近な地域で療育が受けられるよう認定こども園での受け入れを進めていくといった改革をしていただきたいのですが、見解を伺います。

(こども未来部長)

親子分離型の療育ニーズへの対応と、身近な教育・保育施設での療育の受け入れについて、お答えいたします。

はじめに、親子分離型の療育につきましては、共働きが主流となる中、療育相談時に親子分離型を希望する保護者も多く、ニーズの高まりを感じております。

そのため、発達支援センターにおける親子分離クラスの利用枠を増やすことや民間の児童発達支援事業所の利用を案内するとともに、児童のみの通園で療育を実施する、新たな児童発達支援センターの整備に向け、現在、スピード感を持って取組を進めているところであります。

また、議員ご提案のとおり、身近な地域にある認定こども園などの教育・保育施設で療育等の必要な支援を提供できる環境づくりは、幼児期におけるインクルーシブ教育や、保護者の就労支援という面で、重要なことであると認識しております。

しかしながら、その実現には、実施施設ごとに専門職の人材確保に加え、療育のための場所の確保など、一定の療育提供体制の構築が必要となってまいります。

このテーマにつきましては、療育を取り巻く環境変化への対応として、発達支援と教育保育のあり方の中で、一体的に検討してまいりたいと思います。

民間の保育所・幼稚園等では一律月3万8千円しかつかない療育支援加算の中で、何人もの発達が気になる児童や障がいのある児童を受け入れていますが、採算がとれなければ経営が成り立たない民間の懸命な努力にも限界があります。

手のかかる児童こそ、公が積極的に受け入れていくという姿勢を示してほしいと思います。


2)日常生活における支援事業について

①紙おむつ給付について

 市では、在宅している3歳児以上65歳未満の重度の身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者で、常時失禁状態にある方に対して無償で紙おむつを給付しています。

紙おむつ給付については厚労省の給付事業もありますが、市の制度の方が給付要件が緩やかで使いやすく、家族の経済的負担の軽減や衛生面という観点からも、有り難い事業だと思っています。

 給付枚数については一人1日4枚相当分とし、尿取りパッドを組み合わせることで枚数を増やす事が出来る仕組みとなっています。具体的には、テープ型のおむつ4枚、もしくはテープ型1枚をパッド2枚に代えることで1日に最高で6~7回のおむつ交換ができるのですが、一番小さいサイズには、それに合うパッドがないため1日4枚しか給付されません。

また、肌が敏感な児童にとってはパッドを使用することによって蒸れやすくなる上に、おむつの厚みで股が閉じにくくなったり、お尻が前にずれやすくなって姿勢が崩れることで、嚥下にも影響してくるため、パッド使用にはデメリットもあります。

しかも、市の制度では選べるメーカーや種類が少なく、ワンサイズ1商品しかないため、これでは身体に合ったおむつを選べません。

他自治体では枚数で決めるのではなく、上限額を決めて数種類から選べるようにしている所もあり、柔軟に選択できるようにしていただきたいのですが、見解を伺います。

(保健福祉部長)

紙おむつ給付事業について、お答えいたします。

本事業は、在宅で常時紙おむつを使用している障がい者に対し、本人及びその家族の日常生活における負担を軽減するため、無償で紙おむつを給付するものです。

給付枚数につきましては、利用者の体の大きさやおむつの使用頻度によって、1日4枚相当分以内で、紙おむつと尿取りパッドとの組み合わせもできるように、対応しているところであります。

しかしながら、議員ご指摘のとおり、現状、サイズによっては尿取りパッドとの組み合わせが出来ないことや、メーカーや種類はサイズ別に市で指定しているため、利用者からは「選択の幅が限られて、使いづらい」というご意見も伺っております

このことから、市といたしましては、今後は、利用者個人の状況に応じた紙おむつを選択できるよう、他市の事例も参考にしながら、事業内容の見直しを検討してまいります。

②訪問入浴サービスについて 

 自宅で入浴することが困難な重度心身障がい者を対象にした入浴サービスは、原則、満18歳以上で、身体障害者手帳1級・2級、または療育手帳A以上を所持しているかそれに相当すると判断された在宅者が対象で、3名の介護職員が訪問し家庭内に浴槽を組み立てて入浴介助を行うものです。

 家に浴室があっても介助者が一緒に入るには狭すぎる、あるいは浴槽が小さく硬直した身体では入浴できないといった方にとっては、とても重要なサービスです。

 しかしながら原則週1回という利用制限があることから、私たちは幾度も改善を求めてきました。その度に「現在利用している方やその家族、あるいは支援計画を作る相談支援事業所などから意見を聞く」と伺ってきましたが、どのような意見があったのか、お聞かせ願います。

(保健福祉部長)

訪問入浴サービスに関するニーズ調査の結果について、お答えいたします。

市では、令和5年1月、障がい者の皆様が、福祉サービスを利用する際に、ご本人の状態を踏まえた支援計画を策定する、市内18か所の「計画相談事業所」を対象に、訪問入浴サービスに対して、どのような問い合わせや要望を受けているか、聞き取り調査を実施いたしました。

その結果、各事業所からは、現在、原則、週1回までとしている利用回数に関して、「回数を増やした方がよい」、「夏の期間は回数を増やして欲しい」といった御意見を頂きました。

一方、一定数以上の回数増の場合、事業者の職員配置等の調整等に不安をあげた回答もございました。

次に、対象者を、原則、18歳以上としていることに関しては、「年齢にかかわらず、体格や住環境を踏まえて利用の可否を判断した方が良い」とのご意見を複数頂いたところであります。

このことから、訪問入浴サービスに関する制度の拡充に対するニーズは高いものと、認識したところでございます。

以前にも申し上げましたが、18歳以上になると通所施設で入浴させてくれる施設もあり、週1回でも充分だと受け止めている方もおられますが、身体が大きくなり自宅の浴室では入浴が困難になった18歳未満は取り残されたままです。このような現在の制度では対象になっていない方の声も反映してほしいと思っています。

千葉市では保護者から要望を聞き取り、大人と同様の体格であることや浴室の構造によって、18歳未満も利用できるよう年齢制限を撤廃しました。また、利用回数についても費用の一部負担を求めつつ、週2回利用できるように改善している近隣自治体もありますし、夏場はもう1回増やしている自治体もあります。

このように費用や利用回数、年齢制限などを含め、ニーズに合わせた取組みを検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。

(保健福祉部長)

ニーズに合わせた取組について、お答えいたします。

 現在の訪問入浴サービスにつきましては、平成11年度に介護保険制度の導入に伴う制度の見直しを行い、12年度から利用回数の上限を月4回から週1回に改めたところです

また、平成15年度には、障がい児の体格を考慮し、対象年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げるとともに、18歳未満であっても、体格や障がいの状態等を勘案の上、サービスを利用することも可能とし、事業を実施してまいりました。

しかしながら、先の聞き取り結果からも、訪問入浴サービスの制度拡充のニーズは高いことから、利用者の状況や、近隣他市の状況、利用者負担額に関する他制度とのバランス等を踏まえつつ、利用回数の増加や対象者の拡大等について、利用者の立場に立って、検討してまいります。