令和5年第2回市原市議会定例会 代表質問 質疑応答 小沢みか
令和5年第2回定例会
代表質問 小沢みか
先ずは小出市長、この度再選を果たされたことに対し、心よりお祝い申し上げます。市長が今定例議会冒頭で表明された「更なる質の追求」による「みんなが輝く未来」の姿に、大いに賛同いたします。
但しその道のりにおいては、私たちは引き続きぶれることなく、とことん是々非々で向き合う所存です。どうかよろしくお願い申し上げます。
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1.市政運営の基本的な考え方について
今回は小出市政三期目のスタートに当たり、特に気になるテーマについて市長ご自身の基本的な考え方を確認するというスタンスで臨みます。
市長は「本市発展の原動力は『人の力』」と述べられました。(1)「ひとの力を」を生かす市政運営について
行政サービスのアウトソーシングについて
*これまでのアウトソーシングの流れと状況H15年の地方自治法の改正以来、コスト削減や業務の効率化、DXなど新たな対応が求められ、官から民へというアウトソーシングの流れはとどまるところを知りません。
本市における指定管理者制度も、平成16年の三和保健福祉センターに始まり19年後の現在は44施設に広がりました。
行財政改革では民間活力の活用を積極的に進めており、近年では公共施設の包括管理委託、新学校給食協同調理場などのPFI事業、税業務総合相談窓口業務の包括委託などに踏み切っており、今定例議会でも子ども未来館など3施設に対する指定管理者制度の導入に係る議案が上程されています。アウトソーシングの弊害〜市原市の事例〜
しかし、アウトソーシングは決して良いことばかりではありません。
R元年の台風豪雨災害時には、避難所としての役割分担などリスク管理の問題が浮上しました。
入浴施設でレジオネラ属菌が検出された際には、行政側の当事者意識が低く、迅速な対応が図られませんでした。
業務効率性を重視する余りに安易に外注すれば、行政から現場が遠くなり、専門性が失われ、結果的に政策立案能力も政策調整能力も落ちていきます。また企業誘致や外資誘導など一部の大きな資本に頼ると、「この地域はダメだ」と切り捨てられたときの地域の損失は途方もないものになります。
以前公民館などの指定管理を、専門性もノウハウも前提にない地域住民で構成される団体に半ば強硬に任せた結果「住民の自己犠牲を強いる制度だ」というような不満の声が上がりました。
当時当局側は「地域住民が担うことで、地域特性にあった自主的な運営が期待できる」と説明していましたが、逆に八幡宿駅西口複合施設PFI事業では、その公民館を地域住民から引き剥がしてあっさり閉じてしまうという、まったく矛盾した対応をとっています。
本来、公民館など社会教育施設は地域の文化や自治を育てる使命があるはずですが、本市のやり方には公共の柱となる意志が全く感じられません。*市の全体的な方針を問う
以前、同様のテーマで質問させていただいた際、市長は「各事業の課題を明確にして目的や本質を見極めたい」と答弁されましたが、都度上がってくる事業ごとの判断では、大きな方向性を見失うことにもなりかねません。
「直営か民営か」という単純な問いかけをするつもりはありませんが、現時点での損得や効率性だけで判断する危険性を避けるためには、本市にとって「公益とは何か」という共通認識がなければならないと思います。
アウトソーシングに適している部門・なじまない部門等、すみ分けの考え方を含め、改めて市長のアウトソーシングに対する全体的な方針をお聞かせ願います。 -
(市長)
私は、これまで、「ひとの力」こそが、困難な課題を乗り越え、未来を切り拓く原動力であり、「ひとの力」を活かした行財政経営には、行政と民間が共に力を発揮していくことが不可欠であるという信念のもと、あらゆる分野において公民連携事業に積極果敢に挑戦してまいりました。
私は、これまで進めてきたアウトソーシングの経験から、決して業務を丸投げすることなく、あくまでも、職員一人一人が、市の仕事であるという責任感を持ち、民間の受託事業者と共に行政課題を解決する姿勢で、仕事を自分事化することが、最も良い成果を生み出すものと確信しております。
また、優れた民間事業者の専門的なノウハウを、市として吸収、蓄積し、次につなげていくことで市としても成長していけるものと感じているところであります。
特に民間のノウハウや効率性を活用することで、サービス水準の向上やコスト削減につながるものについては、民間活力の効果的な活用を推進していくことが行政経営者としての私の責務であり、その分野は、基本的にあらゆる施策分野に及ぶものと考えております。
その中にあって、公権力の行使にあたる業務や市民に寄り添った相談業務、企画立案業務、或いは、市民の皆様との対話を踏まえながら行政経営にとって重要な判断を伴う業務については、職員が自ら考え、手足を動かして行うべきものであります。
私は、「みんなが輝く未来をみんなで創る」ため、市民サービスの向上を第一として、市と事業者も共に成長し、市民、事業者、市の「三方良し」となることが、理想的なアウトソーシングの姿であると考えております。
これからも、市民のニーズを的確にとらえ、地域の課題を解決するため、民間の有する強みを活かすとともに、行政がその責任を全うすることで、市民サービスを向上させ、事業成果が最大となるような公民連携を推進してまいります。
*未曾有の危機から市民は公共の大切さを実感
私は、コロナ禍によって「身近な自治体の公務・公共の役割は本当に重要なのだ」という認識が、より社会に広がったと感じています。
直営の安易な縮小は、危機にもろい公共に繋がります。いったん失われた専門性を取り戻すのは容易なことではありません。
外注任せの計画と事業をいくらPDCAサイクルで管理しても無駄です。
外に目を向ける前に、まず足元の組織でしっかり取り組む人材をどれだけ確保できるかが、今後の市の未来を分けるのではないでしょうか。
そこで次の質問に移ります。
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職員の能力発揮のための環境について
*会計年度任用職員の実態
まず会計年度任用職員について取り上げます。
いまや市原市では、職員の約3人に1人が会計年度任用職員。さらにそのうちの9割は女性で、保育士、保健師、学校図書室の司書、各種相談員などの任務に当たっておられます。
補助的な仕事ではなく市民サービスを最前線で担う職種が多く、その実態は実にシビアです。
例えば家庭児童相談員。相談受理から調査、ケースワーク、家庭訪問、アフターフォローと多岐にわたる業務です。日々深刻なケースの矢面に立つその重圧は、相当なものと推察されます。*SMSの事例・市は会計年度任用職員を使い捨て?
また今年度から始まった、医療的ケア児を担当する看護師「スクールメディカルサポーター」の事例です。
ある方は何と着任二日目に、児童側の事情で任務の必要性がなくなったと突如告げられました。何か他の業務を与えてもらえないかと訴えられましたが、ほどなく退職を余儀なくされました。公務にやりがいを見いだし希望を抱いて転職した矢先のことでした。
教育委員会ではこの他にも、夏休みで一旦任用を切るという細切れの非人道的な形態が未だに続いています。
これでは行政が労働者のやりがいを搾取し使い捨てにしていると避難されても仕方がありません。
本市は地方創生やSDGsの一環として「女性が働きやすい環境作り」に取り組んでいますが、その言葉と裏腹に、行政が率先して女性の活躍に水を差し、経済的自立が難しい社会を創っていると言えるのではないでしょうか。
会計年度任用職員の任用のあり方や扱いについては抜本的に改善する必要があると思いますが、市長のご見解をお聞かせ願います。 -
(市長)
複雑多様化する行政ニーズに的確に対応するため、本市では、任期の定めのない常勤職員に加え、多種多様な任用・勤務形態の職員が、効果的に連携しながら、職務を行っております。
その中でも、会計年度任用職員は、本市の行政運営の一翼を担う重要な人材であり、その活躍の場は広範な分野に及ぶとともに、常勤職員のみでは対応しきれない様々な課題に対して、多様な人材がそれぞれの強みや専門性を発揮し、本市の行政運営を力強く支えております。
一例を申し上げますと、コロナ禍におけるワクチンの集団接種において、スピード感を持った対応が必要な中、医師、看護師などの資格免許職が、数多く会計年度任用職員として活動し、市民の健康と安全を守り、大きな安心を生むことができたところであります。
私は常々、最も重要な経営資源は「ひとの力」であり、そして、「職員は同志である」と言ってきました。
今後とも、チームの一員である全ての会計年度任用職員が、その持てる力をいかんなく発揮し、更なる市民サービスの向上につながるよう、より一層、安心して働ける環境の整備に力を注いでまいります。-
他の問題として、正職員の多くが3年ほどで異動し内部にスキルが蓄積しないため、会計年度任用職員に依存するしかないという負のスパイラルも存在します。
そのことも踏まえて、次に職員全体について伺います。*保育関係者の証言より 懸念される職員の疲弊
今年4月、女性議員の会が主宰して民間の保育関係者の方々と意見交換をさせていただきました。その際に私が何よりもショックだったのは、皆さんが最も懸念されていた課題が「行政組織や職員の疲弊」だったという事実でした。
ちょうど2年前、私は相次ぐ行政の不祥事を受け、その根本的な原因が職員のモチベーションの低下などにあるのではないかと質問し、危機感を抱いていると申し上げました。
今この言葉を市長に再度申し上げます。そして市長もこの危機感を共有していると信じています。
組織の改革に向け、改めて2つの視点から市長のお考えを確認したいと思います。*職員の疲弊の解決策 政策の再構築と正職員の充実を
1点目はビルドアンドスクラップに関して、です。
これまでも何度か申し上げていますが、いまだ部署枠の事業単位のスクラップにとどまり、政策・施策レベルの大局的な整理が不十分であることは否めません。
世界に一番近い里山、ゴルフの聖地、現代アートのまちなどなど、あらゆるキャッチフレーズがつけられ走ってきましたが、どこか市民の暮らしから遠いところで流れているように感じています。
今後はあれもこれもではなく、行政最大の使命である市民福祉の向上にむけた政策・施策を再構築し、必要充分な人材を配置していただきたい。これはまさにトップの決断が必要なレベルです。
もう1点は定員管理についてです。
行政サービスの量と質を決定づけるのは、何よりも職員。いま大事なのは人への投資です。
私は、職員が足りないのであれば、もうシンプルに定数を増やせば良いと思っています。
会計年度任用職員に任せていた専門的・基幹的業務を正規採用にシフトし、そのスキルを内部に蓄えることも必要です。
以上2点について、市長のご見解をお聞かせ願います。 -
(市長)
私たち職員は、市民の信頼にこたえるため、その能力を最大限に発揮しなければなりません。
そのため、有事の際には、令和元年房総半島台風において、全ての職員を動員し、市民の安心・安全を守るため全庁体制での対応を行いました。
新型コロナウイルス感染症対策においては、スピード感をもって機動的な組織対応を行うことで、市民の負託にこたえてまいりました。
また、平時においては、実行計画を推進するため、各担当部門との庁内対話であるシーズンレビューを開催することで、計画・予算・組織を連動させ、重点施策の取組を着実に進める果敢な職員配置を行うと同時に、スクラップを意識した事業の見直しを行っている
ところであります。
特に、事業の廃止・合理化に向けては、市原市新行財政改革大綱を策定し、「実施手法の最適化」と「経営資源の最適化」という2つの「最適化戦略」により、更なる行財政改革を推し進めているところであります。
一例を申し上げますと、会議のオンライン化や、電子決裁システムの導入により、資料作成の手間や、移動時間の削減等、様々なスクラップを行ってまいりました。
さらに、今年度においては、「第10回上総いちはら国府祭り」の警備や運営に一部、民間委託を導入することで、実施手法の最適化を行うとともに、令和4年度決算では、主要な施策の成果を示す議会資料に「事業シート」を活用し、職員の作業時間や印刷用紙を
大幅に削減することで、経営資源の最適化を実施しようとしているところであります。
今後も、常に先を見据え多くの課題に先んじて立ち向かう改革を断行し、職員とともに行政サービスの質の向上につなげてまいります。
職員の増員に関しては処遇改善というレベルにとどまらず、公務員を志望する者に選ばれる自治体という、広い意味での取り組みも求められます。
職員一人一人が、地域がどうあるべきか考えながら動く、そのための想像力や戦略的な思考が生まれるような、余裕ある公務環境を構築されるよう要望します。 -
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地域福祉の担い手について
*地域福祉の現況
今から7年前、地域福祉の分野で地域共生社会という概念が初めて提唱されました。
ポイントは、これまでの介護・育児・障害・生活困窮といった分野ごとのいわゆる縦割りから、丸ごとへの転換。そして、これまで支えられる側であった地域住民に、支える側としての役割も求められるようになったということです。
この方向性に異を唱える者はいないでしょう。しかし、現実はどうでしょうか。
本市では民生委員・児童委員、小域福祉ネットワーク、あるいは地区社会福祉協議会などが主な担い手となっていますが、現場はいつも決まった顔ぶれで掛け持ちして回しており、新たな人材は見つからず、高齢化が進んでいます。
加えて、8050世帯といった複雑化・複合化した課題や、ヤングケアラー等これまで見過ごされてきた課題にも対応が求められています。*職員が住民に寄り添う姿勢が必要
私は担い手の方々から「もっと職員に現場を見てほしい。一緒に汗を流して欲しい」といった悲鳴にも似たお声をたくさん伺っています。市長も耳にされたことがあるのではないでしょうか。
このような状態が人々の負担感を更に強めているのは間違いありません。私は、このまま一部住民の善意に支えられる状態を放置していれば、いずれ制度が破綻するのではないかという危惧を抱いています。
課題解決の糸口として、今まさに職員が地域に出て行くことが求められていると思います。
市政運営の礎である「対話と連携」。残念ながらそのマインドが未だ浸透せず、庁舎に引きこもっている職員も少なくないのではないでしょうか。
職員がもっと地域に出ていくような、精神論ではない何らかの仕掛けや仕組みが必要と考えますが、市長のご見解を伺います。 -
(市長)
本市では、各地区の民生委員・児童委員の方々や小域福祉ネットワーク、社会福祉協議会など、地域における多様な主体が、地域福祉の担い手の中心となって、熱心に活動に取り組まれております。
そのような中、地域の担い手がいつも同じ顔ぶれで固定化していることや、高齢化が進み地域福祉活動が継続できるか不安であるとの声が上がっています。
私は、これらの声を、危機感を持って受け止め、「みんなが輝く未来をみんなで創る」との旗印のもと、多くの人が「支え手」と「受け手」という関係を超えて地域の活動に参画し、生きがいを持って共生する社会の実現に力を注いでおります。そのような中、近年では、地域食堂や多世代交流の集まりなど、若い世代の方々を中心に、これまでとは異なる領域から、地域福祉の増進につながる新たな取組が活発に行われております。
また、多くの市役所OBや、現役職員が、勤務の制約のある中でも、町会・自治会、PTA、消防団、青少年相談員といった地域の担い手として活動しているところであります。
私は、複雑な社会課題に対しては、限られた分野の個人・団体だけで対応していくことは困難であり、行政、市民団体、民間企業の垣根も、取り組む分野、領域も超えて、互いに連携しながら、強みを活かしあうことが重要であると考えております。
また、職員が職務を離れ、一市民として地域とかかわり、職務では得られない貴重な経験や地域に根差したアイデア等を得ることは、その後の職務に活かされるばかりでなく、相手方の気持ちになって考えることにより、人としての幅を広げるものであると強く信じているところであります。
ワーク・ライフ・バランスの実現に組織として取り組むことで、職務外での活動を推奨し、同じ地域に住む一市民として、地域課題の解決に向け、職員が次なる一歩を踏み出していく動きが、より一層広がっていくよう、取り組んでまいります。
私は、これからも、職員とともに市民の声に、真摯に耳を傾け、市原が抱える課題に対し積極果敢に取り組み、対話を活かした行財政経営を一層推進してまいります。
公共の拠点をもっと地域に移すことで、職員が暮らしの課題を肌感覚レベルで共有し、市民のニーズにピタッと合った政策につなげる、そういった好循環が生まれることを期待しています。
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(2)市原市の未来像について
市民の移動手段に係る展望について
*小湊鐵道線の問題から、市全体の交通政策は
当局は現在、小湊鐵道(株)から小湊鐵道線に係る支援の検討要請を受け調査検討を行っているところであり、その行方は社会的関心事にもなっています。
しかしこの問題は民間鉄道単体で捉えるのではなく、市全体の交通政策の方向性を明示した上でなければ、どんな結論も市民の理解を得ることは困難でしょう。
当局は5年前に地域公共交通網形成計画を策定しましたが、住民主体の地域公共交通モードは広がらず、計画通りに進んでいない施策事業も散見され、近年は路線バスの減便が顕著となるなど、交通空白地域のみならず市街地やその周辺においても、状況はなかなか好転していません。
現在はR10年度までの新たな計画への見直し作業を進めているところですが、社会が猛スピードで変化している現在、計画期間5年分の課題整理は当然として、もっとその先の未来を見据えた広い視野の元で進めなければならないと思っています。*市長のビジョンを問う
現在、公共交通会議や専門家を交えた研究会の中で様々な助言をいただいているとは思いますが、一番肝心なのは、まさに運送業の経営者であられた市長ご自身が、どのようなこだわりを持って臨まれるのかということです。そこで伺います。
公共交通にとどまらず、自家用車や自転車など個人移動ツールも含め、サポートカー・自動運転車などのテクノロジーや、遠隔診療など足代わりとなりえるICT技術の進化への対応、コンパクトシティ・ウォーカブルシティなど都市形成のあり方、環境への配慮やバリアフリーの視点など、市民の移動手段に関する大局的なビジョンについて、市長のストレートな想いをお聞かせ願います。 -
(市長)
私は、まちづくりにあたっては、その4要素である「住む」・「働く」・「憩う」・「移動する」のデザインを個別に考えるのではなく、その相互の関係性も意識しながら、
・ 地域の社会・経済の特徴や市民意識
・ ICTなどを含む技術革新の進展
・ 民間企業のサービス提供状況
などを、常にアップデートして考慮しつつ、その在り方・市としてのかかわり方を検討していかなければならないと考えています。
たとえば、
・ 北部に働く場所が比較的集積している本市の特徴や、
・ 20代~40代のいわゆる子育て世帯が居住地を決める際に職住近接を求める割合が比較的高いといった市民意識調査結果を踏まえ、少しでも多くの市民の皆様に、人口のダムとしていきたいと考えているJR3駅周辺に住んでいただけるよう、五井駅東口の市街化区域においては、低未利用地の有効・高度利用に向けた地権者との勉強会やアンケートなどの取組を現在進めております。
これにより、コンパクトシティがさらに進むことで、2024年問題と言われるバス運転手の不足が見込まれる中、「移動」需要を最適化しつつ、まちの賑わいに繋げていくことができると考えております。
また、移動需要の最適化については、進化するICT技術の取り込みにも積極的に取り組んでいかなければなりません。
・ デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードの普及に取り組むとともに、
・ 市民の皆様が市役所に赴くことなく行政手続きができるよう、71手続きについて、できるものからオンライン化を進めていくこととしており、
・ さらには、病院や薬局に行かずに診察等を受けることが可能となるオンライン診療環境の整備支援や、
・ 移動スーパーによる買い物支援等を行う事業者との包括連携協定の締結
などにも取り組んだところであります。
一方、移動需要がゼロになることはない中で、民間企業によるサービス提供が見込めない地域における持続可能な移動手段の提供については、市原市では、全国的にも先進的な取組として国土交通大臣表彰を受けた住民主体によるデマンドタクシーの導入などを進めており、また、トヨタモビリティ基金などとの連携による、車載データを活用した通学路の安全確保の実証実験も開始されております。
広域な市域面積を有する本市にとって、市民の「移動」は大変重要なテーマであります。今後も、市民・事業者との「対話と連携」を通じ、市内各地域の状況や市民の意識の変容を踏まえつつ、アンテナを高く、技術革新の潮流を常に捉え、社会課題の解決に貢献する様々な技術を有する民間企業との効果的な連携を図ることにより、「住んでみたい」「住み続けたい」市原市づくりに、全力で取り組んでまいります。
これまでの本市の基本的な考え方は「路線バスなど既存の公共交通を確保維持する」「撤退した場合は地域住民が公共交通を担うよう支援する」この2点。つまり民間と住民次第というスタンス。これでは先細りは当たり前です。
今後はぜひ市長の想いで、市の主体性を前面に出して取り組んでいただくよう要望します。
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格差のない社会の実現について
※施政方針の方向性に共感
市長は3期目のスタートに際し、拡大と成長を前提としたまちづくりから大きく舵を切り、いわゆる「ウェルビーイング」の高いまちを実現するとの決意を表明されました。
私は本市が、そのような真に成熟した都市となるために目指すべき優先度の高いテーマは「格差の解消」だと思っています。
従って、あらゆる施策・事業について、それが格差をなくす事に繋がるか、それともかえって拡大させてしまうことにならないか、という視点で問い直していただきたいのです。※格差を拡大する施策の例
例えば、デジタル社会が進めば、高齢者など真っ先にその恩恵を受けるべき人々が取り残されるかもしれません。
立派な公共施設を整備したり大がかりなイベントを打ち上げたりしても、関わることができる市民はほんの一部かもしれません。
給付金事業の対象者拡大で、かえって所得格差が助長することもあります。
ジェンダーギャップ、地域格差、健康格差、教育格差・・・本市には多くの格差が存在し、息を潜めて隠れています。
これからの市政運営はその影の部分に心を尽くすことが必要です。
格差の無い社会の実現について、市長のご見解をお聞かせ願います。 -
(市長)
私は、市長3期目の市政運営の基本的な考え方として、「みんなが輝く未来を みんなで創る」を掲げました。
私が思い描く「みんなが輝く未来」の姿は、地域の多様性を活かし、包摂的で、持続的に発展し続ける、全ての人々の幸せを追求した姿であります。
一つの姿としては、世代、性別、障がいの有無、国籍に関わらず、誰もが尊重され、日常生活に不満や不安を感じることなく、誰一人取り残さないまちの姿であり、議員のご質問にもあった格差のない社会と目指す方向性を同じくするものであります。
「みんなが輝く未来を みんなで創る」ためには、議員をはじめ、市民、各種団体、事業者、様々な事情を持つ人など、あらゆる人々の参画が必要であります。
そこで、私は、直接対話を行い、人々の思いを受け止め、施策に反映し、総合行政のもと、よりきめ細かな施策を推進してまいります。
私は、「みんなが輝く未来を みんなで創る」を旗印に、施策の「更なる質の追求」を進めるため、各施策・事業の立案や改善にあたり、配慮が必要な方々の視点を常に持ち、市民一人一人が幸せを実感できるよう、本市に関わるあらゆる人々と力を合わせ、取り組んでまいります。
いま多くの市民も、即物的な豊かさや一時的な賑わいよりも、日々の暮らしや未来に対する不安のない、地に足の付いた生活を何よりも求めていると感じています。
誰もが未来づくりの主役となれるよう、私たちも邁進する所存です。
以上で質問を終わります。