令和5年 第3回市原市議会定例会議 代表質問 森山かおる

1.いちはら障がい者福祉共生プランについて 

1)居住系サービス及びショートステイの受け皿について 

*長期的なショートステイ利用者を居住系サービスに繋ぐ

同プランは、障がい者基本計画、障がい福祉計画、障がい児福祉計画を一体的に進めるために策定され、当事者及び関係者の意見やアンケート調査などから、福祉サービスの計画値を推定しています。

例えば、居住系サービスについては、施設入所者数は定員が限られているため横ばい、グループホームの利用者は増加していくと見込んで計画値を算定しています。

R4年度では施設入所の計画値286人に対して実績値は同数、グループホーム利用者は計画値324人に対して実績値331人、一見すると市の見込み通りに推移しているように見えます。

ところがR5年6月現在でショートステイの支給量が一ヶ月31日という方が64名もおられ、現状と計画値にズレが生じています。

この方々の中には、長期的にショートステイを利用しているため入所を希望されていない方もおられると伺っていますが、一箇所の事業所を連続して使えず週単位で移動している方や、31日利用できていない方もおられます。また、ショートステイの本来の目的として、介護者がレスパイトなどで利用したいと思っても、このような長期的な利用や緊急対応で枠が埋まってしまい、希望しても利用できないという現状も起こっています。

プランによると、ショートステイについてはニーズが高まっているものの、市内や近隣市に資源が少ないことが課題だとされていますが、限られた資源を有効に活用していくためには、長期的なショートステイ利用者などを居住系サービスに繋いでいくことが優先課題だと考えますが、今後の取組みについてお聞かせ願います。

(保健福祉部長)

長期のショートステイ利用者について、お答えいたします。

ショートステイにつきましては、介護者の緊急時、あるいは一時的な休養のために、要介護者を施設で受け入れ、短期間の入所サービスを提供するものでございます。

一方で、介護者の高齢化、体調不良等による介護力の低下で、要介護者が自宅に戻ることが困難であること等の理由により、やむを得ずショートステイを長期利用するケースや、入所施設への待機者で緊急度の高い方が、長期間ショートステイを利用しながら入所を待っているケース等も一定数見受けられます。

このような、長期でショートステイを利用する背景には、地域において障がい者が安心して過ごすことのできる生活の場や支援体制が、まだまだ十分に整っていない状況があるものと認識しております。

 市といたしましては、「どこで 誰と 生活するかについての選択の機会の確保」という、障害者基本法の「地域共生等」の考え方を踏まえ、地域で希望する生活を送ることができるよう、様々な障がい特性に対応した「グループホームの整備」を促進するなど、引き続き、地域における受入体制の拡充に取り組んでまいります。

グループホームに対する情報がなく不安に思っている保護者も多い。情報提供も同時に行っていただきたいと思います。


*GHは増えても取り残される重度障害者

一方、市内のグループホームの稼働状況は、今年6月時点で社会福祉法人で97.1%、NPO法人77.4%、株式会社82.7%、その他(医療法人・合同会社)96%で、50人分の空きがあると伺っています。しかし対象者の障がい区分認定が4までという所が多く、重度障がい者や身体障がい者の受け皿は圧倒的に不足しています。

親が高齢化していく中で、重度障害のある子どもと暮らし続けていくのは肉体的・精神的にとても厳しく、放置すれば共倒れになりかねません。施設入所を希望しても現状は満杯で、グループホームは増えつつあっても市内や近隣市には子どもの特性に合った所がないため、在宅生活を余儀なくされているケースもあり、こうした現状をプランに反映させていただきたいと思っています。

そこで本来のプランのあり方として、単に数字合わせの計画値ではなく、当事者が求めるニーズを把握し、そのニーズにマッチした受け皿を増やすために、市の果たす役割を考え対応策を考えていただきたいのですが、見解を伺います。

(保健福祉部長)

当事者のニーズにマッチした受け皿を増やすための対応策について、お答えいたします。

 当事者のニーズを把握することは、当事者やその家族が目指す暮らしを実現するためにも、大変重要であると認識しております。

 市ではこれまで、支援区分4以上の重度の利用者が、8割以上を占める施設に設置を義務付けられている、スプリンクラーの設置費用を助成するなど、より重度の障がい者が、安心して利用しやすいグループホームの整備を促進するとともに、地域生活へ移行するための情報提供を行ってまいりました。

しかしながら、グループホームの量的な確保が充足されてきている一方で、重度重複障がい者や、医療的ケアを要する障がい者、高齢障がい者等、多様化するニーズに対し、受け皿が少ないと伺っており、取り組むべき課題があるものと認識しております。

今後につきましては、当事者のニーズ把握に努め、把握した情報を、県や事業者など関係者間で共有を図るとともに、重度障がい者等に対応するグループホームの整備促進に向けて、本年度進めております「障がい者福祉共生プランの改訂」の中で、有効な支援策について検討してまいります。

国の旗振りの元で地域移行が進められていますが、重度障がい者が取り残されたままにならないよう、ニーズにマッチしたグループホームが立ち上がるよう、事業者との情報共有を行って取組んでいただくようお願いします。


  

*質の担保

GHの事業者は主に社会福祉法人やNPO法人などでしたが、近年では株式会社の参入がめざましくなってきており、現在市内に90施設ほどあるグループホームのうち、約3割が株式会社だと伺っています。

株式会社の運営を否定するつもりはありませんが、中には障害特性等を踏まえた支援スキルが乏しく、社会福祉法人に運営のノウハウを求めたり、緊急時の対応を依頼してきたりするといった話しを聞いています。障がいの特性に応じた支援や安心して住み続けられる対応が図られているかは、利用者にとって非常に重要な問題です。
 受け皿を増やすことと同時に必要なのは、質の担保です。

市として、福祉に関わる経験が乏しい事業者に対し、質の担保をどのように考えているのか、お聞かせ願います

(保健福祉部長)

グループホームの質の担保について、お答えいたします。

新たにグループホームを開設しようとする場合については、県の定める人員・設備・運営に関する基準を遵守するとともに、千葉県知事の指定を受ける必要があります。

 現状としまして、多様化する障がい者のニーズに十分に対応できるグループホームが少ないことや、株式会社など営利企業の新規参入が増えている中で、サービスの質の向上は、障がい者の地域生活への移行を推進する市としても取り組むべき課題であると考えております。

一方、県では、障がい者のグループホームのバックアップ体制を強化し、量的拡充と質的向上を図ることを目的に、健康福祉センター設置圏域ごとに、「グループホーム等支援ワーカー」を配置しており、本市においては、東国分寺台にある「いちはら福祉ネット」において、支援ワーカーが相談を受けていると承知しております。

市では、この「グループホーム等支援ワーカー」が主催する研修会において、研修講師や制度に関する情報提供を行うほか、困難事例等の個別ケースについて、相談支援を行うなど、サービスの質の向上に向け連携を図っているところです。

今後も、事業者や利用者に対する相談支援を通じ、「グループホーム等支援ワーカー」と連携しながら、グループホームにおけるサービスの質の維持向上に取り組んでまいります。


2)福祉サービス等にかかる情報提供について 

プランに目を通して最も驚いたのが、情報収集での困りごとでした。R3年度版の改訂時におけるアンケート調査によりますと、福祉サービスや日頃の生活について必要な情報を集める時に「困っている」と回答した方は、1,897人中700名以上もおられ、そのうち75%が問い合わせ先が分からないとのことでした。

そこで当局では、療育や保育・ 教育・ 福祉などに関する行政や関係機関の相談窓口を分かりやすく一覧表にした 「おしえてマップ」をバージョンアップし、今年度発行されています。

それを必要としている方に届けるための周知方法について伺います。

(保健福祉部長)

「おしえてマップ」の周知方法について、お答えいたします。

市では、「障がいに関する相談をしたいが、窓口がたくさんあって、どこに相談すればいいのかわからない」という方が、相談先を決める手助けになるよう、障がい児・者に関する相談窓口を集約し、体系的にとりまとめた「おしえてマップ」を、市原市障がい者支援協議会・相談支援部会と連携して作成しており、毎年更新のうえ、市ウェブページに掲載し、広く市民への周知に努めているところです。

また、この「おしえてマップ」は、支援者が相談業務で活用できるよう、市内すべての相談支援事業所に配付しているほか、障がい者支援課の窓口で、相談を受けた際に、希望する方にお渡ししております。

今後につきましては、掲載内容を適宜更新していくとともに、必要な方に情報が行き渡るよう、障害者手帳の交付時に配付する「しおり」に、「おしえてマップ」の二次元コードを掲載する他、既に手帳をお持ちの方等への周知方法につきましても検討してまいります。

年に一度出す現況届のお知らせに同封するなど、周知を図っていただくようお願いします。


次に、情報提供について、私の経験から有効だったと実感したのが「障がい福祉サービス事業者ガイドブック」。訪問系・居住系・日中活動系のサービスについて、施設毎に対象とする障がい種別や受入れ体制などが記載されており、特別支援学校卒業後の進路探しにおいてとても役に立ちました。

このガイドブックは平成22年に作成されましたが、3年後(H25年)に改訂版が発行されて以降、更新はされていません。市のHPで確認したところ、そもそもこのガイドブックを知らない市民は検索しにくい上に、たどり着いたとしても「国の法令・制度が頻繁に改正されているため、実際の利用に当たっては最新情報を確認して下さい」との記載があるだけで、どこに最新情報があるのかも分からないのです。

窓口や電話での相談体制の充実も重要ですが、今やSNSの時代。知りたいと思った時にネット検索で情報を入手したいと思うのが、ごく自然な考えです。

千葉市では、エクセルを使ってサービス毎の事業所一覧表を作り、その他にも全国の福祉事業所を網羅した独立行政法人福祉医療機構の情報提供サイトWAMNETを案内しています。このサイトには現在、市原市内199箇所の事業所がアップされ定期的に更新されています。

同様に市原市においてもリンクを貼って案内するなど、市内にどのような福祉サービスを提供している事業者が何処にあるのかといった情報を提供していただきたいのですが、見解を伺います。

(保健福祉部長)

市内の事業所に関する情報提供について、お答えいたします。

国では、障がい福祉サービス利用者の個々のニーズに応じた良質なサービスの選択や、事業者が提供するサービスの質の向上に資することを目的として、平成28年5月に障害者総合支援法及び児童福祉法が改正されたところです。

この中で、事業者に対して障害福祉サービスの内容等を都道府県知事等へ報告することを求めるとともに、都道府県知事等が、事業者から報告された内容を公表する仕組みを創設し、平成30年4月から施行されております。

 本制度における事業所情報の報告・公表・検索・閲覧は、独立行政法人福祉医療機構が運営する情報サイト「WAM NET(ワムネット)」において行われており、利用者は、本サイトの情報公開システムを利用することで、障がい福祉サービス事業所に関する情報の検索・閲覧ができるようになっております。

 今後につきましては、議員からご提案いただいたように、本システムは、障がい福祉サービス利用者と事業者の双方にとって、有効であると考えられることから、すみやかに本市のウェブページにリンクを設定し、障がい福祉に関する情報アクセスの向上を図ってまいります。

 市のウェブページにWAMNETのリンクを貼るだけでなく、千葉市のように見やすい一覧表を作って掲載することも検討していただくようお願いします。


2.生物多様性いちはら戦略について 

1)指標の達成状況について

近年、地球規模で生物種の絶滅、野生生物の生息・生育環境の悪化や生態系の破壊に対する懸念が高まったことから、国は2008年に生物多様性基本法を施行し、地方自治体に対して生物多様性地域戦略の策定を努力義務としました。

本市においては、市域の自然的・社会的な条件と課題に対して、生物多様性に関する施策等のあり方を示し総合的・計画的に推進するため、2017年に生物多様性いちはら戦略を策定しています。

2050年の長期目標「自然と共に生きる社会」の形成に向けては、里山保全活動、地球温暖化防止対策、農林業の担い手育成、有害鳥獣対策、公害・不法投棄等や地形変革等の抑制、環境教育学習など、非常に幅広い角度からの取組みが必要となります。

そこでまず、同戦略の指標の達成状況について伺います。

昨年12月に発行された環境基本計画年次報告書によると、生物多様性指標種の分布状況の予定値23種に対して未計測。市原市版生態園(市民、事業者、市等にかかわらず生物多様性の保全に関する適切な管理・活動が行われている場所のこと)の設置数についても、予定値10箇所が未定のまま。

これらの基礎資料となる現地調査は昨年6箇所、今年から来年度にかけて8箇所実施するという状況で出遅れています。

2026年の中期目標である指標種23種、生態園20箇所に向けて、今後3年間でどのように取組むのか伺います。

(環境部長)

指標の達成に向けた今後の進め方について、お答えいたします。

市では、市域の自然的・社会的な条件と課題に即して、生物多様性に関する施策等のあり方を示し、総合的かつ計画的に推進するため「生物多様性いちはら戦略」を策定し、施策の達成状況を評価するための「ものさし」として、指標を設定しています。

指標の数値は、環境基本計画の年次報告書において進行管理を行っており、現在公表している最新値は、2021年度の実績値で、「生物多様性指標の分布状況」については中期目標23種に対して未計測、「市原市版生態園の設置数」は、20か所に対して未設置となっており、遅れている状況にあります。

目標値達成に向けて、戦略に掲げる施策を効果的に推進するため、有識者や学識経験者等で構成する「生物多様性地域戦略協議会」や「プロジェクト検討会議」等において、各委員の知見に基づく様々な御意見をいただきながら進めているところでございます。

現在は、指標種の分布状況確認のため、令和4年度から令和5年度の2か年で生物多様性指標種調査を実施しており、令和4年度の調査の結果、エビネ、カタクリ、ゲンジボタル、トウキョウサンショウウオ、アリアケモドキなど指標種20種を確認しております。

このほか、国又は県のレッドリスト掲載種であるキンラン、タコノアシ、フクロウ、アカハライモリなども市内で確認しております。

今後は、調査に加えて里山活動団体や生物多様性の保全をはじめとする環境保全に関する協定を締結しているゴルフ場、更に市民等から幅広く情報提供をいただきながら、指標種の確認を行ってまいります。

また、生態園の設置に向けては、選定の評価基準や設置後の運営方法等の課題もあり、現在、「生物多様性地域戦略協議会」や「プロジェクト検討会議」でも、様々な御意見をいただいておりますことから、引き続き協議会の中で議論を重ね、設置に向けて検討してまいります。


2)里山保全活動について

*維持していくために

市内で里山保全活動に携わる団体は約20ありますが、そのうち市がR3年度に野生動植物保護地区として指定した場所を訪れ、活動者から話しを伺う機会がありました。

その方は市原市に転居してきた当時、たまたま散歩をしていた時にカタクリの花を見つけたそうで、以来約20年間の保全活動により生息範囲が広がり、今では群生地となっています。カタクリは寒冷地に生息する植物で、群生地としては市原市が日本の南限といわれており、非常に貴重だとのことです。

他にもイチリンソウ、ヤマネエンゴサク、アマナ、アズマヒキガエル、沢ガニなど市の生物多様性指標種が数々生息しており、その中には環境省が示した絶滅危惧種も含まれているという貴重な動植物の宝庫です。

 しかしその保全活動は急斜面での歩道整備・草刈りなど非常に重労働で、メンバーの高齢化や固定化により、あと何年続けられるか分からないとのことでした。

同様の課題は他の里山保全活動団体からも伺っています。

同戦略では、里山保全の担い手への理解促進と支援が挙げられていますが、策定から6年経っても活動継続に課題が残る状況。今後どのように強化していくのか、お聞かせ願います。

(環境部長)

里山活動の「担い手への理解促進と支援」の強化について、お答えいたします。

市では現在、里山の維持管理に必要な機械や燃料の購入等に係る費用に対する補助を通じて、里山活動団体の活動継続の支援を行っております。

一方で、里山活動団体は、会員の固定化や高齢化により、今後の里山活動の継続に不安を抱えているという課題があることは認識しております。

また、昨年度、里山活動団体の活動状況や課題を抽出するため、アンケート調査を実施したところ、活動団体からは「機械の修理代を補助対象にして欲しい」、「資金面が弱いため、2分の1の負担はきつい」といった補助金の補助率、限度額の引き上げと併せて、会員の高齢化や減少による、担い手不足といった生の声をいただいております。

このことから、補助金については、対象経費の拡大や限度額の引き上げなど、活動団体にとって利用しやすい制度となるよう、今後見直しを検討してまいります。

また、新たな担い手を確保し、継続した活動を支援するため、「いちはら推し活制度」の活用による情報発信や、市ウェブサイトなど様々な、広報媒体を活用して、団体の活動内容の紹介等を積極的に行ってまいります。

加えて、近隣の小学校と連携し積極的にイベントを開催し、新たな担い手として、若い世代が参加し活動している団体もありますことから、今年度再開する里山交流会の中で、他の団体の今後の活動に活かしていただけるよう、優良事例として紹介してまいります。

*任意の活動に頼るな

担い手不足への支援と同時に考えていただきたいのが、市の積極的な関わりです。 

先程の話しに戻りますが、カタクリは花を付けるまでに8年もかかり、一旦手入れを怠れば生息範囲がどんどん狭まるだけでなく、その地の生態系まで影響を及ぼします。

市が野生動植物保護地区として指定したのは、長年の保全活動の成果によるものです。しかしこれだけの貴重な動植物の宝庫となった場所を、いつまでも任意の活動だけに頼るのも限界があります。

活動の担い手が減少していく中で、市はこの保護地区の自然環境を今後どのように守っていくのか、お考えをお聞かせ願います。

(環境部長)

お答えいたします。

 野生動植物保護地区は、学術上、貴重な動植物の生息地であり、生息に適した管理が行われ継続して生息の維持が見込まれると認めた地区で、「市原市緑の保全および推進に関する条例」において指定し、土地所有者と活動団体に対して、それぞれ支援を行っております。

土地所有者に対しては、生息地の保全を図るため、奨励金を交付するとともに、維持管理に係る費用負担を軽減するため、土地に係る固定資産税を減免しております。

また、活動団体に対しては、継続的に活動できるよう、維持管理に必要な機械や燃料の購入等に係る費用の補助を行っております。

 一方で、会員の高齢化や減少など、任意の活動団体だけでは、土地を保全していくことは難しいという御意見もございますので、里山交流会の中で、課題解決に向けて活動団体と情報交換を行い、引き続き有効な保全策を検討してまいります。

活動団体との情報交換は重要だと思います。高齢化してきても担える活動もあるので、しっかり話しを聞いていただくことと、市の役割を明確にして積極的に関わろうとする姿勢をみせていただきたいと思います。


3)自然環境を守るための地形改変等の抑制について

 生物多様性が損なわれる要因の一つとして、残土処分などに伴う地形改変、即ち埋立てやゴミの不法投棄が挙げられています。 

 本市は残土及び再生土の埋立てが県内トップクラスであり、その度に自然環境が破壊され地域住民の生活環境までもが脅かされてきました。そのため私たちは残土条例の改正を訴えてきましたが、今や県内22市町村の自治体が独自条例を制定し県残土条例の適用除外を受けているにも関わらず、本市の動きは全く見られません。

しかし過去には自然環境保護の観点から「先進市の事例を参考にしながら、これまでの樹林保全地区や野生動植物保護地区の制度等の対象の範囲や規制について検証し、必要な対応を検討していく」と答弁されています。

また同戦略においても、長期目標「自然と共に生きる社会」を達成させるための具体的な取組みとして「地形改変等の抑制方策の検討」が挙げられていますが、その兆しは一向に見えてきません。いつ検討されるのか、お聞かせ願います。 

(環境部長)

「地形改変等の抑制方策の検討」について、お答えいたします。

自然環境の保全につきましては、地権者の協力なしに、市だけでは取り組めるものではないことから、今後も地権者へ御理解、御協力をいただくための取組を推進する必要があります。

現在実施している生物多様性指標種調査の中間報告では、里山活動団体の活動場所やその周辺において、実際に豊かな生物多様性が育まれ、過去に確認できなかった生物を発見したという結果もあります。

更に、国又は県のレッドリスト掲載種等の希少な生物も市内で確認されております。

今後、生物多様性指標種調査の結果をはじめ、これまで市が実施してきた生物調査の結果をもとに、生息する生物の、年代ごとの変化が把握できるデータベースを整理し、見せ方を工夫して公開することを現在検討しています。

公開に当たっては、里山活動の成果をより多くの市民に知っていただき、里山活動団体の活動意欲の向上につなげるとともに、市民や地権者が、本市に希少な生物が生息していることを知り、生息する様々な生物や生態系を身近に感じ、自然環境の保全への理解を深めていただけるよう取り組んでまいります。

検討時期を伺ったのですが、結局いつ検討されるのでしょうか

(環境部長)

お答えします。

 地権者は、自身が保有する土地を活用する権利を有しております。

 財産権尊重の観点から、現在は地権者への御理解、御協力をいただくための取組を推進するということで進めております。

では、「地形改変等の抑制方策の検討」については、地権者への協力や理解を得るという事だけなのでしょうか

(環境部長)

現在はそちらを優先して取組んでいます。

それだけだとすれば、誠心誠意やっていただきたいと思います。

現在の地権者からは協力が得られたとしても、代が変われば考え方も変わり、将来的に協力が得られなくなる恐れもあります。そうすると今後生態園を設置するにしても保護地区で活動されている方にとっても、今までの活動が報われないということにならないよう、当局が豊かな自然環境を守りたいという強い思いをもって地権者の方に丁寧に説明して取組まれるよう望みます。