令和6年 第1回市原市議会定例会代表質問 森山かおる

今年元旦に発生した能登半島地震により亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方が安心して暮らせる環境と1日も早い復興を心から願っております。

1.市原市総合計画[実行計画(令和6年度版)]案及び令和6年度当初予算案について 

1)エビデンスに基づく事業の立案・見直しについて 

予算編成方針では、歳出の抑制として3つの取組みが示されました。

その一つが、エビデンスに基づく事業の立案・見直しにより、実行計画の実効性を高めるといものです。

これはEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)と言わるもので、施策効果の測定に関連する情報や統計等のデータを活用する事で、施策の有効性を高めるだけでなく、市民の行政への信頼確保に資するものです。

私たちはこれまで予算・決算審査において、目標値やゴール設定もなくロジックが曖昧な事業が散見されたため、エビデンスに基づく事業立案を求めてきました。令和5年度の予算編成からその観点が取り入れられたことは評価しておりますが、それがどのように反映されているのか資料からは読み取ることができませんでした。

 そこで、改めて伺いします。実行計画(令和6年度版)案におけるエビデンスに基づく事業の立案・見直しについて、どのように取組まれたのでしょうか。

(企画部長)

エビデンスに基づく事業の立案・見直しについて、お答えいたします。

実行計画(令和6年度版)案の取りまとめにあたりましては、「実行計画策定及び予算編成の基本方針」に基づき、各部局で立案した事業を検証し、採択を行ってきたところであります。

事業の採択にあたりましては、2つの視点により根拠となるデータや科学的知見といったエビデンスを確認いたしました。

1点目は「現状把握のための事実確認」、2点目は「事業効果の確認」であります。

1点目の「現状把握のための事実確認」の検証例としましては、「ひとり親家庭の養育費確保に向けた支援」があります。

「市原市子ども・若者の貧困対策推進計画」に基づく、市内の全ての小学5年生及び中学2年生とその保護者を対象とした調査結果において、困窮層のひとり親家庭の6割以上が養育費に関する取り決めや養育費を受け取っていないという事実を確認しましたことから、その必要性を確認し、本事業を新規事業として採択いたしました。

また、事業の見直し例としましては、「子どもの学習支援」があり、先ほど御紹介した調査で、中学生を対象とした学習理解に関する質問で、小学5年生頃から授業がわからなくなったという回答が2割を超えていたこと、人的資本への投資は年齢が低いほど効果的であるといった科学的知見も確認できたことから、対象を中学生から小学5年生以上に拡大したところであります。

2点目の「事業効果の確認」につきましては、先進自治体での成果や実績等を確認した上で事業採択したほか、「不登校児童生徒への支援策」など実績を確認することができない事業につきましては、モデル事業として取り組むこととし、今後、事業効果を検証した上で拡充・廃止等の見直しを行うことを前提に事業採択したものもあります。

 このほか、各レビューや予算編成の最終判断となる市長ヒアリングにおいて、「現状把握」や「事業効果」について根拠等を確認できなかった事業案については、不採択としたところであります。

 トータルシステムにおけるエビデンスに基づく事業の立案及び採択、見直しにつきましては、引き続き、システムの改善を図り、実効性の高い施策を展開できるよう取り組んでまいります。

 

その取組みを予算書に表していただきたかっと思います。

一方で、当初の事業スケジュールを無視して、唐突に重点取組み事項とされている事業があるのが気になります。

例を挙げると、学びのまち推進事業では、先月行われたエンジン01 in市原を引き継ぐ形でエンジン02を開催するとして約1,100万円が計上されています。

今定例会の冒頭で市長は「学びのまち」のレガシーとして、しっかりと引き継いでいく覚悟を述べられていましたが、当初の事業スケジュールでは令和6年度に成果検証・検討を行ってから、令和7年度に学びイベントの実施を予定されていました。

成果検証も済まないうちに1年早めて開催されるにあたっては、相当な理由付けが必要です。

どのようなエビデンスに基づき実施時期を見直すことになったのか、お聞かせ願います。

(総務部長)

お答えいたします。

 市原市でのエンジン01の開催決定後、イベントの周知を図るため、上総いちはら国府祭りでのプレイベントに加え、大会テーマやプログラム発表のための合同記者会見、12月のチケット販売開始に合わせたユニモ市原でのプレイベントにおいて、大変多くの方々に参加をいただきました。

また、エンジン01の開催を市内外の企業・団体へプロモーション活動を行っていく中で、エンジン01を本市で開催することに期待する声や、こういった学びのイベントを一過性のものにするのではなく、今後も継続して行ってほしいという声を多数いただくなど、エンジン01に対する機運の高まりを強く感じたところでございます。

このような状況のもと、エンジン01の開催に携わっていた全ての事務局職員が、この機運の高まりを肌で感じ、継続した学びの機会の創出を機を逸せず、前倒して行うべきではないかと考え、令和6年度予算編成にあたり、エンジン02の次年度実施を検討したものでございます。

その後、エンジン01当日を迎え、非常に多くの来場者が訪れ、会場での学びに対する熱気に圧倒されるとともに、現在集計中の来場者アンケートでは98%の方が有意義であったという回答をよせた結果を見て、市民のエンジン02への期待について確信を得たところでございます。

今後さらに来場者のアンケート結果の詳細や運営に携わった関係者の意見などを検証していく中で、02の開催に向けて、より皆様の満足度が高まる取組みとなるよう進めてまいりたいと考えております。 


先日も、アンケートで有意義だったとの回答が98%、学び続けたいとの回答が多かったとの答弁がありましたが、それはエピソードでありエビデンスとは言えません。

しかもそれを理由に実施するのであれば、市民意識調査で常にトップである公共交通の充実はどうして進まないのでしょうか。

五井・八幡宿・ちはら台駅、ロングウッドステーションからシャトルバスを出す費用があるなら、土日祝日に運休になったバス路線に振り向けてほしいと切実に願っている市民がいることを忘れないでください。

一度目の開催から1ヶ月も経たないうちに実施時期の前倒しを決定することが効果的だという根拠が乏しく、そもそも当初の事業立案が甘かったということにもなりませんか。

エビデンスに基づく事業の立案・見直しは道半ばといった印象が拭えません。

今後は、事業の目的達成までに至るロジックを明確にし、事業立案の過程が分かるよう予算案に示していただくよう要望します。


2)予算配分について

歳出の抑制の取組みとしてもう一つ、市単独扶助費の適正化があげられています。

例えば今定例会の議案にもなっている市原市福祉手当の見直しは、4年ほど前から障がい者施策推進協議会検討されていました。その当時は事業費が増加していくと見込んでいましたが、逆に年々減り2022年度と比較すると1,870万円減少しています。 

それでも見直しに踏み切ったということは、今後ますます扶助費が締め付けられていくのではないかと懸念しております。

これは一例でありますが執行部の大元の考え方として、先程のエビデンスが曖昧な事業は当初予定を変更してでも予算化され、一方で扶助費の適正化として歳出抑制するという予算配分の考え方に首をかしげざるを得ません。

セーフティネットでもある社会保障関連経費が増大するのは人口構造上当然のことです。しっかり対応できる予算配分について、当局の考えをお伺います。

 

(財政部長)

扶助費等の社会保障関連経費に係る予算配分についてお答えいたします。

予算の性質別区分による扶助費については、住民福祉を支える義務的経費であり、その多くは、支出を抑制することができない経費となっております。

したがいまして、扶助費は、財政硬直化の大きな要因となるところ、扶助費の直近10年間の予算の伸び率は、年平均4.6%と、扶助費以外の倍の率で増大が続いており、令和6年度当初予算案では、前年度比約34億円、11.1%増の338億5千万円で、一般会計全体の約3割を占めている状況でございます。

予算編成にあたっては、財源に限りがある中、新たなニーズにも的確に対応するため、全ての事務事業について不断の見直しが必要であり、扶助費についても例外ではありません。

特に、市単独扶助については、国制度の間の補完を目的に創設されたものも多く、近年、制度の充実が図られておりますことなどから、類似事業の有無や他自治体とのバランスなども踏まえ、効果を検証し、見直しに取り組むこととしているところです。

なお、見直しにより生み出した財源は、ニーズを踏まえた新たな事業にも活用し、令和6年度予算案では、障がい者の就労支援や日常生活支援の拡充、子育て支援の充実等に反映することができました。

今後とも、予算編成にあたりましては、全ての事務事業について、その効果等の検証による見直しに取り組みつつ、社会保障関連経費は、住民福祉を支える経費であることを念頭に、しっかりとその財源を配分していかなければならないものと考えております。


弱者切り捨てと捉えられないように、ロジックが曖昧な事業の精査を優先して歳出抑制とし、適切な予算配分に努めていただくようお願いします。

2.大規模災害への備えについて  

1)市の備蓄品と応援協定とのバランスについて

 市原市地域防災計画では東京湾北部地震を想定し、マグニチュード7.8、震度6強から6弱、全壊 6,400 棟、死者 170 人、負傷者 4,760 人に上ると予測されております。この予測は平成 20 年度防災アセスメント調査に基づくもので、耐震改修や建て替えによる耐震化の進展によって予測被害量は年々減少傾向にあるとの考えです。

 これらを元に、市では避難者を43,000人と想定し、1日3食3日間分のアルファ化米やレトルト食品、非常用飲料水などを備蓄しています。また災害時の支援として、食料品や生活必需品などの物資供給や配送、災害復旧、廃棄物処理、情報通信、医療支援などの応援協定を、102項目に渡り締結しています。

しかし能登半島地震では帰省時期と重なったため避難者想定を上回り、備蓄していた食料品が1日で尽きてしまったという衝撃的な報道や、仮設トイレが足りず不衛生な状況に置かれた避難所生活が明るみになりました。

道路の寸断により支援物資が届かないという状況は、私たちが住む房総半島においても同様に起こり得る可能性があるため、多岐にわたる応援協定が実際に機能するのかが気になります。

そこで市の備蓄品と応援協定締結による物資調達のバランスについてお伺いします。

(総務部長)

お答えいたします。

議員のご質問にありましたとおり、災害の発生から3日間程度は、被災地外からの支援が行き届かない恐れがあることなどが予想され、被災地内での自立的な供給体制を整えるため、自助・共助・公助それぞれによる備蓄・調達を行うことが重要と考えております。

本市では、市内に最も大きな被害を及ぼすと推測される「東京湾北部地震」による最大避難者数「約4万3千人」を想定し、3日間の必要最低限な食料・飲料水・生活必需品などを指定避難所等に分散備蓄することとしております。

さらに、被災状況により、避難生活が長期化した場合などに備え、災害応援協定により、協定締結団体による物資の供給・輸送を実施する体制を構築しております。

なお、大地震での道路損壊等により陸路の物資輸送が困難となった場合につきましては、関係機関の協力を得まして、航空輸送を実施するなどの方法で対応してまいります。


備蓄品の見直しは考えておられないようですが、内閣府の調査によると、離乳食やお尻ふきなどの備蓄をしている市区町村は1~2割にしか過ぎないとのことです。本市はこれらの備蓄はしておらず、女性の視点で細やかな見直しを考えていただくようお願いします。

2)要配慮者を意識した避難所について  

 市では災害種別ごとに、小中学校、公民館・コミュニティセンター等の施設を避難所として指定しています。それ以外にこれらの避難所では避難生活が困難な高齢者や障害者など、いわゆる要配慮者が避難生活をする場所として、市内に30箇所の福祉避難所があります。

一時避難所に一旦避難してから福祉避難所へという流れに対して、突然大きな声を出してしまうとか、人前でのオムツ交換が憚られるなどの理由から、福祉避難所にダイレクトに避難したいという当事者の声を聞いてきました。その検討も進めていただきたいと思っていますが、能登半島地震においては、輪島市では福祉避難所が25カ所指定されていたものの、地震後1週間時点での開設はゼロでした。施設の被災に加え、多くの職員が被災し人手が集まらず開設が出来なかったとのことです。

 このような状況を踏まえると、福祉避難所に頼るのではなく、一時避難所の福祉スペースの活用を進めていただきたいと思っております。

 体力が弱っている高齢者、障がい児者、人工呼吸器や吸引器など電源を必要とする方など、要配慮者の受入れを意識した福祉スペースについて、どのような準備を想定しているのか、お伺いします。

(総務部長)

お答えいたします。

災害時において、要配慮者が躊躇なく避難できる体制を構築することは大変重要であると認識し

ております。

このことから、市では、全ての一次避難所において、避難所ごとに、避難所運営個別マニュアルを作成し、要配慮者のための専用スペースを確保するとともに、受入れに必要な資機材の整備を進めているところでございます。

また、実際に避難所を運営する避難所担当職員は、避難所となる施設を必ず現地確認するとともに、施設管理者と運営方法について、協議を行っております。

この他、避難所担当職員への訓練といたしまして、段ボールベッド・ワンタッチパーテーションの展開訓練や、発電機の始動訓練のほか、避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくか模擬体験をするHUG(ハグ)訓練などを実施し、避難所運営能力の向上を図っております。今後も災害への備えに万全を期し、市民の皆さまの安心・安全につなげてまいります。


一時避難所はムリだと思い込んでいる方もおられますので、是非周知もしていただくようお願いします。

3)避難所以外に身を寄せる避難者への対応について

 家屋の損傷程度によっては水道やガスなどのインフラが途絶えても自宅避難を選択したり、集団生活に馴染めないといった理由から車中泊を選択したりする場合もあります。

能登半島地震の発生から1ヶ月経った2月初旬、約14,400人が避難所に身を寄せる一方で、壊れた自宅や車など避難所以外で生活する人が少なくとも約7,400人いることが石川県のまとめで判明しました。避難所にいる人の半分を超える人数です。

 避難所から離れると備蓄品や支援情報が届かず、保健師等による健康管理や備蓄品の提供が受けられなくなる恐れがあります。

 避難所以外に身を寄せる避難者をどのように把握し、備蓄品や情報提供を行うのか、具体的にお聞かせ下さい。

(総務部長)

お答えいたします。

市では、『市原市地域防災計画』に基づき、在宅や車中泊など、避難所以外の場所で避難生活を送る在宅等避難者に対しても、避難所滞在者に準ずる避難生活の支援に努めるものとしております。

在宅等避難者の把握方法につきましては、市のみでは困難なことから、現地連絡本部となる支所との連携のもと、町会・自主防災組織など、地域で活動されている方々のご協力をいただきまして実施してまいります。

また、物資などの支援につきましては、避難所を拠点に実施することとしておりますが、避難所に行くことが困難な方につきましても、町会・自主防災組織などの協力を得て、自宅へ配布するとともに、保健師等の巡回診断も実施し、必要な方に確実に支援が届くよう努めてまいります。なお、物資配布などの各種支援情報につきましては、避難所に掲示するほか、防災行政無線、情報配信メールなど、複数の伝達手段を用いまして広く周知してまいります。


町会によって防災に対する取組み状況は様々です。そこを把握して、協力してもらえるように進めていただくようお願いします。

3.指定管理者制度の在り方について 

*選考会議及びモニタリングにおける第三者の参画について

指定管理者制度は2003年地方自治法の改正により、民間のノウハウを幅広く活用し市民サービスの向上と経費の節減等を図ることを目的にスタートしました。

市原市では2004年度の三和保健福祉センターへの導入に始まり、2024年度からは子ども未来館、墓園、火葬場施設が新たに加わり47施設に導入されることになっております。 

指定管理者の選定については、市職員で構成される選考会議において評価項目を決め、面接を行って候補者を絞り込み、外部有識者で構成される選定審査会で候補者を決定した後、議会での議決を経て選定されます。

私が常々感じてきたことですが、議会で提示される資料は応募者の評価点数と総合的な選定理由のみで、具体的にどのような差があるのか分からず、判断材料が乏しいということ。

公表されている議事録を見ると、外部有識者で構成される選定審査会では選考会議の結果を基に確認するだけで、議論は殆ど交わされておらず、有力な決め手となっているのは応募者と直に面接し候補者を絞り込む選考会議だということがよく分かります。

しかし選考会議の構成メンバーは市職員なので、委託する立場としては同様の施設管理の経験や安定した財務状況に自ずと意識が働き、組織力や資金力をもつ団体が評価されやすいように感じています。

またモニタリングに関しては、指定管理者の自己評価と市の評価点数はほぼ同じで、利用者からの苦情に対して改善を求めるに留まり、更なる市民サービスの向上や指定管理者の育成に繋がっているようには思えません。

これらを踏まえ、指定管理者制度の公平性・透明性を高め更なる市民サービスの向上を図るために、選考会議やモニタリングに専門的知見を有する第三者を入れていただきたいと考えますが、見解を伺います。

(総務部長)

お答えいたします。

指定管理者の選定につきましては、「候補者選定評価表」及び「基準評価値」、こちらを外部有識者のみで構成する附属機関である指定管理者選定審査会に諮った上で、決定された当該基準に基づき、職員からなる選考会議で選考を行い、その結果を改めて、指定管理者選定審査会にて審議し、選定するという仕組みで行っております。

 従いまして、選定につきましては、そのプロセスの中で、一定程度第三者性が確保できていると考えているところでございます。

次に、モニタリングにつきましては、現在、指定管理者による自己評価に加え、発注側である市による評価にて構成しているところであり、第三者による評価は実施していないといったところです。

他自治体の評価方法を調査したところ、モニタリング調査を会計監査法人等に委託をして評価するといった方法もありましたことから、このような事例等について、その有効性などを引き続き調査・研究してまいります。その上で、次年度に「指定管理者制度の運用手引」の見直しを予定しておりますことから、評価にかかる経費や時間、精度など、本市に適した評価方法を総合的に判断して、客観性・中立性が確保された第三者評価の仕組みについて、具体的に検討してまいります。


現在のモニタリングには問題があります。

R3年7月に温浴施設憩の家でレジオネラ菌が検出されました。当時の指定管理者が仕様書通りの清掃を行っていなかった可能性が高く、報告書を提出していなかったことに加え、それを管理できなかった行政のずさんさが原因でした。今回、その当時のモニタリング結果がどうだったのか調べてみたところ、レジオネラ菌の検出が判明した前後2年間(R2・3年度)の結果が見当たりません。何故公表されていないのでしょうか。

第三者の参画があれば、こうした隠蔽とも捉えられる行為や、報告書の提出がなかったことにチェックが入り事態を防げたのではないでしょうか。市の指定管理者制度の運用手引きでも、モニタリングは市民サービスの継続的な向上を図る上で非常に重要と位置づけており、費用がかかるからと言ってモニタリングを軽んじることは本末転倒です。本来であればその費用を含めた上で、指定管理者制度の導入を考えていただきたいと思います。


*応募者を増やすことについて  

 R7年度には多くの施設が指定管理期間の終了を迎え、公民館やコミュニティセンター、市民会館といった非公募施設を除くと17施設の公募が行われます。

そこで約3年前の選定当時の応募状況を調べてみたところ、17施設のうち7割以上の13施設が1者応募であり、そのうち10施設は市の上限額で選定されております。

 この状況から、指定管理者制度の目的である市民サービスの向上と経費の節減等を図るために必要な競争原理が働いていないと言えます。私がここで言いたいのは、コストカットのための競争ではなく、民間の持つノウハウやアイデアを十分引き出せるための経費を見込んだ上での競争であり、それが市民サービスの向上に繋がるということ。従って、市の提示額が適切なのかといった検証も必要だと思っています。

昨年2月のNHK報道では「官製ワーキングプア?」のタイトルで指定管理料が問題視されました。同7月の読売新聞では、2021年度から2年間の47都道府県と20政令市の状況を調査したところ、26 自治体の 57 施設で 1 度目の公募が不成立、このうち 49 施設は応募がゼロとのことでした。不成立の理由としてコロナ禍や物価高の影響があげられており、採算が見込めないということです。

 この流れが本市の指定管理者の応募にも影響してくるのではないかと危惧しております。

1者応募が多い状況を打開し、応募者を増やすための改善策をについてお聞かせ願います。

 

(総務部長)

指定管理者の応募者を増やす取組について、お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、指定管理者制度の目的である市民サービスの向上と適正な経費の縮減を図るためには、市内外から多くの事業者に応募いただき、競争原理を健全に働かせることが重要でございます。

 基本的には、民間事業者が参入しやすい要件を整えることが不可欠であり、具体的な例を申しますと、企業団体が今までに蓄積したノウハウを活かせる環境や指定に係る手続、その後の市とのやり取りの簡素・効率化、指定管理者のインセンティブとなる施設利用料金の活用、収益確保、スケールメリットを発揮できる発注単位の見直しなどが考えられます。

 多くの施設が、令和7年度末で現指定管理期間を満了し、令和8年度からの新たな指定管理期間を迎える予定であることから、令和6年度中に考え方を整理いたしまして、令和7年度の指定手続に反映できるよう取り組んでまいります。


民間にとって魅力だと感じられるよう自由度の高い仕様にするなど、工夫を凝らしている自治体もあるようです。ここで自覚していただきたいのは、そもそも民間は採算がとれなければ応募はしないということです。

現指定管理者にアンケートをとるなどして、意見を聞くことも有効ではないでしょうか。

市民サービスの向上に主眼を置く指定管理者制度を目指すためには、これからの時代に対応できるスキルをもった人材が必要であり必然的にコストはかかります。それをコストカットありきで進めようとするから、ワーキングプアを生み出してしまっているのです。

適切な指定管理料の設定を含め、指定管理者制度の在り方そのものを見直していただくよう要望します。