令和5年 第1回市原市議会定例会議 代表質問 質疑応答 小沢みか
代表質問 質疑応答 小沢みか
- 市原市総合計画【基本計画2023改訂版】素案並びに【実行計画(令和5年度版)】案について
基本計画の改定の中身は全体的にほぼ想定内という印象を受けていますが、実行計画案については、個別避難計画の策定に福祉関係者が関わる仕組みの構築や、「誰一人取り残さない包摂的な社会に向けた取り組み」としてのパートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入、ヤングケアラー支援の強化、生活に困窮する家庭の児童生徒への学習支援の拡充など意欲的な項目が並び、たいへん注目しています。
個別の取り組みの中身についてはこの後の予算審査に譲るとして、ここでは施策全体を貫く方針について、特に気になったポイント2点に絞って伺います。
(1)女性の視点の反映について 2問
※9月議会の主張から
私は、昨年9月の一般質問でもこのテーマについて取り上げました。真の「女性の視点を持った施策展開」とは、単に子育て支援策や女性を対象とした事業の拡充といった枝葉の話ではなく、各施策・事業を、全庁的に従来の発想からいかに女性視点の発想へ転換させるかということではないか、という趣旨です。
市長からは、今後も自ら積極的に女性の意見に耳を傾け施策に反映していくという前向きなご答弁を頂きました。また市長は常々「今後の市政運営を女性の視点で変革していかなければならない」と述べておられます。
そこで改めて伺います。今回の基本計画の改定にあたり、従来型の発想や手法などから女性の視点によって大きく転換するような事例はどのようなものがあるのか、お示し下さい。
(企画部長)
基本計画の改訂にあたり、いちはら未来会議、総合計画審議会、市民対話等において、女性視点での御意見や御指摘をいただき、施策の見直し等に反映いたしました。
特徴的な事例としまして、基本計画の施策4-1「少子化対策と子育て支援の充実」の施策展開において、従来は「1婚活」「2妊娠・出産・子育て」「3教育・保育」となっておりましたが、「結婚=出産」という固定的な考え方に御指摘をいただきましたので、今回の改訂作業で、新たに施策4-3「若者の思いを応援」を追加し、その施策の中で若者の思いを叶えるといった視点で「婚活」を位置付けることといたしました。
また、施策や事業を表記する際、最初に「出産・子育て」次に「教育・若者支援」といった順番でお示しすることが多くありましたが、「今のいちはらの子ども・若者が笑顔で輝いていなければ出産につながらないのではないか」といった御指摘もいただきましたので、変革方針や実行計画案では、施策や事業の表記について見直しを図ったところであります。
今回御質問をいただきまして、改めて女性視点とは何か、といったことを部内で話し合ったところ、女性は、家庭・職場・地域など、生活者視点で自分を取り巻く環境を丸ごと捉えて考え、男性は家庭や職場など切り分けて考える傾向にあるのではないかといった気付きもありました。
複雑多様化する地域課題を解決するためには、ジグゾーパズルの空いているピースをはめるように目の前の問題だけに注視するのではなく、ルービックキューブのように多面的に問題を捉えることが効果的とも言われており、今後、基本計画の推進にあたり、生活者視点で施策間連携を図り、都市像実現に向け取り組んでまいりたいと考えております。
※強くしなやかな地域に進化するために女性の視点が必要
コロナ禍は「女性不況」と呼ばれるほど特に女性に深刻な影響を与え、少子化もますます加速しています。
厚生労働省人口動態統計によれば、昨年の出生(しゅっしょう)数は初めて80万人を割る見通しで、国立社会保障人口問題研究所が推計していた時期から8年も早まるというスピードです。出生数の減少はもはやどんな政策を講じても動かしがたい状況にあります。
いま早急に求められるのは、人口が増え続けていた時代に作られた制度や増えることを当て込んだ社会モデルを、人口が減っても維持できる仕組みや手法へと根本から変え、それに適合できる強くしなやかな地域へ進化させることです。
そのための有効な手立ての一つが、これまでの施策を女性の視点でリデザインしていくことだと考えます。
基本計画の改訂にあたり最もチェンジしなければならないのは、そういった意識にあると私は思いますが、市長のご見解をお聞かせ願います。
(市長)
本市の最重要課題の一つに、女性の転出超過があることを踏まえても、女性が住みやすいまちの実現に向けて、あらゆる分野の政策形成過程において、女性の視点で検討することは、必要不可欠であると考えております。
市内には、様々な分野において、地域のために活動されているたくさんの女性がおり、私は自ら足を運び、積極的に対話の機会を持ち、日々、感じておられる女性ならではの思いやニーズを伺い、政策に反映させるべく取り組んでおります。
また、市政運営に女性の視点を取り入れるために、女性職員が新たな施策や事業立案を参画し、自分のアイデアを発言する機会を設け、積極的に登用することで、管理職として自信を持って活躍する女性職員が増えてきたことを、大変心強く感じております。
さらに、庁内のプロジェクトチームにおいて、女性職員が率先してプロジェクトチームを率い、新たな視点での提案により、おやこでスペースが事業化されるなど、これからのまちづくりを担う職員として、将来の活躍を期待しているところであります。
私は、今後も、あらゆる場面でこれまで以上に積極的に女性の意見を伺い、市政運営に女性の視点を活かすことで、誰もが安心して生き生きと暮らすことのできるまちの実現に向け、覚悟を持って取り組んでまいります。
※具体事例とまとめ
例えばまちづくりの市民会議の中で、子育て中の女性が「市原市の夜の駅周辺は怖くて歩けない」という意見を述べたところ「昔からそんなものだ」と一笑に付されたと聞いています。そういった声に敏感に反応し深掘りできる感覚をもっと持って下さい。
先ほどプロジェクトチームのお話もありましたが、一定の施策や事業・或いはエリア等を、女性主導のプロジェクトチームに丸ごと任せるというチャレンジも良いと思います。そういう意味で私は(仮称)子ども未来館整備に向けたワークショップのような機会に、もっと女性職員が直に関わる姿を見たいと感じました。
若い世代の女性の転出超過は単なる現象であって課題ではありません。その根源にある「暮らしの困り感」に真の課題があるのですから、そこを丁寧に掘り起こす事ができる組織への変革を期待します。
私はこれまでこのテーマを何度か取り上げてきました。SDGsが掲げるジェンダー平等の潮流の中、あえて「女性」とくくった発言をするもどかしさを常に感じています。そうする必要のない市原市であって欲しい。そう心から願っています。
(2)エビデンスに基づいた事業の立案選定について 1問
昨年10月に出された「実行計画策定及び予算編成上の留意点」において、「新規事業や重点事業を対象に、エビデンスに基づき事業の立案選定を行なう」また「新たな事業の実施にあたっては、既存事業のスクラップを同時に講じることを原則とする」との方針が掲げられました。
更に基本計画の改定素案では、経営資源の最適化の手段として「全庁でスクラップが恒常的に行われるような仕組みを構築する」と明記されました。
これらの方針は民間では当たり前の観点とは思いますが、当局がこのように初めて踏み込んで表明されたことについては、大変評価しています。
そこで、実行計画(令和5年度版)案において、具体的に事例を挙げながら、これらの方針をどのように反映されたのかご説明願います。
(企画部長)
初めに、エビデンスに基づく事業の立案・選定につきましては、各部局に対して新規及び重点事業は、目的・対象・効果を具体的に示すよう通知した上で、提出された資料やデータをもとに、効果等を検証し、事業採択いたしました。
一例を申し上げますと、第2子以降の保育料の無償化など子育て支援に係る新規・拡充事業につきましては、先進自治体での事業効果等を検証し、事業を採択したところであります。
次に、事業の新規立案と合わせた既存事業の見直しにつきましては、「実行計画(令和5年度版)策定方針及び令和5年度予算編成方針」において、施策ごとに実施すべき事業の優先順位を見極め、優先順位が低い事業を見直すよう取り組んでまいりました。
今後は、具体的な成果をお示しできるよう更なる仕組みの改善を図る必要があると捉えております。
また、全庁で事業のスクラップが恒常的に行われる仕組みにつきましては、計画・予算・改革が一体となったトータルシステムにおいて、今後は事業単位から、施策単位で評価・改善する仕組みへと発展させ、事業のビルド&スクラップが効果的に進められるよう取り組んでまいります。
エビデンスに基づいた事業の立案選定はすなわち、市政運営の透明性を高め、市民に対する説明責任を果たすことにつながります。
市長が目指す市民との「対話と連携によるまちづくり」には欠かすことのできない取り組みだと思います。着実に進めていただくよう要望します。
2.保育の質の向上について 2問
子どもの育ちを社会全体で後押しするための司令塔として、子ども家庭庁がR5年4月に新設されることとなりました。政府は少子化を「静かなる有事」として「異次元の少子化対策」に取り組むとしていますが、そのような動きはさておき、基礎自治体たる本市は「子どもの育ちを支える」ということの本質をどう捉え、どの程度の覚悟で臨まれるのか、主に民間施設を念頭に、保育の質という角度から確認します。
(1)市原市の保育現場の課題について 1問
※量の拡大から質の向上へ
先般、市原市子ども未来プラン(事業計画)中間見直しの素案が出されました。それによりますdと、市内の待機児童数については概ね解消されつつあるようです。
希望した保育所に入れない「隠れ待機児童」などの課題も残されているものの、入園児童数は既にピークアウトの傾向にあると思われます。
今まさに、保育施設の量の拡大から保育の質の向上に素早く軸足を移すことが求められています。
※他自治体との格差、保育士配置基準などについて
昨年、全国的に保育園や幼稚園での事件・事故が相次いだことで、これまで放置されてきた保育現場の窮状が改めて社会問題となりました。
実際、国が定める保育士の配置基準や補助メニューでは到底足りないため、以前から多くの自治体が現場の実態に即したプラスアルファの支援事業を独自に工夫し設定しています。
先日の代表質問でも増茂議員が市川市の取り組み事例を紹介されていましたが、その他にもほんの一例だが八千代市は市単独で保育士一人あたり月額約39万円の補助、条件により4名まで可能、子育て支援員にも約19万円、補助員にも9万円、といった具合です。
しかし市原市は、国の示す基準に基づく事業や県から降りた補助事業といった最低限のメニュー以上の手立てを講じていません。
これは「保育園を考える親の会」が毎年発行する『100都市保育力充実度チェック』という冊子で、保育格差としてNHKでも取り上げられた。調査の対象は、首都圏1都3県と全国の政令指定都市合わせて100都市です。この資料によると、0歳児から5歳児まですべての年齢で国基準のままとしているのはわずか14都市で、残念ながら市原市もその中に含まれています。
※他自治体との格差、支援が必要な児童について
他市との格差は、支援が必要な児童に係る対応において一層顕著となります。
市原市は基本的に手帳を所持していなければ加配の対象となりませんし、「発達が気になる子」のための療育支援加算はあるものの、何名在園しても月38,000円です。
インクルーシブ保育を行うにあたっては、高い専門スキル、保護者応対スキル、危険認識スキルなどが求められます。保育士の月給およそ30万円に対し、38000円で子どもの安全を守れというのは、余りにも現場感覚に欠けているといわざるを得ません。
※市長の方針を問う
このような取り組みの遅れが市内の保育士の就労意欲の低下や転職につながり、ますます保育の質が低下するという負のスパイラルが現実にずっと続いています。
保育士の配置基準や加配などについては、国県も検討中という事情も含みこの場では具体的な要望を控えますが、私が問いたいのは、もっと本質的な市の保育に対する想いの部分です。
私は「市原市の保育現場への姿勢は、県内自治体で最低クラス」との厳しいご意見をはじめ、苦悩や諦めといった現場の悲鳴をたくさん伺っています。
市長はこの状況をどう受け止めておられるのでしょうか。また、国県の動向如何に関わらず、市として今後保育の質の向上についてどのような手立てを講じるお考えがあるのか、ご見解をお聞かせ願います。
(市長)
私は、対話と連携を市政運営の根幹に据え、子育て世代や保育関係者との意見交換等を通じ、子育てしやすい魅力的なまちづくりを推進してきたところであります。
令和5年度実行計画・予算においても、子育て当事者の声や保育・教育事業者の要望等を踏まえ、子ども医療費助成の高校生までの拡充や、令和6年度に実施する第2子以降の保育料完全無償化に向けた取り組みなど、子育て支援を重層的に強化いたします。
しかしながら、何よりも大切な子どもたちの安心・安全の確保と健やかな成長のための支援に、ゴールはありません。
「子育て世帯に選ばれるまちの実現」の前に、保育士に選ばれていない現実を変えていかなければなりません。私は20~30代の女性の転出が保育士のそれと重なって見えます。
近年のコロナ禍による業務過多、ケアが必要な児童や保護者の増加なども相まって、市内も保育崩壊とも呼べる状況に陥っています。その一番の犠牲となるのが子ども達です。
ぜひ市長のリーダーシップでこの喫緊の課題を克服して頂くよう要望します。
(2)特に支援が必要な児童に係る支援について 1問
※保育現場の苦境
先ほど加配保育士の人件費について述べましたが、ここでは特に支援体制について伺いますd。
一番の問題は、本当は支援が必要なお子さんが市の入園面接では気づかれずに入園してきたケースです。
ほとんど認識がない保護者に、保育士は何度も段階を踏みながら面談し療育の必要性や受給者証の取得などについて説明します。しかし保護者によっては我が子の成長を保育士に否定されたと感じ、不信感が芽生えdます。転園に至るケースもまれではありません。
保育士は、加配もままならない中で日々の集団保育に加え保護者ケアという精神的な負担が限度を超え、頑張っている保育士ほど燃え尽きて次々と離職していきます。
これは想像ではなく、市内で現実に起きている話です。
何度も他市の事例を挙げて恐縮ですが、入園決定前に園と行政が合同で面接を行い、児童の発達や家庭の状況を確認し、その後の連携支援につなげているという白井市や印西市、市の担当者が1,2ヶ月ごとに巡回し発達支援センター職員の訪問に繋ぎ、保護者に直接説明している千葉市など、様々知恵を絞った取り組みを耳にしています。
※ネウボラや発達支援センターとの連携を
本市も、親子を伴奏支援するネウボラ制度や発達支援センターという相談機関が曲がりなりにも揃っている訳ですdから、その仕組みや専門性を保育の現場にも活かし連携することで、保育士の負担を軽減し保育の質を高めることができるはずです。
保育現場におけるフォロー体制の構築・強化について、ご見解をお聞かせ願います。
私は、子ども政策の強化に向け、コロナ禍など保育を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、保育現場の負担の増加や、子育て世代のニーズが多様化する中、現場や子育て世代の声により耳を傾け、対話を深めながら、効果的な支援の事業化や国・県への働きかけなど、当事者の思いにしっかりと応えていけるよう、取り組んでまいります。
想定を超えた少子化が大きく進行し、国家的重要課題である子ども・子育て支援の充実は、本市においても最重要の施策であり、未来への投資として、必要な対策に躊躇なく迅速に取り組み、これからの保育行政を全力で推進してまいります。
(子ども未来部長)
本市では、発達に不安がある児童の育ちの場である、保育現場への支援のため、児童の状態や傾向に応じた適切な対応が図られるよう、発達支援センターの臨床心理士による巡回相談等を実施しております。
巡回相談は、児童の発達状態や行動を確認し、担当の保育士等に対して、児童との関わり方や座席の配置等のアドバイスを行うとともに、保護者からの相談に対し、丁寧に対応しておりますが、支援が行き届いていない施設があることから、令和5年度実行計画・予算では、強い思いを持って、巡回日数を増やし、支援を拡充したところであります。
また、保育所等訪問支援では、主に発達支援センターから保育所・幼稚園に移行する児童を対象として、専門職が定期的に訪問し、活動の場面ごとに介助を行い、生活の流れに順応出来るよう、サポートを行っており、これ以外に言語聴覚士や作業療法士、理学療法士が保育現場を巡回し、ことばや身体の発達に関する専門的な視点からの助言を保育関係者に行っております。
発達支援センターの専門性を生かした保育現場への支援につきましては、子育てネウボラセンターや子ども家庭総合支援課等と連携を図りながら行っておりますが、現場の状況に応じた必要な支援が十分に届けられるよう、保育関係者の皆様と対話を重ね、良好な保育環境を創出する地域支援体制の拡充に向け、引き続き、努力してまいりたいと、強く考えております。
今回、私の質問のポイントは「他自治体との格差」です。ご答弁ではやっていることを並べていましたが、他自治体ができていることが市原市ではできていない。
手帳取得者、受給者証取者、いわゆるグレーのお子さん、どの園に何名いてどんな様子か、ちゃんと把握しているでしょうか。
まずは現場の声にきちんと耳を傾けてください。
市長が重点的取り組み事項とする「子育て世帯を徹底的に応援」の中で示す数々の負担軽減策や子育て支援施設の整備などは評価したいところですが、いま現実に子育て世帯を徹底的に応援しているのは保育現場の職員であり、いまや保育は社会インフラです。子育てをする側と同時に、子育てを支える側にも寄り添った取り組みを切望します。
3.八幡宿駅周辺の拠点整備について 3問
※拠点整備事業の経緯
このたびの市長あいさつにおいて「拠点まちづくりビジョンの実践」が重点的取り組み事項の筆頭に掲げられており、サンプラザ市原等公共施設の機能転換や「市原市拠点形成基金の造成」という財源対策等も示され、いよいよ拠点形成への本格的な段階に入ったと感じています。
令和元年(2019年)に市原市拠点形成構想が策定され、同時に地域住民等を対象とした拠点別の勉強会が積極的に行われ、そこで出た意見は「拠点将来妄想図」とともに、R3年3月にまとめられた市原市拠点まちづくりビジョンに反映されました。
その際には、今後のスケジュールや地元組織の組成の必要性並びに事業スキームが示され、八幡宿駅周辺は「スポーツ・健康づくりに親しめる交流拠点」と位置づけられました。
以上の経過や現状を踏まえ、何点か伺います。
(都市部長)
JR3駅周辺の拠点別整備基本計画につきましては、様々な関係者との協議や調整の熟度が各拠点において異なることから、既に地域等との調整が進んでいた五井編を昨年10月に先行して策定し、具体的な土地利用方針や事業手法、ロードマップ等をお示ししたところでございます。
八幡宿駅周辺につきましても、五井駅周辺と同様に公民連携による拠点まちづくりを進め、民間活力を最大限活用できるような土地利用方針とするため、これまで、民間事業者等との対話を重ねてまいりました。
また、市街化調整区域に立地する市原スポレクパーク周辺の県有地等を含めた用地の利活用についても、一体的に検討を進めるため、関係機関等との協議を行っているところであり、これらの調整に時間を要しております。
今後も、拠点まちづくりビジョンに掲げる八幡宿駅周辺のまちづくりの方向性である「スポーツ、健康づくりに親しめる交流拠点」の具現化に向け、計画の早期策定に取り組んでまいります。
※スケジュールの遅れについて
まず八幡宿駅周辺については、当初のスケジュールでは令和3年度に整備計画を策定し、令和4年度から様々なプロジェクトが始まることになっておりましたが、もう2年以上も目立った動きがありません。
最近地元からは「どうせ自分たちが生きている間は何も変わらないよ」との諦めの声も聞こえ始めています。
いったいどのような課題があってスケジュールが当初より大幅に遅れているのでしょうか。
※個別事業ありきにならないために
地元住民からすれば、全体の将来像についての共通認識がほとんどない中で、西口エリアでは公共施設の再配置としての複合施設の建設、東口エリアでは学校施設の統廃合や区画整理事業といった個別事業だけが先行して粛々と進められ、県有地の活用もなんとなく語られているという、何ともチグハグで落ち着かない状況です。しかも特に複合施設に関しては、真に地元の合意を得るようなプロセスを踏んだものではないと私たちは認識しています。
さらにビジョンの実現にあたっては、整備計画の策定段階から地元を含めた組織体制によって推進するという方針が掲げられておりますが、勉強会以来、現在まで地元に対するアプローチが何もなされていません。
実行計画R5年度版(案)によりますと「拠点整備基本計画(八幡宿編)」はR5年度中の策定を目指すとしていますが、このままでは個別事業ありきで、後追いの基本計画はその正当化のために使われるだけになるのではないかと、私たちは危惧を抱いています。
そうなれば今後地元との連携構築は困難を極めることになるでしょう。
そのような事態を招かぬよう、整備基本計画策定にあたっては丁寧な対話が必要です。
住民への説明、組織体制の整備並びに民間事業者等の意向把握等については、今後どのようなスケジュール感でどのように取り組まれるのでしょうか。
(都市部長)
本市の拠点まちづくりを推進する上では、地域の皆さんをはじめ関係者、関係機関等との対話と連携により進めていくことが、非常に重要であると考えております。
このため、令和2年度まで開催いたしました「八幡宿駅周辺のまちづくりに関する勉強会」に参加頂いた民間事業者等との対話を重ねているほか、令和3年度から4年度にかけて駅周辺で実施した社会実験や、民間団体との勉強会など、様々な機会を活用して、情報収集や意見交換等に努めております。
今後につきましては、まちづくりに向けた活発な議論ができるよう、具体的な土地利用方針や整備手法、推進体制等を整理した骨子案をお示しした上で、地域の皆さんや民間事業者の皆さんなどとの丁寧な対話を重ねるとともに、パブリックコメントを実施するなど、幅広く市民の皆さんの御意見を伺いながら、令和5年度中の計画策定を目指し、取り組んでまいります。
※プロジェクトマネジメント(造り)とエリアマネジメント(育てる)について
拠点形成構想が実践バージョンに入ったとすれば、限りある財源や期間の中で、目標とする成果を着実に達成するための仕組みづくりは極めて重要となりますd。
公共施設の跡地活用や未整備の土地区画整理事業地区の推進、民間開発の計画的な誘導など様々な課題が想定され、地権者や民間企業との調整が複雑にからむ大規模な事業です。各プロジェクトを成果に着実に結びつけるための仕組みとしてマネジメントの手法は必須となります。
また、まちづくりの先進事例においては、事業実施後のまち全体の運営も含め地域総ぐるみで取り組むエリアマネジメントの手法が用いられ、五井の整備基本計画にも盛り込まれています。
今後、八幡エリアにおいても、こうした事業着手時におけるプロジェクトマネジメント、更には持続性のあるまちづくりの観点からのエリアマネジメントについて、現時点で検討すべき重要な取り組みと考えますが、当局のお考えをお聞かせ願います。
(都市部長)
拠点別整備基本計画では、ハード事業及びソフト事業といった、様々なプロジェクトを推進してまいります。
各種プロジェクトの推進にあたりましては、 事業開始や完了のタイミング、事業主体等も異なることから、議員御指摘のとおり、プロジェクトマネジメント等の視点は、大変重要であると認識しております。
つきましては、計画に位置付けられた各種プロジェクトを確実に実現するため、市がプロジェクトマネジメントの視点を常に持ち、それぞれのプロジェクトが円滑かつ効果的に推進できるよう、調整及び進行管理を図ってまいります。
また、それぞれのプロジェクトが相互に波及し、賑わいと交流を持続的に生み出すためには、市民、民間事業者、行政がエリアマネジメントの視点を持って、連携する組織体制の構築が重要であることから、計画策定の中で、組織体制等についても検討を行い、組織化を目指してまいります。
西口の複合施設のPFI事業や八幡東中の閉校に伴う跡地活用もずっと不透明な状態です。かりにも都市拠点に複数の未利用公共施設が何年も残されたままという情けない状況になれば、八幡を盛り上げようと活動するヤワタスタイル、若宮団地のまちづくり協議会など、地域再生に取り組む地元のモチベーションにも大きく影響すると思います。
拠点形成構想では「市がリーダーシップを発揮してまちづくり推進組織を構築し整備計画を策定する」との基本方針を掲げています。その言葉に期待して質問を終わります。
※議事録(正確な記録)ではありません。