令和4年第4回市原市議会定例会 代表質問 森山かおる

1.実行計画(令和5年度版)策定方針及び令和5年度予算編成方針について

1)最重要施策について

今年8月に公表された変革方針2022ではまちづくりの視点として5つに大別され、そのトップに子ども・若者・子育て世代が「住み続けたい」「住んでみたい」と思うまちの実現が掲げられておりました。そして、この施策を最重要施策として取組むとされていました。

今年度になってから、ネウボラセンターや発達支援センターの相談などの行政機能の他に子育てサロンやプレイルームといった機能を備える(仮称)いちはら子ども未来館、外国人交流や子ども食堂・子どもの居場所など多様性と公民連携推進の交流拠点となる五井会館、高校生・大学生・女性のためのビジネスチャンスの拠点となるサンプラザなど、子ども・若者・子育て世代に向けた五井駅周辺3施設の利活用方針が打ち出されたことからも、市の強い思いが伝わってきました。

ところが10月に公表された実行計画(令和5年度版)策定方針及び令和5年度予算編成方針の重点的取組事項を見ると、最重要施策が持続可能な未来への挑戦に変わっております。

変革方針や予算編成方針において最重要施策という表現が使われたのは初めてであっただけに、子ども・若者・子育て世代への取組の更なる飛躍に期待しておりましたが、トーンダウンしてしまったのかと気になっております。

最重要施策がたった2ヶ月間で変わった経緯について、市長にお伺いします。

(市長)

 市民ネットワークを代表しての森山議員のご質問にお答えをいたします。

本市の最重要課題は、人口減少・少子高齢化への対応であります。

若者・女性の転出超過に加え、コロナ禍において、婚姻数や出生数が減少する中、総合計画に掲げる人口27万人の堅持に、覚悟を持って取り組んでいかなければなりません。

このことから、私は、本市が将来にわたり持続的に発展し続けるためには、次代を担う子ども・若者を徹底的に応援することが必要と考え、「変革方針2022」において、子ども・若者に関する施策を最重要施策に掲げました。

この思いを実現するためには、若者・女性が輝き、子どもたちが夢と希望を持ち、笑顔あふれるまちづくりを推し進め、子育て世代に選ばれるまちを実現する必要があります。

拠点まちづくりビジョンの具現化は、本市の未来を左右する、これまでにない最重要プロジェクトであるとともに、様々なステークホルダーを巻き込み、推し進める必要があることから、まさに今、動き出さなければなりません。

また、市議会をはじめ、市民の皆様のご理解・ご協力をいただくことが極めて重要であります。

そこで、私は、未来に責任を持つ市長として、拠点まちづくりビジョンに示す、各拠点の強みを活かしたまちづくりを公民連携により実行に移すため、「実行計画(令和5年度版)策定方針及び令和5年度予算編成方針」において、「持続可能な未来への挑戦」を全庁一丸となって取り組む最重要施策に位置付け、お示しをいたしました。

私は、常に一歩先を見据え、拠点まちづくりを本市の一大プロジェクトとして実践し、魅力あるまちを創り上げることで、子ども・若者、子育て世代に選ばれるまち、いちはらを必ずや実現してまいります。

最重要施策という文言は消えても、しっかり取組んでいただけると理解しました。

(仮称)子ども未来館のワークショップでは、市長も参加者と膝を交えて意見交換されました。「広い市域に1箇所だけ作ることが子ども・子育て世代の支援になるのか」という問いに対し、「これをモデルとして良い面を地域に広げていく」とお答えになられました。

昨日の代表質問で3期目に挑戦すると市長表明されたからには、子ども・若者・子育て世代への取組を飛躍させてほしいと思っています。

2)事業のビルド&スクラップについて

実行計画策定及び予算編成上の留意点としてあげられた歳出抑制では、実行計画の実効性を高める為に、新規事業や重点事業を対象に、根拠や事業効果を検

証するなど、エビデンスに基づき事業の立案・選定を行う。

また新たな事業の実施にあたっては、その必要となる財源について、既存事業を見直すことによるスクラップを同時に講じる事を原則とする、とされています。

これまでの、効果の見込めない事業の見直しや類似事業との統合(R2年)、実施時期の見直しや事業の縮小・廃止など抜本的な見直しを行う(3年度)といった手法から、エビデンスという統計データを用いることで、より客観的な検証がなされると思っております。

そこで、R5年度の新規事業や重点事業については目標値を明確にした上で、どのようなエビデンスに基づき効果検証し事業立案・選定に至ったのかを、私達にも分かるように示していただきたいのですが、見解をお伺いします。

(企画部長)

 エビデンスに基づく事業の立案・選定について、お答えいたします。

実行計画(令和5年度版)策定にあたり、新規事業及び拡充事業につきましては、事業の対象、事業実施による効果が適切か検証し、事業採択の可否を決定してまいります。

また、重点事業につきましても、事業実施の効果等を改めて検証してまいります。

さらに、各事業で設定したアウトプット指標と、基本計画のアウトカム指標との関連性、寄与度につきましても勘案し、効果的な事業を採択してまいりたいと考えております。

今後、各種事業効果を検証する上では、今年度、新たに設置した政策マーケティング室を中心に、人口動態や転入・転出の要因分析など、各種データを収集し、実行計画の効果検証や事業採択に活用してまいりたいと考えております。

新規事業及び重点事業の選定結果につきましては、各事業の効果を明確にし、市民の皆様に分かりやすくお示しできるよう、今後、「実行計画(令和5年度版)(案)及び令和5年度当初予算(案)の概要」を取りまとめてまいります。

今年、政策マーケティング室ができたので、その力をフルに発揮してほしいと思っています。

エビデンスに基づき事業立案するためには、多角的な統計データが必要になるが、そのためには日頃から意識を高めて収集しておかなければなりません。

PDCAの最初のプランを練る段階で、これらをどれだけ活用しているかによって事業の実効性は大きく変わってくるからです。

例えば、総合計画の大題目である27万人維持の達成について、移住促進を目的とする事業の効果を検証するために、転入届けを受理する際にアンケートを採るといったことも考えられると思います。

今後エビデンスに基づく効果検証を他事業にも広めて、事業効果を高めていかれるよう期待しています。

2.長期財政収支見通しについて

今年10月に作成された長期財政収支見通しによりますと、R5年度から10年間でおよそ97億円の収支不足が見込まれるとの事。

昨年同時期に作成された長期財政収支見通しでは、R4年度から10年間の収支不足を559億円と見込んでおられたため、その違いに驚きました。

中身を見ると、今後5年間(R9年まで)の歳入・歳出の収支差がマイナスからプラスに転じており、R5年度で比較すると扶助費や普通建設事業費が80億円も減額された事などで、収支差は1年前の見通しよりもプラス56億、R6年度ではプラス61億円と、大きな差が生じています。

以前、長期財政収支見通しは財政状況の厳しさを数値的に明らかにしたものだと伺いましたが、これだけ大幅に変わるようでは市民に危機感は伝わらないし、作る意味が感じられません。

1年間で大きく変わった理由と、今後の長期財政収支見通しのあり方について見解をお伺いします。

(財政部長)

長期財政収支見通しについて、お答えいたします。

本市では、中長期的な収支の見通しについて、 その推移を展望し、計画的な財政運営に役立てる ことを目的として、毎年、翌年度の予算編成前に これを推計し、公表をいたしてございます。

推計は、税制改正や人口動向、経常的経費の  伸び率、実行計画などに基づき、具体的に捕捉可能な将来負担などの一定の条件を設定し、機械的な方法によりまして、これを行っているところでございます。

今年度の長期財政収支見通しでは、昨年度作成のものと比較しまして、今後10年間の収支不足が改善される結果となりました。

この主な要因といたしましては、大きく3点ございます。

1点目は、歳入面において、臨海部企業の好調な設備投資を中心とした市税の大幅な増収を見込んだこと、

2点目に、歳出面において、昨年度の見通しでは、公共施設に係る個別施設計画事業を、全体調整を 図る前の数値で計上してございましたが、今年度では、それらの全体の平準化を前提とした事業費に置き換えたこと、

3点目に、歳出の3割以上を占めます扶助費について、これまで扶助費全体の伸び率で推計していたものを、事業ごとに、より精緻に積み上げて推計した結果、後年度の増額幅が抑制されたことなどがあげられます。

次に、今後の長期財政収支見通しのあり方につき  ましては、先行きの経済動向について不透明さが増す中、持続可能で安定した財政運営を進める上では、中長期的な見通しを踏まえて行うことが益々求められているものと考えております。

今年度の見通しでは、昨年度に比べ、収支不足額は改善いたしましたが、都市像実現に向けては、なお一層投資が必須であり、厳しい財政状況に変わりはございません。

そこで、長期財政収支見通しについて、捕捉可能な各種情報を、より正確かつ的確に反映することで、推計の精度を高めるとともに、職員をはじめ、市民や議会の皆様と、これを分かりやすく共有していくことで、収支均衡に向けた歳入歳出両面からの取組につなげ、引き続き、持続可能な規律ある財政運営に努めてまいりたいと考えております。

R3年度の市税が大幅に伸びたことで歳入が増えたことは承知していますが、扶助費、普通建設事業費の計上の仕方を変えたのなら、それを記載してほしかったと思います。

公共資産マネジメント計画が策定されてから6年半が経過しました。

これまでの答弁では、個別施設計画が出揃ったら財政収支見通しに反映させると伺っていましたが、R2年度に計画が出揃ったにもかかわらず未だに反映できないという状態です。

では、何年頃に反映されるのでしょうか

(財政部長)

現在、そのための計画を策定中でございまして、これは令和5年度中に策定をいたします。

 したがいまして、令和5年度ないしは6年度に、それを踏まえた推計を公表させていただきます。

これまで、個別施設計画が出揃ったら反映すると仰っていたに、又伸びるということに関して、もっと責任を持って答弁していただきたいと思います。

3.教育行政について  

1)不登校児童生徒への支援について

今回、私は1年前にも取り上げた不登校児童生徒への支援について、その後の進捗状況も含め、改めてお伺いします。

*教育の機会確保のために公民連携が必要 

今年10月に公表された文科省の調査結果によると、令和3年度に県内の国公私立小中高校で、児童生徒の不登校が1万2221人となり、集計を開始した1998年度以降で初めて1万人を超えたとのことです。

市原市の公立小中学生においてもR3年度で417人、前年度より51人増加し、H30年度と比較して3年間で1.7倍に膨れあがっています。

現在市が行っている不登校支援として学校復帰を目的にした適応指導教室(市原フレンド)がありますが、市内に3箇所しかなくR3年度の通級人数は21人。不登校児童生徒の6%にしか過ぎません。

一方、2016年に成立教育機会確保法では、これまでの学校復帰を大前提とした不登校対策を大きく転換し、学校外での「多様な学習活動」の重要性を認めました。この国の方針について1年前に伺ったところ「子どもたちの学びを保障するため、学校教育を基盤としながらも学校以外の学びの場であるフリースクール等、一人一人の状況に寄り添った教育機会を提供している民間の団体、あるいは関係機関とも連携をし、教育の機会を確保していく必要がある」との答弁でした。

今年になって市内の民間団体等による活動は活発になり、市内で初めてのフリースクール設置、子どもの居場所と学びの場の提供、保護者と子どもの孤立を防ぐための居場所づくりの提供などが、次々に誕生しております。

このような民間団体との連携について、どのように図ってこられたのか、お伺いします。

(教育振興部長)

不登校支援についてお答えいたします。

不登校児童生徒の支援にあたっては、個々の状況に応じて、社会的自立に向けた適切な居場所を提供することが重要です。

民間施設に通う児童生徒に対しては、各学校と民間施設間の情報交換や参観等の連携を図り、適切な支援と校長が判断すれば、指導要録上の出席扱いを認めております。

教育委員会では、不登校支援を行っている民間団体代表者との意見交換、教育支援を行うNPO法人が主催する学習会への担当指導主事の参加や情報交換等を行っている他、来年1月には当該法人から講師を招き、教育関係者を対象とする教育講演会も企画しております。

今後も、学校や児童生徒、保護者が不登校に対する理解をさらに深められるよう、民間団体などとの情報交換を行い、連携を図ってまいります。

日々成長する子どもの学びを保障するためには、教育委員会だけでは多様化するニーズに対応するのは困難です。民間の活動を積極的に受け入れ連携してほしいと思っています。

*家庭への財政支援について 

教育機会確保法ではフリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する施策を国と自治体の責務とし、必要な財政支援に努めるよう求めていますが、市原市ではフリースクール等に通学する家庭に対して財政支援は行っておりません。

文科省がH27に調査した資料によると、入学金は平均5万円、月額授業料は平均3万3千円、これだけの費用負担を強いられてはフリースクール通学を諦めざるを得えない。また、出席扱いとなるICT学習についても、実際に利用している方に伺うと小学低学年で一ヶ月1万円もかかり、経済格差が教育格差につがっています。

以前にも申し上げましたが、公教育からこぼれてしまった子どもの学びを保障するために、家庭に全額費用負担させるというのは理不尽な話です。

当時の答弁では、フリースクール等に通学する児童生徒の保護者への財政支援等について、他市の状況等も踏まえて検討するとの事でしたが、ICT学習への財政支援も含めて、改めて見解をお伺いします。

(教育振興部長)

お答えいたします。

フリースクールに通う児童生徒の保護者への財政支援等については、教育機会確保法改正にあたり、衆参両院により附帯決議として、「不登校の児童生徒が、いわゆるフリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対しては、その負担の軽減のための経済的支援の在り方について検討し、その結果に基づき必要な財政上の措置を講ずること。」とされており、その動向に注目しているところでございます。

また、経済産業省では「第1回学びの自律化・個別最適化ワーキンググループ」において、「不登校ゼロ社会をめざして」と題する委員のプレゼン資料の中で、不足する公的支援の充実と合わせて、民間施設での学ぶことに対する安全と質の保証、経済的な負担の軽減が個別的な学びを選択する上で必要として提案されております。

これらを踏まえ、本年度、他自治体の事例、本市の実態等の情報を収集する中で、一定の条件のもとでフリースクール等の学校以外での学びの場を選択することについて是としつつ、経済的負担を軽減することについて、具体的な制度設計を進めているところでございます。

これらの検討に際し、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等の専門家や学校現場との対話の中からも、当該児童生徒、保護者の状況をカウンセリングし、アドバイスするなどの寄り添った対応を行う相談体制と多様な学習活動の中から個別的な学びの選択へとつなぐことができる仕組みづくりを、ともに整理することが必要であろうとの意見もいただいております。

このため、個別的な学びを選択できる環境整備として、まずはICT環境の拡充や校内適応指導教室の設置促進などの公的支援の充実を先行させつつ、フリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対する安全と質の保証及び負担軽減のための経済的支援につきましては、国・県の動向を注視しつつ、専門家等の意見を伺いながら、多様な選択を可能とする制度として構築してまいりたいと考えております。

フリースクールに通うことで人と触れ合い会話も生れ、社会に出るためのステップにもなります。そのためにも今あるフリースクールを積極的に活用してほしいと思います。早い内に小さな集団に入らないと、家庭に籠もりっきりになってしまうことで、過度に他人の言葉に傷つきやすくなり社会への適応性を失って、引きこもりや8050問題に繋がってしまう事も実際にあります。そうなる前に、1日でも早く不登校児童生徒が通える場の保障を考えていただきたいと思います。

*情報提供について

私が出会った不登校児童生徒の保護者の多くが、相談場所や子どもの居場所、フリースクールといった不登校に関する情報がなく、自分で探すのに苦労したと仰っております。

登校渋りが始まり無理して学校に通わせた結果、不登校になり親子関係が崩れてしまったというエピソードからも、登校渋りが始まる以前に情報を得ておくことが必要だと思います。

そこで千葉県教育委員会が作成した千葉県版不登校児童生徒・保護者のためのサポートガイドの活用を提案させていただきます。

表紙には「不登校はどの子にでも起こりえます。問題行動ではありません。休養や自分を見つめ直すときが必要な事もあります。焦らず、一人で悩まず、一緒に考えましょう」との文言は、保護者の気持ちを楽にさせてくれるメッセージです。また、学校での人間関係や学校生活における子ども達の生きづらさ、子どもを責めてしまう親の気持ち、子どもを育てるのは家庭だけでなく社会の責任といった内容から始まり、相談場所、フリースクール等の民間団体や施設、親の会などの情報がコンパクトにまとめられています。

そこで、保護者が困ったときにいつでも見ることが出来るよう、千葉県教育委員会が作成したサポートガイドを毎年、新学期当初に全児童生徒に配布するなど周知を図ってはどうでしょうか、見解をお伺いします。

(教育振興部長)

お答えいたします。

教育委員会では、不登校になる前から、予防的な取組を行っていくことは大変重要であると捉え、「千葉県版不登校児童生徒・保護者のためのサポートガイド」を毎年全小・中学校に配布するとともに、千葉県教育委員会のホームページからダウンロードできるようにリンク先とQRコードもあわせて各学校に通知しております。

「サポートガイド」につきましては、小・中学校全教職員に対し内容について周知徹底を図るとともに、児童生徒に対してはタブレットを活用し、保護者に対してはリンク先とQRコードを記載した文書を配付して、全児童生徒、保護者に「サポートガイド」の内容が伝わるよう、周知してまいります。

是非、よろしくお願いします。

2)校則のあり方からみるシティズンシップ教育について 

*市の取組状況は

2017年、大阪府立高校の女子生徒が、髪の毛が生まれつき茶色いにも関わらず、教員から黒染めをするよう強要されたことにより、精神的苦痛を受けて不登校になったとして、大阪府に対して裁判を起こしたことがきっかけとなり、「ブラック校則」が注目されるようになりました。

今年9月千葉県弁護士会が、県内の全公立中学校を対象に行った子どもの人権を侵害する恐れのある「ブラック校則」の実態調査報告書をまとめられました。それによりますと、大半の自治体が頭髪や服装、持ち物で規定があると回答しており、「中学生らしい靴」など曖昧な規定や「下着は白」「コートの使用禁止」といった過度な校則があったとしています。また、小中高の在校者や卒業生、保護者等へのアンケート調査では、今の校則に不満を持っていると回答した93.3%のうち服装と持ち物が38.8%、頭髪が36.6%でした。

以前、市原市立小中学校の頭髪等についての校則を資料請求したところ、中学生では男子は詰め襟を隠さない長さ、女子は肩より長い場合は黒・茶・紺色のゴムで束ねるといった決まりを設けている学校が半数以上ありましたが、ゴムの色がオレンジや緑だとなぜダメなのか疑問に感じるところです。

ブラック校則が取り沙汰されて以来、全国各地で校則の見直しが進められていますが、教育委員会としてはどのように取組んでおられるのかお聞かせ願います。

(教育振興部長)

校則の見直しについて、お答えいたします。

文部科学省の「校則の見直し等に関する取組事例について」では、校則の指導が効果を上げるためには、その内容や必要性について児童生徒や保護者との間に共通理解を持つようにすることが重要だとされています。

 市内全中学校においては、校則は、学校が教育目的を達成するために、必要かつ合理的範囲内において、学校や地域の実態に応じて適切に定められるものとの見解を基に、適宜話し合いの場を持ちながら、校則の見直しを行っております。

 教育委員会といたしましては、校則の必要性を考え、時代や社会の変化に応じ、児童生徒や保護者の意見にしっかり耳を傾けながら、校則を定めることが重要であると捉えています。

今後も、校則が、生徒にとってより良い学校生活を築くものとなるよう、学校と共に取り組んでまいります。

校則については各学校で決めることなので、地域の特性なども関係してくることと思いますが、大きな差が生じないように、教育委員会としても関わっていただきたいと思います。

*児童生徒が主体的になって考える

8月に文科省は生徒指導提要の改定案を公開しました。各学校で「生徒指導基本指針」あるいは「生徒指導マニュアル」等を作成し、その過程において児童生徒や保護者等の声にできる限り耳を傾け合意形成を図ることが重要だとしています。

そこで、校則の見直しにあたっては、シティズンシップ教育として取組んでいただきたいと思っています。

シティズンシップ教育については以前、小沢議員が本会議で取り上げましたが、ここで改めて説明すると「市民教育」「主権者教育」とも呼ばれ、市民としての資質・能力を育成するための教育をさします。分かりやすく表現すると、他者を尊重し協力しながら、社会の一員として主体的に課題にとりくむ姿勢を身につける教育で、得た知識や情報を自分で取捨選択し、個人の権利と義務を行使する力、社会や地域に興味や関心を持って積極的に関わろうとする力を養うもので、6年前に策定された市原市教育大綱の基本方針にも加えられました。

そこで、子ども基本法第3条、子どもの権利条約第12条に定められた子どもが意見を表明する機会や権利を行使し、集団生活を送るために必要な規律や校則のあり方を児童生徒が主体的になって考え、学校と合意形成を図るといったプロセスを重んじて進めていただきたいと思っています。

その際に他人の意見に同調してしまう付和雷同、少数意見をもつ人が多数意見に遠慮して意見を控えてしまう同調圧力といった風潮におもねらず、児童生徒一人ひとりが自分の意見を述べられる環境づくりも必要になりますが、どのように取組まれるのか、お聞かせ願います。

(教育振興部長)

お答えいたします。

シティズンシップ教育とは、議員もご指摘ありましたが、市民一人ひとりが社会の一員として、地域や社会での課題を見つけ、自己実現に向けて取り組み、よりよい社会にかかわるために必要な能力を身につけることと捉えております。

学習指導要領には、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うことが示され、自ら課題を見つけ、グループでの対話の中では、相手の意見を尊重するとともに、自分の意見を述べる活動が、教科横断的に様々な教育活動の中で行われておりますが、これもシティズンシップ教育の一役を担っていると考えております。

また、各中学校で取り組んでいる校則の見直しにおいては、生徒一人ひとりが意見を持ち、各学級での話し合いの中で協議し、生徒総会や臨時の集会等で決議するなどの生徒主体の活動は、よりよい社会にかかわるために必要な能力を身につけることにつながっております。

教育委員会といたしましては、生徒指導担当者会議や各種教員研修会等を通じて、各学校に啓発するなど、児童生徒一人ひとりが主体的に取り組み、自分の意見を述べられる環境づくりに、今後も努めてまいります。

子ども達が身近な校則について疑問をもちアクションを起こすことは社会に出る前にとても貴重な経験になります

し、合意形成の過程があってこそ、自分たちが作ったルールを自ら守るという意識が高まるのだと思います。

また、先程述べた千葉県弁護士会のアンケート調査では教員からの回答もありました。「校則に関して何の疑問も持たずに子どもたちに指導して、いいなりになる子どもたちを作り、子どもたちから考える力を奪っている」「ブラックである意味や、合理的でない点、人権侵害であるという視点が理解できない教員もいる」という辛辣なものです。

2021年6月に文科省が発出した「校則の見直しに等に関する取組事例」では、教員がいたずらに規則にとらわれて規則を守らせることのみの指導になっていないか注意を払う必要があるとの文言からも、教員の皆さんも校則のあり方について子ども達と一緒に考えていただくようお願いします。