平成28年度 第3回市原市議会定例会
代表質問 小沢みか
1. 10年後に向けた市政運営について
・目指す人口を実現するための方策について
・市のこれまでの長期計画と人口の変遷
市原市の長期計画策定はS40年度からS50年度までの市原市総合計画(基本計画)に始まります。
当時は南総・加茂の合併前で人口は約7万7千人でしたが、目標人口は35万人と定められました。今では想像もできませんが、人口が4,5倍になると思えるほどの上昇機運に満ち溢れていた時代だったのでしょう。そしてH7年度(当時の人口は27万7千人)策定の市原市総合計画では目標が45万人とさらに拡大。しかしその頃の人口はすでに頭打ちで、さすがに実態とのかい離が激しくなったH16年度に30万人に改訂しました。これが前計画、改定市原市総合計画です。
皮肉にもその年度から市原市の人口は減少へと転じることとなります。
・人口展望値について
そして現在、市原市人口ビジョンでは、10年後に目指す人口を現況推計26万2千人から8千人アップの27万人としています。これは、新総合計画の基本構想案で最初に掲げられていることからも、市の最重要目標値です。確かに人口によって、計画期間中の税収の予測はもちろん、行政サービスの需要や都市基盤整備の規模も決まるという意味で、まちの将来像を端的に示す重要な指標の一つであることは間違いありません。
人口が増加するにせよ減少するにせよ、根拠が確かな現象カーブに逆らって数値を政策的に動かすためには、確かな分析に基づいた効果的な政策立案が必要です。
しかし、すでに「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく取り組みが展開されていますが、いまだ目標設定と政策・施策の間のロジックが明確に示されていません。そこで、現段階で確認したい点を二つだけ伺いたいと思います。
・年少人口について
まず伺うのは年少人口(0~14歳)についてです。
市の示した展望値では、年少人口の現況推計値より3千人増の3万1千人。これは、出生率が段階的に上昇し、2030 年(14年後)に 1.8、かつ転出入の差がゼロと設定し推計された値です。
今後10年間で子どもが6千名減少するところを3千名に抑える。この目標を達成するために、どのような課題があって、その要因は何で、その要因を克服するためにどこをターゲットにどんな施策を展開されるのでしょうか。
答弁(企画部長)
新総合計画における目標人口につきましては、 人口動態における自然増減と社会増減の両面に おいて、人口減少要因の改善が図られるものとして設定しております。これは、先ほど議員からお話がございましたように、2060年までを展望した「人口ビジョン」を基本に、今後、10年間の目標人口を掲げたものでございます。人口ビジョンでは、自然増減として、合計特殊出生率の上昇を見込んでおり、平成26年の現況値である1.39から、平成42年には国の目標値である1.8へ、さらに平成52年には、市民の希望が叶った場合の出生率である2.03へと、トレンドとして2026年の目標を設定したものであります。
また、社会増減としては、現在の転出超過傾向が解消され、転入者数と転出者数が均衡することを想定しております。次に、本市の人口動向における課題といたしまして、人口ビジョンの中でもお示ししたとおり、特に、10代後半から30代前半の女性の転出が多い 状況があげられます。その要因といたしましては、アンケート調査の 結果などから、女性を取り巻く就労環境がより良い自治体への転出や、結婚を機とした転出などがあると捉えております。
また、男女ともに「仕事」を理由とする転出が多く、これは、職場への近接性などの交通利便性や、より良い住環境など、都市機能の充実もあわせて求められているものと分析しております。
そこで、総合戦略及び新総合計画においては、 女性や若者が働きやすい就業環境や、ビジネス機会の創出を図る産業振興に取り組むとともに、結婚・医療・子育てなどの施策をパッケージ化し、市内で結婚し子どもを産み育てやすい環境づくりを進めてまいります。あわせて、女性が住みやすい魅力的なまちづくりに向けて、交通利便性の確保や、安心して暮らせる住環境の整備など、立地適正化計画等と連動し、 効果的な施策を検討してまいります。
このような施策を総合的かつ戦略的に展開することにより、若者や女性の希望が叶えられるまちづくりを進め、目標人口の達成を目指してまいります。
先般女性議員の会で提言させていただいた内容と、ほぼ重なる政策。その点はありがたいと思います。
ただ、出生率1.8は約30年前の数値にあたります。当時(80年代半ば)の日本社会は未婚率が今より低く、女性は専業主婦願望を抱き、専業主婦世帯が共働き世帯を上回っていた時代。家庭や仕事に関する状況・価値観は今と大きく異なります。
30年間で1.8から1.4に下がった数値を、15年間で1.8に戻すのは至難の業ですが、(この後の質問にもつながりますが)常に施策の効果を検証し、大胆な軌道修正も辞さない覚悟を持って取り組んでいただきたいと思います。
・老年人口について
もう一点、老年人口について伺います。
10年後の現況推計値8万2千人のところ、目指す人口ではもう1千人増の8万3千人としています。このことによって、現状でもこの先1.5倍以上と予測されている医療介護サービスの充実をさらに図る必要があるのでは、という心配が生じます。この点についてはどうお考えでしょうか。
答弁(企画部長)
目標人口27万人の維持に向けましては、あらゆる世代の人々が、市原に住みたい、住み続けたいと思えるまちづくりを進めていく必要がございます。
このため、目標人口の設定にあたっては、現在の釣鐘型の人口ピラミッドをもとに、各世代における現況推計人口に対して、一定の老年人口の経年増加を見込んでおります。まちの活力を維持するために、年少人口や生産年齢人口の増加を目指していくことは重要でございますが、老年人口の増加につきましては、必然的な現象であると考えております。
しかしながら、まちに誇りを持ち、これまでの人生で培った知識や経験を地域に還元していただける、生きがいを持った高齢者が増えることは、子どもや若者にとっても心強いことであり、まちの活力の向上に大きく貢献するものと考えております。
このため、新総合計画におきましては、今後の高齢化をしっかりと見据え、健康寿命の延伸を図る取組を積極的に推進し、健康で、生きがいの持てる健康都市を目指してまいります。
もちろん詳細は今後計画策定の過程で明らかにされると思いますが、あえてこの段階で2点質問したのは、今はもうとにかく手あたり次第いろいろやってみて、結果良ければオーライという時代ではありません。目標に沿って、限りある財源や人的資源をどこにどう集中させれば目標が達成できるか。冒頭申し上げたように、今後も計画全般にわたって市民に目標達成までのロジックを一つ一つもっと明確に提示していただきたいということを、私は一番申し上げたいのです。
さらに、人口展望値はあくまでも目標であって、目的ではない。真の目的は市原市に住む一人ひとりの幸福にあって、そんなまちの姿を具現化するために、人口はどうあるべきかがまず問われなければならないということを申し添えたいと思います。
・ 政策と施策の評価システムについて
総合計画審議会の指摘より評価と実際のかい離について
改定市原市総合計画の総括については、市民意識調査の結果も踏まえて総合計画審議会による外部評価が行われました。
その総括評価報告によると、例えば、「効率的・効果的な行財政運営」についての評価指標として、5項目が挙げられています。1つ目は「経常収支比率」2つ目、「税金が有効に使われていると思う人の割合」3つ目「市役所職員の窓口や電話などの対応の満足度」4つ目、「行政改革による効果額」。5番目は「将来負担比率」。
「将来負担比率」以外はすべて目標値を大きく下回り、中には目標値はおろか基準値より下回った項目も5項目中二つもあります。にもかかわらず、全体としては「おおむね良好」と判断されています。これはかなり不可解な結果だし、そもそも例えば、行財政運営の効果を測る指標に、なぜ敢えて「職員対応の満足度」が選ばれたのかも疑問です。
その点は審議会でも「施策評価の基準が妥当性を欠いている」とか「『目指す姿』と『指標』との連動が不明確」という指摘が上がっていましたが、全くその通りです。こんな意味のないごまかしの評価では、市民に対する説明責任を果たしているとはとても言えません。
そこで伺います。総合計画審議会の指摘も踏まえ、評価指標や目標値の設定について、課題をどう捉え、今後どう改善されるのか。ご答弁願います。
答弁(企画部長)
改訂市原市総合計画における政策・施策評価の手法といたしましては、政策目標として挑戦指標を掲げ、この指標の推移により目標達成状況を評価したところでございます。
総合計画審議会における総括評価の答申にもございますとおり、各施策の効果をより的確に評価できるよう指標のあり方について、ご指摘をいただいております。
また、目標値の設定や評価基準につきましても、その妥当性を再検討する必要があるとのご指摘をいただいております。
市といたしましても、施策の効果検証に向けた客観的な指標や目標値、さらに基準値の設定については、新総合計画の実効性を高める上での重要な課題と認識しております。
昨年度、国を挙げて策定いたしました「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、目標達成に向けた効果測定のため、重要業績評価指標KPIを新たに導入するなど、評価システムの改善が図られてまいりました。
新総合計画の策定にあたりましては、総合計画審議会からの答申を踏まえ、重要業績評価指標を活用した評価検証について、専門家のご指導もいただきながら、実効性を確保する手法としてふさわしい指標の設定を検討してまいります。
確かに、市民サービスの満足度を図るのは難しい事も事実。だからこそ、PDCAサイクルの全てに多くの主体が参加できる仕組みがもっと必要だと思います。地域の暮らしの現場の中から、何を課題として選び取るかから始まり、何を成果指標とするのかなど、最もふさわしいものが見つかると思います。その他、近隣自治体や類似団体と比較して目標値の目安にするなどの客観性も、今後ぜひ取り入れてください。
・施策評価システムについて
ところで、事務事業レベルでは、このたび市民参加のもとで「仕事のリスト」を活用した点検が行われたことは非常に評価しています。今後はこの結果をどう事業の改善や改革に結びつけるかが問われます。そしてさらに、行政運営を効果的に進め市民満足度を高めるためには、総合計画の体系に連動した評価システムの確立が必要です。
そこでまず、総合計画に掲げる各々の施策について、評価システムの構築に具体的にどう取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
答弁(企画部長)
新総合計画においては、施策や事業の実効性の確保を図ることを重要な視点としております。
そこで、計画の推進に当たりましては、客観的な指標に基づく毎年度の成果検証と、それを計画に反映する一連のマネジメントサイクルを具体的に構築することが重要であると考えております。
特に、実行計画においては、予算や行財政改革と連動しながら、効果検証を踏まえ、毎年度見直しを行う予定でございます。
また、最初の実行計画の期間である3年以内を目途に、施策評価を改革改善や事業選択へ反映させる新しいマネジメントサイクルの確立を図ってまいります。
これらの制度構築に当たりましては、総合計画審議会や議会における効果検証など、幅広い意見を伺いながら検討してまいります。
ではさらに、総合計画全体の戦略の適切性を評価し改善する仕組みについては、どのように構築していくのでしょうか。審議会による総括評価報告でも「都市像と施策との間に相関性がない」「時代の流れを捉えられない分を実施計画の調整で補っていた」という指摘がありますが、いかがでしょうか。
答弁(企画部長)
新総合計画においては、目指すべき将来の姿である基本構想の実現を検証するための仕組みとして、新たな視点による指標を導入してまいりたいと考えております。
これは、基本構想の指標の目標値に対する進捗状況やその指標と基本計画等における施策効果の相関性を評価・分析し、施策ごとに寄与度、施策が基本構想の目標値に与えた影響ということ、や重要度といった効果の測定を行い、基本構想に対する戦略や政策の適切性を評価しようとするものであります。
そのためには、まず評価基準の適正化・明確化を図ることが必要でありますことから、新総合計画策定にご助言をいただいている有識者の皆様にご指導をいただきながら、マネジメントサイクルを構築してまいります。
これにより、変革が絶えず進み、その上で、より効果的な戦略・政策が生み出されるよう、新総合計画の実効性の高めてまいりたいと考えております。
時代の激しい変化に柔軟に対応でするためには絶対に必要なシステム。
総合計画は市にとっての最上位計画
改定市原市総合計画に掲げられていた市民まちづくり事業も、策定当時は各地区の市民会議で市の未来が熱く語られたと聞いていますが、蓋を開けてみれば実行率はわずか36%。総括評価報告では、「計画策定自体が目的化し、実効性が確保されなかった」と厳しく指摘されています。
「計画は作ったらおしまい。後は職員の戸棚に飾ってあるだけ」とはよく言われますが、市原市もまさにそうだったのではないでしょうか。職員の意識が、総合計画よりも国が策定する計画や予算の動向ばかりに向かい、地方自治の本来のあるべき姿を見失っているのだとしたら、総合計画は市の最上位計画とはとても言えません。
そして市は現在、市制施行以来6度目となる長期計画の策定に取り組んでいます。小出市長はこれを「市政改革の最大のチャンス」であると強い決意を述べられました。最後に、これまでの質問ご答弁を踏まえての市長のお考えをお聞かせください。
答弁(市長)
私は、かつてなく変化の激しい社会経済情勢の荒波を乗り越え、未来へと発展する新たな市原市を創生するため、その羅針盤となる、新総合計画の策定に全力で取り組んでいるところでございます。
新総合計画では、市民の皆様との対話や、議会のご意見・ご提言を、さらには市役所職員の力を 結集し、総合力をもって、市の全ての施策の根幹となる、実効性の高い最上位の計画としてまいります。
特に、基本計画と各分野における個別計画との連動による「計画群の総合化」、そして、実行 計画と予算との連動による「社会経済情勢の変化への柔軟な対応」など、全職員が総合計画を中心に、市民とともに、誇りを持って行政運営を展開する仕組を構築いたします。
私は、新総合計画の策定が市政改革の最大の チャンスであると捉えており、新総合計画を羅針盤として、市民と職員が同じ方向を向き、変革と 創造を絶やすことなく、都市像の実現を目指す、そのような行政運営に全力で取り組んでまいります。
今が正に正念場。ぜひ、職員や市民に共有される計画を目指し、職員や市民が納得する評価システムを構築し、職員や市民の目に見える形で成果が提示できるよう努めてください。
2. 市民や地域との協働の推進について
市長の協働推進への想いと市が構造的に抱える問題
小出市長は、このたび新総合計画構想案の冒頭で「2026年には、自らまちづくりに取り組む市民の活躍が、新たな誇りや価値観を創生し、さらなる活躍を創出する」と示された。従って、市民と行政の協働の姿は、市長が描く市の未来図そのものであると私は捉えています。
しかし一方で、以前「市原市の弱みは何か」という私の一般質問に対する企画部長のご答弁は、「一つの市の中に、例えば浦安市と御宿町が同居しているような状況で、各地域の市民活動を市全体の活性化へ広げることが困難という構造的な課題がある」というものであった。従って、市民との協働は、市原市にとって最も重要かつ最も困難なテーマの一つであるということがいえると思う。
市長の協働の推進の考え方について
先の「事務事業の総点検」では、市民参加による点検を務めた構想日本のコーディネーターの方々から「今までいろいろな自治体を手掛けてきましたが、無作為抽出でこれだけ中身の濃い質問ができる市原市民のポテンシャルは非常に高かった」という嬉しい評価をいただきました。私はやはりこの潜在的な市民力の高さこそ、市原市の最大の財産であると改めて感じた次第です。
これらを踏まえ、協働の推進を市政運営の中心に据えることについて、改めて市長の想いをお聞かせください。
答弁(市長)
人口減少・少子高齢化、産業構造の変化、厳しい財政状況などの課題に対しまして、市全体として取り組んでいくためには、行政、市民の皆様、市民活動団体、民間企業などが一定の役割分担を図り、協働していくことが最も重要であります。
このような思いから、新総合計画の基本構想におきまして、2026年のいちはらの姿として、「市民の誇りと活躍により、人口安定化と未来への飛躍へ」と掲げたところでございます。
昨年6月定例会における所信表明におきまして、申し上げたところですが、市民の皆様との協働のもと、市原市の未来創生に全力を尽くしてまいります。
まずは、市原市政の命運のカギを握るのは「協働」ということを市長と共有。
・まちづくりのための窓口機能の強化について
協働の遅れ
「協働」という概念は市原市でかれこれ15年以上も前から提唱されていて、行財政改革大綱では改革の4本柱の一つに掲げられています。「協働」の言葉自体は市民の間にもかなり浸透していると感じますが、未だに、個人にせよ団体にせよ、活動の際に「相談を担当する課がどこか分からない」から始まって、「提案を持ちかけたら、前例がないので難しいと相手にされなかった」とか「複数の課にまたがる案件だと、たらい回しにされた挙句にうやむやにさた」という類の話は、枚挙にいとまがありません。
熱心に活動されている方ほど「行政は協働を都合よく利用しているだけだ」と悟っていて、その傾向は以前よりむしろ強くなっている気がしてなりません。「協働のまちづくり」という言葉が一人歩きして、中身がついてきていないのではないかと感じています。
協働推進員について
市では、H19年から、市民が直接担当課へ相談に訪れたときの窓口係として協働推進員を配置しているが、現在どの程度機能しているのでしょうか。
私はもう4年も前に、協働推進員について、当時活動はおろか庁内周知も不十分という状況を憂慮し質問しました。4年前は各課係長級合わせて100名の協働推進員が配置されていました。
当時のご答弁は、「協働推進員への研修会の開催や情報提供に努め、協働推進員の活動を支援していく」というものでありましたが、改めて、現在の状況をお聞かせください。
答弁(市民生活部長)
協働推進員につきましては、協働についての理解を全庁的に深め、市民との協働によるまちづくりを推進するため、各課等に配置してまいりました。
その役割としまして、各職員への意識啓発及び知識の普及、市民からの協働に関する相談等の対応などでありました。
平成19年1月の設置からおよそ10年が経過し、各課等においても、協働に関する事業に取り組んできている中で、ある程度、各職員にも協働についての理解が醸成されてきたものと思われます。
一方、協働の概念が幅広く、流動的な面もあり、実際上、各課等の選任された特定の個人だけでは対応できないところも見受けられました。
そこで、平成27年度におきましては、協働推進員の各課等への配置を廃し、協働に関する検討作業の助言を得るため、各部局の総括担当主幹等を選任したところでございます。現状の協働推進員につきましては、議員のお話にありましたが、その役割について、明確となっていないことが実情であります。
今後につきましては、まず、第一に、改めて協働の推進にあたり、すべての職員が協働についての共通認識を持つことが重要でありますので、現在、策定中の新総合計画の中において、協働推進員制度の是非も含め、総合的な協働の推進に向け、全庁一丸での対応ができる仕組みを構築してまいりたいと考えております。
部局間や職員間の意識の温度差がまだまだあるのでは。
町会の悩みと挑戦
例えば、市内最大の地域活動団体である町会。常日頃地域のさまざまな課題解決の最前線に立っておられます。町会長連合会では、先ごろ会議体制を見直しテーマ毎の部会を新たに設置されたことは周知のとおりです。悩み模索しながらも前向きに取り組んでいる市政最大のパートナーに対し、行政は具体的にどう寄り添うのか。もう一歩踏み込んだ手立てが必要なのではないでしょうか。
総合相談・調整担当の設置について
そこで、一つの対応策として、まちづくりに関する相談や支援をワンストップで行う窓口機能の設置を提案します。念のために、この場合の「ワンストップの窓口」とは、各種の証明発行や届出などの行政手続きサービスを意味するのではありません。町会をはじめとする様々な活動団体や個人も含めたまちづくりに関する相談を一括して受けて担当部局につないだり、部局間にまたがる課題や従来の業務分担では対応しきれない提案等に対し、積極的に調整を図り、新たな協働事業につなげることができる体制の構築について、ご見解をお聞かせください。
答弁(市民生活部長)
町会をはじめ様々な団体や個人からのまちづくりに関する相談につきましては、現状、市民活動支援課や支所で受け付け、担当部署につなげる場合、直接、担当部署で受ける場合など、ケース等に応じて対応している状況にあります。
議員ご提案の相談に関してワンストップで行う「協働コンシェルジュ」機能の配置についてでございますが、行政課題が多様化する中、複数の部署が対応しなければならない事案などの連絡・調整を行う窓口の設置は、市民目線での総合窓口という点で有効なものであると考えております。
一方、相談内容によっては、より専門的な対応が必要な場合もあることから、かえって手間が増えてしまう懸念もあり、すべてを一括した窓口の設置は困難性が高いと思われます。
今後、市といたしましても、市民の皆様、市民活動団体、民間企業などと協働のまちづくりを推進していくにあたっては、組織として、横結び機能の強化、情報の共有化が必要であり、職員一人一人が全庁横断的な視点をもつことが必要となります。
これらを踏まえ、まちづくりに関する相談窓口の強化につきまして、ワンストップサービス、総合窓口的な観点から、関係部署と協議しながら、検討してまいりたいと考えております。
市民生活部だけの問題ではありません。局の機能の強化でこの課題が解決するのであれば、なぜ今日に至ってもそれが機能していないのか、その原因をどう分析しておられるのか。総務部長のご見解をお聞かせください。
答弁(総務部長)
先ず、まちづくりとか部間に渡る行政課題、非常に多くなってきている現状にあります。
本市においては、これまで、そうした課題に対して、窓口課となる組織の新設、あるいは、担当職の設置、そういったようなことで対応を図ってきました。
ですから、今、お話がありました町会等まちづくりへの対応につきましても同じように市民生活部と、今現に行われている組織運営で、うまく機能していない部分等について、協議、調整していきたいと思っています。
それから、もう一点、組織対応だけでなく、先ず、第一義的には、職員個々が総合行政の観点から、自分達にとって何ができるのか、自分たちが町会等に対して、何ができるのか、そういったような観点から、他部署を巻き込んで、課題解決に自主的に動けるような、そうした職場風土への醸成も必要だと思いますので、研修等にも、今後、力を入れていきたいと考えております。
今私は、行財政改革大綱の柱である総合行政に係る提案をさせていただきました。部局横断的な課題の場合、全庁的な広い視野で対応できるスキルや立場が必要になります。例えば、豊かな行政経験や知識を持つ再任用の人材を充てる等の方法も含めて検討してください。
「市原市職員のための協働ガイドブック」という素晴らしい手引きが発行されてもう7年になります。この内容がしっかり周知されて、職員の皆さん一人ひとりがワンストップ窓口になっていただくのがもちろん理想ですが、今日に至ってもなかなか実現できていないのは、どこに原因があるのか、ぜひ今一度根本に立ち返っていただきたいと思います。
地域担当制度について(⇔業務分担制度)
もう一つ別の提案をする。職員が「地域担当職員」として地域課題の把握や行政との連絡調整を行うというものです。
担当職員は、あくまでも地区の対当な協力者として、例えば・地域の会合等に参加し、地域の実態の把握やマーケティング・地域に必要な情報の提供・地域からの提言やアイデアの聴取・庁内関係部署との連絡調整・地域の課題解決に向けた助言や組織化支援 等の役割を担います。
このような考え方を取り入れることについては如何でしょうか。
答弁(市民生活部長)
議員ご提案の地域担当制度につきましては、習志野市において、昭和43年に初めて導入され、その後、参加・協働のまちづくりの理念に基づき導入する市町村が増えつつあります。
本制度の現状につきまして、導入済みのいくつかの市町村を調査したところ、効果といたしまして、一つとして、行政と住民の関係が改善され、相互の理解と信頼関係の創出につながったこと。
二つとして、パイプ役になることにより、住民にとって分かりにくい縦割り行政を補完し、いわゆるワンストップサービス的な対応が可能なこと。
三つとして、地域担当としての活動を通じ、職員の能力向上につながったことなどでありました。
一方、課題といたしましては、一つとして、職員は補助金や公共事業など地域の利害に関わることもあり、公平・平等な利益配分などの点から問題がある。
二つとして、地域が担当職員に過度に依存してしまう恐れがあること。
三つとして、職員間での、職務としての業務量、能力や居住地域などの点で公平性が保てないなどでありました。
本市の現状といたしましては、10か所の支所におきまして、支所長を中心に、地域の各団体の会議に出席したり、町会などからの意見・要望を受け、各担当課につなげるなど、地域担当制度の一部を担っているところもございます。
市としましては、本制度の導入につきましては、協働のまちづくり推進という点で、有効な面もあるものと考えておりますが、課題もございますので、先程も申し上げましたが、総合的な協働の推進に向けた仕組みを構築する中で、研究してまいりたいと考えております。
支所の再編
マイナンバー制度の導入などで、一般的に今後支所の窓口サービスの業務量の減少が見込まれています。従来の窓口機能を機械化などで縮小する代わりに地域担当職員を配置し「まちづくりセンター」としてまちづくり支援に力点を置くよう支所の再編を行っている自治体もすでに複数見られます(札幌市、世田谷区、熊本市)。
町内会、PTA、商店会、民生委員などの地域密着型の活動を行う個人や団体の持つネットワーク力と、観光、環境、文化スポーツなどのテーマ型の活動団体の持つスキルが一体的に機能すれば、地域にとって大きな力になると思われますが、現時点ではあまり進んでいません。また、決まった人が様々な役員を兼務している場合も多いのですが、その活動もバラバラに行われていることが多いのが実態。そんな場合の横結びや調整は、行政にしかできません。
市原市もぜひ進めていただけるよう要望します。
(2)市民大学の活用について
市民大学事業の課題
前回の定例議会において、市民ネット森山議員の市民活動の担い手の支援・育成についての質問に対し、補助事業の拡大などと合わせて「市民大学の卒業生へのアプローチ」を行うとのご答弁がありました。そこで、市民大学の活用についてさらに伺います。
市民大学は、現在1期生が卒業して1年以上経過し、観光・子育て・健康の分野で地域活動を始めている方々もおられることは評価しています。
しかし、開校4年目を迎え、特定の専門コースに希望者が集中し、抽選で別のコースへ変更されているケースや、明らかに個人の趣味の域を出ないと思われる方も目立ってきたとの課題も少なからず耳に届いています。
もちろん学ぶ自由は十分保証しなければならないし、本来の生涯学習の意義からいえば、その中に個人の楽しみも含まれるのは当然です。しかし、それらは公民館などの地域の公共施設で十分果たすことができます。その上さらにリニューアルしたサンプラザの充実した設備環境のもと、人件費含めた総事業費年間約2千万円を投じて大学を運営することに対し、受講されない99.9%の圧倒的多数の市民の理解が得られるでしょうか。
大学の目的を明確に
私は、いちはら市民大学は他の生涯学習支援事業とは明確に差別化を図った運営の在り方をもっと追及してもいいのではと考えます。これまでも「市原市を知り、仲間を作り、地域に活かす」という理念で取り組まれていますが、「できれば育ってくれればいいな」ではなく、目的を「市民自治の意識の醸成」と「まちづくりの担い手の育成」の二点に特化して戦略的に運営し、それをしっかり市民にアピールする必要があると思うが如何でしょうか。
答弁(生涯学習部長)
いちはら市民大学は、市民ニーズや社会のニーズに対応した学習機会を提供することにより、これからの地域社会の形成に必要な「まちづくりの担い手」を育成し、地域社会の発展に資することを目的に開講しております。
このことにつきましては、市民大学の開講時に学長であります市長から、「ふるさと市原のまちづくりの担い手として、学んだ成果を地域の活性化に十分生かしていただきたい」旨、受講生の皆様にお願いをしているところでございます。
また、カリキュラムの内容につきましても、卒業後に主体的なまちづくり活動を展開していただけるよう、本市の現状や課題等を踏まえたまちづくりの必要性について理解を深めていただけるよう、編成しております。併せまして、すでに地域で活動をされている団体を紹介するなど、受講生のまちづくり意識の更なる醸成に努めております。
今後につきましても、現在、受講されている皆様はもちろんでございますが、これから、学びたいと希望される皆様に、市民大学の目的を十分理解していただき、まちづくりの基盤となる「人づくり」を着実に推進してまいります。
卒業後に自主的にまちづくりに参加したくなる、あるいは市政への関心が深まって議会傍聴やパブコメの一つもしてみたくなります。そんな知識から行動への好連鎖を生むような大学にするために、ぜひ工夫して取り組んでいただきたいと思います。
市民活動センターとの連携体制
浦安市は、市民大学を「市民自らが地域に貢献する協働の担い手として活躍するための学びの場」であると明確に定義しています。さらにつくば市は、文化財管理と図書館以外の文化スポーツを含む生涯学習の所管を教育委員会ではなく市民部に置いています。
市原市がここまで割り切るかどうかは別として、それに関連して、もう一つ提案させていただきます。現実的に市民大学による育成から活動支援につなげるための新たな体制として、市民活動センターの機能を生涯学習センターに移してはどうでしょうか。
現在、市民活動センター事業についてはその機能も含めて見直しが検討されています。市民活動の場所については、少なくとも、現在利用されている住民や団体の皆さんの利便性を損なわない方法を模索していただくのは当然として、機能の部分については、さらに強化を図ったうえで、市民大学を担う生涯学習センターの窓口と同じ場所に持っていくことで、受講生や卒業生に対する効果的なアプローチが可能になるのではないでしょうか。
ぜひこれもご検討いただけるよう要望し、以上で質問を終わりとします。