平成27年 第3回市原市議会定例会

個別質問 森山かおる
1.防災について
(1)防災訓練について

先週の豪雨により、市内では土砂崩れや道路の冠水、床下浸水などの被害がありました。人命にかかわる事態には至らなかったことは幸いですが、茨城、栃木、 宮城においては死者が7名出ました。そして、今なお2,000人近い方が避難生活を送られています。亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに一日でも 早い復興を願いながら、私、きょうは防災についての質問をさせていただきます。世界中で発生する地震の約10%が日本とその周辺で発生し、マグニチュード 6.0以上の地震に限れば世界の約20%が日本で発生しています。平成23年の東日本大震災では、本市においても震度5弱という強い揺れに加え、液化石油 ガスタンクの火災爆発により1,000人を超える住民が避難し、本市の防災対策を改めて見直すことになったことと思います。阪神淡路大震災では、住民によ る救助活動が9割以上を占めたことから、自助、共助の大切さがクローズアップされるようになりました。災害による被害を少なくするには、自助、共助の取り 組みが重要となりますが、先月末に行われました総合防災訓練の避難所会場に足を運んだところ、正直言ってお膳立てされた訓練という印象が拭えませんでし た。避難所開設に当たっては町会の方が安全確認をされた後、避難者が入りましたが、体育館の床にはクッション材とブルーシートが既に敷かれており、これで はお客さん状態です。非常食であるアルファ化米の試食は味がよく、とても好評でしたが、それがかえって避難所に行けばおいしい非常食があると安心を得るこ とになってしまったように私は感じました。避難所の運営、健康管理や薬についての話が続くと、受け身ということもあってかその間ずっと話をされている方も 見受けられました。訓練の目的は地域主体の災害初動訓練に参加し、体験を通じていざというときに適切に行動がとれるように習熟しておくとともに、より多く の市民の防災意識を高めていくということですので、もっと市民が主体的になるような訓練を目指す必要があると思います。避難所訓練については、過去の災害 の状況を踏まえて、東日本大震災の前と後でどう変わったのかお伺いします。これを初回の質問とさせていただきます。

(答弁) 危機管理監。
東日本大震災後に変更した避難所訓練の内容についてお答えします。東日本大震災では、石油コンビナート地域で発生した高圧ガス貯蔵施設の火災爆発によっ て、多くの方が避難することとなりました。市としましては、避難所を開設しまして避難された方々に食料や生活用品などの救援物資の提供を行いましたが、そ の際、避難所の運営における役割分担が明確でないという課題を認識したところであります。このことから、災害時における避難所運営マニュアルを作成いたし まして、避難所の開設、運営及び市職員や住民の方々の役割などの行動計画について定めました。このマニュアルに基づきまして、例えば初期行動である避難所 開設時の施設の鍵をあける行為について、職員のみならず住民の方にも行っていただく場合もあるということを想定した訓練を取り入れるなど、役割分担を明確 にした訓練に改善したところであります。

◆今、避難所訓練の役割分担ということで、運営マニュアル作成に沿って初期行動を考 えるようになった、それで実際に鍵をあけることを主体的にやっていくというようなお話を伺いました。私がまた見させていただいた地区会場のほうなんですけ れども、そこは体育館に入ったら住民がブルーシートをみずから敷くというところもありました。会場運営にかかわることで自分たちが運営していくという意識 づけにもなりますので、鍵をあけるという行為、それ以外にももっともっと主体的になるような訓練にしていっていただきたいと思います。同じことを繰り返し て身につけていく一方で、例えば体育館を点検したら落下物があったらどうするのか、けが人がいるなど、さまざまな想定を訓練に取り入れていくことも必要で はないかと思いますが、御見解をお伺いします。

(答弁) 危機管理監
避難所訓練にさまざまな想定を加えることについてお答えします。 議員がおっしゃるとおり、避難所訓練にさまざまな想定を加えることは大切なことだと思っております。今後とも、御参加いただいた市民の皆様にとってより実 践的な体験ができる訓練内容となるように研究してまいります。

◆参加者が受け身にならず、考え判断していくことで緊張感を持 ちながら経験を積み上げていける、そういう訓練を今後とも御検討いただけたらと思います。それと、もう1つ気になりましたのが、避難所会場に設けられた福 祉用スペースについてです。障がい者団体の方が、毎年参加しているが見学に来ているようなものとおっしゃっていました。それでも毎年参加されているのは、 障がい者の存在を知ってもらい、理解してもらいたいという思いがあるからなんです。決して特別扱いを望んでいるわけではありません。けれども、体育館の安 全確認をする前から用意された椅子に座っているのはまさに見学者で、ほかの方からすればどう見ても特別な存在にしか映りません。そもそもそこが福祉用ス ペースだという説明もありませんでした。 まず運動場に町会の方とともに集まり、みんなと一緒に体育館に入る、そこで足元が不安定な高齢者の方や視覚障がいがあって白いつえを持つ人、車椅子を使う 人、けがをしている人などがどんなことに困るのかを周囲の方に知ってもらうことで、理解や配慮につながるのではないでしょうか。このような思いや感想を聞 くためにアンケートをとっておられるということですが、今までどのような声が上がってきたのか、またそれに対してどう改善されてきたのかお伺いします。

(答弁) 危機管理監
避難所訓練後のアンケート結果と改善についてお答えいたします。アンケートによっていただいた避難所訓練に対する御意見につきましては、訓練の実施後に関 係機関による検討会を開催しまして、次年度の訓練内容に反映させております。実施した改善例といたしましては、福祉避難所における聾唖者用の筆記用具に ボールペンを使用しておりましたが、力がなくても書けるようマジックペンに変更いたしました。また、障がい者用の仮設ベッドは座りづらいとの御意見から、 パイプ椅子を用意するなどの対応を図ったところでございます。

◆ 意見を反映させていただいていることは、ありがたいことだ と思います。けれども、このアンケートというのは一部の声にしかすぎないということも、同時にわかっていただきたいのです。まず視覚障がいの方はアンケー ト用紙に記入することはできません。そして、これは意外に知られてはいませんが、手話を使う聴覚障がいの方は文章の組み立てが苦手で、文章を書くことが非 常に苦手というような方が多いですし、身体障がいの方は麻痺があって書けない方もいらっしゃいます。代理の方がいらして記入している場合もありますが、何 も書けずに早々に諦めてお帰りになっている方も私は目にいたしました。これは、先日、市民ネットの小沢美佳議員が代表質問で述べた言葉でもありますが、合 理的配慮の出発点は、まず当事者の声をよく聞くことだと思います。障がい者のために環境を整えてあげましょうではなく、障がい者一人一人がどういう配慮を 望んでいるかを伝えられる環境が保障されるよう努めていただきたいと、私からもお願いいたします。手話通訳の方もおられますので、直接声を聞く場を少しで もとっていただくように御検討ください。また、より多くの市民の防災意識を高めるという点では、参加者をふやす努力も必要かと思います。総合防災訓練は防 災週間中に行われておりますが、暑さが厳しい時期では高齢者や病気、障がいを持つ方にとっては参加しにくく、体温調節が難しいので行けないという声も耳に しております。救護所に来ているドクターからも、この時期にやるのはどうかという声が毎年上がっていると伺っております。高齢者や病気、障がいを持つ方は 被害を多く受ける傾向があることは過去の災害で指摘されており、そういう方の参加がふえることで、今までには見えてこなかった課題に気づくこともあるので はないでしょうか。一人でも多くの方に参加してもらい、防災の意識を高めていくために、過ごしやすい時期の訓練も必要ではないかと思うのですが、御見解を お聞きいたします。

(答弁) 危機管理監
訓練参加者をふやすための開催時期の変更についてお答えします。現在、防災訓練の実施時期につきましては、例年防災週間の期間内に実施しているところでご ざいます。ちなみに、今年度は8月30日から9月5日まででございました。これは、全国的な防災週間の期間内に実施することで市民の皆様の防災意識の高揚 を図り、参加者増につながることを考慮して、設定しているものでございます。開催時期の変更につきましては、例年実施されております他の行事との兼ね合い を勘案しながら、研究してまいります。

◆ぜひよろしくお願いいたします。災害はいつ起こるかわからないもので、より多くの方 がさまざまな条件のもとで参加することによって、検証も深まっていくと思います。防災週間の夏だけに限定せず、過ごしやすい時期など想定を変えた訓練にぜ ひ取り組んでいただいて、多くの方の参加を募っていただきたいと思います。

(2) 高齢者・障がい者等への支援について
次に、高齢者、障がい者等への支援についてお伺いいたします。 介護が必要な高齢者や障がい者、妊婦など一般の避難所では生活に支障を来す人に対してケアが行われるほか、要援護者に配慮したポータブルトイレ、手すりや 仮設スロープなど、バリアフリー化が図られた福祉避難所というものがあります。  市原市地域防災計画では、東京湾北部地震、マグニチュード7.3、震度6強、最も人口の多くなる夜間の発生を想定し、家屋の倒壊などによる避難者数を約 4万3,000人と見積もって対策を講じておられます。そこで、避難場所と避難所の一覧表を見ると、場所ごとに1人当たりの面積基準に見合った収容人数が 記載されているのですが、福祉避難所については指定されている施設名の記載だけで、収容人数については全く示されておりません。そこでお伺いいたします。 福祉避難所については対象となるものの概数を把握し、それに足りる指定数となっているのでしょうか。

(答弁) 危機管理監
福 祉避難所に入所する対象者数の把握と指定数についてお答えします。障がい等をお持ちの方に限らず、個々人の被災を予測することは大変困難でございます。し たがいまして、災害時において福祉避難所に避難していただく対象となる方の人数を把握することも困難でございます。現在、公共施設8施設、民間施設20施 設を福祉避難所として指定しておりますが、今後とも福祉避難所の確保に努めてまいります。

◆今、概数を把握することは非常に 困難というふうにお伺いしましたけれども、対象者の概数の把握は、福祉避難所を指定するための基礎資料であり、計画の根拠であると私は思います。どれだけ の避難者数になるのか想定もなく福祉避難所を指定しているとすれば、現在の指定数で足りているのかどうか、検証すらできないということになります。ここ で、私、平成27年3月の災害に強い市原のまちづくりに関する調査特別委員会の記録をインターネットのほうで見ました。ここに避難行動要支援者の避難行動 支援に関する制度について、対象者を絞り込んだということが書かれておりました。今まで、ひとり暮らしの高齢者のみの世帯については非常に元気な方も含ま れているという状況もあり、65歳以上の要支援者または要介護認定者で、ひとり暮らしまたは高齢者のみの世帯の者に変更した、そこに高齢者以外の方を含め ると、これまで5万7,000人という数が2万人減って3万7,000人になったということが書かれておりました。私はこの数値はとても有効だと思いま す。これを概数に、かなり近いものになるんじゃないかと思っております。ここに介護を必要とする人や、そして乳幼児には付き添う家族もともに避難するとい うことも考えて、対象者の概数に見合った指定数の把握に早急に取り組んでいただきたいと思います。なお、私の息子も重度の障がいがありますので、そういう 民間の施設のほうに通っておりますが、そこを幾つかお聞きしましたけれども、その平米数を出すことは簡単なことなので、市から要請していただければそうい う数値は出せるというふうに言っておられるところもありますので、ぜひ早急に取り組んでいただきたいと思います。また、日本赤十字社が地方公共団体向けに 作成した「福祉避難所設置・運営に関するガイドライン」にこの概数の把握と設置について詳しく書かれておりますので、ぜひ御参考にしていただければと思い ます。次に、福祉避難所への避難についてですが、指定されている福祉避難所は市が施設側に要請してから開設されることになっています。開設までの流れと移 送について、どのようになっているのかお聞かせください。

(答弁) 危機管理監
福祉避難所の開設までの流れと移送でございますが、通常の避難所を開設した後、必要に応じて避難所から市の施設や民間の施設に対して受け入れを要請しまして、準備が整った段階で移動していただくこととなります。

◆ 開設の流れは、通常の避難所を開設してから要請をして、準備が整ってから福祉避難所が開設されるということはわかりましたが、その移送について、そちらの福祉避難所には誰がどのように判断して移送するのか、そこのところについてお伺いします。

(答弁) 危機管理監
移動につきましては、基本的には各自で行っていただきますが、困難な場合には市により対応を図ることとなります。

◆ それではお伺いしますが、その福祉避難所は市が要請して開設されるということですけれども、それはどの方が福祉避難所に行くかということは、誰がどのように判断されるのでしょうか。

(答弁) 危機管理監
その場合は個別具体のケースになりますので、この場で明確な答弁はできませんけれども、恐らくその避難所のトップの方、運営されている方の御判断によるかと思ってございます。

◆ まずは近くの避難所に行ってから、要請があってから福祉避難所が開設されるということをお聞きいたしましたけれども、私の周りで医療を要する人や障がいの ある家族を持つ方が、災害が起きたらすぐに福祉避難所に避難しに行くと言っておられる方が結構たくさんいらっしゃいます。これでは、一つの福祉避難所に集 中してしまうことも予想されますし、現在の周知の仕方では足りないように思います。市のホームページでお知らせしていると伺いましたが、27カ所の福祉避 難所の一覧表の上に市からの要請により開設されますという文言があるだけで、これだけでは福祉避難所が二次的なものであるとは理解しがたいと思います。ど のように行動すればよいのかがわかるようなホームページにしていただけないでしょうか。

(答弁) 危機管理監
ホームページの記載内容につきましては、市民の皆様にわかりやすいものとなるよう修正してまいります。

◆ よろしくお願いいたします。実は、私も息子が障がいがありながら、市の出前講座「おでかけくん」の話を聞くまで、福祉避難所は要請があってから開設される ものだと知りませんでした。私のようにホームページを見ない者もおりますので、要援護者とその家族に対して、できれば個々にお知らせしていただきたいと思 います。例えば、障がい者支援課や教育委員会などと連携して、送付する福祉の申請書類に添えたり、特別支援学級で配布したりすれば費用もかからないと思い ますので、ぜひ御検討ください。

(3) 女性の視点を取り入れることについて
次に、女性の視点を取り入れることについてお伺いします。男性は日中仕事を持ち、職場で働く方が多いですが、女性は高齢の親や障がいを持つ家族の介護を担 う人、子育て中の人、また妊娠している方などさまざまな状況があり、家族の問題が女性にかかってくると言えます。ショックにより母乳が出なくなり、粉ミル クが入らなかったから数日間白湯を与えるしかなかったとか、おむつをかえる場所がなく困った、授乳は外に出て、人目につかないところで母乳をあげた、余震 を怖がる子どもを置いてトイレに行くことができず、車の中でおむつに用を足したなど、避難生活での女性の困難は多くあります。市原市地域防災計画の基本的 な考えの中に、防災に関する政策方針決定過程及び防災の現場における女性の参画を拡大し、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立を図るものとする とありますが、女性の参画はどの程度進んでいるのでしょうか。お伺いします。

(答弁) 危機管理監
防 災に関する政策、方針決定過程等における女性の参画についてお答えします。市では、地域防災計画や水防計画の作成等に関する調査及び審議をすることを目的 に、市原市防災会議が組織されており、3名の女性の方に委員として就任していただいております。また、避難所が開設された際には、避難所のルールを決める ため、避難者による避難所運営委員会が設立されますが、そのルールに女性の意見を反映するために必ず女性役員を置くこととしております。さらに、平成26 年度から防災課に初めて女性の職員を配置したところであります。

◆少しずつでも進展していくように取り組んでいただけたらと 思います。そのときに、数をふやすだけでなく、数ももっとふやしていただきたいというのが正直なところですが、さまざまな立場や年齢の方に入ってもらい、 いろんなニーズを捉えていただくようにお願いいたします。もう1点お伺いします。女性の参画が進んだことによって、具体的にどういうところが変わったのか お伺いします。

(答弁) 危機管理監
女 性の参画が進んで、何が変わったのかについてお答えいたします。先ほども御答弁いたしましたが、防災の分野におきましても女性から御意見をいただくことは 大変有意義であると考えておりますし、備蓄品について女性の視点に立ったものを購入するなど、具体的な成果が出てきているところであります。今後とも女性 からの御意見を大切にした防災体制の構築に努めてまいります。

災害時の状況を想定するのは大変難しいと思いますが、想定あっ ての訓練ですので、女性の意見を積極的に取り入れて、今後の防災のあり方に反映していただくように、ぜひこれからもよろしくお願いいたします。私、今回の 質問で防災を取り上げるに当たり、ある地域の町会長にお話を伺いました。その町会では要援護者の申請が39名あり、1件ずつ回って支援者のお願いをした が、見つかったのは3名だけということでした。共働きなので日中はいないとか、近隣も高齢者でとても担えないということもありましたが、日ごろのおつき合 いを閉ざし、町会に入らない人をどうして支援しなければいけないのかという声も上がったようです。避難支援プランの個別計画を町会が担うのは限界がある と、私は感じました。町会長がおっしゃるには、支える人を探すのではなく、支え合い、助け合う地域づくりが必要、町会に入る人をふやすために、市が自治活 動をもっと積極的にアピールし、支援してほしいとおっしゃっておられました。  災害時における救助活動の9割が自助、共助と言われております。地域の防災力を高めるには、防災課だけでなくさまざまな視点から全庁を挙げて取り組んで いただくようお願いいたします。