令和4年第1回市原市議会定例会 議案反対討論(森山かおる)
議案反対討論(森山かおる)
議案第6号、議案第15号について、会派を代表して反対の立場から討論を行います。
議案第6号 市原市行政組織条例の一部を改正する条例の制定について
本議案は主に都市戦略部及びスポーツ国際交流部を廃止し、地方創生部を創設するものです。
地方創生部は、主に文化・スポーツ・交通政策・観光・国際交流に関することを担うとしていますが、全体としてほぼ観光振興政策に帰結するものと捉えられます。
R4年度の取組み内容や、地方創生担当として副市長1名を配置することからも、市が観光分野を重点的に推進する為の組織改革であることが、一般質問や総務常任委員会での質疑で浮き彫りになりました。
しかしそもそも市原市は、市制施行以来、臨海部を中心に力強い発展を遂げてきた産業の盛んなまちであり、それが市原市ならではの強みではないでしょうか。
観光関連事業も市の施策として重要であることは全く否定しませんが、臨海部を中心とする既存産業のさらなる発展や、新たな時代に求められる産業構造改革の推進により、税収の安定確保を図る事で、市全体の市民福祉の向上やまちづくりを着実に進めていくことが、市原市における地方創生の姿だと思います。
現に、市原市まちひとしごと創生総合戦略2020(2020~2026)では、地方創生部に係る施策以外にも、都市部の産業の発展や、子育て、教育、女性や若者の活躍、さらに施策横断的な視点としてSDGsやSociety 5.0等も掲げられていますが、それらの中から唐突に観光及び市南部の活性化だけを切り取って、地方創生と冠した部を新設されることには強い違和感を覚えます。
また、R4年度は、立地適正化計画の更新や、地域公共交通網形成計画を進化させた地域公共交通計画の策定作業を控える重要な時期です。
ところが、コンパクトプラスネットワークを担う拠点形成課と交通政策課を切り離し、別々の部署に配置する妥当性について委員会審査で伺ったところ、明確なお答えはありませんでした。
いま市民が一番望んでいるのが、日々の暮らしに必要な公共交通の充実であることは、市民アンケート等から明白です。
観光交通に軸足を置こうとするかのごとく、交通政策課を地方創生部に配置することが、市民サービスの向上を図ることになるのでしょうか。
本来であれば、どのような組織機構であろうとも、総合計画に掲げた目標に着実に向かうのであれば、良しとしたいところでした。
しかし、今回の組織機構改革は、観光分野を肥大させ、結果的に真に市民が必要としている政策を停滞させることにもつながりかねないと判断し、議案第6号について反対致します。
議案第15号 市原市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について
本議案は、市長事務部局において、文化振興に係る事務を一元的に所管するため、教育に関する事務のうち「文化に関すること(文化財の保護に関する事務を除く)」を市長が管理し、及び執行する事務と規定するものです。
教育委員会が所掌する事務の一部を市長事務部局に移すというのであれば、その過程において教育委員会で十分な審議を経て了承されたものでなければなりません。
ところが総務常任委員会での審査において、教育委員による討議を経ずに、教育委員会事務局と市長事務部局の間だけで決められていた事が明らかになりました。
教育委員会は教育の政治的中立性を確保するため、首長から独立した行政機関として位置づけられています。
今回の事案は、その教育委員会制度の根幹を揺るがす由々しき事態です。
議案内容の云々以前に、議案上程までの道筋に重大な問題があることから、議案第15号について反対と致します。