令和4年第1回市原市議会定例会 代表質問 森山かおる

代表質問(森山かおる)

1.地球温暖化対策の取組について 

1)プラスチック資源ゴミの一括回収について

2015年、気候変動に関するパリ協定の採択を受けて翌年に日本は地球温暖化対策計画を策定しました。市原市でも国と足並みを揃えながら温室効果ガスの排出抑制等の取組みを一層進めるために、2018年度に「市原市地球温暖化対策地域推進計画~いちはら低炭素社会プラン」を策定しています。

再生可能エネルギー等の利用促進、ライフスタイル・ビジネススタイルの変革、コンパクト・プラス・ネットワークの推進、森林・緑の保全及び緑化の推進という4つの視点から、温室効果ガスの排出削減目標の達成に向けて様々な取組みを行っていますが、2020年度の報告書によると、指標19項目の達成状況が基準値である2015年度と比較して7項目が下降しています。

その中の一つが、一人一日当たりのごみ排出量。2018年度までは毎年12g減量化が進み目標の850gに手が届きかけたものの、房総半島台風等や新型コロナウィルス感染症の影響もあって2020年度は975gと増加しています。

そこでR4年度は900万円かけて燃やすゴミに混入している雑紙の分別強化に取組むとのことでありますが、そもそも市原市はゴミの回収が週に3日もあることや分別種類の少なさが、市民のゴミ減量に対する意識が向上しない要因の一つではないかと思っています。

昨今の世界的な海洋プラスチック問題の深刻化、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応が求められるようになったことから、国は地球温暖化対策の推進を目的とした「プラスチック資源循環促進法」を今年4月に施行することになりました。

 プラスチック資源循環促進法では、弁当容器や菓子袋などの容器包装と文房具やおもちゃなどを一括回収することを市町村の努力義務と規定していますが、市が進めているサーキュラーエコノミーと絡めた取組みについて、ご見解を伺います。

(環境部長)

 プラスチック資源ごみの一括回収について、お答えいたします。

 国は、国内外におけるプラスチック使用製品の廃棄物をめぐる環境の変化に対応して、プラスチックに係る資源循環の促進を図るため、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を制定し、本年4月から施行することとしたところであります。

 同法は、プラスチックを使用した製品の設計・製造から廃棄物の処理までの各段階において、資源循環を促すことを目的とし、事業者、消費者、国、地方公共団体の責務等を定めているところであり、市町村に対しては、家庭から排出されるプラスチック使用製品の分別収集・再商品化に努めること、国に対しては、必要な資金を確保すること、都道府県に対しては、市町村に対し必要な協力を行うこと等を求めております。

こうした状況を踏まえ、今年度策定に取り組んでおります市原市一般廃棄物処理基本計画においては、「分別品目の拡大の検討」や「サーキュラーエコノミーの構築」を施策として位置づけたところであります。

 また、本市は、「市原市SDGs戦略」のリーディングプロジェクトである「臨海部コンビナートとともに挑む 市原発サーキュラーエコノミーの創造」において、使用済みの食品トレー等を活用した「ポリスチレン ケミカル リサイクル」の仕組みの構築に向け、取り組んでおります。

 こうしたことから、プラスチック使用製品の一括回収等については、現在、国が制度を構築中でありますので、この動向等を注視し、分別品目の拡大についての検討を進めるとともに、市民や事業者の皆様の更なる意識を醸成し、行動変容を促しながら、ごみの減量化・再資源化を推進してまいります。

2)公共施設におけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の導入について

市では再生可能エネルギー等の利用促進として、家庭における太陽光発電や燃料電池・蓄電システムなど住宅用省エネルギー設備の導入に補助金を設けて設置を促しています。2020年度の実績は814件、予定値1214件との差は大きく400件。そこでR4年度は前年度より当初予算額を増額し、計画最終年度の2030年目標値2600件を達成させようとの意欲を感じているところです。

一方、国のエネルギー基本計画では、2020年までに国を含めた新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現を目指すという目標が掲げられました。

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、空調や給湯・照明などで消費するエネルギー量を、太陽光発電などによって創り出すエネルギーや、高断熱化や電力消費を抑える機器設備の導入で省エネルギー化を図ることによって、エネルギーの収支をプラスマイナスゼロを目指す建物のことで、創り出すエネルギーや削減するエネルギーの量によって4段階が定義されています。

そこで新たな公共施設におけるZEBの導入について伺います。

現在、八幡宿駅西口複合施設や市庁舎第2庁舎の更新の取組みが進められていますが、ZEBのどの段階を目指しているのか。また今後は老朽化した他の公共施設の大規模改修も行われますが、その際にZEBの導入についてのご見解を伺います。

(都市戦略部長)

 公共施設におけるZEBの導入についてお答えいたします。

 国では、地球温暖化対策計画と併せて決定した事務事業における温室効果ガス排出削減に向けた実行計画において、2030年度までに新築建築物の平均で50%以上の省エネを図った建築物ZEB Ready相当となることを目指すほか、大規模改修時においても、法に定める省エネ基準に適合する省エネ性能向上のための措置を講ずるものとしております。

 八幡宿駅西口複合施設については、国が示した考えに加え、災害時の避難所等としての役割を持つため、非常用電力としても使用できる、太陽光発電等の再生可能エネルギー導入が望ましいとの考え方から、省エネ基準75%以上となるnearly ZEB相当への取組に向けた検討を進めております。

 庁舎整備や老朽化した公共施設の大規模改修時等におけるZEBの導入につきましては、以上の考え方を踏まえつつ「市原市地球温暖化対策地域推進計画」・「市原エコ・アクションプラン」の改定の中で、国の実行計画を踏まえた検討を行い、市の事務事業における温室効果ガスの排出削減に、取り組んでいくこととしております。

 これはCO2排出量や光熱費の削減だけでなく、災害時における事業継続性の向上などのメリットもあります。災害時に現地連絡本部となる支所や避難所などにおいて進めて下さい。

 

3)「2050年 二酸化炭素排出実質ゼロ」に向けた取組について

市原市地球温暖化対策地域推進計画は低炭素社会プランとして策定されましたが、その2年後の2020年、政府が脱炭素社会の実現を2050年までに目指すというカーボンニュートラル宣言を行ったことで、企業は再生可能エネルギーへの切り替え・廃棄物の削減・輸送削減のための生産拠点集約・輸送の電化・森林再生などのプロジェクトへの資金提供によるカーボンオフセットなど、カーボンニュートラルにむけた取組みを進めています。

市内の臨海部企業でも2050年までにカーボンニュートラルを目指すと公表しているところもあり、その実現に向けて戦略を立て、更なる技術革新の研究に懸命に取組んでおられます。また巨額の建設費を投じて、二酸化炭素の削減効果が大きい発電設備に切替えるという報道もありました。

自治体の動きも活発化し、今年1月の時点で全国514もの自治体が2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指すカーボンゼロ宣言を行っており、その自治体の人口は日本の総人口の88.8%にも上っています。

千葉県内では千葉市を始めとする15市に加えて県もカーボンゼロ宣言を表明していますが、市原市は未だに表明しておらずSDGsのシンボルのまちを目指す自治体として、首をかしげざるを得ません。

 先日の市長挨拶では、カーボンニュートラルに向けた取組として、市原市地球温暖化対策地域推進計画の改訂を進めると発言されたが「カーボンニュートラルを目指す」と明言されなかった理由をお聞かせ願います。

(環境部長)

 ゼロカーボンシティ宣言について、お答えいたします。

 地球温暖化は、人間の日常生活や事業活動による二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が主な原因と言われており、近年、我が国においても、集中豪雨や台風の大型化による洪水・土砂災害の発生、猛暑による熱中症患者の増加など、地球温暖化を要因とする気象災害が生じております。

 こうした地球温暖化問題に対し、取組を推進するため、多くの自治体において「ゼロカーボンシティ宣言」を行うとともに、国においては「2050年カーボンニュートラル宣言」や「地球温暖化対策計画」を改訂し、脱炭素社会の実現に取り組んでいくことが示されたところであります。

 これを踏まえ、本市におきましても、今後、全庁一丸となって「市原市地球温暖化対策地域推進計画」の改訂を進める予定としておりますが、臨海部に、本市発展の礎であり、今後も重要なパートナーである石油化学企業等を擁するという本市の地域特性から、脱炭素社会の実現は、地域経済や市民生活に深く関わり、また、将来世代にも大きな影響を及ぼす大変重要な課題と認識しております。

 こうした状況にはございますが、2050年カーボンニュートラルの実現と地域経済の持続的発展の両立は、本市にとって最大の使命でありますことから、今後進める「市原市地球温暖化対策地域推進計画」の改訂作業の中で、市民や臨海部企業の皆様など、本市を構成する様々な主体と対話を進め、取組の方向性を確認した上で、本市における「ゼロカーボンシティ宣言」を検討してまいりたいと考えております。

市原市は出遅れているのではないでしょうか。

市原市と同様に石油化学コンビナートを抱える自治体でも、川崎市・豊田市・堺市・倉敷市・鹿島市などが二酸化炭素排出実質ゼロを目指すカーボンゼロ宣言を表明しています。

その中の川崎市では2020年11月に脱炭素戦略「かわさきカーボンチャレンジ2050」の策定に取組み、昨年6月からは臨海部企業の産業競争力を維持・強化していく為に、有識者を交えてカーボンニュートラルコンビナート構築に向けた検討会議を開始しています。

市民からもなぜカーボンゼロ宣言の表明をしないのかと聞かれることがあります。

「市原市まち・ひと・しごと創生総合戦略2020には、国内最大級の石油化学コンビナートや都市環境、肥沃な農地、風光明媚な里山が共存する「日本の縮図」といえる本市だからこそ、全国さらには世界への好影響をもたらす「SDGsのシンボル」となるまちを実現するとございます。

昨年5月に千葉県内の自治体として初めて内閣府から選定されたSDGs未来都市として、覚悟を示していただきたいです。

2.行政組織機構改革について 

1)都市戦略部の成果について

先般示された議案などの資料によると、R4年度に行政組織機構改革が行われる予定です。総合計画の目指す都市像の実現に向けた重点施策の展開と行財政改革を迅速に成果につなげるためとの事でありますが、これほど大掛かりな組織機構改革に正直驚きを隠せません。

主な改革点としては、2年前に創設した都市戦略部とスポーツ国際交流部を廃止し、新たに地方創生部を創設するというものです。

スポーツ国際交流部は東京オリンピック・パラリンピックを契機に平成30年から連続して日本で開催される国際大会を、スポーツはもとより国際交流、平和、人権、男女共同参画に関する施策を飛躍的に高める絶好の機会として捉え、これらを総合的に対応するものとして創設されたため、東京オリンピック・パラリンピックを終えて部を廃止、再編することに対しては一定の理解は致します。

一方、2年前に創設された都市戦略部はそれまでバラバラの部署に配置されていた公共資産マネジメント推進課、拠点形成推進課、交通政策課を結集させることによって、これまでの延長戦でない大胆な発想によるダイナミックなまちづくりに挑戦するとのことでしたが、僅か2年で公共資産マネジメント推進課は財政部、拠点形成推進課は都市部、交通政策課は地方創生部にと、バラバラに移管されることに疑問が残ります。

 この2年間で挑戦したダイナミックなまちづくりはどのような成果をあげたのか、また積み残した課題に対し組織改革することでどのように解決していくのかをお聞かせ願います。

(市長)

 都市戦略部の成果について、お答えをいたします。

 私は、「住みたい」「住み続けたい」と思える魅力あるまちづくりによって人口27万人の維持と交流人口500万人を実現するため、コンパクト・プラス・ネットワークを基軸とした拠点形成と賑わいを一体的に創出する、JR3駅周辺におけるダイナミックな都市的土地利用への転換や、新たな企業誘致・移住促進などへの戦略づくりを担う部門として、令和2年度に都市戦略部を設置いたしました。

 そこで、まずは市民の皆様のご意見を集約・整理したうえで、本市の人口動向やその要因に関する統計的な分析のもと、北部3地区を人口のダムにしていくという戦略を整理し、各拠点の強みを活かしたまちづくりの方向性として「拠点まちづくりビジョン」をお示しいたしました。

 本ビジョンの具現化に向け「五井駅東口周辺 未来ビジョンミーティング」など地域住民や関係者との協議を進めるとともに、「リノベーションまちづくりプロジェクト」を通じた社会実験の実施など、公共施設も活用した賑わいづくりへの具体的な取組に着手したところであります。

 都市計画区域に含まれない地域を広く含む南部を中心とする地域では、コロナ禍に伴う地方回帰の潮流や、首都圏等からの交通アクセスの良さを捉え、市原DMOや地域団体と連携し、市の強みを活かした企業オフィス誘致・移住促進に取り組んでいくという戦略を整理いたしました。

 その中では、オフィス立地や移住をワンストップで支援する「いちはらライフ&ワークコミッション」を設立し、複数の企業誘致に繋がるなど着実な成果が挙がっており、今後の更なる移住促進に向け、農地付き空き家の提供など、里山・ゴルフ・アートの強みを活かした施策の方向性を整理したところであります。

 さらに、公共資産の利活用を含め、公民それぞれの強みを活かしたイノベーションによる地域課題の解決に向けた取組を推進してまいりました。

 一例を申し上げますと、高滝湖周辺では、旧高滝小学校での民間企業によるグランピング施設の開設を契機に、地域経済の活性化に向けた公民連携のプロジェクトを立ち上げたほか、ちはら台地区では地域住民による積極的な活動と企業との連携により、子どもの登下校の見守り事業の実証実験を開始するなど具体的な事例を創出しており、公民連携による地域課題解決を進めていく上での礎を築いたものと捉えております。

 公共資産マネジメントの推進では、公共施設全体の総量適正化の検討・調整に取り組む方向性やプロセスを整理するなど、中長期での収支不足の解消に向けた道筋をお示しいたしました。

 交通政策については、地域住民と顔の見える関係を築きながら、「地域の足」の導入支援に取り組むなど、コロナ禍にあっても持続可能となる地域公共交通の確保に向けて取り組んでいるところであります。

私は、都市戦略部を中心とするこれらの取組によって、定住人口27万人の堅持・交流人口500万人の実現に向けた、戦略的かつ具体的なまちづくりの第一歩を踏み出したものと捉えております。

 こうした取組を更に前へ進めつつ、市内全域へとその効果を波及させていくため、この度の組織機構改革において、相互に関係性が深く目的を共有できる部署を統合し、一層の施策の推進を図ることとしたところであります。

 今後も、あらゆる力を結集し、市原創生のまちづくりに全力で取り組んでまいります。

2)地方創生部の創設について

R4年度に創設される地方創生部は、都市戦略部・スポーツ国際交流部・生涯学習部・経済部から必要な部署を寄せ集め、地方創生の他に文化・スポーツ・交通政策・観光・国際 に関することを担うとしています

アートとゴルフを中心とした文化、スポーツ、里山の魅力によって新たなまちづくりを展開し、交流人口・関係人口の拡大や定住人口の維持に向けたまちづくりを進めるとありますが、R4年度版実行計画の概要にある「本市ならではの地域資源を活かした地方創生の推進」の6事業はこれまでの取組みの延長線。しかも人口ビジョンの展望地との乖離に危機感を持ったため新たな視点(バックキャスティング)で事業立案したと伺っているが、説明資料には相変わらず人口に関する具体的な数値は全く見当たりません。

 地方創生部を創設するにあたって具体的な目標をどのように設定しているのか、また創設した場合とそうでない場合、どれだけ施策効果に差がでてくるのかをお聞かせ願います。

(総務部長)

 地方創生部は、本市ならではの地域資源を最大限に生かし、新たな価値を創出するため、アートとゴルフを中心とした文化、スポーツ、里山の魅力を基軸とする、今までにないまちづくりを強力に推し進めることを目的に新設するものでございます。

 これまで、これらの施策は部門を跨ぎ展開をしていたところですが、まちづくりの視点を中核に据えることにより、関連性が深く、目的の共有化が図れ、相乗効果が発揮できる部門を束ね一元化することで、責任と権限を明確にした組織対応となり、意思決定の加速と実行力が高まり、施策の実現性が増すものと考えております。

 なお、個別具体の施策目標につきましては、今後取りまとめます実行計画令和4年度版の中でお示ししてまいります。

 地方創生部の創設により、都市戦略部を中心に庁内横断的なプロジェクトとして進めてきたスポーツ、アート、観光を活用した取り組みの方向性が整理され、新たな組織体制のもと戦略的に進めれることで、総合計画の目指す都市像の実現に向けた、定住人口27万人の維持と、交流人口500万人の施策展開が、効果的に進捗するものと考えております。

危機感を持ってという割に、交流人口・関係人口・移住者の拡大なんて甘い!

政府が掲げる地方創生とは、東京一極集中による地方の人口減少によって生じる都市と地方の経済格差に歯止めをかけ地方を活性化することで、目的は人口を増やすことだけではありません。

総合計画に掲げた人口27万人の維持も、市民が安心して暮らせるまちを維持していく為の一つの手段のはずですが、27万人維持とか堅持に捕らわれすぎて本来の目的を見失っていないでしょうか。経済効果の観点から、一人ひとりの収入を上げていくといった手段の見直しも必要ではないかと思います。

3)組織機構の見直しのあり方について

その時々の情勢に合わせた施策を強化するために、組織機構を見直すことで目標達成に繋がるのであれば問題はございません。

しかし、交通政策課は2年前に都市部から都市戦略部に移管されましたが、都市部時代に策定した地域公共交通網形成計画はスケジュール通りに進んで降りません。来年度は地方創生部に移管し、観光や地域資源と交通政策をセットにして市外から人を呼び込む施策に力を入れるのも悪いとは言いませんが、交通政策で今優先すべき事は立地適正化計画(コンパクト・プラス・ネットワーク)や地域公共交通網形成計画などを着実に進め、市民が満足できる暮らしやすいまちづくりに力を注ぐことではないでしょうか。

 (仮称)市原市新行財政改革大綱素案には「しなやかに進化し続ける組織を構築するために組織機構の見直しを適宜実施する」としていますが、そこに注力しすぎているように思えてなりません。総合行政が機能していれば今回のような改革は必要ないのではないでしょうか。

 大綱の柱の一つ「全庁横断的な視点と組織を越えた連携による総合行政の推進」とのバランスをどう図っていくのか、今後の組織機構の見直しについてどのようにお考えかお聞かせください。

(総務部長)

 組織機構の見直しについて、お答えいたします。

 組織は、その目的を最も合理的に達成できるよう編成され、運営されなければなりません。

 そして、その組織の構造はその目的を達成するための手段であり、構造への取り組みには戦略から入らなければならないとされております。

 今般、市原市総合計画の総仕上げに向けた後半の5年間での取り組みを捉えた、市原市総合計画【実行計画(令和4年度版)】(案)が策定され、総合計画に掲げる都市像の実現に向けた重点的取組事項による戦略的な施策が示されました。

 このことから「組織は戦略に従う」の理念の下、効果的・効率的な組織を構築し展開するため、総合計画の達成を見据えた基軸となる組織編制を行ったものであります。

 一方、多様な市民ニーズや新たな行政課題に対し、迅速かつ柔軟に対応するため、施策体系別に編成された事業等を組織の枠に捉われず関係部局が連携し、サ-ビスの受け手である市民視点から質の高い行政運営を行う総合行政を推進することが求められております。

 そこで、目的を達成するための組織編制と部門の枠に捉われない総合行政の推進により、時流変化へ的確に対応し、戦略的・機能的な展開が推進できる体制を整え、引き続き良質なサービスを市民に提供するとともに、目指す都市像の実現に向け、取り組んでまいります。

これまでも部の名称変更、新たな部の立ち上げによる組織の再編など毎年のように行われていますが、今回のような大掛かりな組織改革は、庁内が混乱しデメリットも大きいと思います。

組織は戦略に従えという言葉がありますが、重点取組み事項が変わる度に組織改革を行わなければならないのは、戦略にズレが生じたと言うことでしょうか。

昨年公表された市の組織ビジョンには「市原の発展を担うプロ集団として、一人ひとりがプロとしての誇りを持ち、より高いレベルを追求し、ともに“しんか”し続ける集団を目指していきます」とあります。その意識を発揮して、今後は総合行政での取組みと組織機構の見直しについて、充分精査して考えていただきたいです。

3.(仮称)いちはら子ども未来館の管理運営について 

YOUホール(勤労会館)は勤労者の文化教養の向上、健康増進を図ることで勤労者の福祉に寄与するため平成8年に設置されましたが、現役勤労者の利用は減少し現在の利用者は60才以上が65%を占めていることや、周辺の民間施設が充実してきたことで市内最大の集客エリアとしてのポテンシャルを生かす施設にするために、サウンディング調査を踏まえ、子育て支援の拠点施設にするということです。R4年度予算案にはその改修費用として1億9,038万8千円が計上されています。

子育て支援の拠点施設にするという方向性に全く異論はないものの、資料によると市の重要課題である子育て世代の転出や女性の流出などの人口減少問題を解決するためとありましたが、ここは正直に2年前の乳児衰弱死事件の猛省から子育て支援を徹底的に強化するという覚悟を示してほしかったと思います。

H27年に五井会館の一部を子育て支援拠点に活用するという事業が頓挫しただけに、(仮称)いちはら子ども未来館については「市がやっと本腰を入れてくれた」と期待を寄せる声が私たちにも届いています。昨年12月に行ったパブリックコメトでは63件もの意見が寄せられていることからも市民の関心度の高さを感じています。

また昨年9月時点での行政機能としては子育てネウボラセンターの移設だけでありましたが、ここに発達支援センターの療育相談出張も設けていただいたことを大変嬉しく思っています。

これらの行政機能に加えて子どもの遊び場・居場所・学びの場の提供、子育てサロン、集い会えるカフェの設置、親がリフレッシュするための一時預かりなどを有する施設にするということでありますが、

 同施設の指定管理者制度の選定にあたり、ハコモノの管理は別として、子ども未来館の運営に対して何を重視するのか、お聞かせ願います。

(子ども未来部)

 (仮称)いちはら子ども未来館の管理運営について、お答えいたします。

 (仮称)いちはら子ども未来館は、子どもたちの未来のために、子どもと親を徹底応援し、新たな価値と魅力を創造する子育て・子育ちの拠点施設として整備しようとするものであります。

 この目的を達成するため、子どもたちに遊びや学びの場を提供するとともに、子育て支援や子育て世代の憩いの場の創出、多様な働き方や就労の支援を行うなどの機能を位置づけており、指定管理者制度の導入にあたっては、これらの機能について、質の高いサービスを提供することが、大切と認識しております。

 そこで、施設の維持管理に加え、魅力ある指定管理事業を盛り込むとともに、指定管理者の創意工夫による自主事業を促してまいります。

 さらに、それぞれの機能が単独のサービスに留まるのではなく、他の子育て支援機能や周辺施設と連携することも大事と考えております。

 具体的には、遊びや交流の場への参加を通じ、保護者が子育てや児童の発達について、気軽に子育てサロンや療育相談等を利用できる環境を整えることや、屋内だけでなく広大な上総更級公園で運動教室を開催したり、中央図書館との共同による絵本の読み聞かせを実施するなど、連携による相乗効果が施設のサービスの質を、さらに高める好循環に繋がるものと捉えております。

 そのため、民間のノウハウを最大限活用し、子育て支援サービスの充実と、立地特性を生かした機能や施設の様々な連携が、(仮称)いちはら子ども未来館の運営において、重要であると考えております。

肝心なのはこれらの機能を繋いで如何にして親子を支援していくかということですね。素晴らしい施設になることを期待しています。