令和3年第4回市原市議会定例会 個別質問 森山かおる
個別質問 森山かおる
1.不登校児童生徒への支援の在り方について
- 学びの保障について
*適応指導教室フレンドに通いたくても通えない
不登校児童生徒数は全国的に増え続け、市原市でもR元年度では前年度に比べ一気に68%増加し361人。R2年度は366人と僅かながら増加しています。
市では不登校状態が長期化している児童生徒に対し、学習だけでなく小集団の活動を通して心の居場所や人間関係を培う学びの場所として、市内3箇所(八幡・鶴舞・姉崎)に適応指導教室フレンドを設置しています。
しかしながら、フレンドに通う子どもはR2年度で全体の3.3%。(元年度4.4%、H30年度4.5%)と低水準。
小集団であっても馴染みにくい、外に出ることができないなど通えない理由は様々ですが、交通手段や保護者の送迎負担から通いたくても断念するケースがあると伺っています。市域が広い市内で3箇所という少なさに加え、公共交通の脆弱さも否めません。
希望する児童生徒が通えるようにするための改善策について、お伺いします。
(学校教育部長)
フレンド市原の通級についてお答えいたします。
フレンド市原は、八幡教室・姉崎教室・鶴舞教室の市内3カ所に開設し、市内在住の不登校状態にある児童生徒を対象として受け入れております。
フレンド市原への入級希望があった場合、在籍校から最寄りの教室を案内し、小学生については、通級時の安全を第一に考え、保護者の送迎をお願いしております。
中学生につきましては、通級経路・通級方法を確認した上で、自力でフレンド市原に通うことも許可しておりますので、現在の入級者の約半数が公共の交通機関を利用して通級しております。
通級に係る交通費につきましては、不登校児童生徒の保護者に実習用通学定期乗車券について案内し、希望があれば、在籍校が在学証明書を発行し、定期券を購入できるように対応しております。
また、保護者がフレンド市原に毎日送迎できない場合にも、月に数回程度、本人と保護者がフレンド市原の各教室で、相談を継続するとともに、在籍校と連携し、個の状況に応じた支援につなげられるよう取り組んでおります。
今後は、フレンド市原への通級方法の改善について対策を検討すると共に、通級が困難な児童生徒を対象に、タブレット端末を活用したリモートで、フレンド市原の教室とつながるような支援にも取り組んでまいりたいと考えております。
*学校復帰だけが目標ではない教育確保法
フレンドは学校復帰を目指す場所としての役割を果たしていますが、2016年に成立した教育機会確保法では、これまでの学校復帰を大前提とした不登校対策を大きく転換しました。これは自殺した児童生徒が使っていたパソコン等の検索履歴を調べると「学校行きたくない」という共通ワードが浮かび上がったことで、休養の必要性や学校外での「多様な学習活動」の重要性を認め、子供とその親に学校外施設などさまざまな情報を提供するよう求めています。
具体的には教育支援センター、特別な教育課程をもつ不登校特例校、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する施策を国と自治体の責務とし、必要な財政支援に努めるよう求めています。
そこでまず、お伺いします。
学校復帰だけを目標としない不登校対策を打ち出した、新たな教育機会確保法の方針について、どのように受け止めておられるか、教育長のお考えをお聞かせ下さい。
(教育長)
お答えいたします。
教育機会確保法では、議員、今ご指摘のとおりですね、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保を図ることや、不登校児童生徒の多様な学習活動に必要な支援を行うこと等が定められております。
また不登校児童生徒への支援については、「学校に登校する」という結果のみを目標とするのではなくて、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があることや、児童生徒によっては不登校の時期が休養となる場合があるということも示されているとおりでございます。
一方ですね、これまでの日本の教育には、様々な子どもたちが関わり合うことで、学びの質が高まり、人間的な成長が導かれるという歴史的な経緯もあり、学校教育の果たす役割は大変大きいものと捉えております。
私は教育長として、子どもたちの学びを保障するため、不登校児童生徒への支援については、学校教育を基盤としながらも学校以外の学びの場であるフリースクール等、一人一人の状況に寄り添った教育機会を提供している民間の団体、あるいは関係機関とも連携をし、教育の機会を確保していく必要があると考えております。以上です。
*足りない情報提供
ある保護者の方から伺ったところ、出席日数が足りなかったため希望する全日制の高校を受験する事が出来なかったそうです。子どもの不登校に悩み自分自身を責めている保護者が出席日数のカウントなどする余裕もないし、出席日数によって進学の選択肢が狭められるという知識を全ての保護者が持ち合わせている訳ではありません。保護者の方の話で共通していたのが、高校進学の選択肢や学校復帰以外の情報がなかったということです。
高校進学を見据えたアドバイス、フリースクールなど学校外の多様な学習活動について、児童生徒と保護者にどのように情報提供されてきたのか。また今後の取組みについてお伺いします。
(学校教育部長)
お答えいたします。
不登校状態にある児童生徒や保護者に対して、各学校では、教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどが、面談等を通してフレンド市原やフリースクールなどの、多様な学びの場を紹介しております。
また、進路指導につきましては、各学校で、家庭訪問や面談をする中で、一人一人の生徒の状況や将来の希望に寄り添い、進路相談を行っております。
市原市教育センターでも、千葉県子どもと親のサポートセンターと連携し、教育センターを会場として、進路選択サポートセミナーを毎年8月に実施し、定時制や通信制、三部制を有する、近隣の県立高校4校による学校説明や、サポート校についての紹介を行っております。
教育委員会といたしましては、今後とも子どもたちや保護者に対し、フレンド市原やフリースクールなど、学校外の多様な学びの場について、必要な情報を適切な時期に提供できるよう努めるとともに、学校やサポート校、高校との連携を強化し、一人一人が適切な進路選択ができるよう取り組んでまいります。
*タブレットは活用されたのか
多様な学習の一つにICTを活用したネットスクールやネット家庭教師などの学習支援があります。私が調べたところ月額費用は約3万円で公教育とは雲泥の差。これでは家庭の経済事情によって学びの環境を整えてあげることが出来ません。
そこで伺いしますが、市原市は県内に先駆けていち早くタブレットを導入したが、不登校児童生徒に対して、どのように活用し学びを保障してこられたのでしょうか
(学校教育部長)
不登校児童生徒には、家庭に持ち帰ったタブレット端末で、電子ドリルに取り組むことにより、自分の学習状況に応じた課題を選択し、学び直しや興味関心に合わせた個別学習ができるようにしており、学校では、学習時間や学習状況が確認でき、児童生徒の生活や学習の実態がつかめるようになっております。
また、授業の様子を時間や教科等を限定して、タブレットでライブ配信する取組をしている学校もあり、一人一人の状況に合わせて、学びの保障につながる支援を行っております。
今後、教育委員会といたしましては、タブレット端末を活用し、担任やスクールカウンセラー等とのオンラインでの対話、授業のまとめの部分の録画データの配信、電子ドリルを活用した学習等を進めるなど、一人一人の状況に寄り添い、子どもの過度な負担とならないよう配慮しながら、子どもたちの学びの保障に取り組んでまいります。
*市の財政支援の覚悟は?
不登校を経験したことがあるお子さんの保護者数名から話を伺ったところ、家にこもる生活が続き親子で疲弊状態。そこでフリースクールに通わせたいと思ったが高額で諦めざるを得なかったとの事です。因みに文科省がH27に調査した資料によると、入学金は平均5万円、月額授業料は平均3万3千円。
市内のフリースクール運営者にも話を伺うと、保護者に負担がないような授業料にしたいが、学びを提供するためには経費がかかり、現状でも運営は厳しいとのことでした。
そもそも公教育からこぼれてしまった子どもの学びを保障するために、民間施設や保護者に全額費用負担させるというのは理不尽な話です。
教育機会確保法で求められているフリースクール通学などに対する保護者への財政支援(助成)、またフリースクールの運営に対する財政支援(補助)について、ご見解を伺います。
(学校教育部長)
現在、市原市ではフリースクール等に通学する児童生徒の保護者に対して、財政的な支援を行うことはしておりません。
他市では、要保護、準要保護児童生徒の保護者を対象に、フリースクール等での活動費や交通費について上限を設けて、財政支援を行っている事例もあります。
また、当該市では、営利を目的としない民間事業者であり、教育委員会が定める要件の全てを満たす場合に、上限額を設け、事業費補助金を交付しております。
教育委員会といたしましては、今後、フリースクール等に通学する児童生徒の保護者への財政支援等について、他市の状況等も踏まえて検討してまいります。
- 保護者への支援について
子どもが登校を渋り始めると、なぜ我が子がこのような状況になってしまったのか、育て方が悪かったのかと保護者は自分を責めもがき苦しんでいます。終わりが見えない不安や焦り、募る孤独感、それが子どもにも伝わって親子関係が悪化することもあります。
このような経験をした方は皆同様に、気持ちを共有できる場がほしかったと仰っておられました。同じ悩みを抱える親の言葉は専門家の言葉以上に胸に響き、やっと気持ちが前向きになり救われたたとのことです。
悩んでいるのは子どもだけでなく親も同じで心のケアが必要です。親が孤独にならない支援が必要だと考えますが、ご見解を伺います。
(学校教育部長)
保護者への支援についてお答えいたします。
不登校の児童生徒と直接向き合っている保護者の不安や悩みは大変大きく、孤独を抱えている場合も多く、こうした保護者を支援することは重要であると考えております。
また、保護者、家庭に対して適切な働きかけや支援を行うことが、不登校児童生徒本人にも、間接的な効果を及ぼすことにもつながると認識しております。
学校では、保護者と相談を重ねる中で、担任だけではなく、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラーなどと悩みを共有するとともに、状況によっては、スクールソーシャルワーカーや外部の機関との連携を進め、保護者を孤独にしない適切な支援となるよう取り組んでおります。
また、専門的な助言や支援が必要な場合は、市原市教育センターや青少年指導センター等の相談窓口を紹介するとともに、千葉県子どもと親のサポートセンター主催の相談会や親の会への参加を案内しております。
教育委員会といたしましては、学校が保護者との課題意識を共有し信頼関係を築くことで、保護者が気軽に相談できる体制を整えられるよう支援してまいります。
3)理解を深める啓発について
フレンドにも馴染めずフリースクールにも通わせることが出来ず家に籠もる生活が続き、たまには子どもと外出しようと思っても学校に行かせてない親と見られ、連れ出すこともできなかったと言うエピソードを聞き胸が痛みました。
不登校児童生徒は全国的にも年々増えているのに、世間の理解はまだまだ及ばず特別視される事で子どもも親も傷ついているのが現状です。
不登校に対して理解を深める意識付けについて、どのように取組まれるのか、ご見解を伺います。
(学校教育部長)
不登校に対する理解を深める啓発についてお答えいたします。
学習指導要領では、不登校はどの児童生徒にも起こり得ることとして捉え、不登校に対する偏見を払拭し、家庭・学校・社会が不登校児童生徒に寄り添い、共感的理解と受容の姿勢をもつことが重要であると示されており、このことを学校・家庭・地域で共有していくことが大切であると考えております。
そのため、各学校では、担任やスクールカウンセラー、スクールカウンセラーアシスタント、心のサポーターが全ての児童生徒と個別面談を行い、個々の悩みを把握するとともに、不登校は決して特別なことではないこと、学校以外にも様々な居場所があることを伝えております。
教育委員会といたしましては、各家庭、地域の方々にも、不登校に関する理解を深めていただけるよう、市のホームページや、町会へ回覧する市民向けの「いちはらの教育」等を通して、より一層の啓発に取り組んでまいります。
2.公共施設の維持管理について 4問
1)指定管理者制度や業務委託の再委託について
6月の議会で養老川臨海公園にあるバリアフリートイレに不具合があったことから、再委託について管理状況を強化する旨の質問をしました。
答弁では「今後速やかに仕様書等の再点検を行い、市と受託者との間での管理状況の情報共有について全庁に周知徹底し、再委託の一層の適正管理を推進する」との事だったが、先月訪れた飯給駅前のバリアフリートイレも同様に便座がぐらつき危険な状態でした。
身体に障害がある人が体のバランスを崩して大事故に至らないよう、未然に防止してほしいという思いで質問しましたが、市の危機感の薄さを感じずにいられません。
この間、なぜ改善されなかったのでしょうか。
再委託の適正管理については現在どこまで進んでいるのか、お伺いします。
(財政部長)
指定管理者制度や業務委託の再委託について、 お答えをいたします。
本年6月議会における森山議員からの公共施設維持管理にかかるご指摘を受け、8月、施設を管理する全部署に対し、文書により業務履行の適正管理に向けた注意喚起を図ったところでございます。
また、同時に、再委託における履行確認方法等に関し、指定管理者制度及び業務委託契約の全140件について仕様書等の調査を行いました。
調査の結果、再委託を行う場合、受託者から再委託先に対し、仕様書等で、施設に不具合等が あった場合の速やかな報告とその監理・監督が明記されている契約は、指定管理者制度では83%、業務委託では7%、全体では38%という状況でございました。
また、仕様書の中で、受託者からの業務完了届の提出に合わせ、市による現地確認の実施など履行確認が明記された契約もある一方、設備の不具合等を点検する項目が明記されていないなど、仕様があいまいな契約も確認されました。
ただいま議員からご指摘のございました、飯給のトイレにつきましても、トイレなど設備の不具合の点検が、委託の仕様書に明記されておりませんでした。
なお、このトイレにつきましては、ご指摘をいただきまして、その後速やかに修理を完了させてございます。
仕様書の点検結果や、不適切な管理が引き続き 生じているご指摘も真摯に受け止めまして、今後、改めて、施設の不具合等に係る市への迅速な報告や、仕様書等へ具体的な確認事項の明記、さらには業務内容に応じた履行状況の確認方法の見直しについて、危機感を持って対応するよう、全庁に周知徹底してまいります。
また、併せまして「契約事務の手引き」を改訂し、仕様書記載例を示すなど、引き続き改善に努めてまいります。
- 包括管理委託について
来年度から192の公共施設を一括して管理する包括管理委託がスタートする予定となっています。これまで施設を所管する部署毎で行ってきた保守点検を一括して日本管財(株)に委ねることで、発注にかかる事務負担の軽減、管理水準の均一化による修繕の優先順位の明確性、早期予防保全へのシフトでライフルコストの縮減に繋がるなどのメリットがあげられています。これらについては一定の理解をしているが、気になる点についてお伺いします。
*管理状況の把握は的確にできるのか
先ほど再委託の課題についてお聞きしましたが、包括管理委託の導入によって今まで以上に市が現場の管理状況を把握しにくくなることが懸念されます。情報が一元化できるとしても、事業スキームが曖昧だと丸投げ状態になりかねず、市のマネジメント能力がこれまで以上に問われます。
包括管理委託において、各施設の管理状況の把握をどのように進めていくのか、お伺いします。
(都市戦略部長)
包括管理委託における各施設の管理状況の把握について、お答えいたします。
従来、施設の現況把握については、主に専門職ではない施設担当課職員が、自己点検を実施してまいりました。包括管理委託業務の導入によって、専門家による巡回点検を実施し、従来よりも点検頻度を増加させることで、タイムリーに施設の現況情報を把握することができるようになります。
また、各施設の業務ごとに個別に発注、報告されていた各種保守点検結果が、包括管理事業者によって施設所管課に一括して報告されることによって、各施設の状況を、現在よりもより早く、正確に把握できるようになると考えております。
さらに、公共資産マネジメント推進課において、全対象施設の施設管理情報を集約することで、修繕情報の蓄積、進捗状況の管理に加えて、所管部署を超えた施設間での比較を実施し、施設横断的かつ計画的な維持管理を進めてまいります。
包括管理委託の導入により、これまでよりも施設の状態を早く、正確に把握することができるようになり、不具合情報の優先度付けを実施し、危険性の高いものには早期に対応することによって、施設の長寿命化を図り、トータルコストの削減もできるようになるものと考えております。
*予算の根拠となる全体像がない
委託の業務内容には短期修繕計画(優先順位付け)の作成が含まれています。管理水準を均一化することで順位付けが明確になるというメリットはありますが、それは押し並べて施設を一律に扱ってのこと。今後進められる公共施設の統廃合を踏まえた上で、施設利用の対象者やその目的に照らし合わせた判断が必要になります。先日の総務常任委員会において、市がこれらをとりまとめ最終的な判断を下すと伺っているが、その根拠となるものが示されていません。
各施設をいつまで使うのか、大規模修繕の時期はいつなのかも示されないブラックボックスの状態では、判断の妥当性を図ることができず来年度以降の予算審査にも係わる問題です。
新潟県見附市では予防保全する127施設をピックアップし、施設毎にトイレ・廊下など細分化して予防保全か事後保全かを決めて公表しています。このような全体像を見せていただきたいが、見解をお伺いします。
(都市戦略部長)
本市の公共施設やインフラ施設では、老朽化が進行しており、近い将来、膨大な更新等費用が必要となることから、大きな課題となっており、こうした課題に対して、横断的に修繕の優先順位付けをすることで積み残しを解消し、メンテナンスサイクルを構築するために、包括管理委託を導入いたします。
包括管理委託の導入による短期修繕計画の策定にあたっては、豊富な知見・ノウハウを有する包括管理事業者の巡回点検等を通じ、緊急性・優先性などについて施設を横並びで評価し、財政フレームと連動した計画を策定していくことが重要と考えております。
短期修繕計画も含め、公共資産マネジメント全体を適切に・・・