令和3年 第4回市原市議会定例会 代表質問 小沢みか
代表質問 小沢みか
1.実行計画(令和4年度版)策定方針及び令和4年度予算編成方針について
(1)「人口27万人の堅持に向けたバックキャスティングによる施策の展開」について
これは、市長がR4年度の方針の中で掲げている重点的取組の基本柱です。
10年間の総合計画も中間年となり、市長はR4年度を計画の総仕上げに向けた後半5年間のスタートと位置づけ、今後は基本計画の2回目の見直しも視野に入れておられます。
この大きな節目に、改めて総合計画の基本構想に照らした検証が必要と感じ、何点か質問します。
*人口ビジョンを踏まえた現状認識は
「人口27万人」は、言うまでもなく総合計画基本構想に掲げる本市の大目標です。
しかしR3年10月時点の人口(住民基本台帳登録者数)は27万2,574人で、計画策定時の6年前と比べると約7,500人減少しています。
当初の展望人口を約2,100人下回っており、目標値との乖離はもはや誰の目にも明らかです。
当局では毎年成果検証を行って公表してはいますが、目指す都市像に当初の計画通り近づいているか否か、という最も肝心な部分について、行政としての見解を明らかにしていません。
計画の折り返し地点に当たり、近づいているか否か、人口ビジョンの現状認識を踏まえて端的にご答弁願います。
(企画部長)
人口ビジョンで掲げた展望値推計と住民基本台帳登録者数との乖離が生じている状況につきましては、強い危機感を持っております。
総合計画に掲げる都市像の実現に向けて、目標人口は大変重要な指標でありますが、この人口動向だけを持って、都市像に近付いているか否かを端的に評価することは、大変難しいと考えます。
コロナ禍の影響により日本全体で婚姻数、出生数が減少傾向にある社会経済情勢を考慮するとともに、目指す都市像を可視化するために設定した各種指標の動向も含めて、総合的に評価する必要があります。
これらの指標につきましては、全体として上昇傾向にあり、例えば令和3年4月1日現在の保育所等利用待機児童数が1名になるなど、期待する成果も確実に表れているところであります。
目指す都市像の実現に向け、総合計画を中心としたトータルシステムをフル稼働させ、更なる取組を進めてまいります。
*目指す姿と施策の間のロジックが不明確
結局どちらなのかわかりませんね。
そもそも、目指す都市像「夢つなぎひときらめく未来創造都市」とは、具体的にどんな状態を指しているのでしょうか。
バックキャスティングとは、今の課題から解決策を積み上げるのではなく、「未来のあるべき姿」から逆算して今何をすべきかを見いだすという思考法です。
今回この考え方を打ち出されたこと自体は評価しますが、そのためには「目指す姿」と事業立案までの筋道を明らかにしなければ意味がないのではないでしょうか。
「風が吹けば桶屋が儲かる」という例えがありますが、「桶屋が儲かる」ことと「風が吹く」ことの間に何があるのか、ということです。
*EBPMの視点が重要
近年、国や地方自治体の間で「エビデンスに基づく政策形成(Evidence-Based Policy Making:EBPM)」という視点が重視され始めています。
要するに、統計データなど客観的な根拠を基に、政策の決定や実行を効果的・効率的に行うという考え方です。
例えば、新型コロナ感染防止策としての布マスクの全戸配布事業も、科学的根拠が曖昧な施策が、いかに現場の疲弊や人々の信頼を失うか、という一例だと思います。
経常収支比率は年々悪化しています。
限られた財源や人的資源で確実に成果を上げ、市民が納得して行政と同じ方向を向くためにも、目指す姿とそこに到る道筋を確かなエビデンスを持って明示していく、そんな行政経営が今求められていると思いますが、ご見解をお聞かせ願います。
(企画部長)
初めに、目指す都市像の具体的な姿につきましては「2026年のいちはらの姿」実現に向けた44の施策を示すとともに、これらの施策を評価するため、目標人口をはじめ、都市像指標、活躍指標、成果指標、実績指標において、それぞれ目標値を設定したところであります。
次に「実行計画令和4年度版策定方針」でお示ししました「人口27万人堅持に向けたバックキャスティングによる施策の展開」に向けた論理的な道筋が明確ではないといった点は、現時点において課題であると認識しております。
一般的なバックキャスティングの考え方としましては、目指す姿から逆算して、効果的な施策の道筋を示すことであります。
しかしながら、今回の策定方針で掲げた背景としましては、人口動向において人口ビジョンの展望値と乖離がある状況に対して全庁的な危機感を持ち、現在の延長線上ではなく、「変革と創造」の理念に基づき、あらゆる施策、事業を再検討し、新たな視点に立って、事業を立案することを狙いとして掲げたところであります。
今後、総合計画を中心としたトータルシステムを更に進化させるため、議員ご提案のEBPM(Evidence-Based Policy Making)、エビデンスに基づく政策形成の考え方は、これからの行政経営の潮流と捉え、具体的な取組について検討してまいりたいと考えております。
よろしくお願いします。
これまでの「こうなるだろう」「こうなってほしい」といった曖昧な憶測や勘、他の自治体の事例のコピー、これらはみな人口増加と経済成長に支えられた時代の慣習にすぎません。
実行計画も毎年コロコロ転がって施策体系が混沌としてきていますから、そちらもこの機に整理してください。
*人口にとらわれない未来像へ、発想の転換を
最後に改めて市長に伺います。
そもそも今、人口27万人維持を目的とする合理性はどこにあるのでしょうか。
例えば人口25万人とした場合とで、市民の満足度や幸福度にどんな違いがあるのでしょうか。
以前にも申し上げましたが、人口減少自体が問題なのではなく、人口構造を含めた急激な変化にどう対応していくかが問題だと思います。
人口は単なる現象であって目標ではありません。
今後は、市民の暮らしや地域がどうあるべきかという視点を前面に打ち出した方がいいのではないでしょうか。
ご見解をお聞かせ願います。
(市長)
小沢議員ご指摘の人口減少社会の視点に立ち、市民の暮らしやまちづくりを考えていくことは大変重要であり、この考え方は人口 27万人の堅持にも両立するものと考えております。
2016年3月に策定した市原市人口ビジョンの推計結果では、本市が何の手だても講じなかった場合には、2060年の人口が約17万人になる見込みとなりました。
本市において、これほどの人口が減少した場合には、地域の活力や価値、福祉・健康、子育て・教育、暮らし、産業、環境保全、行政サービスといったあらゆる分野において影響が生じ、私は、現在の市民サービスの水準を維持することは困難になると強い危機感を抱きました。
そこで、これまでの総合計画と考え方を大きく転換し、人口減少社会を前提に、計画策定当時の人口を下回る目標人口を設定しつつも、活力ある地域社会が将来にわたって持続できるよう、2026年に27万人の人口維持を目標に掲げ、議会をはじめ市民の皆様と対話を重ね、市原市総合計画基本構想を策定いたしました。
人口動向において、展望値推計を下回る状況を踏まえ、未来に責任を持つ市長としてゆるぎない覚悟をお示しするため、令和4年度実行計画策定方針の重点的取組事項に、「人口27万人の堅持に向けたバックキャスティングによる施策の展開」を掲げたところであります。
また、本市に住んで良かった、住み続けたいと思ってもらえるよう「市民満足度の追求」を実行計画策定方針の重点的取組事項に掲げ、市民に選ばれる魅力あるまちづくりに取り組むことが、結果として人口維持に繋がるものと捉えております。
引き続き、目指す都市像「夢つなぎ ひときらめく 未来創造都市 いちはら」の実現に向け、本市における都市としての活力を維持すべく、人口27万人の堅持に向けた施策にしっかりと取り組んでまいります。
市長のお考えと私の主張とは方向性は同じとも受け止めましたが、メッセージ性が違うのかもしれません。
「人口減少・少子高齢化社会」は、確かに多くの難 問を私たちに突きつけています。
それでも最終的に私たちが望むのは、漠然とした成長よりも、市民の誰もが尊重され安心して暮らすことができる、品格ある社会。つまりSDGsが見据える社会です。
全国でも数少ないSDGs未来都市である本市の目標は、まさにこれではないでしょうか。
SDGsは、人口を物差しになどしていません。
これまでの価値観に囚われた人口ありきのメッセージは、市原市にふさわしくありません。
(2)歳出の抑制策について
①事業のスクラップの強化について
市の財政見通しによると、R4年度から3年間で実行計画・個別施設計画をすべてその通り実行すると、R4年度は約40億円、3年間の合計では約170億円もの収支不足が見込まれるとしています。
次期行財政改革大綱でも特にスクラップの強化を掲げているのも、この見込みを踏まえた危機感の表れと推察します。
これは私たちも何度も申し上げてきた視点ですから、大いに進めていただきたいと思っています。
ただ気になるのは、各施策を全庁的にどう優先付けし、どんな基準でスクラップを行うのかということです。改めてこの点についてご説明願います。
(総務部長)
新たな行政需要へ対応するためには、全庁あらゆる部門において、限られた経営資源の中、さらなる選択と集中を促進し、不要不急の事業や非効率となっている事業等について、スクラップを強化していくことが必要であると認識しております。
今年度、策定を進めている「次期市原市行財政改革大綱」においても、デジタルトランスフォーメーションの推進や優れた民間能力の活用による「実施手法の最適化戦略」、維持管理経費の縮減や総合行政の強化による「経営資源の最適化戦略」の2つの最適化戦略により、市民サービスの更なる向上と事務事業の簡素合理化を図ることとしております。
この考え方に基づき、類似事業の統合や連携強化、また、民間委託の推進といった改革テーマを設定し、事務事業の見直しについて、計画・予算と連動したトータルシステムの中で、全庁的な対話を実施しているところでございます。
対話による改革・改善の成果につきましては、今後、実行計画令和4年度版及び令和4年度予算編成に組み入れるとともに、次期行財政改革アクションプランに反映させ、持続可能な行財政経営を確立することで、目指す都市像の実現に繋げてまいります。
選択の根拠があやふやだと、どうしても「大きな声」「身近な声」「理解しやすい声」を中心に、「なんとなく」「思いつき」で方向性が決まってしまいます。
これは最初の話にも通底するが、やはり明確な根拠を持った行政運営の手法を確立することが必要と感じています。
②「扶助費の精査」について
方針資料によれば「市が単独で実施する扶助費について、給付拡大の抑制を検討する」とあるが、あえて扶助費を取り上げたことには違和感を禁じ得ません。
扶助費は確かに額も大きく年々増加しているが、その多くは国県支出金です。財政圧迫の主犯格に挙げるのはいかがなものでしょうか。
児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉、生活福祉。扶助費は基本的に必要経費です。
もっと他の分野で費用対効果が不明確な不要不急の事業があるはずで、精査するのであればまずそちらが先であり、その方針を定めるのが予算編成の前提ではないでしょうか。
見解をお聞かせ願います。
(財政部長)
市では、現在、計画・予算・改革が一体となったトータルシステムのもと、次期行財政改革大綱や公共資産マネジメント推進計画と連動いたしました、実行計画(令和4年度版)の策定及び令和4年度予算編成を進めているところでございます。
編成にあたりましては、その方針の中で、本市の現状と課題、財政見通しを示し、これらを踏まえた上で、重点的取組事項等を示すほか、歳出抑制に向けた留意点の一つとして、「扶助費の精査」を掲げたところであります。
扶助費は、本市歳出予算の約3割を占め、その多くは、国や県の制度に基づくものであり、毎年のように制度改正が行われておりますことから、編成にあたりましては、国県の情報を的確に捉え、対象者の推計を的確に行い、所要額を適切に見積もる、これが大切でございます。
国県の制度によらない市が単独で実施する各種扶助につきましては、関連制度との重複、他自治体との水準比較等のチェック、これらを適切に行い、本来の目的達成に必要な規模や手法、その効果、制度のあり方等を常に見極めていく必要がございます。
これらのことから、真に扶助を必要とする市民の皆様へ着実な支援を行う一方で、限られた財源を効果的に配分するため、目的や必要性など、その扶助費として実施する事業の本質や効果を十分に精査をして、予算に計上することとしたものでございます。
厳しい財政状況を踏まえまして、機を捉えた施策と将来を見据えた施策をバランスよく的確に選定していくことで、より効果的な予算編成と規律ある財政運営に努めてまいります。
それは当たり前でしょう。当たり前のことをわざわざ方針に書いた意図がわからないと申し上げているのです。
無駄を省くという意味であれば他の分野も同じでしょう。
福祉政策で「抑制ありき」から出発すると非常に危険です。
扶助費は人への投資、未来への投資という視点で取り組まれるよう要望します。
(3)「既成市街地の価値の向上」について
*取組の現状
これは、企業や地域団体などと連携しながら低未利用の公共資産や民有地を有効活用することで、エリアの魅力を高め、周辺一帯の価値を向上させるというものです。
都市拠点である駅周辺はリノベーション活動など変化の兆しも生まれ、人々の交流・賑わいの創出として注目すべき取組であることは確かです。
しかし、暮らしがなければ交流も生まれません。
「既成市街地の価値の向上」は、当然ながら都市拠点だけでなく、地域拠点・生活拠点にも当てはまる概念です。
*辰巳台地区の都市機能誘導区域における未利用の市有地の活用について
ここで、資料1の写真をご覧ください。
上の写真の辰巳台の団地のほぼ中央・赤丸で囲んだ場所は、都市機能誘導区域にある市有地です。
周囲に銀行・スーパーなど店舗が集積する、団地の一等地にある約6,800㎡の土地が、かれこれ50年以上ほとんど活かされていません。今や雑草がすくすく育って木も生えています。
当然現場は確認していると思いますが、この状態を見て率直にどうお感じでしょうか。
5年後・10年後もこの状態でよいのでしょうか。
エリアの価値の向上という観点からご答弁願います。
(都市戦略部長)
郊外住宅団地につきましては、道路や公園などの都市基盤が充実していることから、若者や子育て世代へ良質な住環境を提供し、移住・定住の受け皿となる「人口のダム」としての機能を果たしていくことが重要であると考えております。
辰巳台地区につきましては、現に1万人を超える人口規模を有していることから、市原市立地適正化計画において、地区全体を居住誘導区域、近隣商業地域を中心とした辰巳通り沿いを都市機能誘導区域として設定し、地区全体を生活拠点として維持・発展していくことを掲げております。
御質問にありました市有地につきましては、現京成電鉄千原線の延伸後の駅前広場の用地として、昭和40年に、開発事業者である財団法人千葉県辰巳団地建設協会から移管を受け、その後、延伸計画の遅れを受けて、地域での柔軟な利活用を図るため、昭和50年代から一部を普通財産として管理し、旧辰巳ショッピングセンター等の用地として活用を図ってきたところでございます。
平成28年度の旧辰巳ショッピングセンターの解体後は、広場としての活用にとどまっておりますが、地域の価値の向上のためには、低未利用地の活用が重要な要素となりますことから、生活拠点に必要な都市機能の誘導など、地域住民や民間事業者のニーズに応じた利活用を図ってまいりたいと考えております。
現在は、地域住民で構成される「辰巳台地区まちづくり協議会」と連携し、協議会の各種活動への支援を行っているところでございます。
この中で、市有地の利活用について地域住民の皆様の意向を伺う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年・今年と対話ができない状況が続いておりました。
今後は、まちづくり協議会をはじめとする地域住民の皆様との対話を重ね、本地区にふさわしい都市機能や土地利用のあり方に向けて、課題等を整理してまいりたいと考えております。
なお、京成千原線の延伸計画につきましては、令和元年10月に、工事施行認可の申請期限の延長が認可されたことから、引き続き将来の駅前広場としての活用可能性も視野に入れながら進めてまいります。
こうした取組を通じ、地区の活性化につながる施策を着実に進めることにより、地区全体の価値の向上を図ってまいります。
公共交通網形成計画では、辰巳台地区を交通の結節点と位置づけ、バスターミナルの整備も検討するとしています。検討期間は今年度までです。
好立地にある未利用資産を交通政策と一体的に活用する。エリアの価値向上のモデルとして、これほど適した市有地はないのではないでしょうか。
今後どのように施策展開されるのでしょうか。
(都市戦略部長)
辰巳台地区におきましては、昨年度実施したバス路線再編に係る調査業務の中で、第6回東京都市圏パーソントリップ調査や携帯基地局のビックデータを基に、辰巳台周辺の人口流動の分析を行い、千葉・東京方面へ1日あたり1,500人程度の移動量を確認したところです。
この移動量に対応するために、現在、辰巳台地区からちはら台駅への新規路線の開設に向け、小湊鐡道との協議を実施しているところでございます。
市といたしましては、公共交通維持の観点から、このバス路線再編の取組みを進めて行く中で、バスターミナルの整備についても、辰巳台周辺の交通需要を集約し、乗換機能を持たせるハブ化の必要性を検証いたします。
また、まちづくりの観点からも、辰巳台地区まちづくり協議会等との対話によりバスターミナルの整備に係るニーズや課題を把握したうえで、交通事業者との協議を進めてまいります。
地域住民はもう十分涙ぐましい努力をしてきました。ワークショップ、勉強会、先進地への視察、市への要望書提出など。
一方で行政は何をしてきたのでしょうか。計画に書いてあることすらできていないではないですか。
素人である住民の動きを待つのではなく、組織ビジョンに掲げる「プロ集団」として、仕掛ける姿勢を見せていただきたいと思います。
2.障がい児や「気になる子」への早期支援について
(1)現状と課題について
はじめに資料2の円グラフをご覧ください。独自に取り寄せた複数のデータから、ざっくりとですが、実態を大まかにつかむことを目的として表した旨、ご了承願います。
(上の左側グラフ)のように、市原市では発達に何らかの障害を抱えた子どもが、毎年児童の約1割弱誕生しています。
ネウボラは、この児童について下のグラフのような経路でほぼ全員スクリーニングできています。主に1歳半健診や3歳児健診となります。
(上の右側グラフ)しかしそのうち、発達支援センターで週3日ほど療育を受けている幼児が約1割。月1回(とまと)も約1割。民間の療育施設に通う幼児が約5%です。
つまり何らかの療育を受けている幼児は約4分の1にすぎません。
そのほか保育園などに通園して心理士が巡回していたり、在宅で継続相談の対象となっていたりする幼児もいますが、年に1回か多くても年に3,4回程度で療育とはいえません。
要するに、発達に遅れのある児童は、ほぼネウボラでキャッチできているにもかかわらず、相当数の児童が療育支援の網からこぼれ落ちている、ということがいえます。
ここで伺いますが、当局ではこの現状と課題をどう認識しておられるのでしょうか。
(子ども未来部長)
先ず、支援の現状としましては、子育てネウボラセンターでの1歳6か月及び3歳児健診により、発育・発達の状態を確認し、発達の遅れなどが疑われる児童の把握に努めております。
令和2年度の1歳6か月及び3歳児健診において、発達面で経過観察が必要とされた児童数は、530人であり、このうち療育による支援が必要と思われる104人が発達支援センターの療育相談とその先の支援に繋がっております。
この健診時に経過観察とされた人数と発達支援センターの支援等に繋がった人数の差につきましては、保育所・幼稚園等において障がい児の受け入れが進んできている中、「多少落ち着きが無い」「言葉が少し遅い様だ」といったグレーゾーンのケースの場合であっても入園でき、「もう少し様子を見たうえで、問題があれば相談したい」という保護者側の意識などが、背景にあるものと認識しております。
こうした現状の中で、保育所・幼稚園等に在籍することにより、埋没しかねない発達が気になる児童の状態把握を的確に行い、早期の療育支援につなげていくことが、課題と捉えております。
このため、市としましては、保育所・幼稚園等に専門職が巡回訪問し、発達が気になる児童の早期発見と、児童の状態に応じた適切な関わり方などのアドバイスを行うと共に、療育的支援が必要なケースでは、発達支援センターの相談に繋げております。
また、療育相談の中で、保護者側から、身近な地域における民間の児童発達支援事業所の利用希望があった場合には、障がい福祉サービス受給者証の速やかな取得とサービスの利用に繋がるよう、適切な支援に努めております。
今後も、巡回訪問と、民間事業所と連携した地域支援の充実に努め、発達が気になる児童の状態に応じた療育に繋げてまいります。
それはつまり、現状で十分体制として足りていると言うことなのでしょうか。
H17年に施行された発達障害者支援法では、地方自治体の責務として、早期発見・早期支援を定めています。
これら児童はこだわり・他動・パニックなど行動面の問題を抱えることが多く、子育てに不安を感じ虐待につながるリスクが非常に高いとされています。また成長するにつれ不登校や引きこもりなど社会生活になじめなくなるケースも多いとされていまする。
少しでも早く支援することで、保護者がその児童のよき理解者・支援者になることが非常に重要です。
抜本的な課題解決策として、これまでも何度も申し上げてきましたが、やはり発達支援センターの拡充が必要不可欠ということは、現状を踏まえれば明らかです。
(2)児童発達支援センターの拡充について
同施設はようやく昨年度に児童福祉法に定める施設に移行しましたが、国が示す整備量の目安は、人口10万人あたり1カ所。市原市は人口規模や市域面積も踏まえれば、最低もう1カ所は必要です。
当然ながら、対象児童は五井・八幡・ちはら台といった人口集積地区に多い傾向にあります。三和までは通えないという切実な声は、当局にも少なからず届いているはずです。
何も新たに整備する必要はありません。いまある公共施設を活用すればよいのです。
例えば今、五井会館・サンプラザ市原・ユーホールなど、好立地にある公共施設について、民間からアイディアを募るなど矢継ぎ早に利活用策を検討されています。
公民連携の手法論ばかりが目立っていますが、公共施設は市民の財産です。
住民福祉の観点から、足りていない機能の配置がまずあって、民間のアイディアはその余剰分に活用するのが筋ではないでしょうか。
市民、特にマイノリティーのニーズにしっかり向き合って、必要な行政機能とその量を全庁的に洗い出し整理したことはあるのでしょうか。
さらに驚いたことに、発達支援センターは公共施設再配置基本方針の中で記述すら見当たりませんが、いったいどのような評価・位置づけになっているのでしょうか。
市の基本政策の中で、療育が置き去りにされていることの表れともとれますが、今後どう対応されるのでしょうか。
公共資産マネジメントの観点からご答弁願います。
(都市戦略部長)
市では平成30年3月に市原市再配置基本方針を策定し、地域や公共施設等の多様な課題を克服し、適切なサービスを持続的に提供するためには、総合的な取り組みが必要であることから、公共施設の機能集約等の推進や施設の効率化といった、5つの視点から再配置に取組むこととしております。
また、平成28年3月に策定した「市原市公共資産マネジメント推進計画」について、策定から5年が経過する中で、ICTの普及やDXの進展等の環境変化を踏まえつつ、住み続けたくなるまちづくりに向け、真に必要な行政サービスの提供を支える公共資産マネジメントを見直しのテーマとし、同計画の中間見直しに着手している状況でございます。
中間見直しに際しては、生活圏内における地域住民の生活に必要な施設を「地域対象施設」とし、市内全域の住民や市外の利用者をターゲットとした観光施設をはじめとする既存・新設の大規模施設を「広域対象施設」に区分し、それぞれの施設区分において検討する視点を明確に示し、実現可能な公共資産マネジメントの推進に取組むこととしております。
今後は、中間見直しの方向性も踏まえ、市原市公共施設再配置基本方針に基づき、令和2年度に策定した個別施設方針の全庁的な整理と市民との対話を経て、再配置事業に係るアクションプランを策定してまいります。
このようなことから、児童発達支援センターについても、広域対象施設として位置付けることも含め、再配置基本方針に基づき、全庁横断的な議論を展開してまいります。
特にユーホールは、ネウボラセンターと共に配置することで強固な連携体制を図ることができると思いますので、ぜひご検討願います。
発達支援センターの複数化については、障害者支援協議会の子ども部会などの関係者や当事者の意見をききながら、それこそ公民連携の手法も含めて可能性を探っていただくよう要望します。
(3)地域で気軽に相談できる場の創出について
ネウボラで把握してもなかなか支援に結びつかないもう一つの理由に、孤立しがちな親の問題もあると思います。
他人の介入を拒む、あるいは子どもの発達の遅れを受け入れられない親が一定数いることも事実です。訪問してもドアを開けず、開けても子どもの顔を見せてくれないと悩む子育て支援員さんのお話も伺ったことがあります。
現在市内には、地域子育て支援拠点事業として、子育て支援センターが認定こども園や児童館等に計21カ所あり、他に園庭開放や、地区社協・小域福祉等の独自の取組も実施され、重要な役割を果たしていることは承知しています。
またオンラインを活用した相談サービスなどの取組も、一定の評価はしています。
しかし、特定の園と接点を持つことや、ネットにせよリアルにせよ、いきなり職員に相談することにためらいを感じる親は意外に多いようです。
私はそんな子育て世代の声から、もっと同世代同士が気軽に集まり悩みを「打ち明けられる」(「相談」のもう一歩手前)場所も必要と感じました。
そもそも地域子育て支援拠点事業はNPOや市民も実施でき、民家や空き店舗でも可能な制度ですし、その他にも高齢者の「通いの場」のように、仲間が気軽に立ち上げ活動できるような「子育て版通いの場」を独自に設けることもできるのではないでしょうか。
子育て中でも、自分の経験やスキルで社会の役に立ちたいと考える方もたくさんおられます。
ご見解をお聞かせ願います。
(子ども未来部長)
核家族化の進行等により、子育て世帯の中には、子育てが孤立化し、不安や負担を感じる傾向もみられることから、その対策として、親子が気軽に集い、不安や悩みを相談できる場を提供することは、非常に重要と考えております。
このような場として、児童館や、保育所等に子育て支援センターを設置し、様々な相談に応じているほか、地域の身近な相談員として活動する子育て家庭支援員が、公民館等において、子育て世代が気軽に参加できる子育て支援イベントを行っております。
また、これ以外に、地区社会福祉協議会に加え、民間事業者による子育てサロン活動等が行われるなど、地域社会全体で子育てを応援する取組も広がりつつあり、市では、窓口にリーフレットを設置するなどし、子育て世代への情報提供等による活動支援に努めているところであります。
今後も、子育て世代の誰もがこのような場を気兼ねなく・・・
※以下時間切れ
市内で子育てママサロンを開設するNPOのお話では、何度か通ってきて信頼関係ができたところで、ようやくポツリポツリと悩みを打ち明けられるとのことです。
それぞれの取り組みの良さを活かした重層的な仕組みを構築していただくよう要望します。