令和4年第3回市原市議会定例会 代表質問 小沢みか 質問と答弁
まち・ひと・しごと創生に係る取り組みについて
(1)市原市の戦略の方向性について
※人口ビジョンの達成は困難・土地の価値やまちの評価も上がらず
市原市総合計画成果検証2021の指標動向を見ると、達成度はまちまちであり、これだけで目指す都市像に近づいているかどうかを見極めるのは困難です。
しかし、市の総合計画基本構想に掲げる人口フレームで見ると、展望値と実績値の乖離は広がり、特に課題とされている若い世代の転出超過の傾向にも改善の兆しが見られません。
また、土地や家屋の固定資産税の調停額の推移は過去5年間ほぼ変わらず、民間が調査する県内の「住みたいまち」などの各種ランキングも低迷しています。これらの事から、土地の価値もまちの評価も上がっていないという厳しい現実が見えてきます。
市長は今年度、10年間の総合計画の折り返し時期にあたって基本計画の見直しに着手され、その際必要に応じ戦略の変更、施策の追加・修正や統廃合を行うとされています。
そこでこの期を捉え、今回「まち・ひと・しごと創生」を切り口に質問させていただきます。
※これまでの総括・「ひと」「しごと」の創生は順調
まずこれまでの総括として、あえて「まち」「ひと」「しごと」の3区分で見ると、「ひと」や「しごと」の創生については順調に推移しているのではないでしょうか。
リノベーションまちづくり等の公民連携の取組。南部の里山では「いちはらライフ&ワークコミッション」や住民等による地域活動が活発に繰り広げられ、新型コロナウィルス感染症の拡大という厳しい状況にあっても、子ども食堂など地域福祉の向上に向けた住民主体の営みも広がりを見せています。
また臨海部企業との連携、中小企業支援の体制構築、企業人材の育成などの取組も、堅実に進められています。
市長が基本構想の都市像で最も重視しておられる「ひとの力」が、この5年間で着実に引き出されつつあると感じています。
※市民を主役に、行政主体の「まち」の創生を
ただ「まち」の創生については、私たちはまだその成果を実感することができていません。
「まち」の創生は、地域全体のプロデュースや都市構造の変革など、特に行政の役割が求められる施策が多いと思いますが、今は民間や市民のプレーヤーの動きが目立つ反面、行政が受け身に回ってしまっているように感じています。
これから後半戦は、ぜひとも行政の主体性を発揮して、「まち」の創生に積極果敢に取り組んでいただきたいのですが、市長のご見解をお聞かせ願います。
(市長)
私は、若者や女性の転出超過を抑制し、転入超過へと転換することは、本市の最重要課題である人口減少問題の解決に向け、これまでの延長線上ではない新たな取組が必要と考え、総合計画の基本理念である「変革と創造」を具現化するため、まちづくり・人づくり・しごとづくりのあらゆる分野で、様々な施策の展開に取り組んでまいりました。
ご質問のまちの創生については、本市の重要拠点であるJR3駅周辺において、ダイナミックな都市的土地利用の転換に挑戦し、若者や女性の流出を抑制するとともに、移住・定住の促進や交流人口の拡大につながる都市機能の立地・誘導を図るため、「市原市拠点形成構想」「市原市拠点まちづくりビジョン」を策定し、まちの将来像を描いてまいりました。
そして、その具現化に向けては、私自身も、地域住民、地域団体、企業等の皆様との多くの対話を重ね、まちづくりに対する皆様の思いをしっかりと受け止めてきたところであります。
現在、先行して策定を進めている(仮称)市原市拠点別整備基本計画(五井編)は、こうした皆様の思いをしっかりと受け止めつつ、既成市街地を含めた五井駅周辺の具体的な土地利用方針や事業手法、ロードマップ等を明確にするなど、本市の拠点まちづくりを更に一歩前へ進めるものとなります。
私は、多くの方々の思いが詰まった本計画の策定が、五井駅周辺のみならず、本市全体の賑わいと交流につながる、未来への大きな一歩であると確信をしており、この計画を形にしていくことが、市長である私の使命であります。
今後も、五井駅周辺をはじめ、まち全体が未来に向かって動き出すことを市民が実感できるダイナミックなまちづくりを展開するため、市がリーダーシップを発揮しつつ、地域住民、事業者等との対話と連携により、誰もが「住み続けたい」「住んでみたい」と思えるまちを共に創ってまいります。
拠点整備構想はまだ実現性が何も担保されていません。いつまでに何処で何を実現するかが肝要です。
ひとの力は育ってきた。公民連携の土台もできてきた。あとは行政がその力を活かすための舞台を用意しなければなりません。
基本計画の強化にあたっては、市長も述べておられる「市民が『住んで良かった』『住み続けたい』」という視点を最も重視して、各施策を洗い出して頂くよう要望します。
これから具体的に質問していきますが、目新しい提案をするものではなく、市が本来持つ資源やポテンシャルを再認識し、行政のプロ集団として為すべき事を為すという、原点に立ち返ったある意味シンプルな問いかけをさせていただきたいと思います。
(2) 里山の創生について
① 市原鶴舞インターチェンジを起点とする地域の活性化について
※開設当時の市の意気込み
同インターチェンジはH25年(2013年)4月に供用開始された、市南部における重要な交通結節点です。
当時の市の資料には「開通によって交流人口が増加、その波及効果で新規雇用の促進や地元農産物の販売・新たなビジネスチャンスの創出など、地域の活性化が見込まれる」とあります。また都市マスタープランの「土地利用の基本方針」の中に、同インターチェンジ周辺について「産業誘導や観光をはじめとする交流促進に向けた拠点の形成を図る」との記述もあります。
※現在の残念な状況・今後どうするのか
しかし9年後の現在、周囲にコンビニやゴルフショップなど数件の新規立地があるものの、当時見込んだようにインターチェンジの優位性が活かされているとはとても言えない状況です。
圏央道の県内における全面開通も、2年後に迫っている。特に成田空港とのアクセス性の飛躍的な向上が期待されていますが、期待だけで変革は生まれません。
そこで、開設から9年間の取り組みの評価と、成田市までの開通を見据え、同インターチェンジを起点とした環境整備について、民間の開発行為を促す仕掛けなども含め、どのように取り組まれるのか。
また今後NEXCO東日本や県との協議はどのように進めていかれるのか。
地域の活性化に向けた道筋をお示し下さい。
(都市部長)
はじめに、本インターチェンジ開設から9年間の評価についてですが、インターチェンジ周辺のゴルフ場を含む観光施設の観光入込客数については、供用開始前の平成23年度と令和3年度を比較しますと、約40%増加しております。
また、大規模な産業誘導には至っておりませんが、供用開始後、新たにグランピング施設や観光農園などの観光スポットが生まれるなど、交流人口の拡大やビジネス機会の創出など、一定の効果があったものと考えております。
次に、今後の取組についてですが、千葉県では、「高速道路インターチェンジ等を生かした、多様な産業の受け皿づくりを進めるための計画的な土地利用の促進に係る 基本方針」を令和2年度に策定いたしました。
この中で県は、企業誘致の受け皿づくりに取り組む 市町村に対し、個別規制法に関する事前調整やインフラ整備の手法等について助言を行うほか、立地ニーズに関する情報提供や開発事業者とのマッチングを行うなど、ワンストップ窓口と支援チームを設置し、幅広く支援するとしております。
このような中、本インターチェンジ周辺においては、いくつかの企業の皆さまより、工業施設等の大規模な開発行為の相談も受けておりますことから、県と緊密に連携を図りながら、産業誘導の実現に向けた取組を進めるとともに、ネクスコ東日本や庁内関係部局とも連携を図りながら、観光をはじめとする交流人口の拡大や、良好な里山環境と都心部へのアクセスの良さを生かした移住・定住の促進など、本インターチェンジを起点とした、市南部地域の更なる活性化に取り組んでまいります。
では当局は、当初思い描いていた状況通りに進んでいると評価しているのでしょうか。
高滝湖企業連携プロジェクトにNEXCO東日本も加わっていますから、協議の下地はあると思います。
「世界に一番近い里山」を目指すのであれば、いかに市原鶴舞インターチェンジで降りてもらうか。私はいま市がストーリーを描いて動かなければ何も動かないのではないでしょうか。
② 低・未利用公共施設のマネジメントについて
※閉じた後はほぼ放置?
現在里山に位置する主な低・未利用公共施設の概況を申し上げますと、旧平三小学校や市東第二小学校など、地域住民の活動拠点として必要に応じて利用されている施設が一部あり、先月は旧内田小学校で大学の関係者によるトライアル的な利用がありました。
しかし芸術祭の期間以外はほぼ活用されていなかったり、旧鶴舞幼稚園のように倉庫となっていたりするなど、いずれも共通して使用許可や利用の際の基準が不透明で、今後の利活用方針が未だに何も示されていません。
市南部の閉校施設5箇所についてはH30年度(2018)にサウンディング型市場調査を行いましたが、それ以来市の主体性と計画性を伴った動きが途絶えてしまいました。
※方針に則って早急に対策を
低・未利用公共施設は「市原市公共資産活用基本方針」に従い検討する事となっています。同方針の目的は「新たな価値の創出」「資産の適正管理」「公平公正で透明性のある活用」ですが、いずれもおざなりにされているのではないでしょうか。
どの施設を残すのか。残すのであれば、管理運営主体は誰で、どのように活用を図るのか。そのために行政はどこまで手を入れるのか。
市民の財産である以上、まちづくりの視点と施設マネジメントの視点の両面から、早急に保有や活用のあり方を市民に示すことが必要と考えますが、ご見解を伺います。
(財政部長)
本市では、低・未利用公共施設について、ただいま議員からも御紹介いただきましたが、売却や貸付等による新たな価値の創出に向け、これまで、市南部の閉校施設等についてサウンディング型市場調査等を実施し、民間のアイデアやノウハウによる活用可能性を模索してまいりました。
この結果、グランピング施設等の事業開始など一定の成果を得ることができました。
一方で、民間から有効な利活用の提案が得られず、また、施設が市街化調整区域に位置していることや、進入路の形状など活用に課題があることなどから、活用のあり方を明確にお示しできていない施設も少なくございません。
このような課題もございますが、本市里山エリアに位置する、閉校施設等の活用は、交流人口・関係人口拡大などまちづくりの面からも有効な役割も果たすものと認識しております。
このことから、今後は、「新たな価値の創出」という公共資産マネジメントの視点に加えまして、「持続可能な里山の創生」というまちづくりの視点に配慮しながら、里山エリアにおける施設の活用等について、あり方について全庁横断的に検討を進めてまいりたいと考えております。
また検討にあたりましては、地域の皆様の声に耳を傾け、施設の活用方針について、使用許可等の基準の明示、これも含めまして、可能な限り早期にお示しできますよう取り組んでまいりたいと考えております。
耐震性が確保されていないことが民間参入の足かせとなっているようですが、市の方針が決まっていれば、改修をするか否かを明確にしたメリハリのある提案もできたはずです。
鶴舞小学校の統廃合も検討されましたが、施設はその役目を終えた時点からどんどん資産価値が下がってしまいます。特に学校施設は地域コミュニティのシンボルであるだけに、丁寧な協議と迅速な対応をお願いします。
③ 新規就農支援について
※補助金だけではない様々な支援メニューを
このほど農業に関心がある若い世代に農地付き空き家を紹介する事業が始まることから、こうしたターゲット層を増やし後押しをするための方策について伺います。
新規就農希望者の移住を阻むのは、「農地の賃貸や取得の高いハードル」「農業技術の指導者が見つからない」「知らない人が入り込みにくい土地柄」などが考えられます。
現在市の支援メニューとしては国や県を通じた各種補助金が主ですが、これだけでは課題解決にはなりません。
そこで例えば資金や生活面も含めた相談窓口や、先輩農業者等を活用した技術指導、研修農場の整備などのサポート体制を構築することが必要だと思いますが、如何でしょうか。
また同時に、市原高等学校園芸科の生徒へのアプローチや、大学の園芸学部との連携、市民大学の講座に園芸コースを設けるなど園芸への関心を高め裾野を広げるための一般向けの取り組みも、積極的に行う必要があるのではないでしょうか。
ご見解をお聞かせ願います。
(経済部長)
耕作放棄地等の課題を解決し、持続可能な農業を目指すためには、担い手の確保・育成に向けた施策の強化は欠かせません。
こうした中、今回、議員からご提案のございました新規就農者の相談窓口やサポート体制の強化、さらには、若者など農業未経験者の関心を高め、就農へとつなげる取組は、今後の施策強化に向けて非常に重要な視点であると考えております。
新規就農者の相談窓口やサポート体制といたしましては、現在、市では、水稲、果樹など、それぞれの分野に応じて市の農業技師によるアドバイス等を行うほか、関係団体とも連携して、就農を目指す方から就農後に至るまで、それぞれの段階に合わせたサポートを行っております。
一方で、新規就農者の経営基盤は脆弱であり、特に移住等で就農を目指す若者等は、技術面・生活面などで寄り添ったサポートが必要と考えますので、農業センターがワンストップとなり、庁内関係部や関係団体、先輩農業者等へとつなげるサポート体制の一層の強化を図ってまいります。
また、新規就農者の研修農場の整備につきましては、現在、市原型の農業高収益化モデルの構築を目指す取組を行っており、その中で新規就農者向けの研修圃場等の整備をするなど、サポート体制の強化へとつなげてまいります。
次に、大学や高校と連携した農業未経験者の関心を高める取組につきましては、現在、千葉大学園芸学部と、新規就農者も取り組みやすい、いちじくの新たな栽培方法の実証を行なっているところであり、この技術の普及と併せ、今後の新たな連携も模索してまいります。
また、園芸科を持つ県立市原高校との連携は、若者のアイデアを広く農政に生かせるとともに、市内への生徒の就農へと結びつけ、更には、市民に広く農業への関心を高めるきっかけになるとも思っておりますので、こうした農業担い手確保へのすそ野を広げる取組も含めまして、現在改訂を進めております農林業振興計画において、より有効な施策・事業を構築し、本市農業の持続発展につなげてまいります。
例えば旧月出小学校。7年前に改修して食品加工ルーム整備し、地元の食材を使った6次産業化を目指していますが、経済部も関わって技術的なアドバイスや地元農家との橋渡しなどのサポートが必要だと思います。
既に市内の里山では、地域住民が独自に農地を市内外の若者に市民農園として提供するなど、地域の活性化に繋がる取り組みが行われています。こうした営みをつなげ、発信するのも行政の役目です。
改訂中の農林業振興計画でぜひ具現化していただきたいと思います。
④ 里山暮らしのニーズを捉えたプロモーションについて
時間の関係で割愛しますが、今後もターゲット目線に立った「伝わる広報」というプロモーションのあり方を追及していただくよう要望し、次の質問に移ります。
(3) 都市の創生について
① 住宅団地の再生について
※交流拠点の整備と住まいの整備は両輪
本市の「まち・ひと・しごと創生」のシナリオは「市南部で移住の促進を図り、市北部は人口のダムとして転出抑制を図る」というものですが、冒頭述べたように都市部の「まち」の創生が後手に回り、言わばダムに穴が空いている状態だと思います。
JR3駅周辺を整備する方針は示されましたが、まちづくりの全体像から「居住」という視点が抜け落ちてしまっています。多様な人々で賑わう交流拠点と、その人々のための住まい。これらは両輪で進めなければなりません。
そもそも本市の都市構造の特徴は臨海部企業のベッドタウンであり、住宅団地が人口集積の柱を担ってきました。インフラが整備された住宅団地は次世代に残すべき優良なストックですが、残念ながら居住者の減少による住環境の悪化や魅力の低下が懸念されている状況です。
従って都市の創生として、今後は市がイニシアチブを発揮して住宅団地の再生に注力する必要があると考えますが、ご見解をお聞かせ願います。
(都市部長)
本市の住宅団地は、高度成長期に開発されたものが多く、入居開始から約50年が経過し、一斉に高齢化が進むと同時に、建物の老朽化や空き家問題、移動手段の確保など、様々な課題が顕在化してきております。
この課題を解決し、持続可能なまちを実現していくためには、高齢者の皆さんが安心して暮らし続けることができる環境を整備するとともに、若い世代の皆さんも、新たに入居しやすい環境を整えることで、多世代がバランスよく居住するまちへと転換していくことが重要となります。
このような中、本市では、青葉台地区をはじめ、若宮地区や辰巳台地区において、住民との協働による団地再生の取組が進めておられますが、全国の取組事例では、民間事業者がビジネスチャンスとして捉えて参入する事例も数多く見受けられることから、民間事業者の持つノウハウや能力を最大限活用していくことにより、団地再生を更に推進していくことができるものと考えております。
本市といたしましては、今後も、市がイニシアティブを発揮し、民間活力の導入も視野に入れながら、地域の皆さんとの協働により、団地再生に積極的に取組んでまいります。
国も令和元年に地域再生法を改正し、多様な人々の居場所としての団地の再生を後押ししています。
特に都市機能誘導区域が含まれている団地には、積極的に交付金を活用した都市機能誘導を図っていただくよう要望します。
② 移住・定住支援について
現在、本市の移住・定住支援は民間により市南部で意欲的に展開されていますが、実際は「絵に描いたような里山暮らしは無理でも、市街地に住みつつ里山ライフも手軽に満喫したい」というライフスタイルのニーズも、かなり高いと思います。市原市はまさにそのような暮らしが叶うまちですから、今後は生活インフラが整備された既存市街地における施策も強化する必要があるのではないでしょうか。
他の自治体では補助メニュー以外に創意工夫をこらした取組を展開しています。
※他自治体の取組事例
例えば新潟県糸魚川市では、リフォーム建設・不動産・ハウスクリーニング等各市内業者や金融機関等が一般社団法人を設立して空き家や空き店舗の総合相談など包括的な支援を行い、市が補助し商工団体も支援しています。様々なステークホルダーが関わることでビジネスチャンスも生まれるという、副次的な効果も生まれています。
また京都府舞鶴市の居住促進住宅(お試し住宅)事業は、空き家を市が借り受け、舞鶴高専の生徒の設計により改修し貸し出すというものです。市は家賃から改修費を回収、残額は所有者が家賃収入として受け取る仕組みです。
これはあくまでも例示ですが、本市も里山と既存市街地の双方向での取組を強化することで、さらに多様な居住ニーズに応えることができるのではないせしょうか。
ご見解をお聞かせ願います。
(都市部長)
地方への移住の理由につきましては、民間等の調査結果によりますと、仕事や家庭、生活環境、価値観の変化など多種多様であり、移住・定住の促進に向けては、これらのニーズを的確に捉えた様々な支援策に取り組んでいくことが必要であると考えております。
議員ご提言のうち、「お試し移住制度」につきましては、「一般社団法人 移住・交流推進機構」の調査によりますと、「移住に関する施策で興味のあるもの」として、「テレワーク、ふるさと納税、お試し移住」が上位3位となっているものの、「実際に体験したもの」の回答としては、「お試し移住」の回答が、非常に低い状況となっております。
このことから、「お試し移住制度」につきましては、移住を検討する方のニーズが高く、かつ本市の魅力や生活環境などを知っていただく絶好の機会となりますことから、現在、制度構築に向けた検討を進めているところでございます。
また、「総合相談窓口」につきましては、「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」内の「ちば移住支援センター」への聞き取りでは、千葉県内の自治体において、「どこに相談をしていいのか分からない」との声を良く聞くと伺っているほか、本市においても、「担当部署が分かりづらい」とのご意見をいただくことがございます。
このことから、「総合相談窓口」につきましては、移住を検討する皆様に向けた利便性の向上につながることから、今後、先進事例等も参考にしながら、関係部局との協議・調整を進めてまいります。
これらの取組は店舗やオフィスにも当てはまると思います。
ぜひイニシアチブを発揮して取り組まれるよう要望します。
(4)「ゴルフのまちいちはら」の推進について
※教育でとことんゴルフの聖地を目指せ
この取り組みはH29年(2017)に始まり6年目を迎えますが、ゴルフ場の数日本一を誇る本市のポテンシャルを活かしきったブランド戦略だと思います。「ゴルフの聖地」と公言するのであれば、とことん追求していただきたい。中途半端な状況では「かえって恥ずかしい・何もやらない方がまし」とさえ思っています。
昨年度末に示された施策の方向性では、新たに市民をターゲットとした教育・雇用・住環境という視点が加えられましたが、私はこれが「ゴルフのまちいちはら」の目指すべき方向性だと思います。
例えば現在、小学生ゴルフ場体験事業など一部の学校の子ども達がゴルフに触れる機会はありますが、このような取組を市内全ての学校に広げるなど、学校教育の中で市原市の子どもたちが等しくゴルフに親しむことができる環境を整備しては如何でしょうか。ゴルフは限られた家庭環境の子どもしかできないというイメージが強いだけに、これだけでもインパクトは大きいと思います。
ゴルフ人口の裾野が広がれば、市民の中からトッププレーヤーが誕生するという夢も広がります。
当局のご見解をお聞かせ願います。
(地方創生部長)
「ゴルフのまちいちはら」は、ゴルフ場数日本一という利点を活かし、集客やプロモーション、ゴルファーやゴルフ場スタッフの育成・確保を目的に市原市ゴルフ場連絡協議会との連携により、平成28年度からスタートしております。
これまで、集客・プロモーションの取り組みとして、「いちはらゴルフ場巡り33」や、ふるさと寄付返礼品のゴルフプレー券の発行、プロゴルフトーナメント大会会場での「ゴルフのまちいちはら」のPR等を実施してまいりました。
ゴルファーやゴルフ場スタッフの育成・確保の取り組みでは、市内の小学生を対象とした「小学生ゴルフ体験授業」、中学生を対象とした「中学生ゴルフ職場体験」のほか、市内県立高校及び近隣の高校を対象に就職先の候補としてもらうための「高校生ゴルフ場インターンシップ」や「高校3年生お仕事見学・ゴルフ体験バスツアー」に取り組んでおります。
また、市民がゴルフを身近に感じる取組みとして、ゴルフをプレーしたことがない方でも、ゴルフ場を楽しめる「手ぶらdeゴルフ」や、市内ゴルフ場を大会会場として多くのゴルファーが参加できる「市原市市民ゴルフ大会」を開催してまいりました。
これらの取組みを踏まえ、「ゴルフのまちいちはら」をさらに推進し、ゴルフをまちづくりの柱とすべく、令和3年度に設置した庁内プロジェクトチームにおいて、ターゲットや施策、推進体制を体系的に整理したところであります。
引き続き、市民の皆様がゴルフに触れる機会の創出やゴルフを身近に感じられる取組を推進してまいりたいと考えております。
※「ゴルフのまち」三木市の事例
インターネットで「ゴルフのまち」と検索すると、残念ながら市原市ではなく、ゴルフ場の数西日本一の兵庫県三木市が表示されます。
ゴルフのまち推進課があり、地区対抗トーナメントや全小学校へのスナッグゴルフ用具の導入など、市民を巻き込んだ取組が目立っています。
ゴルフ場利用税の廃止が叫ばれるなか、「廃止」でも「維持」でもなく「還元」するという三木市のコンセプトにも共感できます。
市原市も、ゴルフ場利用税が令和3年度で約7億円、ゴルフ関連ふるさと納税も約1億円以上の歳入がありましたが、ゴルフ振興や自然環境保全への還元という考え方があっても良いと思います。
ゴルフを市の誇れる文化に育てていただくよう願って、次の質問に移ります。
(5)「女性の視点を持った施策展開」について
※「女性の視点」の真の意味は
「市原市まち・ひと・しごと創生総合戦略2020」では、施策強化のポイントの一つとして「あらゆる施策において女性の声を聞き、女性の立場に立って、女性の視点を持った施策展開に取り組む」と掲げています。しかし、庁内外で女性の声を聴取する機会が目立って増えた様子はなく、施策についても具体的な動きがほとんど見えません。
「女性の視点を反映する」とは、「子育て支援を充実させる」或いは就職セミナーなど「女性を対象とした事業を増やす」といった枝葉の話ではありません。
肝心なのは、
・女性が直接的・間接的にまちづくりの方向性を決める場にどれだけ参画できるか
・各施策・事業を、従来の発想から女性目線の発想へと、具体的にどれだけ転換させることができるか
ということだと思います。
本市の人口動態の最大の特徴かつ長年の課題の一つは20代女性の転出超過ですから、本市が本気でこの課題を克服するつもりであれば、他の市町村以上の意気込みが必要です。
子育て教育、保健福祉、経済関連は言うに及ばず、庁内人事・組織、都市計画、土木建築、環境など、ありとあらゆる部門における取組が求められます。
「女性の視点が隅々まで活かされたまち」への変革について、市長のご見解をお聞かせ願います。
(市長)
女性の転出超過は、本市にとって大きな課題であり、今後の市政運営を、女性視点で変革していかなければならないというのは、当然のことであることから、常日頃から、私自身が職員の先頭に立ち、積極的に様々な女性の話を聴き、思いに共感し、想像力を働かせ、女性の視点を施策に反映するよう、取り組んでおります。
そうした取組の一つとして、無作為抽出による女性を対象とした「いちはら女性みらい会議」を昨年度2回開催いたしました。
参加者との対話では、女性ならではの生活者視点でのニーズや、女性が家庭・職場・地域において様々な役割を担う中で、日々の生活で抱える切実な問題の解決を最優先に望んでいるということを、改めて実感したところであります。
また、子育て・福祉部門はもちろんのこと、あらゆる分野において、男性視点では当たり前と感じていたことも、女性の視点で見ると、新たな課題も見えてまいりました。
私は、各施策の検討過程において、お話を伺った方々から頂いた意見や提案、やりとりやお顔を思い浮かべるとともに、女性職員からの提案も積極的に取り入れ、最終判断するよう心掛けております。
私は、女性が輝き、日常生活に不満や不安を感じることなく暮らせる、誰もが暮らしやすいまちの実現に向け、引き続き女性の視点からの意見を積極的に伺い、施策に反映し、「変革と創造」の基本理念の下、全庁一丸となって取り組んでまいります。
市長の想いは充分理解できましたが、それを全庁的に共有することが今後の課題です。
例えば、まちのしつらえにしても、女性が歩いて楽しく眺めて美しいまち並み、夜も女性が安心して歩けるまちという視点にたてるかということだと思います。各部門への発信の強化を願います。
そもそも人口にこだわること自体、女性の視点から外れています。これからは量より質です。
残念ながら人口減少は避けられず、すべての地域を満遍なく活性化することは難しいかもしれません。ではどんな地域が残っていくか。それは、その地域に住む人々が本気で残したいと思えるかどうかにかかっていると思います。
それは行政にも言えることです。『いちはら愛を真ん中』に、本気で「どうにかしなければ」と思えるかどうか。最後に問いかけ、質問を終わります。