平成23年度 第2回市原市議会定例会 7月8日(金)

【代表質問】岡村由美子

1. 市長の政治姿勢について

3期に向けての抱負について

(質問)
6月5日の市長選では佐久間市長が3選をはたされた。
市長にとっても本当に厳しい選挙戦であったと思うが、選挙結果をどのように受け止めておられるのか、3期に向けての抱負について、聞きたい。

(答弁)
厳しい選挙だったが、市長も議員も4年に一度、市民の評価を問うのは必要と思う。
私の最大の目標は改訂市原市総合計画の「ともに輝く元気なふるさといちはら」を実現すること。市民の皆様を第一義にとらえて夢のある希望のもてるふるさとをつくっていきたい。

(2)市庁舎建て替えについて

初登庁の記者会見で佐久間市長は、市庁舎建て替えに向けた具体的計画を検討する考えを初めて明らかにされた。このことは、これまでの市の実施計画や、市長の選挙公約にもなかったことであり、唐突ではないか、と大変、驚いた。
市の財政状況からいっても、市庁舎建て替えとなると、大変な負担となる。

(質問)
官公庁の耐震診断に照らし合わせると市庁舎は最低の評価レベル「地震の震動・衝撃で倒壊し、崩壊する危険性が高い」という評価が示されたとある。まだ築40年と、鉄筋鉄骨コンクリートの建物にしてはずいぶん辛い評価だと感じたが、当時の設計などに問題があったということはないのか?

(答弁)
設計に問題があったわけではないが、耐震性にかかわる基準が改正され、厳しくなってきている。今は応急的に人命確保を目的とした柱の強度を高める工事をしている。

(質問)
市庁舎建て替えは、当初、市長公約にはなかったことであり、本市の財政状況もそれどころではない、という状況でもあり、移転によって改定総合計画はじめ、本市のあらゆる計画の基本となっているグランドデザインが変わってくるなど、大きな影響を及ぼす。
昨日の他の会派からの質問に対し、「可能な限り早急に議論の方向性を示していく」とのご答弁があったが、私は拙速に事を進めるのでなく、慎重に、十分時間をかけて、市民参加で広く意見を聞きながら、方針を決めていくべきと考えるがどうか?
先日訪れたワークプラザは、職を求める方々でいっぱいでした。それまでは来訪者が月に3000人前後かそれ以下であったのに、この3月、4月はとくに3600人以上になり600人以上急増しています。
この状況に対してはどのような見解をお持ちでしょうか?
臨海企業等で契約期間終了後の雇い止め等の影響が出てきているのではないでしょうか?

(答弁)
慎重にかつ早急に考えをまとめていくのが重要。
あらゆる可能性を否定しないで検討の対象としていく。

(3)震災の影響と今後の見通しについて

(質問)
来年以降の法人市民税や個人の市民税はどうなるのか?東北地方に国からの補助金が流れ、あてにしていた国庫補助金がこなくなるとも予測されたり、さらに長期的な景気の低迷と政権の不安定も加わって、不透明な要素が強くなっていると思うが、歳入面での今後の見通しが聞きたい。

(答弁)
景気は以前厳しく、個人市民税は減少傾向にある。法人市民税も予測が厳しい。国政の動向が不安定な中、国庫支出金の見込みも困難である。総じて経常的歳入は総体的に減少すると思われ、ますます厳しい財政運営を強いられる。

(質問)
震災の影響もあり、想定しなかった出費が今後かさんでくる。緊急対策としてあげた施策は実施計画の見直しによって対応するのか?そうでなければどのように市の政策として位置づけていくのか?

(答弁)
大震災により危機管理強化などの緊急対策として、学校の耐震化や本庁舎の耐震対策の検討など取り組むべき課題が発生している。計画本体を見直すか、計画外の事業実施とするかは今後総合的に判断していく。

(主張)
厳しい財政状況の中で、市民福祉を向上させるためには、優先順位をしっかりつける見極めが必要となる。このような非常事態では、だれがトップであっても舵取りは厳しいと思われるが、こんな時こそ、市長と行政マンの実力がまさに試されるとき。市民の声に耳を傾け、初心に戻って誠実にとりくんでいただくことをお願いしたい。

2.東日本大震災と本市の防災対策について

(1)企業と防災について

3月11日、コスモ石油の爆発には震え上がった市民は少なくないと思う。私も車で姉ヶ崎付近を通りかかったが、西の空に火が燃え盛っており、臨海工場で働く夫とは連絡が取れず、心配した。地域住民は1300人以上、避難された。

①臨海石油コンビナートの防災について

防災についての本市の特徴はなんといっても、石油コンビナートを臨海部に抱えていることだ。石油コンビナート特別防災区域は、大量の危険物が集積しており、ひとたび火災が発生した場合には甚大な被害となることが懸念される。「石油コンビナート等災害防止に関する法律」などのもとに県には「石油コンビナート等防災本部」が常設されており、消防機関をはじめとした防災関係機関、特定事業者が一帯となって防災体制を確立する体制が整備されている。
しかし、震度5でこの爆発なので、東日本大震災レベルの震度7以上の地震がきたら、いったい、この市原市はどうなってしまうのだろうと、素朴な疑問の声が市民からも相次いだ。

(質問)
昭和30年~40年代はじめにコンビナートがつくられて、設置後40年経っている。施設の老朽化や腐食が進んでいると聞くが、この点についてどう把握し、チェックをしておられるか聞きたい。

(答弁)
石油タンクについては平成17年の消防法改正により、耐震強化がはかられ、現在すすんでいる。

(質問)
タンクについては法律の下で12年おきに開放点検をしているとのことだが、コンビナート全体の付属する配管、機器類なども40年を経て老朽化していたり、ところによっては腐食が進んでいるのではないかと心配だ。リニューアルを全部やっているかどうかといえば、企業によって差があるのではないか?
配管や機器類等付属設備も開放点検の対象になっているのか?
防災における市長のトップセールスについては、多くの企業は死活問題にもつながってくるので、防災に関してはかなり神経をとがらせてやっている。しかし、ひとつの事業所が、火災や爆発を起こしたら、それがひろがって大きな被害につながりかねない。また、「想定外」のことが次々と起こりうるのが震災だと今回の地震は教えている。
市長はこれまで東京の本社の経営陣に向けて、企業誘致などのトップセールスを行い、効果をあげてきている。今回は防災についての設備投資、人材の確保や育成といった面でのトップセールスをぜひ行って、足元の市民の安全を守ってほしい。

(答弁)
市民の生活と命がかかっている。市長として、企業トップの方々に責任のある立場として伝えていく。

②工場で働く人の安全について

津波対策については、現在「千葉県地域防災計画」における津波浸水予想地域対策は、過去の地震より推定したものでつくられ、対象区域は富津岬~銚子市の沿岸になっている。
本市の臨海部は果たして大丈夫なのか?津波が起こった際に働いている人の全てが避難できる高い場所がないと、工場で働いている方より、不安の声があがっている。津波対策について、はたらきかけてほしい。

(質問)
渋滞については、各地域の工場地帯に出入りする道路が一本ずつしかなく、しかも行き止まりになっているために、ふだんの通勤、退勤でも渋滞する。3月11日については大渋滞になったと聞く。かりに入口付近の道路で火災等起きたら、奥の工場で働く人たちは帰宅難民になってしまう。そこに津波や爆発等起こったらたいへんなことになる。これについて市の見解を聞きたい。
企業の社会的責任が問われる時代。また、行政は市民の安全を第一に守るという大きな役割がある。企業側、そして県とも、今回の問題を洗い出して、率直に協議していただければと思う。備えをきちんとしておくことがいかに大切かを、今回の地震は教えてくれたのではないかと思う。

(答弁)
事業者に聞いたところ。現計画では工場外の避難は考えていない、敷地内の広場やグリーンベルトなど一次避難所の確保、帰宅困難となったら、会社寮等の活用など、自らが防災対応している。
避難する社員が発生したら、市としては一般市民と同様の受け入れをしていきたい。

(2)地域と防災について

(質問)
辰巳台地区の新しい町会で自主防災に取り組んでおられる方に聞いたところ、「地区の防災訓練以外に年に一度、町会の自主防災訓練を独自にしている。今年夏にも初期防火訓練や地震体験、炊き出しを予定している。小さな町会単位で、身近なメンバーでやれば、日常のつきあいも深まり、いざというときプラスに作用する」という話だった。
地区の防災訓練以外に独自の防災訓練を行っている自主防災組織はどのくらいあるのか?
その働きかけはどのようにおこなっているのか?

(答弁)
平成22年度は60組織だった。
出前講座による啓発や自主防災組織に対する活動事業補助金制度を活用した訓練の推奨などなどおこなっている。

(主張)
震災をきっかけに町会や自主防災組織の重要性を感じている方が増えている。先細りの町会を増やすまたとない機会で、地域の縁作りにもつながっていく。この機会をとらえて、行政が町会や自主防災組織を増やすために一役かっていただきたいと思う。

(質問)
災害時の地域の避難所として市内のあちこちにある福祉施設と協定を結んでいる自治体がありますが、福祉施設との福祉避難所についての協定などの取り組みについて、考えを聞きたい。

(答弁)
「特別養護老人施設協議会」と協議を進めている。

(3)女性と防災について

(質問)
震災で明らかになった課題を解決するために、次長級職員による「防災対策安全会議」を設置され、今後はマニュアルを整備していくとのことだが、たとえば、避難所運営については託児所の設置、女性への暴力・セクハラ防止のための安全対策、備蓄についてはミルクや生理用品をそろえるなど、女性の意見を取り入れてマニュアル整備を進めてほしいと思う。
また、今回の震災を踏まえ、防災施策に積極的に女性の参画をはかり、女性の視点を入れていただきたいと思うが、考えを聞きたい。

(答弁)
避難所運営マニュアルの見直しの中で配慮していく。防災対策検討会議の中でも女性の登用率を高めることが可能なのか、検討していく。

3.原発について

(1)放射能汚染対策について

市民ネットでも6月13、14日2日がかりで市民と一緒に市内の各地で放射能測定をした。
とくに子育て中のご家庭が、子どもの放射線の影響についてかなり心配しておられる。6月3日より市内の12の小中学校で大気の測定が行われ、17日からはプールのたまり水の測定がはじまり、国の基準よりは低いという結果が出た。さらに私立を含めたすべての小中学校、幼稚園、保育園の園庭で大気中の放射能調査を市内の132地点で5日がかりで行ったとのこと。

(質問)
校庭の真ん中一箇所と、砂場ではかっているとのことだが、さらに側溝や水溜り、芝生、校庭菜園などいろんな場所ではかり、ミニホットスポットというような危ないところには柵を設けるなど処置をしてほしい。また今後は定期的に測定していくのかお聞きしたい。

(答弁)
測定結果は1時間当たり0.02から0.20マイクロシーベルトで、文科省の示した1時間当たり3.8マイクロシーベルトを下回っている。
今後定点等による定期的測定により放射線量の状況を把握していく。

(2)脱原発について

(質問)
市民ネットでは脱原発の方針を一貫してかかげて学習会、署名活動や、国に対する要望などを行ってきた。
イタリアは国民投票で「原発再開NO!」の結果となり、朝日新聞の世論調査でも原発を段階的に廃止することに賛成する割合が74パーセントとなっている。
まして今回事故を起こした当事国である日本でも、私たち一人ひとりが原発に対しての自らの態度をあきらかにしていくことがいま求められている。
全国の知事に対しても脱原発をどう考えるかとのアンケートの結果が先日報道された。首長の考えはその後の原発政策の取り組みにも大きな影響を与えると思う。佐久間市長の脱原発についてのお考えをお聞きしたい。

(答弁)
日本は島国なので電力の輸入や保存はむずかしい。原子力発電から撤退した場合、その代替手段はどうするのか、火力発電を増やすのであれば、地球温暖化や燃料確保の問題がある。脱原発はわれわれの目標でなければならないと思うがこれを早急になくした社会のあり方はむずかしい。私(市長)個人としては原発はあまり必要でないとおもうが、節電できるかが問題。そういう社会をつくっていきたい。

4.市境のまちづくりについて

瀬又地区は広い市原市のなかでも本庁から遠く離れたところにあり、道をへだてて千葉市緑区と隣合わせにある。
市境のまちとして、「税金を払っているのに市原市の恩恵を受けていない」という住民の話をたびたび聞いている。今回あらためて住民の話を直接にお聞きする機会があったのでそれをもとに質問する。

(1)駐輪場について

(質問)
誉田駅の駐輪場を利用している方は、千葉市民が月額400円~1,600円なのに対し、その1.5倍の利用料金を払っている。
現在千葉市民以外の利用者は175台、市原市民がほとんどと思われ、千葉市の利用者の約5分の1と、決して少なくない利用者数だ。
千葉市民と同程度となるように、補助を出してほしいと思うが、どうか。

(答弁)
平成20年から近隣市で組織している七市自転車対策連絡会で現状や課題を協議している。この料金格差については個別補助というより、7市全体の課題として協議していく。

(2)少子化と学校について

(意見)
市東地区に第1、第2市東小と、市東中があります。平成19年度に出された学校規模適正化検討委員会の答申では、過少規模の地区として、小中一貫、あるいは統合の対象になっています。生徒数は現在、市東第1小学校が111人、第2小が 37人、中学が72人で、かなり少ないといえる。
将来推計をみると、平成29年には小学校合計が137人となっている。第2小では現在で既に複式学級が2学級になっている。教育的観点からこれについて、しっかり考えてほしい。

(3)高齢化対策について

(質問)
瀬又地区でも高齢化が進んでいる。高齢者を支える要である地域包括支援センターが一番近いところで辰巳台、車で20分以上かかる。身近な相談所というにはあまりに距離があり、現在のスタッフの体制では手がまわらないのではと思うが、どうか。

(答弁)
地域包括支援センター辰巳では高齢者の相談支援を行っているが、その多くが電話相談である。内容によっては訪問や関係機関とも連携し、対応している。スタッフ体制については現状は相談件数も増加傾向にあるので、今後の推移を見極めつつ、適切なコーディネートができるように体制作りにつとめていく。

(主張)
今回私は住民の方に直接話をうかがう機会がたびたびあった。市境のまちとして、市政から置き去りにされているのではないか、そんな住民の思いに私自身も共感している。
ひとつでもふたつでも、できるところから現在の課題が解決に向けて動き出してほしいと思っている。ぜひ行政も市境のまちに定期的に訪れて、まちづくりについて寄り添って考えてほしい。