平成29年度 第3回市原市議会定例会
代表質問 森山かおる
1.各種計画策定のあり方について
(1)市民との対話の必要性について
今年度策定された市原市総合計画は、市民との幅広い対話を重視して、町会長との未来創生ミーティングやいちはら未来会議、いちはら未来ワークショップなどを通して様々な意見や提言を取り入れて策定されました。
この総合計画を実行し成果をあげていくために、小出市長は「変革と創造」の基本理念をまちづくりの根幹に据え、市民との対話を重ねながら、あらゆる計画を進化させ、未来を創造する市政運営に全力で取り組むことを宣言しておられます。
その一つの取り組みとして、多くが老朽化してきた公共施設のあり方を考える公共施設再配置基本方針の骨子案についての地域懇談会が開催されました。広報いちはらや公共施設にポスターを掲示し、町会の回覧など様々な形で案内を出され、5つの会場で約180人の参加があったものの、そのほとんどが町会長や男性と伺っており、残念ながら幅広く意見を募る状況には至っていません。
総合計画では、若者や女性の転出超過をくい止め転入を増やすことが、人口27万人維持への大きな鍵となるとされており、そのためには当事者の意見をいかに聞く場を持つかが重要になってきます。
今後策定される計画やすでに策定された計画を進化させて、市原市の目指す都市像を市民と共に実現していくためには、このような対話の場に女性や若い方の参加が必要だと考えますが、具体的にどう取り組まれるのかお伺いします。
答弁(総務部長)
総合計画をはじめ、各種個別計画は、市のまちづくりの方向性を明らかにする重要な計画であり、その策定や推進に当たりましては、幅広い世代の市民の皆様との対話を重ね、共通理解のもとで進めていくことが重要であると考えております。
このような考えのもと、7月29日に開催いたしましたいちはら未来会議では、委員として指名させていただいた18歳から86歳までの72名の市民の皆様にご参加いただきましたが、そのうち女性は約35%にあたる25名であり、30代までの参加者は2名でした。
今後は、さらに多くの女性や若者に計画策定などに参画していただきたいと考えておりますが、若い世代の皆様は、学業や仕事、子育てなどに多忙となることが多く、市との対話の場面にご参加いただくことが難しい一面もございます。
そこで、まずは、若い世代をはじめとした多くの皆様にまちづくりへの関心を高めていただけるよう、様々な情報発信の取組を推進してまいります。
具体的には、広報いちはらや市ウェブサイトなどに加え、若い世代が利用しやすいようフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアを活用して、市の政策を分かりやすくタイムリーに発信してまいります。
加えて、より若い世代から地域に愛着を持って、まちづくりに興味を抱いていただけるよう、総合計画の基本構想の冊子を小中学生に配布し、学校での学習に活用していただくことや、高校、大学などと連携し、学生との対話の機会を創出することなどについて検討を進めているところでございます。
こうした取組を通して、若者や女性がまちづくりに関心を持ち、市の計画の策定や推進に積極的に参画していただけるよう努めてまいります。
一足飛びに増やすことは難しいかもしれませんが、例えば女性が参加したくなるようなお知らせの工夫だとか、子育て中の若い方でも気軽に参加できるように託児を行うなど、女性職員のアイデアを活用して地道に取り組んでいただきたいと思います。若者や女性の声を反映させることが「変革と創造」の原点になるのかと思います。
(2) パブリックコメント制度について
市の計画策定において市民の意見を反映させる手段の一つとして、パブリックコメントがあります。
ここ2年間の実施結果を見ると、生活に密着した案件でなければ寄せられる意見は少なく、関心をもつ一部の市民の意見しか集まりません。しかも寄せられた意見に対しての回答結果は「今後の参考にする」「原案どおり」「その他の意見」となることがほとんどで、「原案の修正」になることは稀です。修正される場合でも、表現や説明の追記にとどまり、内容の本質に関わるようなものはありません。
パブコメは、市の重要な政策等の形成過程における公正の確保や透明性の向上を図ること、市民等の市政への参画の機会を確保すること、市民等に対する説明責任を果たすことにより、開かれた市政の推進に資することを目的としていますが、市民の意見に対する市の回答には資料に書かれた説明文章をなぞるようなものが多くあり、検討のプロセスが今一つ見えてこないことや、「今後検討する」「今後の参考にする」という回答の行く末が全くわかりません。これでは市民参画の機会は設けられても、説明責任を果たし、開かれた市政の推進とはいえないのではないでしょうか。
このような状況を踏まえ、PC制度の現状と課題についてどのように把握されておられるのかお聞かせ下さい。
答弁(総務部長)
パブリックコメント制度について、お答えいたします。
最初に、現状についてでございますが、平成27年度に制度化し、昨年度までの2年間において、パブリックコメントを実施した事案は、市原市総合計画条例案など、34件ありました。
その中で、1つの事案に対するパブリックコメントとして、最も多く意見をいただいたものが274件ある一方で、全く意見の提出がなかったものもございます。
また、2年間の意見に対する市の対応の割合としては、「意見を踏まえ修正」が5パーセント、「今後の参考とする」が30パーセント、「原案のとおり」が35パーセント、「その他」が30%となっております。
このようなことから、課題といたしましては、提出意見が極端に少ない事案が散見されること、また、市の回答の内容につきまして、パブリックコメントが、市民等が意見を述べる機会を制度として確立したものであるという趣旨を踏まえ、説明責任を果たすという観点から、より丁寧な説明としっかりとした対応に努める必要であるものと認識しております。
PCの案件で公表される資料はボリュームがあり、よほどの関心がなければ読み込むことはできないし、専門用語もあり理解が難しく、普通の市民にとっては意見を出しにくいです。また学識経験者を有する審議会等で議論された素案の段階では、内容の本質に関わる意見を出しても反映はされず、一般的にPCは市民参画と謳いながら市民の意見を聞いたという証拠作りのためだと批判されています。それをわかっていても市民が意見を出すのは、政策等の形成過程において市民参画の機会がパブコメしかないからで、市原市を住みよい街にしたいという思いがあるからです。
パブコメには案件そのものに関する意見ではないものも含まれており、例えば計画の基礎となるデータについての意見もあります。それらを見ていると、私はもっと早い段階で情報を公開し、市民が意見を出せる機会が必要ではないかと思います。
そこで、今まで以上に市民の意見を計画に反映するために、例えばパブコメを2回にするなどして、計画の方針を決める段階や中間案の段階で、分かりやすい言葉を使った情報を公開し意見を募る工夫を考えていただきたいと思いますが、ご見解をお伺いします。
答弁(総務部長)
パブリックコメントにつきましては、実施にあたり、対象となる政策等の内容、提出された意見を反映するために要する期間等を十分に考慮した上で、実施時期や実施回数を、各部門において判断して実施しております。
ご提案にありましたパブリックコメントの2回実施ということにつきましては、今年度策定に取り組んでおります市原市公共施設再配置基本方針において、骨子案という早期の段階でパブリックコメントを実施し、今後、素案として、2回目の実施も予定しております。
本制度が、市政に対する市民の参画機会の確保を図る手法のひとつであることから、市の説明責任を果たす観点からも、分かりやすい資料による情報提供に努めるとともに、それぞれの事案に応じて、市民意見を反映するための多様な手法の運用を併用することが、効果的であると考えております。
具体的には、対象となる計画や条例の性格等に応じて、アンケート調査や市民との意見交換の場を設けるなど、幅広い視点から、市民参画の機会の充実に努め、それらの結果を踏まえ、パブリックコメントの実施時期や実施回数を適切に運用することで、市民等の市政への参画を積極的に促すことにつながるものと考えております。
今後、このような視点を持って、制度の運用に努めてまいります。
意見が多ければ良いというものではありませんが、誰が見ても分かるような情報公開に務めて、パブコメに限らず市民が意見を出せる機会を広げていただきたいと思います。
かつての市原市は臨海コンビナートで税収が潤い、行政主導の市政運営が行われてきたことと思いますが、今日の人口減少、少子高齢化に伴う厳しい財政状況にあたっては、市民との合意形成が最も重要になってきます。
意見を募り答えを返していくという流れの中で、市民と行政との信頼関係が築かれていくことになり、それが市民力につながるよう取り組んでいただきたいと思います。
(3)審議会等の女性委員の登用について
市民の意見を計画策定において反映させる方法として審議会等も重要な役割を果たしています。こちらは誰でも意見を述べられるPCとは違って、指針に基づいて選考された者が委員として参加できる仕組みになっています。
委員の選任に当たっては、いちはら男女共同参画社会づくりプランにおける女性委員の登用目標値の達成に努めるものとし、審議会等委員における女性の割合を現状値(H28年度)の24.3%からH38年度には40.0%の目標値を掲げておられますが、この目標値は27年度からの持ち越しになっています。
これまで達成に至らなかった理由をどのように分析して、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
答弁(総務部長)
女性委員の登用に関する取組について、お答えいたします。
市の審議会等委員における女性の割合は、「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」における目標数値とは、お話にありましたように、大きく乖離している状況にあります。
主な理由といたしましては、審議会の所管に関わる分野によって、選出団体等に女性が少ない場合があるということ、また、各分野で活躍している女性の方々の情報収集が十分にできていないということなどが、挙げられるところであります。
市といたしましては、委員の改選時など機会をとらえて、引き続き、選出団体等に女性委員の推薦を積極的にお願いするとともに、それぞれの部門で把握している活躍している女性のリスト化を図るなど、庁内での情報共有に努めてまいります。
一例を申し上げますと、事務事業の総点検の点検員を通じ、行政に関心を持っていただいた(仮称)行革モニターの方々に審議会委員の公募の情報提供等を行ったことにより、女性委員の登用が図られた事例もございます。
また、1億総活躍社会の実現に向けた国の施策により、女性の活躍が今後ますます進展する中で、職員一人ひとりが日ごろからのアンテナを高くすることにより、各審議会等における女性委員の人材登用の目標達成に向け、取り組んでまいります。
公募制の導入など各部局に一層働きかけると、H26年3月では答弁されていますが、公募の際に、女性の参加を積極的に求める文言はありません。もっと具体的な取り組みが必要ではないでしょうか。
女性の声を計画策定に反映させることは、市原市のまちづくりにおいて非常に重要であることは言うまでもありません。女性参画の推進を重点施策の1つに掲げている以上は、より一層の取り組みをお願いします。
(4)いちはら歴史のミュージアム事業基本計画案について
歴史ミュージアム構想についてはこれまで議会でも何度か質問されてきましたが、はっきりした姿はみえて来ませんでした。ようやく概要がわかったのは6月議会。「いちはら歴史のミュージアム事業・基本計画案」として示されました。そして今月中には基本計画がまとめられ、2か月後には建築基本設計や展示基本設計が委託されることになると伺っています。
私はこの事業について、拠点施設となる博物館の設置には大賛成ですが、基本計画案の策定のあり方そのものには疑問を感じるところがあります。
この事業には、歴史をつなぐ、人をつなぐ、歴史を活かす、魅力の発信、次世代につなぐという5つの柱が掲げられており、魅力の発信では歴史遺産の価値と魅力を多くの人に知ってもらうことで、交流人口の拡大につなげるとしています。昨年12月議会での質問に対しても、歴史ミュージアムの併用開始は2020年を目指す。その理由は2020年にはオリパラが開催されることから、多くの人を呼び込む絶好の機会だと捉えていると答弁されています。
そこでまず、観光振興ビジョンでは、市原の歴史遺産や文化についてどのような活用策を考えておられるのか、お聞かせ下さい。
答弁(観光担当参事)
観光振興の視点から、市原の歴史遺産や文化の活用について、お答えいたします。
昨年度、策定した「市原市観光振興ビジョン」においては、本市の里山や地域の人材、小湊鉄道、ゴルフ場に加え、歴史・文化なども含めた多彩な地域資源を最大限に活用し、テーマやコンセプトを明確にした観光プランの作成や積極的なプロモーションを実施していくこととしております。
このようなことから、市原市観光協会などと連携を図り、本市の史跡や名勝などの文化遺産と自然豊かな里山地域の食、お土産などをつなぐ観光メニューの開発や、従来の紙媒体に加え、フェイスブックといったSNSや YouTubeを活用した情報発信を展開していくことにより、観光客の増加につなげてまいりたいと考えております。
歴史遺産や伝統芸能、里山などと他の観光資源(食・お土産)を組み合わせるという魅力付けをして相乗効果を生み出すということであれば、ミュージアム事業は観光振興にとって大きな役割をもつことになります。
そこで事業の基本計画案を見ると、博物館は埋蔵文化財調査センターに増築されることになっていますが、ここは道から奥まった所にあるために、市民にも余り知られていません。また、公共交通アクセスはJR五井駅から1日9便(日中でも1時間に1便)、八幡駅からは5便しかありません。
これで事業の柱の一つである交流人口の拡大につながるのか甚だ疑問に思います。
いちはら歴史のミュージアム事業を観光資源として考えておられるのであれば、博物館の場所を埋蔵文化財調査センターとした理由は何なのか、その優位性についてお伺いします。
答弁(生涯学習部長)
まず、いちはら歴史のミュージアム事業の目指すところでございます。
市内全域に広がる歴史遺産を、市民との協働により掘り起こし、地域の魅力として磨き上げ、その価値と魅力を市民と共有することで、郷土への誇りや愛着を育むとともに、歴史を支える人材の育成、さらには、交流人口の拡大につなげようとするものでございます。
このような目的の実現に向けまして、資料の収集・保管、展示による教育、調査研究を一体として行う機能を基本としながら、いちはらの歴史遺産の魅力を広く発信する施設として、さらには、市民との協働により成長して行く施設として、博物館を整備しようとするものでございます。
その立地につきましては、博物館施設とその周辺に点在する歴史遺産を、一体的かつ有機的に活用することで、エリア全体としての魅力の高まりを期待できること、さらには、周辺施設と有機的につながる特徴ある博物館として、発信力の高まりも期待できるなどの考えのもと、検討を進めてまいりました。
このエリアは、『王賜』銘鉄剣が出土した稲荷台1号墳をはじめ、上総国分尼寺跡、上総国府推定地など、本市を代表する歴史遺産が高密度に分布しているため、一帯をフィールドミュージアムとして捉えることで、市原市ならではの、魅力ある取組が可能であると考えております。
加えまして、埋蔵文化財調査センターをリノベーションすることで、博物館という新たな価値を創出することができるため、効率的かつ効果的な施設整備を図ることができます。
このようなことから、博物館を歴史的周辺環境と一体的に運用できることの優位性、既存施設の有効活用、施設と人材の集約、財政的な状況を踏まえた公共施設への考え方など、総合的に検討した結果、「埋蔵文化財調査センター及びその隣接地」が整備予定地として適しているものと判断いたしました。
歴史や遺跡に関わる研究者や関係者から見た優位性ではないでしょうか。
歴史や遺跡に高い関心を持つ人は場所を選ばずどこでも行きますが、そうでない人にとっては、この場所の優位性が魅力になるとは思えません。
場所の選定は、観光のメニュー作りにも大きく影響するはず。交通アクセスの良さは勿論のこと、素晴らしい歴史遺産や伝統文化に加えて、例えばおいしい食べ物や市原らしい土産物を買えるような要素があってこそ、いろんな方に来てもらうことができ、交流人口の拡大につながるのではないでしょうか。
この場所で、どれだけの来場者を見込んでおられるのか、お伺いします。
答弁(生涯学習部長)
いちはら歴史のミュージアム事業では、市民とともに地域の歴史遺産を探求し、展示や体験学習を通じて、その価値を共有することで、理解と関心につなげ、地域への誇りや愛着の心を育みたいと考えております。
具体的には、市民とともに行う活動として、協働調査研究事業や地域連携事業、そして、ボランティア育成事業などを考えております。
さらに、博物館施設の企画・運営につきましても、市民の参画を求めてまいりたいと考えております。
そのためには、市民が積極的に参画できる仕組みを構築し、市民に開かれた、市民とともに成長する、魅力ある博物館として整備・運営してまいりたいと考えております。
このような考えから、ミュージアム事業では、市民が如何に関わりを持っていただけたかということが大変重要な指標であると考えております。
「来場者数」についてのご質問ですが、「展示見学のための来場者数」に、「様々な形で博物館の活動にかかわっていただいた利用者」を加えまして、目標利用者数、年間3万人を見込んでおります。
武道館を利用する市民ですら、その奥に埋蔵文化財調査センターがあることを知らないというくらい認知度は低いです。現に埋蔵文化財調査センターの来場者数は昨年度1,989人、しかも市外からの来場者は2割にも満たない356人にとどまります。この現状を踏まえると、3万人の来場者を見込むには、相当な魅力付けが必要になります。
そのためには観光振興の視点が必須だと思いますが、この基本計画案には反映されていないように感じます。
基本計画案の策定にあたって開催された懇話会のメンバーは、学識経験者、教育関係者、県内博物館長、県教育庁職員、市民は郷土史家、文化財行政に精通している方、社会教育活動に携わっている方と伺っており、観光に携わる方がいない中で進められてきたことが気になっています。
そこで、場所の選定を含め、この基本計画案の策定にあたって、観光振興課とどのような協議をされてこられたのか、お伺いします。
答弁(生涯学習部長)
いちはら歴史のミュージアム事業基本計画の策定にあたりましては、ただいまお話のございました学識経験者や市民の方々に参画いただきまして、大変貴重で有意義な意見を伺ってまいりました。
また、多くの博物館の建設に携わっているコンサルタントからの支援、先程お話のございました県文化財課からのアドバイスなどもいただきました。
庁内からは、いちはらの地域資源の魅力を戦略的にプロモーションする部署の参画を得まして、交流人口の増という視点を踏まえ、計画づくりを進めてまいりました。
さらには、政策会議や市原市公共施設検討委員会等での庁内意見を反映しながら、現在、計画策定の最終調整段階に入っている状況でございます。
今後は、歴史遺産の価値向上や博物館そのものの魅力向上を図って行きながら、その観光活用について、より実務的、具体的な視点から、一層の庁内連携を図ってまいりたいと考えております。
既存の施設であれば観光資源の1つとして観光メニューに取り込んでいくしかありませんが、博物館は延べ床面積800~1,000㎡が予定され、その費用は昨今建設された他自治体の博物館を参考にすると約10億円にもなると予想されます。これだけの費用をかけて建てるのであれば、当初から観光振興の視点をもっとふまえて計画案を策定するべきだったと思います。
市原市総合計画では、2026年に交流人口500万人を目指すとしていますが、
どこの自治体も交流人口を増やすことを狙っている中では、集客できるための施策について本腰を入れて取り組まなければ、競争に打ち勝てるとは思えません。
私はこのミュージアム事業については、今後も教育委員会だけで進められていくような気がしてなりません。
博物館は文化の香り高いまちづくりの拠点となるもので、市原市の魅力を市内外に発信できる非常に重要なツールになります。そのツールを最大限に活かすためには、経済部、企画部、都市計画を進める都市部などと連携し、多角的な視点で取り組まなければならないと思います。
市では行財政改革大綱の柱の一つに総合行政の推進を掲げられており、日頃から市長も総合行政の必要性を語られておられますが、残念ながらこの基本計画案の策定においてはそれが感じられません。
市長の思いが実現できていないと感じますが、どう思われるのかお聞かせ下さい。
答弁(市長)
私は、市のあらゆる事業について、職員が「他人事」ではなく、「自分事」として取り組み、部局を超えて、開かれた議論がなされることにより、個別政策の領域にとどまらない総合行政が実現されるものと考えております。
「いちはら歴史のミュージアム事業」は、市の総合計画を先導する総合戦略に位置づけ、現在、その具現化に向け、「基本計画」の策定作業を進めているところであり、計画策定の過程におきましては、私が議長を務める政策会議等において活発な議論を重ね、全庁的な合意形成を図りながら取り組んでまいりました。
今後につきましても、実効性のある計画の策定に向け、今までにもまして、しっかりと議論を重ねる中で、全庁一丸となった総合行政による取組を着実に進めてまいります。
市長は対話を大切に考えておられ、公共施設の再配置では財政の厳しさを理解してもらおうと懇談会を開催しています。しかし、その一方で、この基本計画案は公表されず、博物館という公共施設を10億円もかけて建てるというアンバランスが生じています。
私は市民が市の歴史遺産や文化を誇りに思い、郷土への愛着を育むためにも、また博物館が市の新しいシンボルになり市内外から多くの人に来てもらうことで、市原市の歴史遺産や文化に脚光が浴びることを願っています。
博物館を後世に渡って市民に愛され人を呼び込める施設にするためには、2020年の併用開始にこだわらず、総合行政として庁内で十分検討を行い、基本計画に反映させることを要望いたします。