平成28年度決算 総括質疑・意見陳述
森山かおる
市民ネットワーク、森山薫です。会派を代表して、平成28年度決算に対する総括質疑並びに意見陳述を行います。
総括質疑
〇スタッフ職の活用についてお伺いします。
28年度には行政組織機構の見直しが行われ、公共資産マネジメント担当、税務担当、観光担当、立地適正化担当の4名の部長級である参事をスタッフ職として配置されました。
H18年度~28年度までの10年間で65人の職員を削減していた中で、あえて9級職を増やされたのは、市長の強い思いや戦略があったことと思います。
参事職の必要性について、28年第1回定例会において小沢議員が質問した際、小出市長は「部門を超える喫緊(きっきん)の課題に、効果的に対応していくためには、組織の枠組みを超えた庁内横断的な取り組みを円滑に進めて行く必要性があります。そのために4名の参事を配置することとしました。それによって、市民の皆様にその成果を実感してもらえるよう、行政の総合性を高め、喫緊の課題にスピード感をもって対応する」と答えておられます。
H28年度はスタッフ職として参事が登用されて1年目ということもありますが、どのような成果につながったのか、お聞かせ下さい。
答弁 (総務部長)
参事職は市政の重要課題を集中して解決するための特命スタッフとして配置されたものであります。
特命担当参事は、公共資産マネジメント、税制、観光振興、都市計画といった専門分野に選任で対応し、喫緊の課題や政策の実現に向け、関係する組織や担当職員を横断的に活用し、取り組んでおります。
また、部長相当の9級職として、スピード感をもって高度なレベルでの庁内の部間調整を行っており、市議会をはじめ、対外的にも説明責任を果たす役割を担っております。
近年の複雑・多様化する市民ニーズに対応し、的確、かつ迅速に対応するためには、専門的に分かれている各部門の横結び機能を強化し、総合行政を展開する必要がございます。
H28年度に配置されました4人の参事につきましては、総合計画策定前において先行して、地方創生の流れを踏まえた重点的な施策や課題に対して組織の枠組みを超えた庁内横断的な取り組みをスピード感をもって推進してきたところであり、各特命分野における事業の進捗に短期間で一定の成果があがったものと認識しております。
行財政改革アクションプランでは、職員の意欲を高める制度の構築として、H30年度に複線型人事制度の導入が実施されることになっています。
H28年度の参事の登用は複線型人事制度導入への布石だと思うが、制度の導入についてどのように進められておられるのか、お聞かせください。
答弁 (総務部長)
複線型人事制度は、部長、次長、課長といったライン職とは別に、専門的スタッフを配置し、特定の課題事項に対応していくものでございます。
H28年度は、市原市行財政改革大綱を踏まえ、市原市人材育成基本方針を改訂する中で、複線型人事制度を、「従来の単線型人事管理、いわゆるライン職だけでなく、業務上の知識や経験を活用した高度な業務を担当する専門的管理職、スタッフを配置等するもの」と、あらためて方針の中に位置づけたところでございます。
このような中、28年度においては、スタッフ職として参事や主幹などを複数配置し、市の戦略的な業務や課題事項に取り組んでおり、一定の成果が上がっているものと考えております。引き続き、その効果について検証してまいります。
また、複線型人事制度は、職員の能力、適性、希望などと、職務や組織が必要とする専門性とが合致した場合には、課題解決や住民福祉の向上につながる効果的な手法と考えております。
一方、課題といたしまして、基本的に職員にはゼネラリストとして幅広い経験と能力が身につくよう人材育成に取り組む中で、スペシャリストとしての人材の選定方法や評価、処遇など解決すべき課題もございます。
このようなことから、これまで取り組んでいるスタッフ職配置の効果や課題などを踏まえ、引き続き、職員一人一人の適性を生かし、能力を最大限に発揮できるよう、複線型人事制度の構築に向け、様々な角度から検討してまいります。
今回スタッフ職の活用について取り上げたのは、日頃から高齢者や障がいを持つ方からの声を聞くなかで、私達なりに思いがあるからです。
「相談や申請のために窓口に行って状況を説明し理解してもらえたと思ったら、一年後には担当者が代わっていて、また説明しなければならなかった」
「着任されたばかりで、どうも制度に精通しておられず、聞きたいことが聞けなかった」「担当者がいないのでわからないと言われ、翌日にまた足を運んだ」 このような話を度々聞いております。
日頃から不安を抱えて生活しておられる方にとっては、窓口が心の拠り所になり、継続して担当してほしいという思いがあるのです。
福祉分野においては、国や県などの制度にも熟知した人事が求められますが、現在のライン職だけでは異動があるため、継続性と専門性をもつスタッフ職の活用が必要です。
是非、その点を念頭において、複線型人事制度の導入を進めていただくようお願いします。
意見の陳述
続いて意見の陳述を行います。
ここでは特に主だったことについてのみ述べます。
行財政改革大綱の柱の一つに「多様な主体との協働の推進」が掲げられています。これは財政状況が厳しくなる中で、市民ニーズの多様化により公共領域が拡大し、きめ細かく市民ニーズに対応していくためには多様な主体の活動が必要になってくるためです。
アクションプランには多様な主体の支援・育成として市民活動支援補助事業がありますが、その執行率は非常に低く、先に行われた分科会審査では市の積極的な姿勢が見えず、まず職員の意識改革が必要だと感じました。
職員の意識改革の必要性については、他の事業でも散見された。
例えば、安心安全生活見守り事業費や軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業については、リサーチ不足で対象者の人数の把握ができておらず、本当に困っている人に情報を届け活用してもらいたいという思いが、残念ながら伝わってきませんでした。
また、ごみ減量850推進事業では、年々減少する資源回収団体と回収量について対策が講じられていないことや、ごみ質分析を毎年数百万円かけて行っているものの、それがゴミ減量にどう生かされているのかが見えてこず、ここでは改めてPDCAサイクルの弱さも感じました。
PDCAサイクルは事業をレベルアップさせて、継続的に業務を改善していくものですが、ある目的を達成するための事業が、いつの間にか目的そのものに対する意識が薄れてしまい、ただ事業を遂行することだけに意識が向いてしまっているのではないでしょうか。
それは決してこの事業だけではないと思います。
しかしその一方で、事務事業の総点検では、事業費の縮減とともに、職員の意識改革を目的として取り組まれたことは高く評価しています。
参加された市民の市政への関心も高まり、数字では表せない大きな効果が得られたことと思います。
これを大きな一歩として、今一度、各事業の目的をしっかり捉え直して、事業に対する志を高めて、改善に取り組んでいただくよう要望します。
次に財政基盤の強化について申し上げます。
公共資産マネジメントを進めていく上では、公共施設やインフラ整備にかかる費用の捻出が市の財政面での大きな課題になってきます。
H28年度の公共施設整備基金の残高は約9億円。
行財政改革アクションプランによると公共施設整備基金については、前年度繰越金に余剰が見込まれる場合、積み立てを行い、5億円以上の残高を確保するよう努めるとされていますが、これから進められる公共施設の再配置に向けて、将来に大きな負担を残さないためにも、長期的な計画に基づいて、毎年一定額を確保して積み立てるよう要望します。
次に財政指標等について申し上げます。
市税収入はH23年度から続く減少に歯止めがかかり、5年ぶりの増収となりましたが、その主な要因は石油化学工業などの企業実績の改善や固定資産税等の増加によるもので、景気の動向に左右される危うさがあります。
経常収支比率は前年度から1.1ポイント上昇し、93.5%となり、硬直化が進んでいる状況にある。
しかしながら実質公債費比率は前年度と同様の6.3%、将来負担比率は56.3%となり前年度から3.8ポイント低下した。
実質単年度収支については、予算編成時に目指した黒字化には至らず、5年連続の赤字になったものの、前年度より大幅に改善されている。
H28年度は扶助費が過去最大を記録し、依然として厳しい財政状況ではありましたが、事務事業の見直しや市税徴収率の向上など財源の確保にも努められ、財政指標等も鑑みて、概ね良好な行政運営であったと判断し、市民ネットワークは平成28年度一般・特別・企業各会計決算について認定いたします。