令和元年 第4回市原市議会定例会

代表質問 小沢みか

1、八幡宿駅西口のモデルケース及び庁舎等の整備方針にみる公共施設再配置とまちづくりについて

※市民から丁寧に意見聴取したことは認めますが・・・。
まず、八幡宿駅西口 7施設の再配置のモデル事業について伺います。
このほど基本計画の素案が示されましたが、策定にあたり当局では実に丁寧に市民からの意見聴取を行ってきました。
H30年10月の第1回目を皮切りに、これまで計5回の地元でのワークショップ。加えて八幡小PTAや地域住民との懇談会、市原八幡高校の生徒によるワークショップを開かれました。
私もその多くを傍聴させていただき、この取り組み自体は評価をしています。しかし、その成果物としての基本計画素案が、なぜこのような形になったのでしょうか。
腑に落ちない部分があるので、何点か確認します。

※モデル事業の複合施設について 地域活性化の観点から建設予定地の優位性を問います
まず、支所や公民館などを複合化した施設の建設予定地について、地域活性化の観点から伺います。
ワークショップ等の意見を集約した3候補地、
支所や公民館がある現在地、駅西口の八幡運動公園側、駅東口側
の中から、八幡運動公園側が選定されました。
現在の公民館や支所の立地とほぼ変わらないエリアに配置することで、今後目指すところの新たな人の流れやイノベーションの創出にどう結びけるのでしょうか。その構想について、東口に建てる場合と比較したメリットを明らかにしながらご説明願います。念のため、あくまでも中の機能ではなく立地の側面からご答弁をお願い致します。

(資産経営部長)
(仮称)八幡宿駅西口公共施設再配置基本計画 素案では、八幡運動公園及び市原青少年会館の敷地を複合施設の建設予定地としてお示しをしています。
この予定地は、市民ワークショップにおける提案を基に、市において、市の上位・関連計画との整合性を踏まえ、立地適正化計画の都市機能誘導区域内にあって、整形地で敷地が広く、さらに屋外空間を付帯機能と捉えた一体的・効果的な活用や駐車場不足等の課題解決が見込めることから、選定したところであります。
このような敷地の優位性を活かすとともに、新たな複合施設は、単に従来の施設を合築するのではなく、市民意見を踏まえ、基本理念を具現化する「交流と集いの場」「自己実現の場」「相談支援の場」「知識と情報の場」の4つの場と、地域活動支援機能などの6つの主な機能を備えた施設として計画をいたしました。
それらの機能を相互の特徴を活かしながら有機的に連携、融合させ、公園機能を活かした緑の憩いの空間や、民間活力による機能などを含めた相乗効果によって施設価値の向上を図ることで、みんなが来たくなる、輪が広がる場として、新たな交流や賑わいを生み出すことのできる複合施設を整備してまいります。

※モデル事業の複合施設について 防災の観点から建設予定地の優位性を問います
同じく立地について、次に防災の観点から伺います。
県の高潮浸水想定区域図によりますと、駅西口側は最大3メートルの浸水予想となっています。建設予定地の八幡運動公園側は、候補地のうち最も海岸寄りで、地域懇談会などでも大雨による灌水や高潮への懸念が寄せられていました。そこに持ってきて今回の一連の災害を経験してもなお、最も水害のリスクが高いと思われる場所を選定した理由は何でしょうか。災害リスクを上回るメリットを明確に示してご説明願います。

(資産経営部長)
複合施設の建設予定地としている八幡運動公園及び市原青少年会館の敷地は、千葉市側の玄関口であるJR八幡宿駅や広域幹線道路の国道16号に近接するなど広域的な交通アクセス性に非常に優れた立地であります。
また、当該地がある八幡宿駅周辺は、古くから交通の要衝として栄えた宿場町であり、飯香岡八幡宮など、歴史と文化の薫る魅力ある地区でもあります。
さらに、先ほどお答えしました上位計画等との整合性や、立地等の優位性から、建設予定地として選定したところであります。
当該地の災害リスクといたしましては、千年に一度あるいはそれよりも発生頻度が低い、非常に稀な確率で発生する津波や高潮の際には、浸水することが想定をされております。
このことから、複合施設の整備に当たっては、災害リスクを考慮するとともに、地域特性にも配慮しながら、万一の場合も市民の命を守り、また、必要な機能の維持が可能となるよう災害への備えを検討してまいります。

・近隣住民の避難ビルとしての機能は果たせるかもしれませんが、支所には現地連絡本部という重要な役目があります。その点をどうカバーするつもりなのでしょうか?
・H27年の水防法の改正で、想定しうる最大規模の水害への対応が求められるようになりました。県の洪水浸水想定区域も大雨想定を50年に1度から千年に一度に見直すとのことです。
・ワークショップで最も求められていた機能は「安心安全」でした。従って、特に災害対策については地域住民に丁寧な説明をお願いします。

※モデル事業の複合化の対象施設について 教育センターと指導センターとの実際
複合化の対象となった施設についても、腑に落ちない点がございます。
対象6施設の中に、市内で1カ所しかない広域施設・教育センターと青少年指導センターがなぜ入ったのでしょぷか。
両施設は不登校や引きこもり等の相談窓口や教員の研修の場で、施設利用者は市内全域を対象としています。基本計画の素案では、相談機能はその性格上特にプライバシーの配慮が必要なため、出入り口・相談室・待合室・はたまた駐車場までも分離するとのことです。
なぜ、このようことをしてまで、市境である八幡の限られた土地にあえて配置する必要があるのでしょうか。

※ワークショップの在り方について
そもそもこれらの論点について、ワークショップなどできちんと話し合われていたのでしょうか。私はされていなかったと思います。
例えば実際にあったワークショップのご意見、例えば・・・
「学校規模適正化や庁舎強靭化の取り組みと整合がとれているのか」
「東口の学校施設と一体的に検討すべきではないか」。
このような、部署をまたいだ視点や、既成概念にとらわれない考えに対して、真摯に向き合った検討を行ったのでしょうか。
また、7施設のうち複合化で意見が一致していたのは、支所・公民館・青少年会館の3施設のみです。その他の施設については様々なご意見がありました。それが蓋を開けたら、なぜか認定子ども園以外の6施設の複合化という案におさまっています。
私はここで計画の中身を問題にしているのではありません。結局落ち着くところに落ち着いたのかもしれませんし、これが本当に市民と一緒に練り上げた結果であれば、何も言うことはありません。また、何でもかんでも市民の意見を反映すべきと主張したいわけでもありません。行政主導で押し進める事業もあって当然だと思います。
ただ、この八幡の事業に関しては、初めてゼロベースで市民と共に創りあげるモデルという位置づけだったはず。仮に行政側の事情で土地や予算などの制約があったのであれば、ゼロベースなどと無理をせずに、早い段階でその事を丁寧に説明すれば良かったのではないでしょうか。
「変革方針2019」の重点方針は「市民との対話」ですが、私はこのままでは、そのほかの事業も含めて、市民と対話をすればするほど、かえって行政への不信感やまちづくりへの無力感が募るのではないかと案じています。ご見解をお聞かせ願います。

(企画部長)
小出市長就任後、市民との直接対話を積極的に進め、これまで総合計画策定におけるいちはら未来会議、事務事業の市民点検、防災100人会議や各種ワークショップを実施してまいりました。
これらの市民との対話は、参加された市民の皆さんが本市の課題を「自分ごと化」したり、職員に新たな気付きが生まれ改革・改善につなげたりと様々な効果を創出するとともに、行政と市民との信頼関係を構築する上で大変重要なシティプロモーションの機会と捉えております。
人口減少対策など本市が抱える課題を克服するためには、「対話と連携」によるまちづくりは欠かせないことから、変革方針2019においても「対話と連携をもっと前へ」進めるよう掲げたところであります。
今後、更なる対話の拡大と、より効果的な対話を実施するためには、これまで本市で実施した対話の成果や課題を次なる対話に反映し、常に改善することが大変重要と考えております。
具体的には、対話の目的や狙いを明確にするとともに、議会及び各種審議会、ワークショップなどそれぞれの役割を整理した上で進めるなど、より効果的な市民対話が実施できるよう取り組んでまいります。

対話の先にあるもの。対話をどう活かすかが課題です。全庁的な問いかけが必要です。

※教育センターと指導センターについて 教育委員会に集約する提案
ところで、第2庁舎等の整備方針について、先般、新議会棟も含めた全棟建て替えの方向性が示されました。資料によると、減築案と比較した建て替えのメリットとして「自由な設計が可能となる」「部門連係の円滑性・部門配置の柔軟性が向上する」とあります。
そこで一つ提案があります。八幡のモデル事業と第2庁舎の更新、二つの公共事業は、ほぼ同時に進められようとしています。そうであれば、教育センターと青少年指導センターを、第2庁舎の教育委員会事務局と統合してもいいのではないでしょうか。
教育委員会内部の連携はもちろん、特別支援教育・不登校や引きこもりなどへの支援で、福祉部門との連携も円滑になると考えられます。
研修で集まる教師の負担は軽減され、駐車場不足も解消されます。
一方八幡の方は、その分スペースにゆとりができます。支所機能の拡充や地区社協の事務局など、最大限地域のために振り向けることができるのではないでしょうか。如何ですか。

(資産経営部)
教育センター及び青少年指導センターについては、耐震性や老朽化の進行など、施設の安全面での課題が大きい状況であり、公共施設再配置モデルケースにおける市民ワークショップなどの市民意見では、教育関連施設である教育センターと青少年指導センターを集約化する組合せの意見が多くありました。
 また、教育センターの研修室やコンピュータ室などについては、職員が利用していない時間帯を市民開放してはどうかといったアイデアがありました。
このような市民意見や施設の課題等を踏まえ、両センターを複合施設へ集約化することにより、空間の共用が可能となり、市民への利用拡大や維持管理費用の縮減効果が見込まれること、また、立地についても、児童・生徒などの相談者や研修に来る職員が公共交通で容易にアクセスできる駅周辺に優位性があることなどから、(仮称)八幡宿駅西口公共施設再配置基本計画において、教育センター及び青少年指導センターを、複合施設へ集約する案として、お示しをしたところであります。

※公共施設の再配置について、市全域の戦略を立てるという観点がありません。
八幡の複合施設の供用開始見込みはR7年 (30億)、庁舎はR8年(106億)。1年しか変わりません。
これらの大きなプロジェクトが、なぜこうもバラバラで一体的に考えられないのか。五井会館なども同様だが、これまでの経過をみてもやはり縦割りで、横軸連携と言っても結局は各所管部署の主導で進められているに過ぎません。そこに時代の先を見据えた新たな発想は生まれません。
そこで伺います。公共施設の再配置については、市全域を俯瞰で捉え、まちづくりの視点から戦略を立て、具体の事業や優先順位などについて企画立案するという観点あるいはセクションがあって然るべきだと思いますが、ご見解をお聞かせください。

(企画部長)
本市では、公共施設の再配置を進めるにあたり、政策的な総合調整や、本市の広域性を踏まえたまちづくりの視点が大変重要と捉え、企画部において取組を始めた経緯があります。
その後、計画策定やモデルケースの取組などを積極的に推進するため、新たな組織として資産経営部を立ち上げ取り組んでいるところではありますが、当初の視点は今も変わることなく、市長をトップとした公共資産マネジメント推進本部会議において、政策的な総合調整を図っているところであります。
また、スプリング、サマー、オータムの各種レビューにも資産経営部長が同席し、部門間連携を図っているところであります。
今後につきましては、これまでの成果や課題を踏まえまして、総合調整のあり方や新たな戦略の必要性など、関係部門と十分に協議して対応してまいりたいと考えております。

老朽化した公共施設の更新は喫緊の課題ですが、「急いては事を仕損じる」では元も子もありません。
いずれにしても、市全体のまちづくりの視点を持って、じっくりと検討されるようお願いたします。

2、災害時用配慮者の避難について

※福祉避難所が開設されなかった背景を明らかにします
災害対策基本法で災害時要配慮者とは「高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(妊産婦、疾患を持った人、日本語の理解が十分でない外国人)」とされています。
市が定める要配慮者の要件に該当する方は、重複もあるので正確ではありませんが、単純に積算すると約35000人です。市民のおよそ8人に1人が該当すると考えられます。
福祉避難所は、こうした方々に特に配慮された避難所で、市内では介護施設など30施設が指定されています。これらに入所するためには、まず一般の避難所に避難⇒当事者が申し出⇒保健師派遣・確認⇒福祉避難所開設⇒移動 というステップが必要です。
この度の一連の災害では、一般の避難所が最大29カ所開かれ、合わせて約4000名が避難されましたが、この間福祉避難所は1カ所も開設されませんでした。県内では17市町で42カ所開設されたにも関わらずです。
その理由を伺ったところ、特に申し出がなかったから、とのことでした。
果たして本当にニーズが無かったのでしょうか。
そもそも、要配慮者は福祉避難所の存在について、1次避難後に申し出なければ開設されないという仕組みも含め、知っているのでしょうか。
当局では通常どのように周知を行っているのでしょうか、また認知度はどのぐらいなのでしょうか。ご答弁願います。

(総務部長)
福祉避難所は、医療機関等に入院するに至らないものの、一般的な避難所での避難生活が困難な要配慮者を受け入れ、適切な支援をしながら保護する目的で設置するもので、本市には、各保健福祉センターや希望苑など市が管理する福祉施設9施設のほか、災害協定を締結している市原特別支援学校や民間の福祉施設など合計30施設を指定しております。
福祉避難所を利用していただく仕組みにつきましては、先ほどお話しいただきましたけれども、まずは指定避難所に避難していただき、その後、避難所担当職員のほうが、市災害対策本部への連絡をして、要配慮者の状態ですとか介助者の有無等を考慮しまして、福祉避難所への避難が必要と考えられる場合に、市が福祉避難所と協議の上、開設いたします。
要配慮者の方は、施設管理者又は要配慮者の家族等の協力や災害協定を締結しております交通事業者等によりまして搬送、そして福祉避難所への移動をしていただくことになっております。
避難所までの避難方法につきましては、これまで総合防災訓練などの機会を通じ、周知しているところでございますけれども、要配慮者の方に福祉避難所を利用していただくための全体の仕組みとしての周知は、まだまだ不十分でございます。
今後は、今回の一連の災害の教訓を踏まえまして、関係部や各施設と連携・協議し、福祉避難所の周知やその利用方法について、要支援者の方やそのご家族に伝わるよう、取り組んでまいります。

申し出が無かったのはニーズが無かったからではない、という事は明らかです。

※特別支援学校を例に福祉避難所の在り方を問います
では、仮に周知徹底されれば要配慮者が安心して避難できるのかといえば、決してそうではありません。
市原市では、福祉避難所はあくまでも(一次避難所の次に)二次的に指定するという位置づけですが、私はその仕組み自体も見直しが必要だと感じています。
一例として、主に知的障害児が通う県立市原特別支援学校を取り上げます。因みにH27年3月に市と福祉避難所の協定を結んでいます。
今回の災害で、在校生のご家族から「一般の避難所には逃げたくても逃げられなかった」というお声を本当にたくさん伺っています。なぜ避難できなかったのでしょうか?
知的障害児や発達障害児は「環境が変わるとパニックを起こしやすい」「突然奇声を発したり、ひと時もじっとしていない」などの特有の行動が、周りの理解を得られないのではないでしょうか。また、健常者以上にストレスを感じやすいので、慣れない場所では精神面や身体面に何らかの二次障害がおこるのではないでしょうか。そんな恐れから避難を躊躇してしまったとのことです。自宅にはいられず車中でしのいだ方もいらっしゃいました。これは、認知症高齢者も同様でしょう。
また、極限状態の中で保健師が一般避難所を巡回して要支援者をスクリーニングしなければならないことや、福祉避難所へ再移動させなければならないことなども考えると、この制度設計には無理があると言わざるを得ません。
一方で熊本市は今年1月、特別支援学校と「子ども福祉避難所」の協定を結びました。在校生や未就学の障害児などあらかじめ決めた対象者については、一般の避難所を介さずとも直接駆け込める仕組みとしました。
そこで市原市も、ぜひ同様に特別支援学校を一次避難所と位置づけていただくよう要望します。
今回の災害を受けて、市原特別支援学校PTAがアンケート調査を行いました。その切実な声はすでにお手元に届いていると思います。ぜひ重く受け止めてご検討いただきたいが、如何ですか。

(総務部長)
本市におきましては、先程、議員からお話がありましたように、市原特別支援学校と福祉避難所の協定を締結しているところでございます。
今回の一連の災害におきまして、災害時の連絡のほか、災害後における意見交換を行ったところでございます。
 市原特別支援学校では、大雨の際に一部の在校生とご家族が避難されたことから、市職員の訪問、また、避難物資の搬入を行いまして、現地の状況把握に努め、避難者が増えた場合には、福祉避難所としての開設も想定したところでございますが、今回は福祉避難所の開設には至りませんでした。
しかしながら、今後の体制づくりのため、災害後に、特別支援学校と福祉避難所の開設について、お話を伺ったところ、知的障がいのある方は対人関係やコミュニケーションに配慮が必要なことから、先程、議員のお話にもございましたが、一般の避難所への避難が困難であるとのご意見をいただきました。
その一方で、特別支援学校の体育館を避難場所とした場合、大きな雨音等がする中で知的障がいのある方が複数で生活することは難しい点でありますとか、学校側が授業や送迎など在校生に対応している場合、その場合の受入れの難さというような課題があることも伺っております。
議員のご紹介にありました、熊本市におきましても、特別支援学校へ直接避難できる対象者を、学校に在席する障がい児とその家族等としていることから、あらかじめ対象者を決めておくことで、災害時の避難所体制がより円滑になると認識しております。
これらのことから、今後の災害に備え、障がいのある方が安心して避難できるよう、課題を整理し、福祉避難所の開設や避難対象者について、特別支援学校等の関係機関や関係部署と協議しながら検討してまいります。

福祉避難所が早い段階で開設された場合、一般の避難者も来て混乱するとの懸念もありますが、地域住民に対し平素から丁寧に説明を行っていれば、最小限に抑えることができると思います。
今後、行政・学校・当事者そして地域住民の4者での協議や合同防災訓練の実施などの取り組みを、行政がコーディネート役となり進めていただくよう重ねて要望します。

※一次避難所での要配慮者への支援について
次に、一次避難所内での支援について伺います。
いくら福祉避難所が設置されても、道路状況などでたどり着けない場合も当然あります。本来であれば、要配慮者こそ身近な避難所に躊躇なく駆け込めるよう、一般の避難所内に福祉避難スペースが確保されていなければなりません。
内閣府の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」では、小学校区に1箇所程度が目標とありますが、市原市はこの度の災害では確保されていなかったと聞いています。
それどころか受付の際、市の「地域による避難所開設・運営マニュアル」では「一般の避難者とは別に『要配慮者名簿』を作成して、配慮すべき内容を把握する」とされているにもかかわらず、その名簿すら作成されませんでした。これは、過去の大災害で高齢者や障害者の死亡率が際立って高かったという教訓が、全く活かされなかったということで、残念でなりません。
その原因と今後の対策についてご答弁願います。

(総務部長)
早期開設避難所は、福祉避難スペースとして活用できる和室などの施設やエアコンなどが整備されていること、そして洪水の浸水想定区域外であることなどを踏まえまして、市内11カ所の公民館等を指定しております。
台風19号では、台風15号から続く被害や、最大級の警戒を呼びかける報道等もあり、早い段階で多くの方が避難しましたことから、一般の避難者の方が、福祉避難スペースとしての利用を想定しておりました和室等に避難したこと、また、あらかじめ福祉避難スペースを明確に区分していなかったこと、さらには、受付時に要配慮者の把握を十分にできなかったことなどから、福祉避難スペースを確保することができない状況が発生いたしました。
今後は、今回の一連の災害の教訓を踏まえまして、あらかじめ福祉避難スペースを明確に区分するなど、指定避難所における福祉避難スペースの適切な確保にむけまして検討してまいります。

認知症患者、視覚障害者、聴覚障害者など、多様な要配慮者の個別性に配慮した取り組みをお願いしたいです。
また、名簿作成、ニーズの把握、個別支援計画の作成などにあたっては、例えば、地域包括ケアシステムにおける様々な会議体の検討項目に災害時対応を含めたり、ケアプラン等にも避難支援プランを加えたりするなど、通常の福祉活動の中で意識的に取り入れることも検討していただくよう、当局にはさらなる取り組みをお願いします。

3、自治体間の連携について

今回の災害の経験から、改めて平素からの自治体間の連携のあり方を検証することも必要と感じました。
本市の諸計画の中で「広域連携」とは、近隣190万人の広域都市圏を指すものですが、
今回は違った角度から新たな広域連携について質問します。

(1) 市境における広域避難連携について(隣接自治体との連携)
昨日同様の質問があったので、割愛します。

(2)遠隔地との連携や交流について
遠隔地と言えば、市原市は海外であればモビール市と友好都市として教育・文化交流を行っていますし、近年ではスポーツ交流としてニュージーランドやアイルランドのチームとも交流事業を行っているところであります。
しかし、意外にも国内の遠隔地の自治体との連携や交流となると、行政レベルでは政策目的に応じて取り組むことはあっても、いわゆる友好都市のような関係性を築くことはこれまでありませんでした。
首長や職員同士の連携や交流だけではなく、物産展や祭りへの相互参加、観光、子ども達の体験学習、スポーツ親善などを通して、市民・NPO・民間が一体となって関係性を深めることで、交流人口や関係人口の増加につながる可能性もありますし、遠隔地だからこそ生まれるメリットは大きいと思います。
また災害対応では、H30年に総務省の旗振りで「被災市区町村 応援職員確保システム」などの全国的な自治体間応援スキームが構築されましたが、この度の災害では市原市は対象とはなりませんでした。むしろ過去の大災害では災害協定よりも「顔なじみの関係」から自然発生的に生まれた救援活動がたいへん有効であったと聞きます。
改めて、国内の遠隔地との友好都市協定など連携・交流を深めることについて、当局のご見解をお聞かせ願います。

(企画部長)
本市では、埼玉県所沢市と平成8年に「災害時相互応援に関する協定」を締結し、大規模災害時における物資の提供や人員の派遣を行う取り決めを交わしており、今回の災害においても応援の打診があったところであります。
また、全国で53の市(し)・町(まち)が加盟する「石油基地自治体協議会加盟団体災害時相互応援協定」にも締結しております。
このほか、宮城県名取市とは、東日本大震災の際に、本市から応援職員の派遣を行ったことを契機に、今回の災害においても救援物資を提供していただきました。
さらに、昨年度には、全国工場夜景都市協議会に加盟し、全国11都市により工場夜景の魅力を発信するなど、都市間交流を積極的に進めております。
以上申し上げました本市の取組につきましては、特定の分野に限ったものであり、また、行政主体のものでありましたが、全国的には「歴史」や「産業」、「都市と農村」など様々なつながりによる行政や市民レベルでの連携・交流を行っている自治体もありますことから、交流人口や関係人口の拡大にもつながるものと認識しております。
今後は、これまでのご縁があった自治体との連携を他の分野にも拡大していくのか、または同じ課題を共有する自治体との連携を新たに進めるのか、様々な機会を捉えて情報交換を行い、あらゆる角度から研究してまいりたいと考えております。

今後も様々な分野・観点から自治体間の交流とネットワークの充実に取り組んでいただきたいです。